『ニューヨーク 冬物語』:2014、アメリカ
1895年、ニューヨーク。エリス島の移民局を訪れた赤ん坊連れの若夫婦は、医師の診察を受けた。医師が肺結核と診察したため、夫妻は入国を認められなかった。夫妻は赤ん坊だけでも入国させたいと訴えるが、役人は帰国するよう指示した。夫はガラスケースに入っている帆船の模型を発見し、それを盗み出した。本国へ送還される船に乗せられた夫妻は、模型船の中に赤ん坊を入れた。そして海へと流し、ニューヨークへ向かわせた。
1916年、その赤ん坊はピーター・レイクという名前で成長し、パーリー・ソームズが率いるギャングの一員になっていた。彼はパーリーの手下であるロミオ・タンやディンギー・ワーシントンたちに追われ、白馬に乗って逃走した。一方、新聞社の社主であるアイザック・ペンは8年前に妻を亡くし、ベヴァリー、ウィラという2人の娘と暮らしている。ベヴァリーは結核を患って高熱なので、アイザックは部屋の温度を低く保っている。
アイザックは検眼師を呼び、ピアノを弾いている娘の眼鏡を作ってほしいと依頼する。ピーターは友人のセシルを訪ね、白馬に鞍と麦を与えるよう頼んで金を渡す。それから寝床にしているグランド・セントラル駅の屋根裏に入り、町を出るために荷物をまとめた。ロミオはパーリーの元へ行き、ピーターの捜索活動について報告を入れる。腕利きの手下を始末する理由についてロミオが尋ねると、パーリーは「富が目当てで俺が財宝を盗んでいると思うか?違う。光の反射が重要だ」と言う。
パーリーは月の光をルビーに反射させてグランド・セントラル駅を写し出し、そこにピーターがいることを突き止めた。しかしパーリーが手下を連れて駅へ行くと、既にピーターは屋根裏から去っていた。ウィラはベヴァリーの寝室へ行き、湖へ行く準備を済ませたことを語る。ピーターは泥棒で逃亡費用を工面し、翌日に白馬で町を出ようとする。しかし白馬がペン邸の前で動かなくなったので、ピーターは「もっと盗め」と促しているのだと理解した。
アイザックは静養しているベヴァリーを残し、ウィラや使用人たちと湖の別荘へ出掛けるところだった。ピーターはベヴァリーが残っていると知らず、屋敷に忍び込んだ。ピアノの音が聞こえたのでピーターは広間へ行き、ベヴァリーと出会った。ベヴァリーはピーターを見ても怖がらず、お茶を用意した。ピーターから何の病気か訊かれた彼女は「結核よ。21歳なのにキスの経験も無い。外に出られないの」と言い、余命わずかであることを話した。2人は互いに惹かれ合うが、ピーターは町を出なければならなかった。
パーリーはレストランの給仕を殺して血で女の絵を描き、「赤毛の女を捜せ。奴の運命の女だ」と手下に命じた。ベヴァリーを別荘へ案内する馬車の御者は、彼女が絵の人物ではないかと気付いた。ピーターは自分を海から引き上げたハンプストン・ジョンと会い、「結核で死ぬ女性と出会った。以前から知っているような気がする。でも町を出ないとパーリーに殺される。どうすればいい?」と助言を求めた。するとジョンは「奇跡で結ばれる相手は生涯に1人だけ。2人が近付くと、天が力を貸して運命の出会いは成就する」と述べた。
ジョンピーターに、「魂の案内役は、幼い子供や動物の姿を借りる。例えば白犬のアサンソーは白馬に姿を変える。その娘は、きっとお前の運命の相手だ。だが忘れるな。悪の力も働く」と語った。パーリーは手下を連れてペン邸へ赴き、ベヴァリーを殺そうとする。そこへピーターが駆け付け、ベヴァリーを白馬に乗せて逃走した。すぐに一味が追って来るが、白馬から翼が生えて崖を超えた。パーリーは「北には行けない掟だ。二百年前の争いで決まった」と語り、ディンギーにロミオを射殺させた。
ピーターは別荘までベヴァリーを連れて行き、ウィラと挨拶を交わした。アイザックはピーターを詮索し、目的や動機を尋ねる。ピーターは「僕はベヴァリーを愛してる。望みは彼女、動機は愛です」と答えた。アイザックは「少し様子を見よう。あの子は屋上のテントで寝るが、君は別室だ」と述べ、別荘での滞在は許可した。ピーターはベヴァリーと散歩し、拾われて数年は孤児院を転々としたこと、それからパーリーと出会ったことを語った。
パーリーは「判事」と呼ばれる魔王の元へ行き、特例として北へ行かせてほしいと要望した。判事が理由を尋ねると、パーリーは「ある男が奇跡を起こすのを阻止せねば、善の力が増します」と言い、死が近い赤毛の娘の存在も語る。ピーターの奇跡で娘が救われるのだと彼は語るが、判事は「却下する。北へは出入り禁止だ」と静かに告げた。パーリーは怒りを示すが、判事に「別の手を探せ」と一喝されると従わざるを得なかった。
ピーターはベヴァリーに、「大晦日は踊りに行こう」と持ち掛ける。ベヴァリーが「無理よ。ダンスは命取りと父から止められてるの」と言うと、ピーターは「父親は過保護だ」と口にした。ボイラーの故障で別荘の室温が上昇したため、ベヴァリーとウィラは家庭教師に連れられて隣の家へ避難することになった。アイザックが地下室で修理していると聞いたピーターは、手伝いに赴いた。機械に詳しいピーターは留まってボイラーを修理し、アイザックは感動して彼を抱き締めた。
ピーターは堕天使のガブリエルと接触し、借りを返すために協力するよう要求した。彼は興奮剤を渡し、ベヴァリーの飲み物に混入するよう命じた。大晦日、ピーターとベヴァリーは予約した舞踏場へ出掛け、一緒に踊った。給仕に化けたガブリエルは、隙を見てベヴァリーのシャンパンに薬を入れた。帰宅したベヴァリーに誘われ、ピーターは彼女のベッドに赴いて関係を持った。しかし薬の効果によって、ベヴァリーは死んでしまった。
ピーターがベヴァリーの葬儀を終えて町に戻ると、パーリーの一味がブルックリン橋で取り囲んだ。一味はをロープを投げ付け、ピーターをアサンソーから引きずり降ろした。ソームズが「馬の皮を剥げ」と命令し、手下たちはアサンソーを網で捕まえた。ピーターは一味に反撃し、網を外してアサンソーに「逃げろ」と告げた。ピーターが武器を捨てると、パーリーが殴り付けた。彼は頭突きやパンチを何度も浴びせ、橋から川へと突き落とした。
パーリーたちが去った後、陸に上がったピーターは全ての記憶を失っていた。彼は老化しないまま日々を過ごし、そして2014年が訪れた。彼はセントラル・パークへ通い、赤毛の女の絵を路上に描くのが日課となっていた。ある日、ピーターを見守って来たセシルが、彼に気付かれないようコインを投げた。それがきっかけで、ピーターはアビーという幼女と出会った。アビーは母のヴァージニアと共に、その場を後にした。ピーターは何かを思い出して駅へ行き、かつて自分が大切に保管していた箱を見つけた。一方、大企業の社長になっているパーリーはピーターが生きていると察知し、ロミアの孫である手下のシーザーに捜索を命じた…。脚本&製作&監督はアキヴァ・ゴールズマン、原作はマーク・ヘルプリン、製作はマーク・プラット&マイケル・タドロス&トニー・アラード、共同製作はウィリアム・M・コナー、製作総指揮はジェームズ・パッカー&スティーヴン・ナチン&ケリー・フォスター&ブルース・バーマン、製作協力はレイモンド・クインラン、撮影はキャレブ・デシャネル、美術はナオミ・ショーハン、編集はウェイン・ワーマン&ティム・スクワイアズ、衣装はマイケル・カプラン、視覚効果監修はリチャード・ホランダー、音楽はハンス・ジマー&ルパート・グレッグソン=ウィリアムズ。
出演はコリン・ファレル、ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ、ジェニファー・コネリー、ラッセル・クロウ、ウィリアム・ハート、エヴァ・マリー・セイント、グレアム・グリーン、ケヴィン・コリガン、ケヴィン・デュランド、マット・ボマー、ルーシー・グリフィス、リプリー・ソーボ、モーリス・ジョーンズ、アラン・ドイル、マッケイラ・トゥイッグス、ロブ・キャンベル、フィン・ウィットロック、ウィル・スミス、ジョン・パトリック・ウォーカー、ブレンダ・ウェーレ、ノーム・ルイス、マシュー・R・ステイリー、ブライアン・ハッチソン、マイケル・クレイン、スコット・グライムズ、ハリエット・D・フォイ、ジョシュア・ヘンリー他。
マーク・ヘルプリンの小説『ウィンターズ・テイル』を基にした作品。
『ビューティフル・マインド』や『シンデレラマン』などの脚本を手掛け、プロデューサーとしても積極的に活動しているアキヴァ・ゴールズマンが、初めて映画監督を務めている(TVドラマの演出は経験済み)。
ピーターをコリン・ファレル、ベヴァリーをジェシカ・ブラウン・フィンドレイ、ヴァージニアをジェニファー・コネリー、パーリーをラッセル・クロウ、アイザックをウィリアム・ハート、現代のウィラをエヴァ・マリー・セイント、ジョンをグレアム・グリーンが演じており、判事役でウィル・スミスが出演している。どうやら原作がボリュームたっぷりな内容なので、1本の映画に収まらないってことで大幅に内容が改変されているらしい。
まあ無理に全て詰め込もうとしても絶対に容量オーバーになることが最初から分かっているのなら、取捨選択して脚本を作るのは正しい判断だろう。
ただし、もちろん「何を残して、何を削ぎ落とすか」というセンスは重要になってくる。
たぶん、そこでアキヴァ・ゴールズマンが大きなミスを犯したせいで、こんなトンデモ映画が仕上がってしまったんだろう。序盤、あまり移民っぽくない夫婦は帰国命令を受け、なぜか都合良く飾ってあった模型船に赤ん坊を乗せて海に流す。
たまたま上手く陸地まで辿り着いたから良かったものの、途中で転覆して赤ん坊が溺死する可能性は充分に考えられる。ものすごくリスクが高いのに、そこまでして赤ん坊だけでも入国させようとする感覚は、ちょっと常軌を逸していると感じる。
入国できないとしても、両親が保護して育ててやった方が無事に育つ可能性は高いと思うんけどね。
でも、「死ぬかもしれない」というリスクを背負ってでも海へ流すほどの理由があったのかどうかは、全く教えてもらえない。成長したピーターが登場すると、パーリーの手下たちから逃げている。
だが、一味に追われたから逃げ出したのか、逃げようとしたから追われたのか、その辺りは良く分からない。
しかも登場した時点で既に逃走を図っているので、彼が泥棒稼業ってことは組織を抜けた後じゃないと描かれない。
当然のことながら、どういう経緯でピーターがパーリーの組織に入ったのか、パーリーが「ピーターは奇跡を起こす可能性のある男」と知った上で誘い込んだのか、その辺りもサッパリ分からない。っていうか、最初はピーターが「奇跡を起こす選ばれし男」という設定なのかと思ってたのよね。
だから両親の虐待じみた行為にしても、「息子が選ばれし運命の子であり、必ず助かると分かっていたから海に流した」と強引に解釈しておこうかと思ったりもしたのよ。
だけど、後から出て来る判事の言葉なんかを聞いていると、どうやらピーターは普通の人間で、たまたま奇跡を起こそうとしたからパーリーが追い掛けただけってことのようだ。
ただし映画を見ている限り、どう考えてもピーターは「特別な存在」でしかないんだけどね。ピーターが一味から逃走を図って雪で足を滑らせると、なんと白馬が近くにいて、乗るように促す態度まで取る。
その時点で、ちょっとヤバそうな気配がプンプンと漂っている。
さらにヤバい気配を強めるのは、検眼師がペン邸を訪れた時のシーン。
ベヴァリーは「高熱だと周囲が輝いて見えるのよ。今も冬の光りで部屋中がキラキラしてる。白い光の槍が光線になって、銀の十字架に反射してる。熱が出るほど、全てが光で結ばれるのがハッキリと見える」と、イカれているとしか思えない言葉を語る。そして実際、部屋の中でキラキラと輝く光が写し出される。その2つのシーンでも充分っちゃあ充分なのだが、ダメ押しはパーリーが担当してくれる。
彼はロミオに、「富が目当てで俺が財宝を盗んでいると思うか?違う。光の反射が重要だ」と言う。
何をワケの分からんことを口にするのかと思っていたら、彼は月の光をルビーに反射させる。すると、小さなグランド・セントラル駅が光によって浮かび上がる。
そのシーンが訪れると、「なんじゃ、こりゃ」と思うと同時に、「ああ、マトモじゃないんだ、この映画」ってことを悟る。
これが「ファンタジー映画」じゃなくて、「トンデモ映画」ってことに気付かされる。パーリーはロミオから「なぜ腕利きの手下を殺すんです?ボスも可愛がってました」と問われた時、ちゃんとした返答をしない。
ロミオの疑問は当然であり、ずっと可愛がっていたなら殺す理由など無い。逆に最初から「ピーターは厄介な奴」と分かっていれば、もっと早く始末しておけばいいのだ。
後になってパーリーは「ピーターに俺の王国を継がせるつもりだった。しかし奴は自分の考えを持ち始めた。血を流さずに盗む方法だ」と語っており、それが始末しようとした理由らしいけど、そんなことなのかと。
どうやら「血を流さない泥棒は、悪としては不充分」ってことらしいけど、だからって殺すこたあないだろ。ちっとも腑に落ちる説明じゃないわ。ベヴァリーは屋敷に忍び込んだピーターが銃を持っていても全く怖がらず、それどころか「盗み目的だったが、やめた」と彼が言うと、お茶を出して客として扱う。
しかも、あっという間にピーターに惚れてしまう。
そこは「運命の相手だから出会った瞬間に燃え上がった」と解釈すべきなんだろうけど、バカバカしく思えることは確かだ。
そして、この2人の恋愛劇がバカバカしくて陳腐だという最初の印象は、まるで挽回できないまま終わってしまう。なぜ急にパーリーがレストランの給仕を殺すのか、なぜ血で女の絵を描くのか、サッパリ分からない。
つまり女に気付いたってことなんだけど、最初から分かっている状態だったのか、何かのパワーで突き止めたのか、そこの描写だとワケが分からないのだ。
そもそも、そのために給仕が殺される必要性も分からんし。最初から殺すつもりなら、別にミミズク料理とか無茶な注文をして難癖を付ける意味も無いし。生贄が必要で、その血を使えばヒントが得られるってことなのか。
で、「彼女を捜せ」と言われても、「赤毛の女」でしかないのに誰を捜せばいいのか手下は分からんだろうと思っていたら、ベヴァリーを湖へ案内する馬車の御者が都合良く気付くのね。パーリーはピーターが管轄外へ逃走すると、ロミオを射殺する。
だが、ロミオが失敗したわけでもないので、なぜ彼を始末するのか全く分からない。
レストランの給仕に難癖を付けて殺すシーンもそうなんだけど、ひょっとすると「パーリーはすぐにカッとなり、やたらと暴力を振るう危ない男」ってことをアピールしたかったのだろうか。
そうだとしても、ただのバカにしか見えないんだけどね。判事が表に出て来ないのでパーリーは「ラスボス」のポジションなのに、そういうポジションにふさわしい魅力を削いでいるだけだよ。パーリーがピーターとベヴァリーの恋路を邪魔するのは「奇跡が起きると善の力が強くなるので阻止したい」ってのが目的なんだけど、すんげえボンヤリしているし、説得力に乏しい。
奇跡が起きたら具体的に何がどうなるのか、たった1つの奇跡でどれぐらいの影響力があるものなのかと。
それが悪の側にとって、「掟を破ってでも絶対に阻止しなければならない」というぐらい危機的な状況ってことは、まるで伝わって来ないし。ピーターを警戒していたアイザックは、ボイラーを修理してくれただけで掌を返したように全面的に受け入れる。
そりゃあ「ボイラーの爆発が迫っている」という状況でも残るのは「危険を顧みず、妻の思い出が詰まった大切な別荘を救ってくれた」という恩人ってことになるんだろう。
だけどアイザックの別荘に対する思い入れも、爆発の危険があるってのも、台詞でチラッと触れているだけだから、そんなに強く伝わっていないのよ。
だから、たかがバルブ1つを捻って修理を直しただけなのに、アイザックがピーターの行動に感動して抱き締めるってのは、すんげえ簡単だなあと。ベヴァリーが死ぬのは、もちろん興奮剤が影響している。ただしピーターとセックスしなきゃ死なずに死んだことも確かなのだ。
つまり形としては、ベヴァリーって「腹上死」なのよね(厳密に言うと「腹下」だけど)。
ヒロインが腹上死しちゃう恋愛劇って、初めて見たわ。
これがコメディーだったら面白いかもしれんけど、コメディーじゃないのでバカバカしいだけ。そりゃ驚きはあるけど、そんな驚きは要らないし。
誰が歓迎できるんだよ、そんなマヌケな死に方。橋でパーリーの一味が包囲した時、アサンソーはピーターに「逃げろ」と言われると、翼を生やしてホントに逃げてしまう。その気になりゃピーターを乗せて逃げられたはずだが、急に薄情になっちゃうのね。
ただし、そもそもピーターは逃げようとしてせず、アソンサーが逃げると武器まで捨てる。
ってことは、もう生きる気力が失せたので死ぬつもりだったのかと思いきや、パーリーが川に突き落とすと、すぐに陸へ上がる。
死ぬ気じゃねえのかよ。だったら、なぜアサンソーだけ逃がして自分は残ったのか。なぜ武器を簡単に捨てたのか。
行動が支離滅裂にしか見えんぞ。幼いウィラは近所の男の子たちに作られたお姫様のベッドをピーターに見せ、「パパから聞いた物語では、死んだお姫様に王子様がキスすると生き返るの。ここでキスしたら、ベヴァリーも絶対に生き返る」と話す。
しかしベヴァリーが死んだ時、そこへ運んでピーターがキスしても、ベヴァリーは生き返らない。運命の人だったはずなのに、奇跡は起きないのである。
そして後半、ピーターの運命の人がアビーだったことが判明するのだが、それは変でしょ。
だって、ピーターは百年も生き続けなきゃアビーと出会えないわけで。それを「運命の人」と言っちゃったら、つまりピーターは最初から人間の寿命を遥かに超えて生きる超人だったってことになるぞ。そうじゃなくて、寿命の間に巡り合ってこその「運命の人」じゃないのかと。しかもピーターの運命の人が、恋愛対象に入らない少女って、どういうことなのかと。
アビーが運命の相手ってことになると、「ベヴァリーの立場はどうなるのか」と言いたくなるし。アビーはベヴァリーの血筋ってわけじゃないから、そこの関係性は全く無いし。
それに「ベヴァリーの妹が社主を務める新聞のコラムニストがアビーの母親」って、ほぼ「赤の他人」だぞ。
実際、パーリーは「間違った赤毛を殺した」と認めているし、ようするにベヴァリーは完全に「無駄死に」でしかないってことになるぞ。判事は「ベヴァリーの運命の人がピーターであり、彼女の起こした奇跡によってピーターは生き続けている」と説明する。
だけど、それで「なるほど、だからピーターは不老のまま生き続けているんだね」と腑に落ちることは全く無いからね。
ホントは「奇跡は連鎖し、人は繋がって行く」という風に納得すべきなのかもしれないけど、それを上手く表現できているとは微塵も感じないのでね。
それを上手く表現しようとするなら、たぶん「ベヴァリーからピーター、そしてアビー」という3人だけじゃなくて、もっと大勢の人々を奇跡で繋げないと厳しいんじゃないかと思うよ。(観賞日:2015年10月17日)