『ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月』:2004、イギリス&フランス&ドイツ&アイルランド&アメリカ

TVレポーターのブリジット・ジョーンズは、母親の開いたホーム・パーティーに仕方なく参加した。風変わりな面々と挨拶を交わし、 作り笑顔で応対する。しかし恋人の弁護士マーク・ダーシーを見つけると、パッと明るい表情に変わる。彼女は仕事でスカイダイビングを やらされ、養豚場に落下して生放送で糞まみれになる。そんな嫌な仕事があっても、マークに会えば幸せな気持ちになれた。
ブリジットはテレビ局に出勤してもマークのことばかり考えてしまい、彼に電話を掛けた。上司のリチャード・フィンチから呼び出された 彼女は注意されるのではないかと心配になるが、行ってみると「スカイダイビングの生中継を上層部が気に入ったらしい。スポーツ番組も やってみないか」と告げられた。ダニエル・クリーヴァーがテレビ番組に出演しているのを見たブリジットは驚いた。彼は旅行番組の ホストとして人気を得ていたのだった。
ブリジットはマークからの電話で「今夜のディナーに遅れそうなんだ」と告げられる。親友のトム、ジュード、シャザと会った彼女は 「怪しいわよ。別れたら?」「秘書と楽しんでるんじゃないの」などと不安を煽るようなことを言われるが、余裕で受け流した。そこへ ブリジットと険悪な関係にあるジェイニーが現れ、嫌味っぽい言葉を投げ掛けて来た。さらにジェイニーは、「1時間ほど前、マークが 秘書のレベッカ・ギリーと一緒に彼の家へ入っていくのを見たわよ」と告げた。
ブリジットは親友たちに促され、マークの家へ赴いた。女の声が聞こえたので心配になり、テラスから中を覗き込む。すると、室内にいる 女の姿が見えた。ブリジットが慌ててドアをノックすると、レベッカが出て来た。ブリジットは敵対心を剥き出しにすると、家に足を 踏み入れた。するとマークは大勢の仕事相手との会議中で、レベッカは手伝いをしていただけだった。ブリジットが謝ると、マークは 優しく「怒ってないよ」と言い、「今度の金曜、弁護士協会のパーティーへ一緒に行こう」と誘ってくれた。
また幸せな気持ちに包まれたブリジットは、マークとの結婚を妄想する。テレビ局で資料を探していると、そこへダニエルが現れた。 ブリジットが追い払おうとすると、ダニエルは何食わぬ顔で口説いて来た。ダニエルはディナーに誘って来るが、ブリジットは「今夜は 弁護士協会のパーティーなの」と断った。ブリジットは弁護士と結婚した親友マグダに服選びを手伝ってもらい、めかしこんでパーティー に出掛けようとする。しかし彼女はヘアメイクに失敗し、慌てて髪を整え、遅刻して会場へ向かった。
会場に入ったブリジットはマークを見つけて声を掛けるが、化粧に失敗していることを指摘される。慌ててトイレに駆け込んだブリジット は、化粧を直して会場に戻る。するとレベッカがマークに寄り添い、仲良く喋っていた。ブリジットはマークから、弁護士のホレイショや カミーラたちを紹介される。彼らが社会問題について真面目に話しているのに、ブリジットは軽いノリでバカにするような発言をして しまい、すっかり場の空気を悪くしてしまった。
テーブルに就く際、ブリジットはマークと離れた席になる。隣の男性の話し相手になるが、マークとレベッカが楽しそうに話している様子 が気になって仕方がない。クイズ大会が始まり、ブリジットは「クイズは得意よ」と自信満々に言う。しかし高い教養が必要な問題ばかり で全く分からず、退屈になってくる。最後のパートだけはブリジットも分かるような芸能関係の問題が続き、彼女は2問連続で正解した。 しかし自信満々だったラスト問題を間違え、レベッカが正解した。喜ぶマークたちを見て、ブリジットは暗い気分になった。
パーティーが終わった後、ブリジットは「私への気遣いが足りなかった」とマークに文句を言う。マークもパーティーでのブリジットの 態度を注意した。ブリジットは腹を立て、険悪な雰囲気のまま別れる。しかしブリジットが帰宅して部屋にいると、マークがやって来て 「大事なのは、僕は君を愛しているってことだ」と告げる。嬉しくて涙をこぼしたブリジットは、彼とベッドインした。
ブリジットはマークからスキーに誘われ、スイスの雪山へと出掛けた。彼女は「スキーはプロ級」とマークに言うが、本当は初心者だった 。マークがリフトを降りて滑り出した後、ブリジットは落下して転倒した。すると、目の前にはレベッカがいた。彼女は「ここをマークに 勧めたのは私なのよ。小さい頃から来ているの」と言う。ブリジットはマークに、「どうしてレベッカも?」と尋ねる。マークは「スキー に行くことを話したら、彼女も来たいと言ってね」と答えた。
ブリジットは「ちょっと休むわ。みんなで滑って来て」と言うが、マークがレベッカたちと滑りに行くと、「私を置いて行くなんて」と腹 を立てる。8週間も生理が無いことに気付いたブリジットは、薬局で検査薬を購入した。部屋で検査薬を持っているところへ、マークが 現れた。「もし妊娠していたら」とブリジットが言うと、マークは「もちろん嬉しいよ」と笑顔で言う。しかし子供の教育に関する意見の 違いから口喧嘩が始まり、またもや険悪な雰囲気になってしまった。
スキー旅行を終えた2人は、ブリジットの両親の元を訪れた。するとブリジットの母が、マークの両親も招いていた。結婚の日取りに ついて問われたマークが「まだ考えていません」と答えたので、ブリジットは悲しくなった。マークはブリジットを連れて帰宅し、トイレ へ行く。その間に、レベッカから留守電に「ブリジットと出掛けてるのね。両親との食事が上手く行ったことを祈ってるわ。戻ったら電話 して」というメッセージが入った。ブリジットはトイレから出て来たマークに、「レベッカとデキてるの?」と詰問する。マークが否定 してもブリジットは信じようとせず、彼を激しく非難して立ち去った。
それから5週間、ブリジットはマークからの連絡が無い日々を過ごした。ブリジットは母に呼び出され、会いに行く。すると母は、父と 2度目の結婚式を挙げることを嬉しそうに言い、ブリジットに付添人を頼んだ。ブリジットはリチャードから、ダニエルと一緒にタイへ グルメ番組の撮影に行く仕事を持ち掛けられた。最初は断ったブリジットだが、結局は引き受けた。ブリジットのタイ行きには、シャザも 同行した。行きの飛行機で、シャザはジェドという若い男と知り合った。
ブリジットはタイに到着し、番組を撮影する。シャザはジェドと親しくなっており、ブリジットも誘われて3人で昼食を取った。彼女は マジックマッシュルームを食べて、すっかり陽気になった。その夜、ブリジットはダニエルに言い寄られ、キスを交わす。ブリジットは ベッドに移動するが、下着姿になったところで急にナーバスになった。ダニエルとキスしていると、彼が予約していた娼婦が部屋にやって 来た。ダニエルは誤魔化そうとするが、前夜も別の女を呼んでいたことが判明した。ブリジットは呆れて部屋を去った。
帰国の日、ブリジットが荷物を詰めていると、シャザが「スーツケースが一杯だわ」と漏らした。そこでブリジットは、彼女がジェドから 土産としてプレゼントされた蛇の剥製の物入れを預かることにした。空港に赴いたブリジットは、荷物検査で引っ掛かってしまう。シャザ から預かった剥製の中に、麻薬が詰まっていたのだ。ブリジットは無実を訴えるが、連行されて留置場に入れられてしまう…。

監督はビーバン・キドロン、原作はヘレン・フィールディング、脚本はアンドリュー・デイヴィス&ヘレン・フィールディング& リチャード・カーティス&アダム・ブルックス、製作はティム・ビーヴァン&エリック・フェルナー&ジョナサン・カヴェンディッシュ、 製作総指揮はデブラ・ヘイワード&ライザ・チェイシン、撮影はエイドリアン・ビドル、編集はグレッグ・ヘイデン、美術はジェマ・ ジャクソン、衣装はジェイニー・ティーマイム、音楽はハリー・グレッグソン=ウィリアムズ、音楽監修はニック・エンジェル。
出演はレニー・ゼルウィガー、ヒュー・グラント、コリン・ファース、ジム・ブロードベント、ジェマ・ジョーンズ、ジャシンダ・ バレット、ジェームズ・キャリス、シャーリー・ヘンダーソン、サリー・フィリップス、ニール・ピアソン、ジェシカ・スティーヴンソン 、デヴィッド・ヴァーレイ、ジェレミー・パックスマン、ジェームズ・フォークナー、セリア・イムリー、ヴィー・ヴィモルマル、 キャサリン・ラッセル、アレックス・ジェニングス、ルーシー・ロビンソン、ポール・ニコルズ、イアン・マクニース、ドナルド・ ダグラス、シャーリー・ディクソン、ドミニク・マクヘイル、ジェイソン・ワトキンス他。


ヘレン・フィールディングのベストセラー小説を基にした2001年の映画『ブリジット・ジョーンズの日記』の続編。
原作にも続編があり、それを基にしている。
ブリジット役のレニー・ゼルウィガー、ダニエル役のヒュー・グラント、マーク役のコリン・ファース、父役のジム ・ブロードベント、母役のジェマ・ジョーンズ、トム役のジェームズ・キャリス、ジュード役のシャーリー・ヘンダーソン、シャザ役の サリー・フィリップス、リチャード役のニール・ピアソンは、前作からの続投。
他に、レベッカをジャシンダ・バレット、マグダをジェシカ・スティーヴンソンが演じている。

大ヒットした前作は、ブリジットが全く成長しないまま、見た目も性格も全く変わらないままで、仕事も恋愛も成功するという、「いつか 白馬の王子様が迎えに来てくれる」という幻想を抱いている女性たちを幸せな気持ちにしてくれる映画だった。
その手の女性ではない私からすると、何の共感も誘わないようなヒロインの物語だった。
それでもレニー・ゼルウィガーという女優のおかげで、ヒロインに不快感は抱かず、キュートな魅力を感じることは出来た。

しかし今回のブリジット・ジョーンズは、レニー・ゼルウィガーという女優の力をもってしても、まるで魅力の無いキャラになっている。
っていうか、そもそもレニー・ゼルウィガーが太り過ぎ。
それは製作サイドの要求に応じての増量なんだろうけど、「ちょいポチャ」のレベルを完全に超越している。
そりゃあ、イケてない女子がモテるという設定になっているのは分かるけどさ、幾ら何でもイケてない度数が高すぎるでしょ。
もはや自堕落にブクブクと太った、ただのオバサンじゃねえか。

ブリジットは目を覚まして服を着る時にシーツで体を隠し、マークに「醜い格好を見られたくなかったの」と言う。 太っていてドレスを着るのに苦労することを、気にしている様子を見せる。
しかし、だからと言ってダイエットしようという意欲は全く無い。
本人が「太っていても平気」とノホホンとしているならいいけど、体型を気にする素振りが何度かあるので、「だったら絞れよ」と 言いたくなる。

ブリジットが体を絞ったり頑張ったりした結果として、恋人に「君はそのままで充分さ」と言ってもらえるという展開なら、こっちも共感 しやすいよ。
でもブリジットってダイエットに限らず、マークの愛を手に入れるために、何も努力しちゃいないのよ。
綺麗なドレスを着るとか、髪の毛を整えるとか、そういうのは努力の範疇に入らないぞ。
「そのままの君がいい」と言ってくれる王子様の到来を夢見ている女性からすれば、それを楽しめるのかもしれないが、ブリジットの 「自分は何も努力せずに幸せを手に入れようとする」という身勝手ぶりは、ますますエスカレートしている。
きれそうになるのは、こっちだよ。

もう体型に関しては、それをマークが気に入っているんだから、とやかく言わないでおこう。
世の中には様々な嗜好の人がいるんだし、マークはデブ専なのかもしれないし。
しかしブリジットの問題は、外見よりも中身にある。
彼女はパーティーの後でマークに文句を言うが、マークに恥ずかしい思いをさせるような行動を取ったのはブリジットだ。
ブリジットが余計なことをせず、静かにしていたのなら、まだ同情できたかもしれないが、あれだけKYな振る舞いをされちゃうと、 「お前はマークに文句を言える立場じゃないだろう」と。

そもそも弁護士協会のパーティーということは最初から分かっているわけで、どんなパーティーなのかをマグダから事前に聞いておくこと も出来ただろうに。
そういう準備もせずに赴いて、テメエで張り切って恥をかいて、それで嫌な気分になったから文句を言うって、完全に お門違いだ。
テメエが自己嫌悪で落ち込むというのなら分かるけどさ。
そんでマークの方からブリジットの所へ来てくれて関係は修復されるんだから、ホントに徹底して女性にとって都合のいい内容になって いるのね。

ブリジットは何も努力せず、マークのために何かしてあげようともせず、そのくせ、「貴方は私のことだけを見て、他の女とは一切仲良く しないで。もっと私に愛情を注いで」と要求する。
ふざけんなって話だよ。
そんな風に思ったとしても、嫉妬心を抱いたとしても、そこまでなら、まだ「まあ分からんではない」と共感できたかもしれない。
でも、マークを一方的に非難するのはダメでしょ。

そんでブリジットは自分からマークに謝ろうともせずにタイへ行き、サイテーだと嫌っていたはずのダニエルに口説かれてその気になる。
その尻軽っぷりも、全く共感を誘わないぞ。
マークはブリジットに一途なのに、ずっと優しくしてもらっていたテメエがフラフラしてどうすんだよ。
ブリジットにとってマークは、今後死ぬまで絶対に会えないぐらいの素晴らしい相手だぞ。
自分からマークに許してもらうために動くべきだろうに、簡単に他の男になびいてどうすんのかと。

大体さ、タイへ行ってしまうと、マークが登場しなくなるでしょうに。
ブリジットもマークのことなんて完全に忘れて浮かれちゃうし。
この2人の関係を描くべき続編なのに、マークのいない場所で長く尺を取る構成って、どういう計算なのか。
ブリジットが仕事で海外へ行くにしても、そこに何かの用事でマークも来ていて鉢合わせするような展開にすべきでしょ。旅先であろうと 、外国であろうと、マークも積極的に関わらせないとダメよ。
かなり時間が経過してからマークが来るけど、そういうことじゃないでしょ。

『ブロークダウン・パレス』のパロディーをやるのもいいけど、それよりも大切にすべきことがあるんじゃないのかと。
何より重視すべきは、ブリジットとマークの恋愛劇じゃないのか。
ブリジットをタイ旅行へ行かせて留置場の様子を描くよりも、もっとレベッカを活用しつつ、ブリジットとマークの関係を描こうよ。
ぶっちゃけ、レベッカって、メインのカップルの関係をギクシャクさせる役割にしては、その存在価値が薄いんだよな。
もう少し機能させてあげられたんじゃないか、そして機能させるべきなんじゃないかと。

そもそもブリジットがマークとレベッカの関係を疑う(それどころか、ほぼ確信に近い感情を持っている)という展開自体、無理がある。
2人の関係を疑うには、ネタが弱すぎるでしょ。
留守電のメッセージも、ごく普通の内容であって、レベッカがマークを愛していることを匂わせるような内容じゃないし。
あと、「実はレベッカがブリジットに惹かれていた」という種明かしには呆れてしまった。
ブリジットは前作と同様に何も成長しておらず、身勝手さは増しているのに、さらにモテモテになっちゃってんのね。

(観賞日:2012年5月16日)


第27回スティンカーズ最悪映画賞

ノミネート:【最悪の脚本】部門
ノミネート:【最も痛々しくて笑えないコメディー】部門
ノミネート:【最悪の続編】部門

 

*ポンコツ映画愛護協会