『バチェロレッテ -あの子が結婚するなんて！』：2012、アメリカ
レーガンは昔馴染みのレストランへ行き、高校時代から親しくしているベッキーと会う。レーガンは高校時代、おバカなケイティー、ヤリマンのジェナ、そしてベッキーの４人で一緒に行動することが多く、彼女たちは「ビー・フェイス」と呼ばれていた。他の３人は美女として扱われていたが、ベッキーは肥満体型で、高校時代は「ブタ顔」と陰口を叩かれていた。ベッキーが「デイルのことで話がある」と口にしたので、失恋したと思い込んだレーガンは慰めようとする。しかしベッキーは、デイルにプロポーズされたことを話した。
４人の中で自分が一番に結婚すると確信していたレーガンはショックを受けるが、結婚式だけでなく前夜祭も出ることを決めた。ベッキーと別れた後、レーガンはジェナに電話を掛けて事情を説明した。ジェナがケイティーに連絡し、ベッキーの結婚を教えた。レーガンが２人を前夜祭に来るよう誘うと、ジェナは嫌がった。しかし高校時代に付き合っていたクライドが来ることを知らされると、「じゃあ行く」と途端に態度を変えた。
結婚式前日、幹事を務めるレーガンの元に、ケイティーとジェナが到着した。ジェナが「前夜祭の前にコカインをやりましょう」と大声で騒ぐので、ジェナが注意した。ベッキーが来て再会を喜ぶと、ケイティーは「前夜祭の後はコカインでトリップね」と言う。ベッキーは「他のブライドメイドが地方出身だから、控え目にしないと。それに、もうパーティーは卒業したしね」と語る。ケイティーはジェナを誘い、２人でコカインを吸った。
前夜祭の会場に入ったレーガンは、ベッキーの母であるヴィクトリアに挨拶する。ヴィクトリアはデイルの親友であるトレヴァーを彼女に紹介し、「結婚するなら彼女のような人がいいのよ」と告げる。彼女はレーガンに向かって、「フランクは駄目よ」と告げた。フランクは研修医として働くレーガンの恋人で、結婚式には来ることになっている。ケイティーは高校時代の同級生であるジョーから話し掛けられるが、まるで覚えていなかった。しかしジョーが「ハッパも売ったよ」と言うと、彼のことを思い出した。
ジェナとクライドは、互いに相手を見つけた。クライドが「いつ以来だ？」と言うと、ジェナは「あの事件以来よ」と答えた。クライドがデイルの妹であるステファニーと仲良くしている様子を目にしたジェナは、彼に突っ掛かるような態度を取った。前夜祭の司会を務めたレーガンは、ジェナにスピーチを求めた。しかしジェナは「ベッキーは高校時代にトイレで吐いてた。それが１週間も続いた」と喋り、場の雰囲気が悪くなったので、レーガンは早々に止めた。するとケイティーが立ち上がり、「報告があります。財布が無くなりました。誰かに盗まれたとしか思えません」と言い出したので、また雰囲気が悪くなった。
前夜祭の後、女性たちだけで集まっていると、ケイティーが呼んだ男性ストリッパーが現れた。ベッキーは大喜びするが、ストリッパーがを「ブタ顔」と呼んだので「何故その呼び名を？」と腹を立てた。ジェナが「ただのジョークよ」となだめようとすると、ベッキーは「さっきも拒食症のことを喋った。自分の恥をさらされたらどう思う？」と険しい表情で問い掛けた。ドラッグと酒で気持ち良くなっているケイティーは、「それって笑える」と軽く言う。ベッキーはケイティーとジェナに、「この際だからハッキリと言っておく。普通に出来ないのなら、結婚式には出席しないで」と告げた。
他のブライドメイドたちが去った後、レーガン、ケイティー、ジェナは３人だけで酒を飲んだ。レーガンはジェナの前で、「私は完璧にやって来た。大卒だし、運動してるし、暴飲暴食もしない。研修医の彼氏もいる。なのに結婚できる気配も無い」と愚痴った。レーガンとケイティーはベッキーのウェディングドレスを持ち出し、それを着て写真を撮ろうとするが、破いてしまった。ケイティーは「強盗の仕業に見せ掛けよう」と言って部屋を荒らそうとするが、すぐにレーガンか制止した。
レーガンはフランクから結婚式に出席できないという電話を受け、文句を言う。レーガンたちはドレスを客室清掃係のテレサに見せて修繕を頼むが、「裁縫係は深夜に勤務していません」と告げられる。おまけにケイティーの鼻血が落ちて、ドレスが汚れてしまった。対応策を思案した３人は、デイルをストリップ・バーへ連れて行くクライド、トレヴァー、ジョーと遭遇した。ジェナはクライドに「プロで満足できなかったら電話して」と耳打ちするが、「嬉しいけど、番号を削除した」と言われる。男たちが去った後、レーガンは「こんな時に男に媚びる？」と呆れた表情を浮かべる。するとジェナは「元は取ったよ」と言い、クライドから盗み取った財布を見せた。
ストリップ・バーへ向かうリムジンの中で、トレヴァーは「イケイケ女の茂みの匂いを嗅ぎたい」とケイティーのことを話す。ジョーは「やめとけ」と言い、クライドが「彼女はジョーの憧れの相手なんだ」と教えた。トレヴァーが「じゃあ幹事の女は？」とレーガンを狙う考えを口にすると、クライドたちは「やめとけ、彼女は別格だ」と忠告した。レーガンたちはドレスショップを経営するメリッサに連絡を取り、新しいドレスを買おうとする。店で最も大きいサイズのドレスは、レーガンが憧れていたデザインだった。それを見たレーガンは、「ベッキーには絶対に着させない」と計画を撤回した。
ケイティーが裁縫の技術を持っていることが分かり、レーガンとジェナは彼女に委ねることにした。ケイティーとジェナは、燃料補給と称して酒を飲む。マリファナを欲しがるケイティーに、ジェナは「ジョーに餌を与えるの。学生時代にモテなかったから、きっとセックスは上手いはずよ」と告げた。レーガンはケイティーとジェナに、トレヴァーから合流を催促するメールが届いていることを教えた。３人はミシンを調達するため、男たちと合流することにした。
デイルはベッキーの友人たちが合流すると知り、慌ててストリップ・バーを出て行った。トレヴァーはジョーに、「お前と例の女を何とかしてやるよ」と述べた。レーガンたちはストリップ・バーに着き、ジェナはドレスを洗いに行く。ジョーはケイティーから「ストリッパーにチップを渡したい」と言われ、喜んで金を渡した。ケイティーはストリッパーと並んで踊り出し、トレヴァーはジョーに「一緒にハッパを吸えよ」と持ち掛けた。ジョーがケイティーの元へ行くと、レーガンはトレヴァーに「ジョーがケイティーを落とす手助けをしてくれ」と頼まれるが、「無理よ」と断った。
クライドは別室でストリッパーに踊らせていたが、財布をジェナに盗まれたことに気付いた。トイレでドレスの汚れを洗っていたジェナは、そこにやって来たストリッパーに「別室で元カレがアバズレで仲良くやってる」と言う。ストリッパーは「彼は相手がいないから店に来たのよ。貴方と寝られるなら、飛び付くわ」と告げる。彼女は喋りながらドレスで手や股を拭いていたが、ジェナは全く気付かず、助言してくれたことに礼を述べた。
ジェナはレーガンとケイティーを呼び寄せ、「ベッキーに全て話すわ」と言い出した。レーガンは「アンタに何が出来るの。私に任せて」と制止するが、ジェナは無視して電話を掛けようとする。しかしレーガンが「中絶の時も私が面倒を見たんだから」と秘密を喋ったため、ジェナは怒りの形相になった。すぐにレーガンは謝るが、ジェナは彼女を睨んで立ち去った。ジェナはクライドのいる部屋に乗り込み、「行くわよ」と告げて連れ出した。
レーガンはフラフラのケイティーを連れ帰ろうとするが、トレヴァーは「帰るなよ、気晴らしが必要だろ」と言う。トレヴァーはジョーにケイティーを送るよう促し、「お持ち帰りして、ブチ込め」と告げた。ジェナとクライドは地下鉄に乗り、言い合いになる。イライラするジェナに、クライドは「君が妊娠したのは大昔のことだ。悪いとは思ってるが、前に進まなきゃ仕方が無いだろ」と主張する。ジェナが「２人の子供よ。でも私が一人で始末した」と訴えると、クライドは「どうすればいいんだ」と反発する。ジェナは「ドレスを直したい。協力して」と言い、２人は地下鉄を降りた。
レーガンはジェナのことが気になるが、携帯にメッセージを送っても返事は無かった。トレヴァーから口説かれたレーガンは、トイレで激しいセックスに及んだ。ジェナはクライドの実家へ赴き、彼の母であるシーラにドレスの修繕を頼んだ。ジェナがドラッグの売人に連絡しようとすると、クライドは携帯電話を投げ捨てて「大人になれよ」と諭した。レーガンはベッキーに呼ばれ、彼女の部屋に赴いた。ベッキーは「さっきの態度は悪かった。感情を抑えられなかった」と謝罪し、レーガンに感謝の言葉を告げた。
クライドとジェナは、学生時代のアルバムを見ながら会話を交わす。ジェナが「あの日、付き添ってほしかった。でも約束の時間に貴方は来なかった」と話すと、クライドは「悲しすぎて行けなかった」と釈明した。ケイティーとジョーはプールで泳ぎ、キスを交わした。ケイティーはセックスの意欲満々だったが、ジョーは「２人とも酔ってる。こんな形で始めたくない」と告げた。クライドは思い出の曲を流し、ジェナとセックスした…。脚本＆監督はレスリー・ヘッドランド、原作はレスリー・ヘッドランド、製作はブライス・ダル・ファラ＆クロード・ダル・ファラ＆ローレン・マンシュ＆ウィル・フェレル＆アダム・マッケイ＆ジェシカ・エルバウム、共同製作はレスリー・ヘッドランド＆カーリー・ヒューゴ＆マット・パーカー、製作総指揮はジェイソン・ジャネゴ＆トム・クイン＆クリス・ヘンチー＆ポール・プロコップ、製作協力はマシュー・ヴォーズ・キャンベル＆ブライアン・キーディー、撮影はダグ・エメット、編集はジェフリー・ウルフ、美術はリチャード・フーヴァー、衣装はアンナ・ビンジマン、音楽はアンドリュー・フェルテンスタイン＆ジョン・ナウ、音楽監修はジム・ブラック＆デイナ・サノ＆リビー・アムステッド。
出演はキルステン・ダンスト、アイラ・フィッシャー、リジー・キャプラン、アダム・スコット、ジェームズ・マースデン、カイル・ボーンハイマー、レベル・ウィルソン、アン・ダウド、ヘイズ・マッカーサー、ショーナ・マイルズ、アンドリュー・ラネルズ、ホレイショ・サンズ、エラ・レイ・ペック、スー・ジーン・キム、ジューン・ダイアン・ラファエル、メリッサ・スティーヴンス、キャンディー・バックリー、アーデン・マイリン、アンナ・ローズ・ホプキンス、メーガン・ニューリンガー、レスリー・メイセル他。
レスリー・ヘッドランドが手掛けた舞台劇を、本人の監督＆脚本で映画化した作品。
『俺たちニュースキャスター』や『アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事！』など、多くの映画でコンビを組んでいるコメディー俳優のウィル・フェレルと監督のアダム・マッケイが製作に携わっている。
レーガンをキルステン・ダンスト、ケイティーをアイラ・フィッシャー、ジェナをリジー・キャプラン、クライドをアダム・スコット、トレヴァーをジェームズ・マースデン、ジョーをカイル・ボーンハイマー、ベッキーをレベル・ウィルソン、ヴィクトリアをアン・ダウド、デイルをヘイズ・マッカーサーが演じている。タイトルの「バチェロレッテ」とは未婚女性のことで、花嫁が結婚式前日に親友たちと楽しむ独身最後のバカ騒ぎを「バチェロレッテ・パーティー」と呼ぶ。
アメリカの独身男性が結婚前日に行うバカ騒ぎを「バチェラー・パーティー」と呼ぶが、その女性版だ。
劇中では警官のコスプレをした男性ストリッパーが呼ばれており、それがバチェロレッテ・パーティーの定番のように思われているが、実際に男性ストリッパーを呼ぶケースは、そんなに多くないらしい。オープニング、レーガンがベッキーと店で話す様子で始まった後、プロポーズのことを打ち明けられるまでに、会食後にレーガンがジェナと電話を喋ったり、ケイティーと会話したりする様子を挟むという構成になっている。
これは無駄にゴチャゴチャしているだけで、素直に順番通り「ベッキーからプロポーズのことを聞かされ、会食の後でジェナとケイティーに連絡する」という流れにした方がいい。
それと、プロポーズについて聞かされる会食の前に、現在のレーガンの生活状況を提示しておくべきだ。彼女は「私が一番に結婚するはずだった」と言うけど、勝ち組人生を歩んでいることが伝わっていないから、その見た目や「キルステン・ダンストが演じている」だけで受け入れざるを得ない状態になっている。それは相当に苦しい。
「高校時代から勝ち組で、今もそれが続いている（と少なくとも本人は思っている）ってことを、ナレーション・ベースでも構わないから、それなりに提示しておいた方がいい。いきなりレーガンとベッキーの会食シーンを描いても伝わることは伝わるけど、その力は弱くなる。それと、そこで引っ掛かるのが、レーガンが高校時代から美人と称され、今でも別格扱いされているという設定だ。
だけどキルステン・ダンストって、そんなに美人じゃないでしょ。
それは「個人的な好み」とか「日本人とアメリカ人の感覚の違い」ってことじゃなく、確かサム・ライミ版『スパイダーマン』でキルステン・ダンストがヒロインを演じた時に「それは違うんじゃないか」という声がアメリカでも出ていたはず。
「レーガンは自分が美人だと思っているけど、実際は本人が思っているほどでもない」という設定ならともかく、ホントに美人設定なので、「それは違うよ」と言いたくなる。一方で、ベッキーが「ブタ顔呼ばわりされる冴えないデブ女」という扱いになっているのも、ちょっと無理を感じるのだ。
なぜなら、確かにベッキーは太っているが、「可愛いポッチャリさん」の部類に入る容姿だからだ。
デブ専からは間違いなくモテモテになるタイプだし、デブ専じゃなくても可愛いと感じる男は結構いるんじゃないかと思える。
別格の美人扱いされているレーガンの容姿がそこに達しておらず、ブサイク扱いのベッキーがそうでもないってのは、どう考えてもキャスティングの失敗でしょ。ベッキーだけでなく、デイルに関しても中途半端に感じる。
まず見た目からして、もっと「友人たちと並んでも一番のイケメン」というぐらい、容姿の部分でハッキリとしたモノをアピールすべき。それだけでなく、「エリートで金持ちで性格も良くて」と、まさに百点満点と言ってもいいぐらいのキャラにしておくべき。
「学生時代から勝ち組だったレーガンと負け組だったベッキーの立場が逆転する」という仕掛けに意味があるはずなんだから、デイルを百点満点にすることでベッキーの勝ち組度合いを誇張すべきだ。
単に結婚しただけなら、レーガンの屈辱感も、それほど強くならないでしょ。デイルとフランクを比較してフランクの方が勝っていれば、そこで溜飲は下がるはずだし。
それを考えると、フランクが登場しないのはどうかなと。せめて写真ぐらい用意しても良かったかなと。ジェナが「ベッキーは高校時代にトイレで吐いてた。それが１週間も続いた」とスピーチしたり、ケイティーが「報告があります。財布が無くなりました。誰かに盗まれたとしか思えません」と言ったりするシーンがあるが、もちろん雰囲気は悪くなるだろうけど、コメディーの描写としては弱い。もっと誇張して、とんでもないことを言わせるべきだ。その程度だと、笑いに転化する力が弱くなっている。
っていうか、もっと喜劇色の強いドタバタ系の映画なのかと思ったんだけど、そうでもないのよね。
しかも、「そもそもコメディー色を強めに押し出した映画じゃない」ってことじゃなくて、どうやら「ドタバタ喜劇を狙っているのに結果として笑いが足りない仕上がりになってしまった」という感じなんだよね。
そういう結果になった一番の問題は何かっていうと、答えは簡単で、それは「登場人物が魅力的じゃない連中だから」ってことだ。まず女性陣は、とにかくギャースカギャースカと騒いだり、酒やドラッグでデロデロになったりする連中。
比較的マトモな部類のように振る舞うレーガンだが、スタッフや他のブライズメイドに対する態度は高慢ちきで、それは最後まで直らない。そんで、いかにも軽薄なトレヴァーから口説かれるとホイホイとトイレでセックスに及ぶ尻軽っぷりも見せる。
「女性の本音を赤裸々に描き出す」という方向性での掘り下げも弱い。
そもそも、男性視点からの描写もそれなりに多い。タイトルからしても、話の内容からしても、もっと女性視点からの物語を徹底した方がいいんじゃないかと思うんだけどね。一方の男性陣も、これまたロクな奴らじゃない。
前述したように、トレヴァーは女とハメハメすることしか考えていないゲス野郎。
ジョーは「ケイティーを一途に思い続ける純朴男」という設定はあるものの、学生時代からヤクを売っていて、ケイティーと一緒にラリラリになっちゃうので純朴さが打ち消される。
クライドは学生時代にジェナを中絶させ、「悲しすぎて」という言い訳で手術にも同行しない。そんなクライドとヨリを戻すジェナも大概で、そんな２人の恋愛劇に共感や応援の気持ちは全く沸かない。そんな連中と比べたら、ベッキーとデイルのカップルは本当に清々しい。
デイルはストリップ・バーへ行くことも「ベッキーに悪い」ということで敬遠するし、レーガンたちが来ると知ったら早々に立ち去る。
しかし、「デイルが他の連中と比べてダントツで性格のいい男」というトコロでレーガンがベッキーに嫉妬心を抱くわけでもないし、他の男どもとデイルを対照的な関係として描こうという意識も物語からは見えて来ない。
なので、デイルをそういうキャラにしていることの機能性は低い。（観賞日：2014年12月10日）