『フォエバー・フレンズ』:1988、アメリカ

ハリウッド・ボウルでコンサートのリハーサルをしていたCC・ブルームはメッセージを受け、リムジンに乗って空港へ向かった。しかしサンフランシスコは霧で着陸できないと聞き、レンタカーを借りて雨の中を飛ばす。11歳の頃、ビーチに身を隠して煙草を吸っていたCCは、宿泊するホテルの名前が分からなくなって困っている同い年のヒラリーと出会った。CCはヒラリーに幾つか質問し、そのホテルがマルボロ・ブレンハイムだと言い当てた。彼女はヒラリーに、ホテルまで送って行くと告げた。
CCは町で人気のピンカース子供ショーに参加しており、逆立ちのアイリスと二枚看板のスターだった。彼女が劇場から勝手に抜け出していたため、母親のレオナが捜しに来た。レオナはCCに、ハリウッドのスカウトが来ているので劇場へ戻るよう告げる。CCはヒラリーに「貴方も一緒に来て」と言い、劇場へ戻った。CCはメルマンというスカウトマンの前で、歌と踊りを披露した。しかしレオナが自慢げに言いふらしたため、アイリスもオーディションを受けることになった。
アイリスがオーディションに合格し、CCはレオナに「自慢話で娘の将来を台無しにした」と怒りをぶつける。レオナが謝罪して「ここを辞めてブロンクスに帰りましょう。友達と遊べるし、パパにも会える」と話すと、CCは機嫌を直した。ヒラリーは彼女に、「貴方の歌は最高よ」と告げた。ヒラリーとCCとツーショットの証明写真を撮り、裏に住所を書いた。彼女はCCに、住まいがサンフランシコスではなく郊外のアサートンだと教えた。
ヒラリーはCCに案内されてマルボロ・ブレンハイムに戻ると、レストランに連れて行く。ウェイターは子供だけなので追い払おうとするが、ヒラリーが「父は宿泊中のホイットニーよ」と言うと態度を一変させた。ヒラリーはチョコ・ソーダを注文し、父が金持ちで母は死去していることをCCに話した。ヒラリーが「手紙を書いて」と告げると、CCは快諾した。叔母のヴェスタが迎えに来たので、ヒラリーはCCに別れを告げた。
CCとヒラリーと文通を開始し、互いの環境や気持ちについて詳しく綴った。ヒラリーは夏に別荘へ出掛けたり乗馬を習ったりするが、上品なお嬢様としての生活に辟易していた。ヒラリーはジュリアード音楽院に通いたいが、お金が無いのでヴォードビル芸人から歌を習う。ヒラリーは働きたいと考え、スタンフォード大学の法学科へ進んだ。21歳になったCCは母がマイアミへ移住したことを受け、念願の独り暮らしを始めた。
CCは舞台のオーディションを受けるが仕事に恵まれず、ナイトクラブで歌い始めた。大学を卒業したヒラリーは、弁護士としての仕事を始めた。CCが出演しているナイトクラブは客が少なく、彼女のギャラのスズメの涙だった。そこへヒラリーが現れ、「窒息しそうな人生を捨てたの」と告げる。CCは彼女を歓迎し、自分のアパートに居候させる。CCの暮らすアパートはオンボロで暖房も満足に使えない環境だったが、ヒラリーは「自由を手に入れた」と解放感に満たされた。
CCはウサギのキグルミ姿で誕生日の祝福メッセージを歌と共に伝えに行く仕事をする際、ヒラリーに車を運転してもらう。CCはジョン・ピアースという男のアパートへ行き、恋人からのメッセージを伝えて歌を披露した。ジョンは彼女に興味を抱き、自分が主催する小劇団「ファルコン」のオーディションに誘った。ファルコンの公演を見たことのあったCCは、即座にOKした。ジョンはCCを迎えに来たヒラリーが人権協会の弁護士だと知り、「美人だから女優志願かと思った」と口にした。
CCはファルコンで小さな役しか貰えず自身の才能に不安を抱くが、ヒラリーが「貴方は才能がある」と励ました。新作のミュージカルでCCは主役を貰い、ヒラリーに祝福された。初演を終えた彼女は観客の喝采を浴び、新聞の批評でも絶賛された。しかし打ち上げでジョンがヒラリーと親密そうにしている様子を見たCCは、表情を曇らせた。悪酔いして朝帰りした彼女は、ヒラリーに「ジョンと寝たの」と質問した。ヒラリーが「ええ」と答えると、CCは、「ズルい女」と責めた。ヒラリーが「貴方の気持ちを分かっていたのに」と詫びて「もう寝ないわ」と約束すると、CCは「別にいいのよ。私は眼中に無い。彼は貴方に夢中」と告げた。
ヒラリーは父の具合が悪くなったため、サンフランシスコへ戻った。彼女は仕事を辞め、寝たきりになった父を介護する。CCは彼女から届いた手紙で、マイケルという弁護士と付き合い始めたことを知った。『シズル』というブロードウェイミュージカルのオファーを受けたCCは、悪趣味なので受けようかどうか悩む。ジョンと関係を持ったCCは、ファルコンを去って『シズル』に出演することを決めた。父を亡くしたヒラリーはサンフランシスコに留まってマイケルと結婚し、CCはジョンと挙式した。
『シズル』は2年のロングランとなり、ヒラリーはマイケルと共に観賞するが、下品な内容なので困惑した。ヒラリーはCCの豪邸を訪問してマイケルを紹介し、ジョンとも再会した。CCは「高級住宅街に住むのが夢だった」と嬉しそうに話し、ヒラリーは「弁護士の仕事に未練は無い」と言う。専業主婦のヒラリーが忙しくしていると聞き、CCは、「何が忙しいの?」と尋ねる。「美術館のガイドや園芸教室がある」とヒラリーが語ると、CCは「幸せならいいけど」と嫌味っぽく告げた。
CCが子供を欲しがっていることを話すと、ヒラリーは「仕事をしながら子育てなんて無理よ」と言う。「ある種の人にはね」とCCが口にすると、彼女は「ええ、責任感があって、子供を身勝手なエゴの道具にしない人」と嫌味っぽく語る。CCが「なぜ嫌味な態度を?」と責めると、ヒラリーは「貴方こそ」と反撃する。ヒラリーが「友情が薄れたのよ」と言うと、CCは「貴方が自滅しただけ。私が成功したから嫉妬してるのよ」と告げた。2人は激しい口論になり、そのまま別れた。
CCは後悔して手紙を出すが、ヒラリーは返事を書かなかった。ヒラリーは主婦としての生活に、退屈を感じるようになっていた。CCはジョンと険悪になり、マイアミで暮らすレオナの元を訪ねた。レオナは「お前は注目してほしいと騒いで、周りを疲れさせる。もう構ってやれない。その余力が無い」と言い、CCはニューヨークへ戻ってジョンとの関係を修復しようとする。しかしジョンは「メジャーな成功は求めていない。君の活躍は嬉しいが、一緒には歩めない」と言い、2人は離婚を決めた。
ヒラリーは別荘でマイケルと結婚記念日を過ごすが、彼の浮気を知った。CCは映画に出演するが、監督に文句を付ける。すると監督は、「面倒だから君を使いたくなかった。自分をスターだと思ってるだろうが、もう若くない」と告げる。CCはカッとなって彼に殴り掛かり、スタッフに追い払われた。すっかり落ち目になったCCはヒラリーに手紙を出すが、やはり返事は無かった。ヒラリーは近くのディスコにCCが出演すると知り、会いに出掛けた。彼女が「ニューヨークでは色々と言われたけど、もう怒ってない」と言うと、CCは手紙の返事を出さなかったことを非難して「一方的に友情を捨てたのよ。私は許さない」と冷たく告げた。
ヒラリーが嫉妬していたことを素直に話して謝罪すると、CCも詫びて2人は仲直りした。CCはジョンと離婚したこと、ヒラリーは妊娠3ヶ月でシングルマザーになる決意を固めたことを語り合った。CCはヒラリーと一緒に暮らし、彼女の超音波検査にも同行した。主治医のミルスタインが大ファンだと聞き、CCは彼とデートする。彼女は自分から結婚を匂わせ、ミルスタインと婚約してヒラリーの前で喜ぶ。しかしエージェントから主演のオファーが届いたという電話が入ると、彼女は迷わず戻ることを決める。ヒラリーは「寂しいからってミルスタインを利用するなんて」と批判し、自分で別れを告げるよう促した。CCは「貴方から伝えて」と頼み、ニューヨークへ戻ってしまった。ヒラリーは仕方なく、CCが去ったことをミルスタインに伝えた。
CCはニューヨークへ戻り、ジョンの演出する舞台に主演して大成功した。ヒラリーが出産を迎えると、彼女はサンフランシスコの病院へ戻って立ち会った。ミルスタインと会ったCCは、彼の再婚を祝福した。ヒラリーは無事に女児を出産し、ヴィクトリアと名付けた。彼女は弁護士の仕事に復帰し、女手一つでヴィクトリアを育てる。しかしヴィクトリアが11歳になった頃、彼女は体調の悪化を感じるようになった。彼女は仕事中に倒れて病院へ運ばれ、ウイルス性心筋症で療養が必要だと主治医に告げられた…。

監督はゲイリー・マーシャル、原作はアイリス・レイナー・ダート、脚本はメアリー・アグネス・ドナヒュー、製作はポニー・ブラッカイマー=マーテル&ベット・ミドラー&マーガレット・ジェニングス・サウス、製作総指揮はテリ・シュワルツ、共同製作はニック・アブド、撮影はダンテ・スピノッティー、美術はアルバート・ブレナー、衣装はロバート・デ・モーラ、編集はリチャード・ハルシー、音楽はジョルジュ・ドルリュー。
出演はベット・ミドラー、バーバラ・ハーシー、レイニー・カザン、ジョン・ハード、スポルディング・グレイ、ジェームズ・リード、グレイス・ジョンストン、メイム・ビアリク、マーシー・リーズ、ハーヴェイ・アラン・ミラー、ジョー・グリファシ、キャロル・ウィリアード、フィル・リーズ、アラン・ケント、リンダ・グッドフレンド、ニッキー・プラント、マイケル・フレンチ、ロバート・ボール、アン・ベタンコート、ジャック・W・ラーソン、パトリック・リッチウッド、ダイアン・フレイゼン、ドリス・ヘス、ジェーン・デュロ他。


アイリス・レイナー・ダートの同名小説を基にした作品。ビデオ化の際、『フォーエバーフレンズ』という邦題に変更された。
監督は『恋のじゃま者』『潮風のいたずら』のゲイリー・マーシャル。脚本は『バディ・システム』のメアリー・アグネス・ドナヒュー。
CCをベット・ミドラー、ヒラリーをバーバラ・ハーシー、レオナをレイニー・カザン、ジョンをジョン・ハード、リチャードをスポルディング・グレイ、マイケルをジェームズ・リードが演じている。
CCとジョンの挙式で神父を務める判事役でヘクター・エリゾンド、オーディション・ディレクター役でゲイリー・マーシャル監督が、アンクレジットで出演している。
なお、ベット・ミドラーの主題歌『Wind Beneath My Wings』は全米第1位の大ヒットとなり、1990年のグラミー賞を受賞している。

序盤、CCが雨の中で車を走らせるシーンから、11歳の頃のシーンに切り替わる(劇中で11歳という説明は無い)。つまり、その回想劇は、車を運転するCCが過去を振り返っている設定だと捉えていいだろう。
しかし、最初に画面に登場するのはヒラリーなのだ。
カメラはCC視点なので、「CCの回想」として間違っているわけではない。ただ、そこは先にCCを登場させた方がいい。
その後にヒラリーのパートが入ったりするので「CCの回想」としての整合性は取れなくなるんだけど、導入部さえ乗り切れば大して気にならない。
それと、CCがメッセージを受け取った後、回想に入るまでにヒラリーの名前を1度ぐらいは出しておいた方がいい。例えば、メッセージを受け取ったCCが「ヒラリー」と呟くような形でもいいだろう。

CCとヒラリーは、浜辺で初めて会った設定だ。その時は短い時間しか一緒に過ごしていないが、そこから文通が始まり、「永遠の友達」になる。
そういう付き合いが有り得ないとは言わないが、ヒラリーが「今まで出会った中で一番ステキ」と惚れ込むほどCCに魅了されるってのは、ちょっと苦しいトコもある。
普通に幼馴染でも良くないか。住む世界や貧富の差は大きいけど、「何らかの形で共通項があって、ヴェスタは交流に反対だけど仲良くしていた」とかなら成立させられるんじゃないか。
で、CCが引っ越すことになって、文通を始めるという流れにすればいいんじゃないかと。

CCとヒラリーはニューヨークのナイトクラブで再会するまで、11歳の頃から全く会っていない。だから久々に会った時、CCは訪ねてきたのがヒラリーだと分からないほどだ。
で、「そんな関係性なのに、一生の親友になりました」という部分が、仕掛けとして活きているわけでもないんだよね。
っていうか、それなら11歳で最初に会わせるよりも、ずっと文通だけの関係でナイトクラブのシーンまで一度も顔を合わせたことが無い設定の方がいいし。
なので、余計に幼馴染の設定でもいいんじゃないかと思ってしまうんだよねえ。

ヒラリーはニューヨークへ出て来た時、「窒息しそうな人生を捨てて来た。ずっと父の言いなりだった」とCCに語る。
だけど彼女はCCへの手紙で、お嬢様の暮らしが嫌なので働きたくて法学科に進学したことを綴っている。つまり弁護士になったのは、自分の意志で選んだ道のはずでしょ。
まあニューヨークでも弁護士の仕事は続けているので、そこに関しては「自分で選んだ道」という意識があるんだろう。
ただ、ヒラリーは「全てを投げ出してきた」とCCに話したのに、その台詞とは矛盾することになっちゃうよね。

あと、「ずっと父の言いなりだった」とヒラリーは言うけど、その時点で父親は1度も登場していないのよね。
なので父親がどういう人物なのか、ヒラリーに対する態度はどんな感じなのかってことが、まるで分からないのよ。
父親の人物像が分からないままヒラリーが彼への不満を吐露するってのは、手落ちにしか思えない。
それに、「自由を手に入れた」と言われても、それまでのヒラリーがいかに縛られていたかってのが全く描かれていないので、彼女が抱く解放感もピンと来ないのよ。

そんな風に諸々の問題を考えると、「CCサイドから描く2人の友情物語」という図式ではなくて、双方から描く形の方が良かったんじゃないかと思うんだよねえ。
そういう回想劇に出来ない事情があることは分かるのよ。
ネタバレだが、冒頭でCCが受け取ったメッセージは「ヒラリーが入院して重篤」ということなのでね。
ただ、そこは「CCとヒラリーが互いに相手との交流を振り返る」という形を避ければ、何とかなるんじゃないかと。

ヒラリーがマイケルという弁護士と付き合い始めたことも、彼と結婚したことも、手紙だけで説明される。
『シズル』を見に来るシーンで、マイケルは初めて登場する。
一応はCCの全く関与しないヒラリー側のパートもあるものの、彼女サイドの描写は圧倒的に少ないため、 バランスが悪いのよね。
「CCが大親友のヒラリーについて振り返る」という話じゃなくて、2人の長きに渡る交流と友情を描きたいはずなんだから、両方から描いた方が絶対にいいはずで。

CCはヒラリーがジョンと親密にしている様子を見て悪酔いし、セックスしたことを知って「ズルい女」と責める。
ただ、そこまでに彼女のジョンに対する恋心なんて、まるで描かれていないんだよね。
初めて会ったシーンではジョンに好印象を抱いた様子が示されているけど、それ以降は「劇団の主宰者と出演者」という関係以上のモノは何も見えなかったわけで。
打ち上げパーティーでヒラリーとジョンの様子をCCが見ているシーンで、ようやく「ああ、そういう方向に転がしたいのね」と分かる始末なのだ。

ともかくCCはジョンと関係を持ったヒラリーを責めるのだが、それによって2人が不仲になるのかというと、それは全く無い。すぐにCCは「私は眼中に無い。彼は貴方に夢中」と割り切っている。
その後、ヒラリーがジョンと深い関係に落ちることは無いし、一方のCCはジョンがヒラリーと寝たことを全く気にせず彼と結婚する。CCとヒラリーの関係性は何も変わらず、それぞれの生活にも全く影響を与えない。
なので、このエピソードは何の意味があったのか良く分からない。
「その程度で2人の友情は変わらない」ってのをアピールしたかったのかもしれないが、だとしたらCCがヒラリーを責める手順は無い方がいいし。

ヒラリーの結婚後、久々に再会した彼女とCCが互いに嫌味を浴びせ合うのは、なぜなのかサッパリ分からない。先に嫌味を浴びせるのはCCだが、きっかけなんて何も無かった。
あえて推測するなら「成り上がって調子に乗っていた」ってことぐらいだが、それが理由なのかどうかはハッキリしない。
そんな彼女に対してヒラリーが嫌味で返すのも、どういう心境なのか良く分からない。
嫌味を浴びせられた時に、彼女が腹を立てたような様子は全く無かったし。

その時の口論で、CCはヒラリーに「貴方は踏み出す勇気が無かっただけ」と言い、成功した自分を嫉妬しているのだと指摘する。
それが正しい指摘だったという設定になっているのだが、まるでピンと来ない。
ヒラリーがマイケルと交際したのも、結婚したのも、全ては自分の意志で決めたことだ。そこまでに、ヒラリーが「こんな夢を持っている」と語るようなシーンも無い。
なので、「ヒラリーが夢を叶えるために踏み出そうとせず、主婦業に入った」ってことではないはず。

CCがジョンと険悪になった理由は良く分からないまま、彼女が夫婦関係を修復しようとするシーンに入る。
ここでジョンが「メジャーな成功は望まない。慎ましい生活がいい」と話した時、初めて「そんな考え方の持ち主だったのね」ってことが分かる。そこまでは、CCの大成功に伴って、髪結いの亭主みたいな生活を満喫しているのかとさえ思っていたよ。
一方、ヒラリーのパートでも、マイケルの浮気が唐突に描かれる。そこまでは「ヒラリーが主婦業に退屈している」ってな感じの描写があったので、そっち方向で進めるのかと思っていた。
それは歓迎できる意外性じゃなくて、段取りが悪いだけだわ。

CCが落ち目になったってのも、これまた唐突だ。
たぶん「スターして華々しく活躍していた頃から月日が経過した」ってことなんだろうけど、そういう月日の経過が全く伝わって来ないのよね。
で、ディスコで彼女に会ったヒラリーは「自分の夢を掴んだCCに嫉妬して意地を張っていた」と明かすのだが、これも唐突な告白にしか聞こえない。そんなことを明かされても腑に落ちず、「そうだったのかよ。全く分からなかったぞ」と言いたくなる。
そもそもヒラリーの夢なんか何も語られていないので、「そういう理由で嫉妬するなら、アンタの夢掴みたい夢は何なのよ」と言いたくなるぞ。

CCはミルスタインに自分から結婚を匂わせて婚約したのに、主役のオファーが届くと何の迷いも見せずにニューヨークへ戻る。自分でミルスタインに別れを告げずヒラリーに伝言を頼み、まるで罪悪感を見せずにさっさとサンフラスシスコを去る。
ただのクズじゃねえか。
この女は話が進むにつれて、どんどん好感度を下げていくんだよね。
「最初は悪い印象から入って上げて行く」ということなら分かるけど、その逆を行って何がしたいのかと。

終盤に入るとCCは病気になったヒラリーの面倒を見るようになり、イメージアップ大作戦を展開する。
それによって彼女の印象は回復していると言っていいだろうけど、ただし「CCとヒラリーの友情物語」としては弱さを感じてしまうのよねえ。
さらに厄介なのは、終盤の展開を見ていると、「CCが親友だったヒラリーの遺児であるヴィクトリアを引き取って一緒に暮らす」という、この作品の後日談を描いてくれた方が面白くなりそうなんだよね。
ヴィクトリア役のグレイス・ジョンストンも可愛いし。

(観賞日:2019年7月5日)

 

*ポンコツ映画愛護協会