『ブライダル・ウォーズ』:2009、アメリカ

全ては20年前の8月、ニューヨークのプラザ・ホテルから始まったニュージャージーに住む幼馴染のリヴとエマは、それぞれの母親に連れられてホテルへ来ていた。その日、ホテルでは一組のカップルの結婚式が行われた。それを見た2人の少女は、いつか自分を支えてくれる男性と巡り合い、6月にプラザ・ホテルで素敵な結婚式を挙げたいと夢見るようになった。そして現在、成長した2人は相変わらず仲良しで、相変わらずプラザ・ホテルで6月に結婚式を挙げることを夢見ていた。
攻撃的な性格のリヴは弁護士になり、事務所のボスも一目置くほどの敏腕ぶりを発揮している。依頼主のシモンズが「原告を刺激すると和解に持ち込めない」と難色を示しても、彼女は「勝つことだけを考えて下さい。和解はしません」と自信満々に告げる。一方、リヴに比べて控え目なエマは、小学校の教師になっている。同僚のデブからは、様々な仕事を強引に押し付けられている。リヴはエマをアパートに招き入れ、服をプレゼントする。なかなか恋人のダニエルから求婚されないことに不満を抱いていたリヴは、ティファニーの箱が隠してあるのを発見した。
婚約指輪だと確信したリヴは、すぐに箱を開けようする。エマが「彼に驚く顔を見せてあげなきゃ」と制止すると、リヴは納得した。だが、「プロポーズされるまで誰にも言っちゃダメよ」とエマから釘を刺されたにも関わらず、馴染みのバーへ入った途端、友人のエイミーやマリッサたちの前で「婚約したわ」と叫んだ。祝福を受けていると兄のネイトが来たので、リヴは「結婚するの」と告げた。エマはリヴに、最高の介添人になることを約束した。
帰宅したエマは、恋人のフレッチャーからフォーチュン・クッキーを使って婚約指輪を贈られる。プロポーズされた彼女は、喜んでOKした。大喜びのエマはリヴに電話を掛け、そのことを報告した。エマは有名なウェディング・プランナーのマリオンに結婚式を担当してもらいたいと考え、すぐにアポを取った。まだダニエルから正式なプロポーズをしてもらっていないリヴは親友の婚約を素直に喜べず、焦っている様子を見せた。ダニエルの仕事場へ駆け込んだリヴは、「私と結婚してくれる?」と逆プロポーズする。するとダニエルはティファニーの箱から指輪を取り出し、改めて求婚した。
金曜日、リヴとエマはマリオンの邸宅を訪れた。プラザ・ホテルで6月に結婚式を挙げる希望を告げる。マリオンは「他のプランナーなら絶対に無理だけど、私なら可能よ」と自信たっぷりに告げた。スケジュール表を確認した彼女は、「まだ3組分の空きがあるわ。第一土曜に2つと、最期の土曜に1つ。6日と27日よ」と告げる。リヴは死んだ両親が結婚した6月6日、エマは27日に予約を入れて契約書にサインした。この時点で結婚式までの準備期間は、わずか3ヶ月半だった。
ヴェラ・ウォンのウェディングドレスが気に入ったエマだが、母のドレスを着て驚かせたいと思っていたので諦めた。リヴも気に入った様子だったので、エマは買うよう促した。エマが購入を決めた直後、2人の携帯にマリオンから連絡が入った。マリオンは2人を呼び出し、秘書の手違いで同じ日に予約を入れてしまったことを明かした。同じ日に式を挙げると、介添人を務めることが出来なくなる。そこでリヴは27日に予約を入れた女性を説得しようと考えるが、マリオンは「規定があるので身許は教えられない」と言う。
リヴとエマは解雇された秘書を脅し、そのステイシーという女性の身許を聞き出した。しかし予約日の交換を提案しても、ステイシーは応じなかった。買い物中のステイシーを付け回して脅しを掛けた2人は、店員に追い出された。「訴えましょう」とエマは持ち掛けるがリヴは「そんなことしても誰も解決してくれない」と告げる。リヴもエマも、「自分の結婚式には出て欲しい。どちらかが式場か日を変えるべき」という意見では一致していた。しかし2人とも自分が妥協することは全く考えず、「どちらかが変更するまで、具体的なプランは立てないようにしましょう」と決めた。
ネイトはリヴにダブル・ウェディングを提案し、ダニエルも賛成する。しかしリヴは、頑なに拒絶した。ネイトは自分の会計士をしているフレッチャーに、ダブル・ウェディングのプランを話した。しかし、そのことをフレッチャーから聞かされたエマは、「嫌よ。いつもリヴと一緒だから、結婚式ぐらいは自分が主役になりたい」と拒絶した。後日、一度は折れることも考えたエマだが、リヴが招待状選びに入っていることを知って腹を立て、やはり妥協しないことにした。
エマはリヴに対抗し、「6月6日に結婚します」というメールを親友たちに一斉送信した。リヴとエマは親友たちのいる前で、互いの悪口をぶつけ合った。2人はそれぞれに式の準備を進め、介添人を探し始める。しかし、なかなか見つからないので、仕方なくリヴは助手のケヴィン、エマはデブを介添人に決めた。エマはマリオンから、式に呼ぼうとしていたDJハンブルが別の花嫁に引き抜かれたことを聞かされ、リヴの仕業だと確信した。一方、リヴはマリオンからエマが「いかにも金を掛けているという派手なケーキは選ばなかった」と聞かされ、自分への当て付けだと感じる。
リヴはマリオンの目を盗んで、エマの資料を盗み見たダンスレッスンやビデオ準備の予定を知ったリヴは、強い対抗心を抱く。そんなリヴのオフィスには、糖分たっぷりの菓子が届けられた。ダニエルからだと思い込んだリヴは、喜んで菓子を食べる。だが、それはドレスが着られなくなるようにリヴを太らせようとするエマの策略だった。リヴはケヴィンから、エマのダンスをブチ壊す作戦を持ち掛けられた。ワルツを練習しようとするエマの元にはリッキーというダンス講師が来た。ノリノリでワルツとは全く異なるダンスを教え込むリッキーは、リヴが送り込んだ偽者だった。
リヴのオフィスには、故郷の新聞が送られてきた。婚約コーナーを見ると、美しく化粧したエマの写真とノーメイクで不細工な自分の写真が並べて掲載されていた。「汚い手には汚い手で対抗するわ」と怒りを燃やしたリヴは、エマは妊娠したから結婚するという噂を流した。太ってドレスが着られなくなったリヴが不機嫌になったので、ダニエルは慌てて「どうしたら機嫌を直してくれる?」と言う。「貴方のせいなのよ。甘い物ばかり送ってくれるのは嬉しいけど」という言葉に「何のこと?何も送ってないけど」とダニエルが首をかしげるので、ようやくリヴはエマの仕業だと悟った。
式の一週間前、リヴは「忘れ物をした」と嘘をついてヘアサロンへ行き、エマの日焼け用肌スプレーをハチミツ色からブラッド・オレンジに摩り替えた。するとエマは仕返しに、リヴのヘアカラーをブルーに摩り替えた。妊娠の噂が広まっていることを知ったエマは、リヴがストリップ・クラブで開いたバチェラー・パーティーに乗り込んだ。ステージに乱入したエマは、リヴに見せ付けるように得意のダンスを披露して勝ち誇った。
翌朝、すっかり寝過ごしてしまったリヴは、慌てて出勤する。髪が青いことをケヴィンに指摘され、彼女は「染め直すつもりだったのに、忘れてた」と狼狽した。スカーフを頭に巻いてシモンズとの会議に出席したリヴは、改訂版の準備書面を渡す。だが、それは2週間前の書面だった。それを指摘されたリヴは最新版を探そうとするが、スカーフが脱げてしまう。驚くシモンズに、リヴは取り乱した様子で「1週間後には結婚式なのに髪は青いし、介添人は部下だし、書類は間違えるし、しかも一番の親友に嫌われた」と喚く。髪が抜けて「ハゲになっちゃう」と泣き出すリヴを見て、ボスのコルソンは彼女をシモンズの代理人から外した…。

監督はゲイリー・ウィニック、原案はグレッグ・デポール、脚本はグレッグ・デポール&ケイシー・ウィルソン&ジューン・ダイアン・ラファエル、製作はジュリー・ヨーン&ケイト・ハドソン&アラン・リッチー、製作総指揮はアーノン・ミルチャン&ジェイ・コーエン&トニー・ルドウィグ&マット・ルーバー&ジョナサン・フィレイ、共同製作はデヴォン・ウィルソン、撮影はフレデリック・エルムズ、編集はスーザン・リッテンバーグ・ハグラー、美術はダン・リー、衣装はカレン・パッチ、音楽はエドワード・シェアマー、音楽監修はリンダ・コーエン。
出演はケイト・ハドソン、アン・ハサウェイ、キャンディス・バーゲン、クリステン・ジョンストン、ブライアン・グリーンバーグ、クリス・プラット、スティーヴ・ハウイー、ジョン・パンコウ、マイケル・アーデン、ジューン・ダイアン・ラファエル、ケイシー・ウィルソン、ローレン・ビットナー、ヘティエンヌ・パーク、ブルース・アルトマン、ヴィクター・スレザック、ケリー・コフィールド・パーク、ゾーイ・オグレディー、シャノン・ファーバー、チャールド・バーナード、エミリー・サラ・スティクマン、ロバート・B・キャプロン、カリー・マライア・タボー他。


『あの頃ペニー・レインと』のケイト・ハドソンと、『レイチェルの結婚』のアン・ハサウェイというオスカー候補の経験がある2人が共演した作品。
監督は『シャーロットのおくりもの』のゲイリー・ウィニック。
リヴをケイト・ハドソン、エマをアン・ハサウェイ、マリオンをキャンディス・バーゲン、デブをクリステン・ジョンストン、ネイトをブライアン・グリーンバーグ、フレッチャーをクリス・プラット、ダニエルをスティーヴ・ハウイーが演じている。

マリオンがナレーションによる進行を担当しているのだが、なぜ第三者のような口ぶりで彼女に喋らせたのか理解に苦しむ。
問題が起きた全ての原因は、マリオンのミスにあるのだ。
直接的には秘書のせいだけど、雇い主はマリオンだから監督責任はあるだろう。
それなのに、「私は全く関係ございません」ってな高みの立場から、冷静に「この時は2人とも、傷付け合うことなど想像もしていません。当然です。何しろ20年来の大親友ですから」とか「2人のはしゃぎっぷり。この後、どんな不幸が待ち受けているかも知らずに」などと喋るので、すんげえ不愉快な奴になっている。

しかしエリザベスは、カーラが知的障害者であることを誰よりも良く認識しているはず。そして、養護学校から戻って来たからって、その知的障害が無くなったわけではないことぐらいは分かっているはずだ。
それなのに、なぜ知的障害を無視し、まるで知的障害を持たない成人女性であるかのように、「上流階級の淑女」として育てようとするのか。
それが無理なことぐらい、分からないはずはないでしょ。
エリザベスを悪役的なポジションに置いて物語を進めたいってのは分からんでもないけど、そこは引っ掛かるなあ。

話の入り方からして、ちょっと違和感を抱いてしまう。
リヴはティファニーの箱を見ただけで「婚約指輪だ」と大騒ぎし、兄や親友たちに「婚約した」と先走って発表する。で、そこまで先走って彼女を浮かれさせるのなら、「実は婚約指輪じゃなかった」という筋書きになることを想像してしまう。
ところが、その後で死んだ両親のことを口にしたリヴが寂しそうな表情を見せると、「勝手な思い込みで浮かれまくっている、おバカな女」というだけではなくなる。
そうなると「浮かれポンチだった女が現実を知らされてショックを受ける」という、落差を付けた笑いに持って行くことが、果たして正しいのかという気持ちになってしまう。

エマが寂しそうなリヴを励まし、「そうやって、いつも強がってることはないのよ」と言うので、リヴが元気一杯&強気一辺倒なのは「本当に自信家なのではなく、本当の感情を押し殺して強がっている」という設定が見えてくる。
そうなると、ますます「婚約指輪だと思い込んで周囲に吹聴する」というところが「おバカさんの先走った行動」という笑える要素ではなくなってくる。
で、その箱には実際に婚約指輪が入っており、リヴはダニエルから求婚されるのだが、それなら「婚約指輪かどうか分からない」というトコロで引っ張っている意味が全く無い。
っていうか邪魔だ。リヴもエマも、婚約までの手順はサクサクと進めてしまった方がテンポがいい。

この映画が本格的に動き出すのは、「予約のミスが発覚し、どちらも妥協しない」という状態に入ってからだ。
しかし、まずミスが発覚するのが映画開始から約25分後。
しかも、そこから直ちにブライダル・ウォーズが開始されるわけではない。ステイシーの説得交渉に失敗し、どちらも折れないことが確定して、そこから女同士の醜い争いが開始される。それが映画開始から約30分後。
もう映画の3分の1が経過しているわけで、それは少々ペースが遅くないかと。

そりゃあ、バトルが予約のミスが発覚するまでに「リヴもエマも幸せ一杯」という様子をアピールして、「夢が叶わなくなった」というトコロへの落差を付けておく必要はあるだろう。
だけど、そこの落差を告げるには、そんなに多くの時間は必要としない。
「プロポーズされました。プラザ・ホテルで結婚式を挙げる予約を入れました」ということさえ描写すれば、それで事足りる。どうせ恋人の存在感はペラッペラなのだし(それはそれで問題なんだけど、ひとまず置いておくとして)、もう少しバトル開始のタイミングを早めることは出来たと思う。
ただし、実は「リヴとエマが互いに譲らず、バトルが開始される」という展開に突入する前の段階で、違和感を抱いてしまう。
そもそも2人が別の日に予約を入れた時点で少々の違和感があったのだが、「ミスで2人を同じ日の予約にしてしまった」と言われてショックを受け、絶対にステイシーの予約を変更させようと躍起になるところで、さらに違和感が強くなった。あれだけ「幼馴染で大親友」というアピールがあったのに、なぜ「一緒に式を挙げましょう」という考えに至らないのか、そこが解せないのだ。

そこは一応、女のプライドとか、女の意地とか、そういうことで納得させようとしている雰囲気があるのだが、いや納得できんわ。
女性の場合、「表面的には友達付き合いをしているけど、実際は相手よりも上の立場でありたいと考えていたり、幸せを妬む気持ちがあったり、時には知らない素振りで陥れたりする」ということもあるだろうし、それは理解できる(男性にも同じようなケースはあるだろうけど特に女性の方が多い印象がある)。
だけどリヴとエマに関しては、「本当の親友」という関係性のはずで。
だから、そこで急に「本当の親友ではなかったことが露呈する」みたいな展開になることに対して、違和感を禁じ得ないのだ。

「子供の頃からの夢なので、どうしても譲れないということで意地の張り合いをする」ってのは理解できるのよ。ただ、その夢は「6月にプラザ・ホテルで結婚式を挙げる」というものであって、それはダブル・ウェディングでも叶えられるのだ。
だから、それを拒否するのは、どうにも理解に苦しむ。
前述したように、「表面だけの友達付き合い」ということならともかく、そうじゃないのでね。
しかも、最終的に「やっぱり親友同士」ということで着地するわけで、それなら底意地が悪くて醜い争いに突入するのはマズいでしょ。そんなことで醜い争いになっちゃうような奴らは、ホントの親友じゃねえよ。

リヴとエマは互いに譲らず、2人ともプラザ・ホテルで結婚式を開くことを決める。
で、その段階で、ある意味では戦いが終わっちゃうはずなんだよね。
と言うのも、その日に2つの予約は入っているわけで、「同じ日にプラザ・ホテルでリヴとエマが結婚式を挙げる」ということは可能なのだ。不可能になるのは、互いの介添人を務めることだけだ。
だから、そこから「互いに相手の邪魔をする」という展開になっているのは、分かるっちゃあ分かるけど、ちと苦しいモノを感じる。

どうせなら「その日にプラザ・ホテルで結婚式を挙げられるカップルは1組だけ」という形にした方が、バトルとしては分かりやすかったかもしれない。
もちろん、その場合は「2人とも会場の準備を進める」というのが無理になる。そこをクリアするのが難しいってこともあって、「2つの空きがある」という形にしたのかもしれないけど、「介添人を務められない」という以外に問題が無ければ、そこまで張り合う必要は無いんじゃないかと思ってしまうのだ。
「一向に介添人が見つからない」ってのは相当に無理があって、あれだけ大勢の友人たちがいるんだから、仮に表面的な付き合いであったとしても1人ぐらいはOKしてくれるはずだ。
「結局、リヴにはエマ、エマにはリヴしかいないのだ」という結論に持って行きたいことは分かるし、だからこそ「介添人には不適合な人しか見つからなかった」という展開にしているんだけど、そこは無理がありすぎるわ。

リヴとエマは互いに相手を邪魔しようと様々な策略を仕掛けるのだが、エマの「菓子やバターを送り続けて太らせよう」という作戦は無理がありすぎる。
最初の菓子をリヴがダニエルからの贈り物だと思い込むのは分かるとして、普通は「菓子をありがとう」とダニエルに言うはずだし、そこで彼が送っていないことはバレるだろ。
その策略がなかなか露見しないってことは、どんだけリヴはダニエルと喋っていないのかってことになるぞ。

残り30分ぐらいになってリヴは「一番の親友に嫌われた」と吐露し、ダニエルの前では泣きながら「エマが正しい。いつも完璧でいようとするのは疲れる。両親が死んでから、そうやって頑張って来た。みんなより一歩先を行けば、もう不幸なことは起きないと思ったの」と弱音を吐く。無理しなくていいよ」と言われ、笑顔になる。
一方、エマはフレッチャーから「最近の君はピリビリしてばかりだ。昔の君に戻ってくれ」と批判されて反省する。
その辺りは、急に話を収束させに行っていると感じる。

もちろん、最後までリヴとエマが喧嘩したままだと物語は終わらないし、「2人が仲直りしました」というハッピーエンドへ向かうことは最初から分かり切っている。そこの予定調和は一向に構わない。っていうか、むしろそこは予定調和じゃなきゃ困る。
だけど、そこへの運び方が上手くない。そこまでは全く心の揺らぎや罪悪感を見せていなかったのに、リヴが急に「一番の親友に嫌われた」と言い出すのは、そう思うようになった引き金がサッパリ分からない。
一方のエマに関しても、「フレッチャーが批判すると直ちに反省するってことは、それまでフレッチャーは全く批判していなかったのか」ってのが引っ掛かる。
っていうか、リヴとエマが自分の行動を反省したり、罪悪感を抱いたりするのは、やはり「相手の様子を見て」というのが引き金になっている方がいいと思うんだよなあ。
つまり、エマが本気で悲しんでいるのを目撃したリヴが反省するとか、リヴが泣いているのを見たエマが罪悪感を覚えるとかさ。そこで急に互いのパートナーに「リヴを励ます」「エマを反省させる」という重要な役回りを用意しているけど、今さら頑張っても、そこまでの存在感の薄さは取り戻せないよ。

フレッチャーから「10年前の君に戻ってくれ」と非難された後、エマは街でネイトと出会い、タキシード選びに付き合う。
このシーン、明らかにネイトがエマへの恋愛感情を抱いている素振りを示すんだけど、もうエマとフレッチャーの結婚式は迫っているし、そこの恋愛関係を今さら描こうとしても遅すぎるし、どういう狙いなのかと思っていたら、結婚式の当日になってエマがフレッチャーに「貴方は10年前に出会った子に恋してるのね。彼女はもういない。ずっと喧嘩したくない。私たちは違い過ぎる」と別れを宣告する。
いやいや、それは唐突すぎて受け入れ難いわ。
そりゃあエマとフレッチャーとの言い争いはあったけど、結婚式当日までは別れの予感なんて無かったぞ。

っていうか、そもそも物語の作りとして、そこに来てヒロインが男と別れるって有り得んわ。それによってエマがリヴの介添人を務めることになるんだけど、「これで全て丸く収まりました」なんて到底思えないぞ。
その後のエピローグでエマがネイトと結婚したことに触れているけど、モヤモヤしたモノが残る。
なんでフレッチャーを好感の持てる奴にして、素直にダブル・ウェディングで決着させないのか理解に苦しむわ。フレッチャーって、そんなに悪い奴でもないし。
そもそも、いいとか悪いとか、それがあまり伝わらない程度の薄っぺらさだしね。

(観賞日:2014年11月3日)


第30回ゴールデン・ラズベリー賞(2009年)

ノミネート:最低助演女優賞[キャンディス・バーゲン]

 

*ポンコツ映画愛護協会