『ナイト・アンド・ザ・シティ』:1992、アメリカ
ハリー・ファビアンはニューヨークの貧乏弁護士。ある時、ハリーはフィル・ナゼロスが経営する馴染みのバーで、フライ級ボクサーのサンチェスが喧嘩騒ぎを起こしたという新聞記事を見つける。ハリーは喧嘩相手に連絡して告訴するように仕向ける。もちろん、自分が担当して金を取るつもりだ。
ハリーはサンチェスが示談を持ち掛けてくるだろうと考えていた。しかし、意外にもサンチェスは法廷での対決を選ぶ。話をするために彼のボクシングジムへ向かったハリー。そこで彼は何人ものボクサーが練習に打ち込む姿を目にして、プロモーターになろうと考える。
サンチェスを担当するプロモーターはギャングの大物ブーン・ブーン・グロスマン。彼に歯向かっても勝ち目は無い。ハリーはブーン・ブーンの兄アルの元を訪れた。アルは心臓を患って療養していたが、ハリーと組んで古き良き時代のボクシングを復活させようと意気込む。
ハリーは試合をプロモートするため、フィルから資金を借りようとする。実はハリーはフィルの妻ヘレンと不倫関係にあるのだが、そのヘレンのサポートもあって、ハリーはフィルから資金援助の約束を取り付ける。
しかし予想以上に金が掛かり、ハリーは金策に走り回る。そんなハリーがアルと組んでいることを知ったブーン・ブーンは、アルに何かあったらタダでは済まないと脅す。一方、フィルはハリーとヘレンの関係を知ってしまう。
金策も尽きたハリーはフィルの元を訪れる。あっさりと資金援助を約束するフィル。だが試合当日になってフィルは金を払わず、ヘレンとのことで怒りを爆発させる。その場から逃げるように試合会場へ向かったハリー。会場では、若者の挑発に怒って興奮したアルが心臓発作を起こし…。監督はアーウィン・ウィンクラー、原作はジェラルド・カーシュ、脚本はリチャード・プライス、製作はジェーン・ローゼンタール&アーウィン・ウィンクラー、製作総指揮はハリー・J・アフランド&メアリー・ジェーン・アフランド、撮影はタク・フジモト、編集はデヴィッド・ブレナー、美術はピーター・ラーキン、衣装はリチャード・ブルーノ、音楽はジェームズ・ニュートン・ハワード。
主演はロバート・デ・ニーロ、共演はジェシカ・ラング、クリフ・ゴーマン、ジャック・ウォーデン、イーライ・ウォラック、バリー・プリムス、ジーン・カークウッド、アラン・キング、イグナシオ・スパラ、デヴィッド・W・バトラー、ゲリー・マーフィー、クレム・カサータ、アンソニー・カナロッシ、バイロン・ウテリー、マーゴ・ウィンクラー、モーリス・シュログ他。
1950年のリチャード・ウィドマーク主演作『街の野獣』のリメイク。
ハリーをロバート・デ・ニーロ、ヘレンをジェシカ・ラング、フィルをクリフ・ゴーマン、アルをジャック・ウォーデン、ブーン・ブーンをアラン・キングが演じている。アーウィン・ウィンクラーは、これが監督2作目。
1作目の『真実の瞬間』に続いてロバート・デ・ニーロを主演に起用しているのだが、それで満足してしまったのだろうか。妙に重いし、キレも無い。
もっと粋な雰囲気に酔わせないと、マズイんじゃないのかなあ。おそらく監督は、ホロ苦い人間ドラマを描こうとしたのだろうが、それが伝わってこない。ハリーが単にズルいだけの男なので、失敗しても全く同情できない。ボクシングに情熱を感じたわけではな、金儲けの道具に使おうとしているようにしか思えないし。
で、ハリーはアルのボクシングに対する純粋な気持ちを利用して、結果的には彼を追い詰めてしまう。さらにヘレンの自分に対する愛情も、金のために利用する。
「ズルいけど憎めない奴」として描きたかったのかなあ。
そのようには、全く感じられないが。