『ナッティ・プロフェッサー2/クランプ家の面々』:2000、アメリカ

ウェルマン大学のシャーマン・クランプ教授は、かつて開発した痩せ薬のせいで別の人格バディー・ラヴを誕生させてしまったことが あった。その騒ぎから時は流れ、シャーマンは助手のジェイソンと共に若返り薬の開発に打ち込んでいた。シャーマンはリッチモンド 学部長や同僚のデニースに、犬のバスターによる実験結果を披露した。
クランプはジェイソンの協力で、自分の体内にバディーの遺伝子があるのを発見した。デニースへのプロポーズをバディーの人格に妨害 されたクランプは、遺伝子の抽出という荒業に出た。バディの人格を追い出したクランプは、デニースへのプロポーズに成功する。 だが、抽出した遺伝子がバスターの毛と結合し、バディー・ラヴが実体化してしまう。
バディーはクランプの若返り薬を横取りし、フリアー製薬の重役リアンに売り込んで大金を得ようと企んだ。一方、シャーマンは遺伝子 抽出の影響で、知能が低下していることに気付く。シャーマンはバディーに盗まれないよう、薬を自宅に隠した。しかし、シャーマンの父が 薬を飲んで外を歩き回ったことから、隠し場所をバディーに知られてしまう…。
監督はピーター・シーガル、原案はスティーヴ・オーデカーク&バリー・W・ブラウスタイン&デヴィッド・シェフィールド、脚本は バリー・W・ブラウスタイン&デヴィッド・シェフィールド&ポール・ワイツ&クリス・ワイツ、製作はブライアン・グレイザー、 共同製作はジェームズ・ウィテカー&マイケル・ユーイング、製作協力はアーレン・ケーラ、製作総指揮はジェリー・ルイス&エディー・ マーフィー&トム・シャドヤック&カレン・ケーラ&ジェームズ・D・ブルベイカー、撮影はディーン・セムラー、編集はウィリアム・ カー、美術はウィリアム・エリオット、衣装はシェイレン・デイヴィス、特殊メイクアップ効果はリック・ベイカー、視覚効果監修は ジョン・ファーハット、音楽はデヴィッド・ニューマン、音楽監修はゲイリー・ジョーンズ&ハッピー・ウォルターズ。
主演はエディー・マーフィー、共演はジャネット・ジャクソン、ラリー・ミラー、ジョン・アレス、リチャード・ガント、アンナ・マリア・ ホースフォード、メリンダ・マックグロウ、ジャマール・ミクソン、ガブリエル・ウィリアムズ、クリス・エリオット、ダフィー・テイラー、 アール・ボーエン、ニッキー・コックス、フレダ・ペイン他。


ジェリー・ルイス主演の『底抜け大学教授』をリメイクした『ナッティ・プロフェッサー/クランプ教授の場合』の続編。 もちろん主役は今回もエディー・マーフィー。リッチモンド役のラリー・ミラー、ジェイソン役のジョン・アレス、甥っ子役のジャマール・ミクソンらは、 前作に引き続いての出演となる。
デニースをジャネット・ジャクソン、その両親をリチャード・ガントとアンナ・マリア・ホースフォード、リアンをメリンダ・ マックグロウが演じている。他に、レストランのマネージャー役でクリス・エリオット、映画館のホップコーン男をピーター・シーガル 監督と編集のウィリアム・カーが出演している。
また、アンクレジットだが、デニースの隣人役で、オリジナル版の『底抜け大学教授』に出演していたキャスリーン・フリーマンが顔を見せている。

前作は、エディー・マーフィー演じるクランプ家の面々が集まる会食シーンが大きな見せ場となっていた。ただし、それは作品のスパイス としてチョロッと出てくる扱いに過ぎなかった。
しかし、今回はファミリーの登場時間が段違いに増えている。
邦題が示す通り、今回はクランプ家をたっぷりと見せていこうという作品になっているのだ。
前作は、エディーが素の姿でバディーを演じ、特殊メイクでシャーマンを演じるという1人2役がメインにあって、家族も特殊メイクで エディーが演じるというのは、あくまでも「豪華なオマケ」という形だった。
しかし、今回はオマケだったものがメインにランクアップしている。
どうせ特殊メイク以外に見所が無いってことで、完全に開き直ったのか。

1人で複数を演じているわけだが、合成技術を駆使して「同一画面に複数のエディーが映る」という場面は、かなり少ない。
会話を交わすシーンでは、カットを割ることで処理している。
前作は1シーンだけだったが、今回はファミリーの登場シーンが多い。
そこで小刻みなカットバックばかり見せられると、ちょっとツラいものがある。
「特殊メイクによってエディーが複数の役を演じる」ということを売りにしているのなら、その見せ方にも精力を注ぎ込んで欲しいぞ。

今回はストーリーより何より、いかにクランプ家の面々に多く喋らせるかということに重きが置かれている。
その煽りを受けて、バディーの出番が少ない。
せっかく実体化したのに、シャーマンとバディーの関係で話を作ることよりも、ファミリーを登場させることに神経が行っている。そもそも 今回は1つの肉体に2つの人格が宿っているわけではないので、前作のような「二重人格に苦しめられる」という描写が出来ない。シャーマン から見て、バディは単なる別人として存在してしまう。
しかも、たまにバディーが画面に登場すると、祖母に迫られてアタフタしたりするので、キャラクターとしての立ち位置も微妙なことになっている。
ホントなら、常に余裕たっぷりでシャーマンを困らせる立場にいるべきだろう。
しかし、終盤になってシャーマンと対峙しても、あっさりと弱点を突かれて幼児にされちゃうし。

バカ映画だからキッチリとした科学的考証を求めようとは思わないが、それにしても「遺伝子を抽出した液体が犬の毛と合体すると バディー・ラヴが実体化する」というのは、あんまりだろう。
ギャグも、下ネタが多くて、その見せ方がイマイチなので、かなりツラい。
結局、これってエディー・マーフィーとリック・ベイカーさえいれば成立しちゃうフィルムだよな。


第23回スティンカーズ最悪映画賞

ノミネート:【最悪のリメイク・続編】部門
ノミネート:【最悪のグループ】部門[クランプ家の面々]

 

*ポンコツ映画愛護協会