『ナッツジョブ サーリー&バディのピーナッツ大作戦!』:2014、カナダ&韓国&アメリカ

オークトン市。ナッツが好きなリスのサーリーは、いつも相棒であるネズミのバディーと行動している。ナッツ屋台を見つけたサーリーは、食糧の強奪を企てた。一方、市内にあるリバティーパークでは、リーダーのラクーンを中心とする大勢の動物が共同生活を送っていた。彼らは冬を越すための食料を収穫し、大木の穴に集めていた。ナッツの屋台があると知ったラクーンは、リスのアンディーとグレイソンを調達役に指名した。
動物たちは知らなかったが、屋台は銀行強盗を目論む一味が下見をするために用意した物だった。屋台の店主に化けたフィンガーズと客を装うラッキーは、現金輸送車の到着を確認した。ガールスカウトの少女が来ると、フィンガーズは口にナッツを詰め込んで追い払った。すると少女は、警官を連れて戻って来た。警官はフィンガーズに、営業許可証の提示を求められた。アンディーは強奪の準備をしているサーリーに気付き、「何やってんの」と鋭く告げた。「先に来たのは俺とバディーだ。食糧を分けるつもりは無い」とサーリーが冷たく言うと、アンディーは「分けてもらうわ。パークはここ数年で一番食糧が少なくて困ってる」と話した。
アンディーが協力を持ち掛けると、サーリーは「自分以外はどうでもいい。生き残りたければ、お前もそうしろ」と述べた。フィンガーズとラッキーが警官に対応している隙に、サーリーはナッツを袋に詰めた。しかしブルドッグのプレシャスに見つかり、慌てて逃げ出した。プレシャスがレバーを押してしまい、屋台が勢いよく走り始めた。アンディーが慌てて制止しようとするが、屋台は転倒した。アンディーがナッツを集めようとすると、サーリーは松明を突き付けて脅した。
サーリーが松明を振り回したせいでタンクに引火し、また屋台は走り始めた。グレイソンが何とか屋台を止めようとしていると、サーリーは自分だけ脱出した。屋台はパークに突っ込み、大木に激突して爆発した。大木が炎上し、ジミーたちの巣穴に隠れていたサーリーが犯人として連行されてくる。アンディーが裁判を開くべきだと進言すると、ラクーンは追放を主張する。ラクーンの説得を受けて全員が賛同し、サーリーの追放処分が決定した。
サーリーが街へ向かうと、バディーも付いて来た。サーリーが威嚇して追い払うと、野ネズミたちが現れた。野ネズミたちがバディーを捕まえると、サーリーは檻で飼われているハトの群れを放って救出した。閉店後のナッツショップを見つけたサーリーは興奮し、すぐに侵入しようとする。彼が失敗を重ねている内に、強盗団のボスであるキングが出所して店に現れた。小窓から侵入したサーリーはバディーは、大量に仕掛けられたネズミ捕りを発見した。
キングはフィンガーズとラッキーに、新しい仲間のナックルズを紹介した。フィンガーズとラッキーが歓迎すると、ナックルズは無言で威圧した。キングは店の向かいに銀行があることを確認し、フィンガーズたちから計画を聞いた。プレシャスがサーリーに気付いて吠えると、フィンガーズが犬笛を吹いて黙らせた。笛の音が聞こえるナックルズは、耳を押さえて苦悶した。パークには3日分の食糧しか残っておらず、ラクーンはアンディーとグレイソンを街へ派遣する。出発する際、モールは鞄に入れた食糧をアンディーに渡した。
街に出たアンディーとグレイソンは、野ネズミに食糧の入った鞄を奪われた。ネズミを追ったグレイソンは走行する電車の屋根に飛び乗り、鞄を奪い返した。彼はアンディーに鞄を投げ、「頼むぞ。街を救ってくれ」と告げて姿を消した。ナッツショップにラナが来たので、キングは喜んだ。ラナは恋人のキングが足を洗ったと思い込み、「頑張ってね」と告げる。キングは彼女に、「オープンの日まで店のことは内緒にしてくれよ」と頼んだ。
またプレシャスがサーリーを見つけて吠えたので、フィンガーズが犬笛を吹いた。ナックルズは腹を立て、犬笛を奪って店の外へ捨てた。サーリーとバディーはプレシャスに追われ、店から逃走した。サーリーは犬笛を見つけ、それでプレシャスを何とか出来ると喜んだ。そこへアンディーが現れ、犬笛を拾った。彼女はサーリーが食糧を発見したこと、犬笛が関係あることを見抜いた。キングがドアを開けたのを目にしたサーリーとバディーは、急いで店の中へ走り込んだ。
地下室に入ったサーリーとバディーは、大量のナッツを発見する。プレシャスに見つかったサーリーは脱出しようとするが、石炭シュートの扉に体が挟まってしまう。アンディーは食糧を半分に分けるという条件を飲ませて、犬笛を渡した。サーリーがプレシャスを脅している内に、アンディーは地下室へ入った。プレシャスは「貴方を追い出さないと野犬収容所に戻される」と言い、友達にならないかとサーリーに持ち掛けた。
アンディーはナッツを運ぶためにトンネルを使おうと考え、ひとまず仲間の元へ戻ることにした。サーリーはバディーに、尾行を命じた。ラクーンは動物たちに、「サーリーとは協力するが、ナッツは全て頂く。約束は無効だ」と告げた。その様子を、バディーが密かに観察していた。翌日、ラクーンの指示を受けたジミー、ジョニー、ジェイミー、モール、アンディーは、トンネルを掘るためナッツショップへ向かう。そこへサーリーが現れ、「店に入るなら俺が必要だろ」と告げた。
サーリーはアンディーたちに、路地から地下室へトンネルを掘る計画を説明した。一方、キングはフィンガーズとラッキーに、「地下から警報のワイヤーを切断し、金庫の床を3分以内に爆破しろ。金とナッツの袋を摩り替え、州境を越える」と語った。ジミーたちがトンネルを掘っている間に、サーリーはプレシャスが開けた石炭シュートから地下室に入ってナッツを集める。誤って引火したダイナマイトを発見したサーリーは、ジミーが貫通させたトンネルを使って危機を回避した。トンネルからサーリーが出て来たので、アンディーは自分たちに協力してナッツを集めてくれたのだと勘違いした。
プレシャスが「今の騒ぎで収容所へ送られる。何とかして」と頼まれたサーリーは、協力することにした。サーリーはプレシャスに捕獲されて死んだフリをして、キングたちに「リスが店を爆破しようとしたのをプレシャスが阻止した」と思い込ませた。キング部下たちに、「穴はセメントで塞げ。石炭シュートも閉めておけ」と命じた。サーリーは穴の開いたゴミ箱を隠れ蓑にして、煉瓦の無いトンネルの上を掘るアイデアを思い付いた。
アンディーたちがラクーンへの信頼を口にすると、サーリーは不快感を示した。彼はバディーに、「ラクーンは悪党だ。嘘つきの糞ジジイだぞ」と憤りを吐露した。アンディーは彼に、ラクーンが裏切ろうとしていることを告白した。サーリーは「俺も協力する気は無い。大事なのは自分だけだ」と言うと、彼女は「ナッツが無ければパークのみんなは飢え死にするのよ」と非難した。一方、ラクーンはモールから報告を受け、サーリーの妨害工作を実施すると告げた。
モールの不審な動きを見つけたサーリーの前に、グレイソンが現れた。グレイソンは「大変だったんだ」と言い、サーリーに抱き付いた。彼との会話で、サーリーはモールの策略に気付いた。彼は急いでモールを追い払い、水道管のハンドルを戻そうとする。しかしハンドルが外れてしまい、ジミーたちが掘っていた穴と強盗団のトンネルに水が流れ込んだ。サーリーはプレシャスと協力し、ジミーたちを救出した。彼は逃げるモールを捕まえ、ラクーンが食糧をコントールしてパークを支配していることを白状させた。その間にグレイソンが現れたため、ジミーたちは彼が助けてくれたと思い込んだ。
サーリーはアンディーたちの元へ戻り、ラクーンが水を流した黒幕だと教える。しかしアンディーたちが信じようとしなかったため、彼は静かに立ち去った。ナッツを集めに戻った彼は、キングたちに捕獲された。キングが足を洗っていないことを知ったラナは、プレシャスを連れて去ろうとする。プレシャスが檻を見つめたため、彼女は檻からサーリーを解放した。サーリーがナッツを袋に詰めて去ろうとすると、ラクーンが野ネズミたちを率いて現れた…。

監督はピーター・レペニオティス、原案はダニエル・ウー&ピーター・レペニオティス、脚本はローン・キャメロン&ピーター・レペニオティス、製作はチョン・ウキョン&グラハム・モロイ&ダニエル・ウー&キム・ホン&ジェイ・アン&マイク・カーズ&ウィリアム・バインドリー&ハ・ホージン&トム・ユーン&キム・ヒュンコン、製作協力はナム・ビュンホ&キム・ホチョン&ハン・ウィリアム・ウージェ&チェ・ユン&シン・カンヨン&キム・ハクボム&ヤン・ミンソク&キム・ヤンジュン&ロバート・エックマン、編集はポール・ハンター、アート・ディレクターはイアン・ハスティングス、CGスーパーバイザーはブラッド・フォーク、アニメーション・スーパーバイザーはダリル・グレアム、ライティング・スーパーバイザーはスミット・スリ、音楽はポール・イントソン、音楽監修はジュリアン・ジョーダン。
声の出演はウィル・アーネット、ブレンダン・フレイザー、キャサリン・ハイグル、リーアム・ニーソン、スティーヴン・ラング、マーヤ・ルドルフ、ジェフ・ダナム、ガブリエル・イグレシアス、サラ・ガドン、ジェームズ・ランキン、スコット・ヤフェ、ジョー・ピングー、アニック・オボンスウィン、ジュリー・ルミュー、ロブ・ティンクラー、ジェームズ・キー、スコット・マッコード、ケイティー・グリフィン、サイ他。


ピーター・レペニオティスが2005年に製作した短編アニメーション映画『Surly Squirrel』をセルフリメイクした作品。
脚本はピーター・レペニオティス監督と『ハモンド家の秘密』『森のリトル・ギャング』のローン・キャメロンが共同で務めている。
サーリーの声をウィル・アーネット、グレイソンをブレンダン・フレイザー、アンディーをキャサリン・ハイグル、ラクーンをリーアム・ニーソン、キングをスティーヴン・ラング、プレシャスをマーヤ・ルドルフが担当している。
韓国の映画会社であるRedroverが製作に参加し、主題歌にはPSYの『江南スタイル』が使われている。
つまり、韓国主導の企画ってことね。

とても分かりやすい欠点として、「サーリーに主人公としての魅力が薄い」ってことが挙げられる。
登場シーンで彼はハトを蹴り飛ばし、巣穴を探って食糧を奪おうとする。屋台を止めようとするグレイソンから助けを求めれると、放置して自分だけ逃亡する。パークの大木が炎上すると、バカにしたように笑う。
食糧の強奪に関しては、アンディーたちだって同じことを企てていたわけだから、どっちが悪いという問題ではない。パークの動物たちは共同生活を送っていて、サーリーはバディーと2人で暮らしているというだけだ。そのことだけで、サーリーを悪者扱いする気は無い。
しかし、それ以外の部分で、のっけから嫌な奴としてのアピールが強い。

もちろん、そんな嫌な奴として登場させるからには、「そいつが考えを改めて変化していく」というドラマが待っているってのは誰でも容易に予想できるだろう。ただ、そんな独善的で傲慢な奴なんだから、パークの動物たちからは嫌われている設定にしておかなきゃダメなはずだ。
ところが、なぜかアンディーは大木が炎上しても彼を擁護し、裁判で正義の裁きをと訴える。ラクーンが追放処分を提案すると、最初は誰も賛同しない。最終的にアンディーは仕方なく賛同するが、申し訳なさそうな態度をサーリーに見せる。
それは違和感が強いぞ。
大木が燃えるってのは、パークの動物たちにとって大きな問題のはずだろ。アンディーがサーリーに謝ることなんて、何一つとして無いはずだろ。
それと、最終的にサーリーはヒーローとしてパークの動物たちを救っているけど、大木を燃やした行為については全く反省も謝罪もしていないからね。それはダメだろ。

パークからの追放が、いかにも重い処分なのかってのが全く伝わって来ない。
サーリーは「食糧も無いし、住む場所も無い」と言うけど、そもそも彼はナッツ屋台から食糧を奪おうとしていたわけで。それはパークにある食糧じゃなくて、街にある食糧でしょ。
また、そもそもサーリーが暮らしていた場所が描かれていないので、「どういう場所じゃなきゃ暮らせないのか」ってのも分からないし。
そこを「だってリスなんだから、街の暮らしが合わないのは当然でしょ」ってことで、すんなりと受け入れるのは難しい。
これが「森の動物」ってことなら、そこは分かりやすかったと思うのよ。でもパークにしても、街の真ん中にある施設だからね。

ラクーンはナッツ屋台へアンディーが向かおうとすると、グレイソンも連れて行くよう指示する。街へ派遣する時も、やはりグレイソンを同行させる。「みんなの士気が高まる」ってのが理由らしい。最初にグレイソンが登場した時にメスたちがウットリする様子があるし、彼はパークのヒーローとして見られているらしい。
ただ、どういう理由でヒーロー扱いされているのか、それがサッパリ分からない。彼がアンディーと行動している時の様子には、ヒーローらしさが乏しいからね。
だから、なぜラクーンがグレイソンの同行に固執するのかも分からない。
街に出た直後にネズミから鞄を奪還するグレイソンの行動は「いかにもヒーロー」って感じなので、そこで彼がヒーロー扱いされることは腑に落ちるようになっている。でも、彼のキャラ描写が上手くないことは事実だ。

こラクーンがサーリーを街へ追放したのは、「重罪への処分」という意味合いだ。つまり、それだけ街が危険な場所だと捉えているはずだ。
それなのに、食糧の調達にアンディーとグレイソンを差し向ける時は、特に心配する様子も無い。何か忠告することも無い。
それはパークのリーダーとして、あまりにも無責任じゃないかと。
そこは「アンディーが危険を承知で街へ食料の調達に行くことを志願し、他の手が無いので、ラクーンも危険だと思いつつ承諾する」という形にでもしておけば良かったんじゃないのか。

その後、ラクーンが「サーリーとの約束を無効にして、ナッツを全て頂く」と宣言するシーンがあって、「ああ、そういうことね」と理解した。
ようするに、ラクーンを「パークの動物たちを守ろうとする立派なリーダー」ではなくて、「歪んだ考えを持っているリーダー失格の野郎」にしておきたかったわけだ。
こいつを嫌悪すべきキャラにすることで、追放されたサーリーは決して悪くないという構図を作ろうという狙いなのかもしれない。
だけど結果としては、「どっちも好感の持てない奴らだな」という印象に繋がっている。

パークを追放された後のサーリーは、バディーを気遣う様子を見せるし、プレシャスが困っていると助けてやる。つまり、一匹狼ならぬ一匹リスとして行動しているだけで、性根は思いやりのある奴として描かれている。しかしパークへの協力という要素が絡んだ途端、冷淡な態度を見せるようになる。
ラクーンを嫌っているなら、それはそれでいいだろう。だが、それなら「なぜラクーンを極端に嫌うのか」という理由が必要だ。
並行して描かれるラクーンの様子を見ていれば、醜悪な奴ってことは伝わる。ただ、それをサーリーを知っていたから嫌悪したという形では描かれていないわけで。
あと、ラクーンはともかくパークの動物たちは、決して嫌悪すべき存在ではないはずで。なので、そいつらも嫌悪の対象に含める形となっているのも違うんじゃないかと言いたくなるし。
そこを「群れることを嫌う性格だから」ってことで納得するのは、無理な相談だわ。

アンディーから「ラクーンは貴方を裏切るつもり」と言われたサーリーは、とっくにバディーから聞いているので「俺も協力する気は無い。大事なのは自分だけだ」と告げる。
するとアンディーは、「最低ね。パークのみんなは、あのナッツが無いと生きられないのに」と批判する。
だけど、そもそも約束を無視して裏切ろうとしたのはラクーンの方だぞ。だからサーリーは、「だったら俺も協力しない」ってことになったわけで。
この件に関しては、サーリーが非難されることは何も無いぞ。ナッツの分け前を貰えないと分かっているのに、なんで協力しなきゃいけないのかと。

ラクーンはサーリーを嫌悪するだけでなく、アンディーたちまで始末しようと目論んでいる。それは「食糧をコントロールしてパークを支配する」という目的に関連しているのだが、ここがサッパリ理解できない。
ナッツが手に入らなかったら全員が死んじゃう可能性も高いわけで、なのにトンネルに水を流して邪魔するってのは、何の意味があるのか。それは、もはやコントロールとは言えないぞ。
そもそも、食糧の捜索にアンディーたちを派遣したのは自分なのに、それを邪魔するって支離滅裂じゃねえか。
「予想以上に多くの食糧が見つかったと知り、邪魔になった」ってことかもしれないが、だとしても説明が下手すぎて、その行動がデタラメなだけになっている。

サーリーたちの動きと並行して、強盗団が準備を進めて計画を実行する様子も描かれている。しかし、この2つが上手く連動していない。
強盗団が現金を奪って逃亡したり警察に追われたりする車の中で、動物たちの争いが繰り広げられるので、表面的には関わっているように思えるかもしれない。しかし、動物たちの話をメインとして捉えた場合、強盗団の動きは単なる背景に過ぎないのだ。
強盗団は動物たちの目的を知らないし、動物たちは強盗団が何をやっているのか全く分かっていない。この2つを繋ぐ物は、何も用意されていない。
だから、中盤辺りで感じた「強盗団って要らなくねえか?」という疑問は、最後まで解消されないままになってしまう。

(観賞日:2018年12月29日)

 

*ポンコツ映画愛護協会