『ネゴシエーター』:1997、アメリカ

サンフランシスコ市警の刑事スコット・ローパーは、人質事件の交渉人。新聞社に勤務するロニー・テイトと付き合っているが、最近は上手くいっていない。スコットは、新人のケヴィン・マッコール刑事の教育係を指示され、特別ボーナスで引き受ける。
スコットの同僚サムは宝石強盗の重要参考人コーダについて調べていたが、エレベーター内で殺害される。後日、コーダは宝石店を襲撃し、人質を取って逃亡する。交渉人として現場に赴いていたスコットは、追跡の末にスコットを逮捕した。
コーダは従弟のクラレンスに命じて、ロニーを襲わせた。さらに刑務所を脱出したコーダは、ロニーを連れ去ってしまった。コーダはスコットに、彼女と引き換えに盗んだ1千万ドルの宝石を要求する。スコットはケヴィンと共に、指定された造船ドックへ向かった…。

監督はトーマス・カーター、脚本はランディー・フェルドマン、製作はロジャー・バーンバウム、共同製作はジョージ・W・パーキンス&レイ・マーフィーJr.&ランディ・フェルドマン、製作総指揮はマーク・リプスキー&ライリー・キャスリン・エリス、撮影はフレッド・マーフィー、編集はピーター・E・バーガー、美術はウィリアム・エリオット、衣装はハ・ニューエン、音楽はスティーヴ・ポーカロ。
主演はエディー・マーフィー、共演はマイケル・ラパポート、マイケル・ウィンコット、カーメン・イジョゴ、キム・ミヨリ、アート・エヴァンス、ポール・ベン=ヴィクター、ドナル・ローグ、ジェームズ・カーペンター、デヴィッド・マイケル・シルヴァーマン、デニス・アーント、チャールストン・ピアース、C・W・モーガン、ジョー・ヴィンセント、ディック・ブライト、ジェニ・チュナ他。


エディー・マーフィーがコミカルな要素を排除して、マジに挑んだ刑事アクション映画。
中盤にスコット&ケヴィンとコーダのチェイスがあって、ここは迫力があって充分な見せ場になっている。
ただし、この作品の評価ポイントは、それぐらいである。

笑いの枯れたエディーがアクション・ヒーローになろうと頑張って、やっぱり向いていないということが分かった作品だ。
例えば主役をマリオ・ヴァン・ピープルズ辺りが演じても面白さに大きな変化は無かっただろうし、むしろ余計な先入観を持たずに済む分、もっと面白くなったかもしれないとさえ思えてしまう。

単純な話、「これはエディの主演する映画なのか?」ということだ。
交渉人ということならば、エディーの得意なマシンガン・トークが生かせるはずだ。
しかし、実際には交渉トークに全く笑いは無いし、そもそも交渉人としての活躍はほとんど見せていない。何しろ冒頭の交渉シーンですら、途中で交渉を諦めて犯人を撃ってしまうのだから。

交渉人に交渉をさせず、主人公を魅力的なキャラクターとして描けなかったシナリオは、悪役に対しても同じ過ちを犯している。
コーダは冷静で抜け目が無い犯人のはずなのに、すぐカッとなって直情的に行動したりする。彼の行動はメチャクチャで一貫性が感じられない。マイケル・ウィンコットの悪役としての存在感に頼りすぎだ。

ケヴィンは相棒としての存在感をほとんど発揮できず、ほとんど終盤のアクションのためだけに登場したような感じになっている。
で、全てが終わり、スコットはロニーと無駄トーク。
でも遅すぎるし、蛇足になってるし、ちっともマシンガンじゃないし。

 

*ポンコツ映画愛護協会