『トワイライト〜初恋〜』:2008、アメリカ

17歳の高校生ベラ・スワンは、アリゾナ州のフェニックスで離婚した母レニーと2人暮らしをしていた。しかし母の再婚を機に、父の チャーリーと暮らすことにした。ベラはチャーリーが警察署長を務めているワシントン州の小さな町フォークスへやって来た。そこでの 生活は喜んで選択したことではなく、真面目すぎる父との関係もギクシャクしてしまう。チャーリーの友人であるキラユーテ族のビリーと 、その息子でベラの幼馴染ジェイコブが家を訪ねてきた。チャーリーはビリーから買い取った車をベラに与えた。
転校初日、ベラが登校すると、新聞部のエリックとアンジェラ、同級生のマイクやジェシカといった面々が明るく話し掛けて来た。だが、 ベラはなかなか打ち解けられない。学食にいた彼女は、通り掛かった5名の男女が気になり、ジェシカとアンジェラに尋ねた。それは 外科医カーライル・カレンと妻エズミの養子エドワード、アリス、ジャスパー、ロザリー、エメットだった。ジェシカたちによると、彼ら は実際の家族ではないが一緒に住んでおり、周囲とは関わろうとしないのだという。
ベラはカレン家の子供たちの中でも、特にエドワードの存在が気になった。ジェシカは「ゴージャスで完璧。でも釣り合う子がいないの。 言っておくけど、狙っても無駄よ」と言う。生物の授業の際、ベラはエドワードの隣の席になった。エドワードは一言も発しなかったが、 しばらくベラを凝視した。授業が終わると、彼は足早に教室を出て行った。庶務課を訪れたベラは、エドワードが「別のクラスに移して ほしい」と言っているのを耳にした。
翌日以降、ベラはエドワードに声を掛けようとするが、彼が登校しない日が続いた。翌週、チャーリーは鉱山で人が獣に襲われたという 通報を受け、捜査に出掛けた。登校したベラは、久々にエドワードの姿を見た。すると彼の方から「ごめん、先週は自己紹介も出来ずに」 と話し掛けて来た。軽く会話を交わした後、エドワードから「どうして、この町に?」と訊かれたベラは、「ママが再婚して。再婚相手の フィルはマイナーリーグの選手で引っ越してばかりだから、ママと一緒だと上手くいかないと思った」と答えた。
エドワードの瞳を見たベラは、「貴方の瞳、前は黒かったのに、今は金色だわ」と指摘する。エドワードは「照明のせいさ」と誤魔化して 立ち去った。放課後、ベラが駐車場にいると、タイヤがスリップした同級生タイラーの車が突っ込んで来た。その時、離れた場所にいた はずのエドワードが瞬時にベラの近くへ移動し、右手で車を止めて彼女を救った。ベラが驚愕していると、エドワードは去った。
ベラは念のために病院へ運ばれ、カーライルの診察を受けた。病室を出たベラは、エドワードがロザリーに「助けなきゃ彼女が死んでた」 と説明し、「貴方だけの問題じゃないわ、私たちみんなが迷惑するの」と責められているのを目撃した。ロザリーが去った後、ベラは エドワードに「貴方は素手で車を受け止めたわ」と指摘する。「誰も信じない」と言うエドワードに、彼女は「ホントのことを教えて」と 要求した。するとエドワードは不機嫌になり、「余計なお世話だったみたいだね」と告げて去った。
課外授業に出掛ける日、ベラはマイクからプロムに誘われる。しかしベラは、その向こうにエドワードのことばかり気にしていた。彼女は マイクに、「ジャクソンビルに行く予定があるの。ジェシカを誘ってあげて」と言って断った。課外授業の現場で、ベラはエドワードから 「ジャクソンビルに何しに行くの?」と問われ、「ママたちがいるの」と答えた。ベラはエリックたちから、キラキーユ族のビーチである ラ・プッシュに誘われる。彼女はエドワードを誘うが、「天気も悪いし」と断られた。
ベラが友人たちとビーチを訪れると、そこにジェイコブが友人を連れてやって来る。カレン一家のことを気にして質問するベラに、彼は 「僕ら一族の祖先は狼だと言われている。これはキラキーユ族に伝わる話だけど、カレン家と敵対していたらしい。そこで争いになる前に 、キラキーユ族の土地には入らなければ正体は明かさないという盟約を交わしたらしい」と語った。同じ頃、ボート小屋にいたワイロンは 、ローラン、ジェームズ、ヴィクトリアという3人組に襲われた。
ベラはキラユーテ族の伝説についてネットで調べ、関連書籍を売っている書店がポートエンジェルスにあることを知った。フォークスの町 が珍しく晴れた日、登校したベラがエドワードを捜していると、ジェシカが「彼なら来ないわよ。お天気の日は、カレン一家は来ないの」 と教えた。ジェシカとアンジェラがプロム用のドレスを買いにポートエンジェルスへ行くと言うので、ベラは同行することにした。彼女は 2人と別れて書店へ行き、目当ての本を購入した。
書店を出たベラは、不良グループに襲われた。そこへエドワードが車で駆け付け、睨み付けただけで不良グループを怯ませた。ベラを車に 乗せたエドワードは、不良グループたちに対する激しい怒りを示した。ベラはエドワードに誘われ、レストランに入った。エドワードは何 も注文せず、「ダイエットの最中なんだ」と言う。ベラが「あそこにいるって、なぜ分かったの」と訊くと、彼は答えをはぐらかす。ベラ が苛立って立ち去ろうとすると、彼は「君を守りたくて」と口にした。
エドワードが「遠くで見ているつもりだったけど、あいつらの声が聞こえたから」と言うので、ベラは「声が聞こえたって?貴方は人の心 が読めるの?」と質問した。エドワードは「ここにいる君以外の人間の心は読めるよ。君だけは何も無い。それが残念だ」と述べた。 それから彼は深く溜息をついて、「これ以上、意地を張っていられる自信が無い」と言う。帰りの車でエドワードの手に触れたベラは、 異常に冷たいことに驚きを隠せなかった。
ベラはパトカーが出動しているのを見て、エドワードに警察署で車を停めるよう頼んだ。そこにはカーライルの車も停まっていた。警察署 から出て来たカーライルは2人を見つけ、「ワイロンの死体が発見された。獣にやられたんだ。隣町の事故と同じだ」と言う。帰宅した ベラは購入した本を読み、ネットも使って調査する。そして彼女は、カレン家の面々がヴァンパイアだという結論に辿り着いた。
翌日、学校の近くの山中で、ベラはエドワードを問い詰めた。するとエドは太陽の昇る山の頂上へ連れて行き、「僕が陰から出ない理由は 、これさ。すぐにバレる」と言う。太陽の光に当たると、彼の皮膚はキラキラと輝いた。エドワードが「僕は生まれついての殺し屋だ。君 も殺そうとした」と口にすると、ベラは「私は貴方を信じてる」と言う。エドワードは「僕らの一族は動物の血しか吸わない。喉の渇きを 制御できる。だけど君の香りは、僕を狂わせる。このまま自分を抑制できるか分からない」と心の内を吐露した。
エドワードが「君の心が分からない。声にしてくれないと」と言うと、ベラは「怖いわ。貴方じゃなくて、貴方を失うことが」と告げる。 「君は僕の運命の相手だ」とエドワードは言い、2人は互いに愛していることを確かめ合う。翌朝、ベラはエドワードの車で登校し、 みんなの注目を浴びる。ベラはエドワードに、「ヴァンパイアって噛まれたらなれるの?」と質問した。エドワードは「それが出来るのは カーライルだけだ。でも、彼は無闇にそんなことをしない」と言う。
ベラはエドワードから、自宅に招待された。ロザリーは攻撃的な態度を示すが、他の面々は歓迎した。予知能力のあるアリスは「いずれ ベラと私は友達になる」と言い、新入りのジャスパーに「彼女は食事じゃないからね」と注意する。エドワードの部屋に入ったベラは、 彼らが眠らないことを知った。エドワードはベラを背負って窓の外に飛び、木の上を素早く移動して美しい景色を見せた。
ベラがチャーリーと食堂にいた時、店員のコーラが父に「ワイロンの事件で何か手掛かりは見つかった?」と尋ねてきた。チャーリーは 「現場で人の足跡が見つかったが、所轄の保安官に任せた」と言う。ベラが部屋で母と電話していると、急にエドワードが出現した。ベラ は慌てて電話を切った後、エドワードとキスをした。後日、ベラはエドワードから家族での野球大会に誘われた。広大な草地で遊んでいる と、ローランたちが現れた。彼らは放浪ヴァンパイアで、ワイロンを殺したのは血を吸うためだった。彼らはカレン家の面々とは違い、 人間の血を吸うのだ。ジェームズはベラに気付き、彼女を次の標的に決めた…。

監督はキャサリン・ハードウィック、原作はステファニー・メイヤー、脚本はメリッサ・ローゼンバーグ、製作はグレッグ・ ムーラディアン&マーク・モーガン&ウィク・ゴッドフリー、共同製作はジェイミー・マーシャル、製作協力はパトリック・トーマス・スミス、製作総指揮はカレン・ ローゼンフェルト&マーティー・ボーウェン&ガイ・オゼアリー&ミシェル・インペラート・スタービル、撮影はエリオット・デイヴィス 、編集はナンシー・リチャードソン、アート・ディレクターはクリストファー・L・ブラウン&イアン・フィリップス、 衣装はウェンディー・チャック、音楽はカーター・バーウェル、音楽監修はアレクサンドラ・パットサヴァス。
出演はクリステン・スチュワート、ロバート・パティンソン、ビリー・バーク、ピーター・ファシネリ、エリザベス・リーサー、キャム・ ギガンデット、アシュリー・グリーン、アナ・ケンドリック、ニッキー・リード、テイラー・ロートナー、ケラン・ラッツ、ジャクソン・ ラスボーン、マイケル・ウェルチ、ギル・バーミンガム、ジャスティン・チョン、クリスチャン・セラトス、ホセ・ズニーガ、ラシェル・ ルフェーブル、エディー・ガテギ、サラ・クラーク他。


アメリカで大ベストセラーとなったステファニー・メイヤーの小説『トワイライト』シリーズの第1巻を基にした作品。
ベラをクリステン ・スチュワート、エドワードをロバート・パティンソン、チャーリーをビリー・バーク、カーライルをピーター・ファシネリ、エズミを エリザベス・リーサー、ジェームズをキャム・ギガンデット、ジェシカをアシュリー・グリーン、ジェシカをアナ・ケンドリック、 ロザリーをニッキー・リード、ジェイコブをテイラー・ロートナー、エメットをケラン・ラッツ、ジャスパーをジャクソン・ラスボーン、 マイクをマイケル・ウェルチ、ビリーをギル・バーミンガムが演じている。

放題に付けられた「初恋」というサブタイトルは、陳腐だし余計だと思っていたのだが、いざ観賞してみると、それは中身に合致した タイトルだと分かった。
きっと配給会社の担当者は、この映画の陳腐さを読み取った上で、そのサブタイトルを付けたのだろう。
日本は平和ボケしているとか良く言われるけど、こういう映画が大ヒットするってことは、なんだかんだ言ったところで、アメリカも それなりに平和なんだなあと思うよ。

エドワードは吸血鬼だという設定には、それほど重要性は無い。
そういう表現だと語弊があるかもしれないが、そこが吸血鬼でなければ成立しない話なのかというと、そうでもないってことだ。
あくまでもティーンズの恋愛劇がメインであり、吸血鬼という設定は、その恋愛に障害を与えるための設定に過ぎない。
「許されない恋愛」の仕掛けとして、吸血鬼という設定を使っているに過ぎない。

前半に放浪ヴァンパイアたちが1シーンだけ登場するが、そいつらが話に絡んで来るのは、ほんの少しだけだ。
映画が始まってから80分が過ぎて、ようやくベラやエドワードたちと絡んでいる。メインディッシュの付け合わせ程度。いや、その程度も 無いかな。
で、ジェームズはベラに目を付けるのだが、彼女が身を隠すと、母親を人質にして誘い出す。
もはや吸血鬼でも何でもない。ただの犯罪人じゃねえか。
なんちゅうショボくれた手口を使うのかと。もっとモンスターらしいやり方をしろよ。
カレン一家の連中だけでなく、悪玉の面々にしても、ヴァンパイアである意味は薄い。

そんなわけだから、ホラーとしての味付けは全く無い。それどころか、別の一族との対立という図式があるにも関わらず、アクションと しての盛り上がりも無い。
とにかく本作品は、若い男女の恋愛劇を描くことに特化して作られている。
その恋愛劇を、どういうテイストで描いているかと言えば、まあ少女漫画だよね、完全に。それも、かなりオールド・ファッションドな 匂いの強い少女漫画だ。
ただ、アメリカには少女漫画という文化は無いわけだから、ハーレクイン・ロマンスのティーンズ版という感じなのかもしれない。
この映画の日本における興行成績は、アメリカに比べて全く振るわなかったが、その原因は、日本では少女漫画の文化があるため、「もう 使い古されたようなネタ」「過去に少女漫画で読んだような話」という印象を受けた女性が多かったからかもしれない。

ものすごくスローに話が進行していく。
丁寧に描写しているとか、厚みや深みを持たせるために時間をたっぷりと費やしているとか、そういうことではない。単純に歩みが ノロノロしているだけだ。
最初の内はベラを避けていたはずのエドワードが簡単にベタベタするようになるとか、ベラが簡単にエドワードを好きになるとか、恋愛劇 の中身はユルユルでペラペラだ。
恋愛劇を盛り上げるための繊細な描写は無いので、特にエドワードは説明的なセリフを喋ることを強いられている。

ベラがエドワードの正体を探る展開も、ただ退屈なだけ。
そもそも「エドワードがヴァンパイアなのは、映画を見る前から大半の観客が知っている」ってのもあるけど、そういうことを除外しても 、その展開にミステリーとしての面白味を感じない。
他にメインの話があって、正体の追及は複数のサブエピソードの内の一つということなら、大した傷にはならなかったかもしれない。
しかし、かなりの比重を使っており、それを探っている間は、そこが物語のメインになっている。

ベラは「エドワードはヴァンパイアではないか」という推測に辿り着くと、何の迷いも無く、あっさりと信じる。「まさか、そんなことは 有り得ない」と打ち消すようなことは無い。さらに詳しく文献やネットを使って調べてみようとか、エドワードやカレン一家を探って みようということは無い。確信を持ってエドワードを問い詰めている。
ファンタジーに対して、ものすごく順応性が高いのね。
さらにスゴいことに、ベラはエドワードがヴァンパイアだと知っても、生まれついての殺し屋だと言われても、「私は平気よ」「私は気に しない」と口にする。
恋する女は、それぐらい夢中になれるってことらしい。
エドワードって、急に部屋に入って来たり、勝手に寝顔を見ていたりするんだから、ほとんどストーカーみたいなモンだけど、それをベラ は全く嫌がらない。
恋は盲目とは、このことだね。
なんせ「貴方と永遠に一緒にいたいから、私もヴァンパイアになりたい」とか言い出す始末なんだから。

ともかく、100パーセント混じりっ気無しに、女性向けの映画だということは確かだ。
主にティーンズ向けだとは思うが、それ以外にも「いつか白馬の王子様が迎えに来てくれる」と本気で信じているような女性なら、年齢を 問わず、ハマれるのかもしれない。
ただし、今のご時世だと、そういうタイプの女性たちは、ロバート・パティンソンよりも韓流スターやK-POP歌手に夢中になる傾向が強いかもしれない なあ。

隅から隅まで浮世離れした話であり、瞳のキラキラしたキャラが出て来そうな古い少女漫画の世界だから、そういうのが好きじゃない人、 全くハマることの出来ない人は、なかなか受け付けないかもしれない。
そういう人が本作品を楽しむためには、「いちいちツッコミを入れながら観賞する」という方法が考えられる。
ようするに、昔の大映ドラマを見るような感覚で鑑賞するってことだ。
ただ、そこまで無理をして観賞する必要があるのかと問われると、「別に無いけどね」と答えるしかない。
でも少女漫画が好きな人、ロバート・パティンソン目当ての人、ポンコツ映画が好きな人なら、それなりに楽しめるんじゃないかな。

(観賞日:2012年3月3日)

 

*ポンコツ映画愛護協会