『バッドボーイズ2バッド』:2003、アメリカ

マイアミ市警のマーカス・バーネットとマイク・ローリーは、ハワード警部が結成した戦略的麻薬取締チームTNTの一員として活動していた。KKKの集会を隠れ蓑にした麻薬取引が行われるとの情報を掴んだマーカスとマイクは、その現場に潜入する。その一味ポティートらを制圧したTNTだが、現場から見つかったのは2袋のエクスタシーだけだった。
マーカスの自宅に、マイクが遊びに来た。DEA(連邦麻薬捜査局)でデスクワークをしているマーカスの妹シドも、ニューヨークから戻ってきている。実はマイクはシドと交際していたが、そのことをマーカスに打ち明けられずにいる、一方、マーカスは家族のことを考え転属願いを出しているが、コンビ解消をマイクに言い出せずにいる。マイクは情報屋のアイスピックから、ハイチ系ギャングが強盗事件を起こすというネタを得た。マーカスとマイクは、張り込みに出る。
同じ頃、シドは資金洗浄のプロとしてクラブ経営者アレクセイの元へ行き、大金を詰めたケースを車に積み込んだ。シドはデスクワークではなく、DEAの潜入捜査官だったのだ。シドは現在、大物麻薬ディーラーであるジョニー・タピアの組織に潜入していた。アレクセイは、タピアの取引相手なのだ。アレクセイの店を出たシドは、ハイチ系ギャングに襲撃される。シドを救ったマーカスとマイクは、彼女の仕事を初めて知った。2人はハイチ系ギャングの隠れ家を襲撃し、彼らが葬儀場を監視していたことを知る。その葬儀場の持ち主は、タピアの父親だった。
マーカスとマイクは害虫駆除業者に変装し、タピアの屋敷に潜入した。同じ頃、タピアはアレクセイとパートナーのジョセフを屋敷に呼んでいた。アレクセイは引き渡す金を減らすよう求めるが、タピアはジョセフを殺害し、クラブの権利を全て譲渡するよう脅した。マーカスとマイクは不審な動きをタピアの手下ロベルトやカルロスに見つかり、屋敷から逃走した。
やがてマーカスとマイクは、タピアが死体の内臓を抜き取って金や麻薬を詰め込み、それを棺に入れて密輸していると確信する。TNTは3班に別れて行動し、マーカスとマイクは葬儀場を急襲する。一方、タピアはシドが潜入捜査官だと気付き、彼女を連れてキューバへ逃亡する。マーカスとマイクは協力を申し出た仲間と共に、シド救出のためキューバへ向かう…。

監督はマイケル・ベイ、キャラクター創作はジョージ・ギャロ、原案はマリアンヌ・ウィバーリー&コーマック・ウィバーリー&ロン・シェルトン、脚本はロン・シェルトン&ジェリー・スタール、製作はジェリー・ブラッカイマー、製作総指揮はマイク・ステンソン&チャド・オマン&バリー・ウォルドマン、撮影はアミール・モクリ、編集はマーク・ゴールドブラット&トーマス・A・マルドゥーン&ロジャー・バートン、美術はドミニク・ワトキンス、衣装はデボラ・L・スコット&キャロル・ムラゼイ、音楽はトレヴァー・ラビン、追加音楽はドクター・ ドレー、音楽監修はキャシー・ネルソン&ボブ・バダミ、エグゼクティヴ・ミュージック・コンサルタントはショーン・“P.ディディー”・コムズ。
出演はマーティン・ローレンス、ウィル・スミス、ジョー・パントリアーノ、ジョルディ・モリャ、ガブリエル・ユニオン、ピーター・ストーメア、テレサ・ランドル、マイケル・シャノン、ジョン・セダ、ユル・ヴァスケス、ジェイソン・マヌエル・オラサバル、オットー・サンチェス、ヘンリー・ロリンズ、アントニー・コローネ、ゲイリー・ニッケンス、レイ・ヘルナンデス、チャーリー・ジョンソンJr.、ポール・ヴィラヴァルデ、ジョン・サリー、レイナルド・A・ガレゴス他。


スマッシュ・ヒットとなった1995年の映画『バッドボーイズ』の続編。
マーカス役のマーティン・ローレンス、マイク役のウィル・スミス、ハワード役のジョー・パントリアーノ、マーカスの妻テレサ役のテレサ・ランドルは前作から引き続いての出演。監督のマイケル・ベイ、プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーのヒット映画製造コンビも健在。
他に、タピアをジョルディ・モリャ、シドをガブリエル・ユニオン、アレクセイをピーター・ストーメア、ポティートをマイケル・シャノン、ロベルトをジョン・セダ、TNTのリーダーをヘンリー・ロリンズが演じている。
途中、棺を運ぶ車を追うためにマーカス&マイクが車を止めるが、最初に止める車の運転手がマイケル・ベイ監督で、次の車に乗っているのが元NFL選手のダン・マリーノ。
ジョセフ役でオレグ・タクタロフが出演しているが、出てきたかと思ったらすぐに死んじゃうので悲しくなった。

さすがはマイケル・ベイ&ジェリー・ブラッカイマーのコンビだと、ある意味では感心させられる映画である。
脳がノーな映画である。
「なんでもいいから派手に壊そう」がテーマの映画である。
前作では新鋭だったマイケル・ベイ&マーティン・ローレンス&ウィル・スミスが3人ともビッグ・ネームになったので、もう好き放題にやっているんだろう。

ギュインギュインのカメラワークとドカンドカンの発砲&爆発の映画である。
「車は壊すためにある」とでも言わんばかりに、カーアクションの場面では多くの車がブチ壊されている。
前作よりも大幅に製作費がアップしただけあって、湯水の如く好き放題に金を使っているんだろうと思ったが、良く考えればアップした製作費の大半はギャラが高騰したマイケル・ベイ&マーティン・ローレンス&ウィル・スミスに行っているんだよな。

「これってホントにアクション・コメディーだよな」と一瞬考えてしまうほど、残酷風味で無慈悲に人を殺しまくる。
『バーニーズ』みたいな死体を冒涜するギャグもあるが、物語全体としてキツいブラック・ジョークが散りばめられているわけではない。
ちょっと死体ギャグを使いたくなったので、バランス無視で盛り込んだのだろう。
それが許される映画ってことだ。

冒頭のシークエンスは、ものすごくスピーディーで密度の濃いものとなっている。慌ただしく場面が切り替わり、主要キャラと話の背景を描いている。
あまりにも目まぐるしいので、その内容をキッチリと把握するのは困難だろう。
だが、この映画の素晴らしいところは、その部分を良く理解できなくても、何の支障も無く話に付いていくことが出来るってことだ。
なぜ付いていけるかというと、難しいことは何もやっていないからだ。
説明不要、ついでに必然性や整合性も不要の分かりやすい物語にしてあるからだ。

こんな単純でカラッポなアクション・コメディーに、なんと146分も使っている。
『マトリックス リローデッド』みたいに意匠の説明に時間を掛けているわけでもないし、普通のセンスなら100分以内に抑えるべきだろう。
正気とは思えないが、それだけ贅沢に時間を使うことが許された映画ということだろう。

普通の刑事アクション映画なら、タピアの豪邸への突入か、あるいは逃走するボートの追跡か、その辺りをクライマックスにして、事件を解決に持って行くだろう。
しかし、この映画はそんなものじゃあ満足しない。
タピア邸への突入は相棒を失ってアル中になったピーター・ストーメアに任せて、マーカスとマイクはキューバへ逃亡したタピア一味を追い掛けるのだ。

終盤の展開は、もはや完全に刑事アクションの域を超えて、ミリタリー・アクションの如くになっている。
マーカスとマイクだけじゃなく、今まで仲間意識なんて皆無だったはずの警察の面々やCIAまでなぜか協力してくれてチームになるので、『デルタ・フォース』みたいな感じかな。
さらに、『ポリス・ストーリー/香港国際警察』の、バラックを車で駆け下りる有名なシーンも盛り込んでいる。
ハリウッドの大作映画に模倣されるとは、ジャッキー映画を長く見てきた人間としては感慨深いものがあるねえ。


第26回スティンカーズ最悪映画賞

ノミネート:【最もでしゃばりな音楽】部門

 

*ポンコツ映画愛護協会