『トップガン』:1986、アメリカ
マーベリックは友人グースと共に、世界最高のエリートパイロットを要請する訓練学校に入ることになった。マーベリックはそこで出会った女性を口説くが、それは教官のチャーリーだった。2人はすぐに親密な関係になる。
自分の能力に自信を持つマーベリックは、自分がトップで卒業すると確信していた。彼は訓練で自分勝手な行動を取り、教官のヴァイパー達から注意される。ライバルのアイスマンは、そんなマーベリックに対して、仲間のことを考えていないと非難する。
それでもマーベリックは、無謀な飛行をやめなかった。ある日の訓練中、エンジンが停止して機体が制御不能となる。マーベリックとグースは、スピンして落下する機体から脱出する。しかしグースは脱出の際にキャノピーに激突し、命を落とした。
自分のせいでマーベリックを死なせたと思い悩んだマーベリックは退学を考えるが、ヴァイパーの言葉に励まされて卒業式に出席した。そこへ緊急事態が発生したと連絡が入り、マーベリックはアイスマン達と共に実戦に挑むことになる…。監督はトニー・スコット、脚本はジム・キャッシェ&ジャック・エプス・Jr.、製作はドン・シンプソン&ジェリー・ブラッカイマー、製作総指揮はビル・バダラート、撮影はジェフリー・キンボール、編集はビリー・ウェバー&クリス・リベンゾン、美術はジョン・F・デクイアJr.、衣装はロバート・R・ベントン、音楽はハロルド・フォルターメイヤー。
主演はトム・クルーズ、共演はケリー・マクギリス、ヴァル・キルマー、アンソニー・エドワーズ、トム・スケリット、マイケル・アイアンサイド、ジョン・ストックウェル、バリー・タブ、リック・ロソヴィッチ、ティム・ロビンス、クラレンス・ギルヤードJr.、ウィップ・ヒューブリー、ジェームズ・トルカン、メグ・ライアン、エイドリアン・パスダー、ランダル・ブレイディ、デューク・ストラウド他。
エリートパイロットの訓練学校を舞台にした作品。
マーベリックをトム・クルーズ、チャーリーをケリー・マクギリス、アイスマンをヴァル・キルマー、グースをアンソニー・エドワーズ、ヴァイパーをトム・スケリットが演じている。他に訓練生の1人としてティム・ロビンス、グースの妻としてメグ・ライアンが出演している。とにかく、まず音楽と映像ありきである。
“MTV感覚”という表現が、ピッタリとハマる作品だ。
最初に音楽があって、それに合う映像をくっ付けたという感じだ。いや、あるいは最初に戦闘機の映像があって、それに合う音楽をくっ付けたという感じかもしれない。まあ音楽と映像、どちらが先にせよ、その2つだけが大事だということだ。
ストーリーなんて、どうだって構わないということだ。
例えば恋愛模様や、熱い友情や、若者の成長といった、物語を形成するための要素なんかは、どうでもいいということだ。音楽と映像の心地良さに観客を浸らせるために、この作品は出来る限り思考能力を低下させるように巧妙に作られている。だから、1つ1つのエピソードとか、ストーリーとか、そういうのはペラペラにしてある。
物語に入り込まれると困るからだ。ストーリーが薄いので、例えばマーベリックのグースが死ぬという悲劇のシーンが訪れても、見事なぐらいに何も感じない。マーベリックの心の葛藤が描かれているようだが、やっぱり何も感じない。
それでいいのだ。何しろ、これは音楽と映像のマッチングを楽しむ作品なのだから、厚くて深いドラマなんて邪魔なだけなのだ。これは、ジョルジオ・モロダーが作曲し、アカデミー賞で主題歌賞を受賞したベルリンの『愛は吐息のように』や、ケニー・ロギンスのヒット曲『デンジャー・ゾーン』を聞きながら、ミュージックビデオを見るような感覚で観賞すべきフィルムなのである。
「戦闘機パイロットってカッコイイじゃん!」と思わせたら、それだけで大成功なのだ。