『ビーストリー』:2011、アメリカ

ニュースキャスターのロブ・キングストンを父に持つ高校生のカイルは、傲慢で自信家の男だった。しかし美青年のカイルは、通っているはバックストン高校で絶大な人気を誇っていた。環境委員に立候補した彼は「不細工は美形には勝てない」とスピーチするが、それでも集まった生徒たちは拍手を送る。「立候補したのは内申書のためだ。僕は美形だし、父親は有名なニュースキャスターで、金持ちだ。それだけで僕は当選するに決まってる」とカイルが話すと、生徒たちはさらに大きな拍手を送った。
魔女のような恰好をした女子生徒のケンドラが会場から立ち去るのを見たカイルは、不快感を抱いた。ケンドラはカイルのポスターに「欠陥男には投票するな」と落書きし、微笑を浮かべて彼に嫌味を言って立ち去った。カイルは軽く受け流した後、会計委員に立候補しているリンディー・テイラーに声を掛けた。ケンドラと親しいと勘違いされたリンディーは誤解を解き、カイルに初対面の挨拶をした。
帰宅したカイルはロブに選挙のことを話すが、軽く聞き流された。外見を重視するカイルの考え方は、ロブの影響を受けていた。仕事に忙しくて親子の会話がほとんど無いことに、カイルは寂しさを感じていた。彼はメイドのゾラに苛立ちをぶつけた。環境委員に当選したカイルは、ケンドラをクラブのパーティーに誘った。ケンドラは含んだ笑みを浮かべ、「挽回のチャンスをあげる」と承諾した。
カイルはクラブで働いているリンディーを見つけ、声を掛けた。「私、外見より中身派なの」と言うリンディーは、カイルが「俺はもう手遅れだ」と口にすると「まだ希望はある」と微笑した。リンディーは「一緒に新聞用の写真を撮ろう」と誘い、カイルは彼女の胸元に白いバラを挿した。カイルはリンディーの隣に立ち、そっと腰に手を回した。写真部員がカメラのフラッシュを焚き、ハッとしたカイルは手を遠ざけた。
カイルはクラブに現れたケンドラを馬鹿にして、恥をかかせようとする。するとケンドラは「せっかく挽回のチャンスをあげたのに。己の欠陥を受け入れなさい」と告げ、カイルを凝視した。怖くなったカイルは、その場から離れた。恋人のスローンと踊っている最中、彼は気分が悪くなった。カイルがバルコニーに出ると、ケンドラが現れた。彼女に触れられたカイルは、スキンヘッドで全身がタトゥーだらけの姿に変貌した。彼女は「1年以内に“愛してくれる”という言葉で呪いを解けなかったら、永遠にその姿のまま」と述べた。
帰宅したカイルは、その変貌した姿をロブに見せた。驚愕したロブは医者のデイヴィスを呼び寄せ、診察してもらう。デイヴィスはロブに、カイルの心身には異常が無いが、皮膚は手の施しようが無い状態だと告げた。ロブは別邸を用意し、そこで暮らすようカイルに促した。ロブは「ここなら安全だし、人に見られることも無い」とカイルに告げた。ロブは自分も一緒に暮らすと言うが、前のアパートは「帰りが遅い時に使うこともあるから」と理由を付けて契約を続行した。ロブはゾラにカイルの世話を任せ、仕事に出掛けた。
カイルは学校へ行かなくなり、友人のトレイたちとも連絡を取らなかった。ロブは何かと理由を付けて、別邸には全く立ち寄らなかった。彼はウィルという盲目の家庭教師を雇い、住み込みで働かせる。ハロウィンの夜、カイルはパーティーが開かれているクラブへ出掛け、ケンドラを見つける。「不細工な奴の気持ちなら良く分かった。何とかしてくれ」とカイルが頼むと、ケンドラは「分かってないわ。自分を導いてくれる人を見つけなさい」と告げた。
クラブを出て行こうとしたカイルは、スローンとトレイがキスしている様子を目撃した。スローンは「カイルがいなくなって、スッキリしている部分もある。彼と一緒にいると、意地悪にならなきゃいけないと思ってたいし」と言い、トレイも同意した。リンディーは相手がカイルとは気付かず、彼に話し掛けた。「あの子、彼氏は?」とスローンのことを尋ねるカイルに、リンディーは「いるの。純愛はどこへ行っちゃったのかしら」と述べた。そして「あの2人が話していた男の子、率直に考えを言えて凄いと思う。それに生き生きとしてた」と話し、その場を去った。

後日、カイルはフードで顔を隠して外出し、リンディーの家を訪れて彼女の姿を密かに眺めた。翌朝、ネクタイを選んでいたウィルはカイルに気付き、「問題は他人にどう見られるかじゃなく、自分が自分をどう見るかだ」と告げた。その夜もカイルは外出し、リンディーを尾行して行動を観察した。次の夜もリンディーを尾行したカイルは、彼女がドラッグ中毒の父親を捜しに行くのを目撃した。彼女の父親は売人のヴィクターと兄から、金を返すよう迫られていた。
カイルはヴィクターがリンディーの父親に拳銃を向けているのを目撃し、フェンスをよじ登った。カイルは背後からヴィクターを襲って拳銃を叩き落とすが、リンディーは階段から突き落とされて意識を失った。カイルがリンディーを彼女のアパートまで運んだ直後、銃声が聞こえて来た。カイルが慌てて戻ると、リンディーの父親がヴィクターの兄を射殺していた。ヴィクターは「敵は討つ。お前の娘は必ず殺すからな」と憎しみに満ちた言葉を吐き、その場から逃走した。
カイルは「何が望みだ」と敵意を示すリンディーの父親に向かい、「あの子を守りたい。自分と一緒にいた方が安全だ」と告げる。彼は死体の写真を撮影し、「ダメだと言うなら、それを警察に渡す」と脅して承諾させた。カイルはハンターという別名を使い、リンディーを別邸で引き取ることにした。父親に連れて来られたリンディーは、露骨に不機嫌な態度を取った。リンディーは姿を隠して様子を見ていたカイルに向けて、「近付いたらスタンガンをお見舞いしてやるから」と言い放った。
カイルは覆面を被ってリンディーの部屋に食事を運び、「ちゃんと話したいんだ」と訴える。しかしリンディーは部屋から出て来ようともしなかった。カイルは部屋の前にブランド品のプレゼントを置いてみるが、リンディーは受け取らなかった。ゾラはカイルに「彼女はそんな物を喜ばない。どういう女の子なのか考えてみて」とアドバイスした。カイルがグミを用意して部屋に持って行こうとすると、リンディーが父親と電話で話している声が聞こえて来た。こっそり様子を覗くと、リンディーは念願だったマチュピチュ旅行への参加が不可能になったことへの不満をぶちまけていた。
リンディーは覆面姿のカイルが見ているのに気付き、電話を切った。カイルはリンディーに、「君のお父さんは、君が心配なんだ。君を愛してるから。何度も俺にそう言ってた」と告げた。リンディーにグミを受け取ってもらい、カイルはゾラに喜びを伝えた。リンディーが薔薇を好きだと知り、カイルは屋上に温室を作ることにした。リンディーはカイルに心を開き、笑顔で話し掛けるようになった。カイルが自分の姿を見せて「気味が悪いだろ」と言うと、彼女は「全然平気よ」と告げた。
リンディーはカイルに誘われ、ウィルの授業に参加することになった。カイルはリンディーに気に入ってもらうため、ウィルとゾラに助言を求めた。カイルはリンディーを完成した温室に案内し、用意した詩を互いに暗唱する。ウィルとゾラは気を利かせて温室から出て行った。春が近づいて来たため、カイルはケンドラの元へ行って「もう少し時間をくれ」と頼む。しかしケンドラは「無理よ。魔法を掛け直すことは出来ない」と冷たく告げた。
「貴方はまだ自分のことしか見えてない」と言う彼女に、カイルは「違う。リンディーのことも考えてる。ゾラの家族や、ウィルの目のことだって」と反論する。「変わったわけね」と確認するケンドラに、カイルは「じゃあ俺のことはいいから、ウィルの目を治して、ゾラが家族と会えるようにしてやってくれ」と頼んだ。ケンドラは「いいわよ。でも貴方が呪いを解くことが出来ればね」と告げ、その場を去った。別邸に戻ったカイルは、リンディーが以前の自分に好意を寄せていたことを知った…。

監督はダニエル・バーンズ、原作はアレックス・フリン、脚本はダニエル・バーンズ、製作はスーザン・カートソニス、製作総指揮はマイケル・フリン&ロズ・ワイズバーグ、撮影はマンディー・ウォーカー、編集はトーマス・J・ノードバーグ、美術はラスティー・スミス、衣装はスティラット・ラーラーブ、特殊メイクアップ効果はトニー・ガードナー、音楽はマーセロ・ザーヴォス、音楽監修はリンダ・コーエン。
出演はヴァネッサ・ハジェンズ、アレックス・ペティファー、メアリー=ケイト・オルセン、ニール・パトリック・ハリス、ピーター・クラウス、リサゲイ・ハミルトン、ダコタ・ジョンソン、エリック・ヌードセン、ロック・ラフォーチュン、ジオ・ペレス、デヴィッド・フランシス、カール・グラボシャス、ミゲル・メンドーサ、ジュリー・ドレツィン、ジャスティン・ブラッドリー、ジョナサン・ダブスキー、リアノン・モーラー=トロッター、スティーヴ・ゴディン他。


アレックス・フリンによる同名のヤングアダルト小説を基にした作品。
監督&脚本は『フィービー・イン・ワンダーランド』のダニエル・バーンズ。
リンディーをヴァネッサ・ハジェンズ、カイルをアレックス・ペティファー、ケンドラをメアリー=ケイト・オルセン、ウィルをニール・パトリック・ハリス、ロブをピーター・クラウス、ゾラをリサゲイ・ハミルトン、スローンをダコタ・ジョンソン、トレイをエリック・ヌードセンが演じている。

まず疑問なのは、「なぜカイルが学校であれほどの人気を誇っているのか」ということだ。
カイルが傲慢で横柄な性格を隠して、学校では紳士的で優しい男として振る舞っているのであれば、それは理解できる。しかし、彼の言動は、明らかに多くの人間を敵に回すような内容である。
「正直者だから人気がある」と納得することは難しい。
「カイルが有名なニュースキャスターの息子だから、ホントは不愉快だと思っている周りの連中も愛想良くしている」ということなのかとも思ったが、心底から応援しているようにしか見えない。
実際、カイルが呪いを掛けられた後、「実はそうだった」と明かして周囲の人間が離れて行くような展開があるわけでもない。

TVドラマ『ハイスクール・ミュージカル』で人気者になったヴァネッサ・ハジェンズと、ファッションモデル&俳優として活躍しているアレックス・ペティファーを組ませて、若い女子たちを引き込もうという狙いがハッキリと分かる映画である。
物語のモチーフになっているのは『美女と野獣』なのだが、ティーンズ女子たちが主なターゲットだからなのか、カイルはちっとも醜くならない。
そこは、本作品の最も大きなポイントであり、そして大きな欠点でもある。
カイルは「呪いによって醜い容貌に変えられた」という設定のはずだ。
しかし実際に映画を見る限り、そうは感じなかったので、上述した粗筋でも、そのようには書かなかった。

マイク・タイソンがマオリ族の刺青を顔に入れているけど、あれって別に「醜い」とは感じないでしょ。
呪いに掛けられたカイルの容貌は、ああいう感じなのよ。模様は入っているけど、目や鼻、唇や耳、輪郭の形や位置は何も変わっていない。
だから「怖い」とは感じても、「醜い」とは感じない。呪いを掛けられた後も、相変わらずカイルは美形なのだ。「美形だけど、ちょっと怖くて近寄りにくい容姿」になっただけだ。
「醜い容姿の相手に恋をする」ってのと「強面の相手に恋をする」ってのは、まるで別物だからね。
分かりやすく言えば、「ブサイクに恋をする」と「不良に恋をする」の違いみたいなモンだ。
実際、ハロウィン・パーティーの会場で彼を見掛けた女子は、笑顔で「ステキ」と言っているぐらいだし。

カイルに呪いを掛ける人物を同級生の女子にしているのも失敗で、それだと「カイルとケンドラが恋に落ちる」という展開の方がいいんじゃないかとさえ思ってしまう。
演じているのはティーンズ女子に人気の高いメアリー=ケイト・オルセンなんだし。
そこは学校の用務員とか、まあ職業は何でもいいけど、大人のキャラクターにしておいた方がいい。
そうすりゃ絶対に「カイルと恋愛関係に」という想像力を膨らませることは無いから。

っていうか、そのケンドラがカイルに呪いを掛ける理由も、すげえ些細なことにしか思えないんだよなあ。
パーティーで「本気で招待したと思ったの?」とバカにされて、それで一生戻らないかもしれない呪いを掛けるってのは、仕返しとしては、やり過ぎじゃないかと思うぞ。
そもそも、最初に仕掛けたのって、カイルのポスターに落書きをしたり大勢の前で中傷したりしたケンドラなんだよね。カイルは「ブスは美形に勝てない」というスピーチはしたけど、ケンドラを扱き下ろしたわけではないのだ。
ケンドラの側に問題があるような形にしてあるのは、「カイルを悪者にせず、ティーンズ女子の共感を誘うため」ということなのか。

カイルは冒頭のスピーチやケンドラとの会話によって、高飛車で思い上がった男という印象をアピールする。
だが、その後すぐに、ロブと話すシーンを用意し、「父親に愛されなくて寂しさを感じている」という部分を見せる。
さらにクラブでリンディーと話したり一緒に写真を撮影したりするシーンでは、「見た目重視の生き方が良いことだとは思っていない。
出来ることなら生き方を変えたいと思っている」ということを匂わせる。
まだ呪われる前の段階で、同情の余地がある男だということを見せてしまうのだ。

それは物語の進め方としてはマイナスだが、「ティーンズ女子にカイルを好きになってもらう」という目的だけを考えればプラスだ。
「ああーん、寂しくて孤独なカイルが呪われて醜くなるなんて、可哀想だわ」と同情を寄せてもらうためには、必要な作業だ。
その辺りからも、この作品が映画としての面白さや質の高さよりも、「いかにしてティーンズ女子のハートをキャッチするか」を優先して作られているかってのが透けて見える。
それが上手く行っているかどうかは別として。

カイルは呪いを掛けられて別邸に閉じ篭もるようになり、すっかり「哀れで同情すべき若者」になる。
容姿が変貌すると同時に、そういう意味でも変貌するわけだ。
ただし、彼は今までの友人や知人と会うことが無いので、「変貌したことによって、周囲からどう見られるか」ということを感じる機会が無い。
ロブから無神経なことを言われるシーンはあるが、ロブとの関係で描かれるのは「父が家庭を顧みない」というものであり、それは呪いが掛けられる前から存在していた問題だ。

カイルが外の世界との接触を断ってしまうので、例えば「恋人がカイルを気味悪がって離れて行く」とか、「仲間だと思っていた連中が攻撃的な態度を示すようになる」とか、そういった「周囲の変化」が描かれない。
そうなると、それによって「外見の悪さを扱き下ろしていた過去の自分がいかに愚かだったかを知る」という展開も訪れない。
カイルは自分の容貌が変わって落ち込むことはあっても、周囲から酷い扱いを受けて、それで反省するようなことは無いのた。

ケンドラが呪いを掛けたのは「アンタもブスになって、ブスの気持ちを知りなさい」ということだったはずなのに、周囲の対応を知って反省する展開が無いのなら、その目的は果たされていないことになる。
それじゃ意味が無いだろ。
話の進め方としても、それじゃダメだろ。
スローンが「カイルと一緒にいると、自分が意地悪じゃなきゃと思った」と話すシーンはあるが、カイルの容姿が変貌したと知って白状するわけではないし、それをカイルが聞いても「ブスの気持ちが良く分かって反省する」というところへ繋がるわけでもないし。

周囲との接触を断ったカイルは、そうなると自分を愛してくれる人を見つけることも不可能になる。
そんな中でカイルがリンディーに関心を抱くのはいいとして、家を張り込んだり尾行したりするってのは、完全にストーカーだ。
それはともかく、彼が外の世界に出て行こうとしない状態で、どうやって話を進めていくのかと思っていたら、「リンディーがヤクの売人から命を狙われ、彼女を助けるためにカイルが別邸で住まわせることに」という展開に移って行く。
『美女と野獣』がモチーフだから、2人が同じ家で暮らすとう流れにしたのだろうが、あまりにも強引な展開だし、完全に「学園物」「青春ドラマ」からは外れてしまう。

「傲慢だった美青年が容貌を変えられ、愛してくれる女性が見つからないと呪いが解けなくなる」という入り方からすれば、カイルが恋に落ちる相手は、彼の内面を愛してくれる女性でなければダメなはずだ。
果たしてリンディーがその条件に合致しているのかと考えた時に、疑問が残る。
というのも、リンディーは呪いを掛けられる前のカイルと、既に親しくなっている。
そして、カイルに「外見よりも内面派」と言っているが、彼に対して恋愛感情を抱いていることは明らかだからだ。

その時点でカイルに惹かれているのなら、好きになった理由は「見た目がイケメンだから」という部分だと思わざるを得ない。
その時点で「カイルの内面に惚れた」ということであれば、それはそれでマズいでしょ。
一応、リンディーには「カイルは率直に物を言えるのが凄かったし、生き生きしていた」と批評させ、だから惹かれていたという言い訳にしてあるんだけど、そりゃ無理があるわ。
「傲慢で横柄で、人を傷付けることを平気で言うけど、発言は率直だし生き生きしていたから惹かれた」ってことなのかよ。

だけど、そこで思うのは「仮にカイルがブサイクな奴で、そんな奴が傲慢な態度でブスをボロクソに言っていたら、それでもリンディーは率直で生き生きとしているという理由で惚れるのか」ってことだ。
まず間違いなく惚れていない。だから、やっぱり見た目でしょ、ってことなのよ。
それに、後半に入ってリンディーは「ハンター」の前でカイルのことを「嫌な奴だけど、何か隠れたものがあると感じて惹かれた」と打ち明けているのだが、それって「ワルに惹かれる女」と同じタイプでしょ。「実はカイルの優しい一面を知っていた」とか、そういうわけではないんだよな。
そうなると、ますますリンディーに対しては「浅い女」という印象が強くなる。

少女漫画だとヒロインが「優しい好青年」ではなく「意地悪で生意気な美男子」とか「冷淡で陰険な美男子」に惹かれるってのは良くあるパターンだから、そういうモノだと思えばいいってことなんだろう。
でも、それはティーンズ女子からすれば容易に受け入れられるかもしれんが、ワシは無理だわ。
その手の少女漫画に対しても不快感を抱いてしまう人間なのでね。
『僕等がいた』で七美が竹内じゃなくて矢野を選んだ時も、その2人を祝福したいという気持ちが全く沸かず、竹内を不憫に感じた人間なのでね。

最終的にリンディーに「イケメンに戻ったカイルではなく、ハンターを選ぼうとする」という行動を取らせて、「見た目じゃなくて中身で選んでいるんです」とアピールしているが、取って付けた感しか無い。
そもそも、刺青だらけでスキンヘッドになっても、顔の作り自体は全く変わっていないわけで。
そんな相手とずっと一緒に生活しているのに、カイルだと全く気付かない時点で違和感があるしね。

結局、リンディーは美青年に戻ったカイルと結ばれる。
そんなわけで、この映画の発信しているメッセージは、「人間はやっぱり見た目」ということになる。それはモチーフとなった『美女と野獣』でも感じることだけどね。あの作品だって、最終的に野獣はイケメン王子に戻ってヒロインと結ばれるわけだから。
ああ、そうだ、完全に忘れていたけど、「ヴィクターがリンディーの命を狙う」という筋書きは、「知らない内にヴィクターが捕まっている」ということで簡単に片付けられている。
そりゃあ「カイルとリンディーを一つ屋根の下で住まわせる」という目的で用意された仕掛けってのは分かるけど、それにしても雑に処理しすぎだろ。

(観賞日:2013年12月31日)

 

*ポンコツ映画愛護協会