『ビバリーヒルズ・コップ2』:1987、アメリカ

カリファルニア州ビバリーヒルズで、宝石店強盗が発生した。強盗グループは現場にアルファベットのAが書かれた封筒と暗号文を残していた。ビバリーヒルズ警察のボゴミル警部は、部下のローズウッドとタガートと共に、捜査に当たろうとする。
新署長のラッツは、ボゴミル達の存在を疎ましく思っていた。彼はボゴミルに停職処分を言い渡し、ローズウッドとタガートを交通課に異動させた。その直後、ボゴミルはBのアルファベット付き封筒を持った強盗グループに襲撃され、病院に運び込まれた。
かつてボゴミル達と共に事件の捜査に当たったデトロイト警察のアクセル・フォーリー刑事は、狙撃事件を知ってビバリーヒルズに駆け付けた。アクセルは担当を外されたローズウッドとタガートに協力を求め、アルファベット強盗事件の捜査を開始した。
事件の黒幕は、石油会社や射撃クラブなどを所有する大物実業家のマックスウェル・デントだった。デントは手下のカーラやケインに連邦準備銀行を襲撃させるが、封筒のアルファベットがターゲットの頭文字だと気付いたアクセル達に阻止される。
デントは保険金目当てで自分の所有する競馬場を襲撃させ、カーラにケインを射殺させた。ラッツ署長は、事件はケインの死によって解決したと発表する。だが、アクセル達はデントが武器の密売に手を染めていることを知り、彼の牧草地に乗り込んだ…。

監督はトニー・スコット、キャラクター創作はダニーロ・バック&ダニエル・ペトリJr.、原案はエディー・マーフィー&ロバート・D・ワックス、脚本はラリー・ファーガソン&ウォーレン・スカーレン、製作はドン・シンプソン&ジェリー・ブラッカイマー、製作総指揮はロバート・D・ワックス&リチャード・ティエンケン、撮影はジェフリー・L・キンボール、編集はビリー・ウェバー&クリス・レベンゾン&マイケル・トロニック、美術はケン・デイヴィス、音楽はハロルド・フォルターメイヤー。
主演はエディー・マーフィー、共演はジャッジ・ラインホールド、ユルゲン・プロホノフ、ロニー・コックス、ジョン・アシュトン、ブリジット・ニールセン、アレン・ガーフィールド、ディーン・ストックウェル、ポール・ライザー、ギル・ヒル、ギルバート・ゴットフリード、ポール・ギルフォイル、ロバート・リッジリー、ブライアン・オコナー、アリス・アデア、ユージーン・バトラー他。


大ヒットした『ビバリーヒルズ・コップ』の続編。
アクセル役のエディー・マーフィー、ローズウッド役のジャッジ・ラインホールド、ボゴミル役のロニー・コックス、タガート役のジョン・アシュトンといった面々が、前作から引き続いて出演している。
他にデントをユルゲン・プロホノフ、カーラをブリジット・ニールセン、ラッツをアレン・ガーフィールド、ケインをディーン・ストックウェルが演じている。また、プレイボーイ誌のパーティーのシーンでは、ボーイ役でクリス・ロックが映画デヴューしており、またプレイボーイ誌の創刊者ヒュー・ヘフナーが本人役で出演している。

監督がマーティン・ブレストからトニー・スコットにバトンタッチしたことで、アクションの派手さと多さがアップしている。やはり監督がトニー・スコットということで、他のシーンよりもアクションシーンの演出に力が入っているように思える。
ノリのいい音楽を流して場面繋ぎをするという演出が前作から踏襲されているが、マーティン・ブレストのスタイルをトニー・スコットが引き継いだわけではない。
それは、ドン・シンプソン&ジェリー・ブラッカイマーの製作映画に良く見られる手法だ。

前作からすると、アクセルとローズウッドとタガートの、トリオとしてのコンビネーションが強くなっている。特にローズウッドのキャラクターが随分と前に押し出されるようになった。彼の天然なマヌケっぷりは、攻撃的なアクセルの笑いと違い、脱力系という感じか。
今回はエディ・マーフィーが原案を担当しており、彼のプロダクションが製作協力としてクレジットされている。前作に比べると、エディのための映画という意識はかなり強くなっていると考えていいだろう。
先に話があって後からエディー・マーフィーがキャスティングされた前作と違って、今回は「まずエディありき」の映画ということだ。

アクセルが口八丁のイカサマトークを繰り広げるシーンが、前作よりかなり増えている。
だが、それほどギャグが上手く響かないように感じられるのは、まず、どこにどういう順番で、どういうタイミングでギャグシーンをハメ込むかというコトに問題があるような気がする。
あと、トニー・スコット監督がギャグシーンに大して興味が無かったのかも。
それと、全体を見渡した時に、アクセルがイカサマトークをするシーンが、無闇にふざけすぎていると感じられなくもない。また、スピーディーな展開の中に笑いを織り込むというよりも、笑いを取るために話をモタつかせるようなトコロもある。

ハードなアクションとしての体裁も残しつつコメディー色を強めているが、バランスはやや悪くなっているかも。
全体がコメディーというわけではなく、基本的に笑いはメインのトリオが担当するのだが(税理士シドニーやデトロイト市警のジェフリーといったコメディキャラもいるが)、その部分とベースの部分の噛み合わせが悪くなっている気がする。

 

*ポンコツ映画愛護協会