『ティン・カップ』:1996、アメリカ
ロイ・マカヴォイ、あだ名はティン・カップ。彼はテキサス州西部のゴルフ場でレッスン・プロとして働いている。大学時代は有望なゴルファーとして知られていたが、今では親友のロミオ達と共にギャンブルに明け暮れる気楽な生活を送っている。
ある日、美人精神科医モリー・グリスウォルドがレッスンを受けにやって来た。彼女に一目惚れするティン・カップ。だが彼女はプロゴルファー協会の大スターで自分のライバルでもあったデイヴィッド・シムズの恋人だった。
彼女の愛を勝ち取るため、全米オープントーナメントに出場してシムズを打ち負かそうと考えるティン・カップ。出場審査で常に危険を追い求めるリスキーなプレーをするティン・カップ。それが彼のゴルフスタイルなのだ。
審査に受かったティン・カップは全米オープンに出場するが、初日は83という散々なスコア。しかしモリーのサポートもあり、2日目には一気に上位にのし上がる。そして最終日、トップ争いをするシムズと共にラウンドするティン・カップは最終の18番ホールを迎える…。監督はロン・シェルトン、脚本はジョン・ノーヴィル&ロン・シェルトン、製作はゲイリー・フォスター&デヴィッド・レスター、製作協力はケリー・デイヴィス&カリン・フルード、製作総指揮はアーノン・ミルチャン、撮影はラッセル・ボイド、編集はキンバリー・レイ&ポール・シーダー、美術はジェームズ・ビッセル、衣装はキャロル・オディッツ、音楽はウィリアム・ロス。
主演はケヴィン・コスナー、共演はレネ・ルッソ、ドン・ジョンソン、チーチ・マリン、リンダ・ハート、デニス・バークリー、レックス・リン、ルー・マイヤーズ、リチャード・ラインバック、ジョージ・ペレス、ミッキー・ジョーンズ、マイケル・ミルホーン、ゲイリー・マッコード、クレイグ・スタッドラー、ピーター・ジェイコブセン他。
わざとらしい大げさな演出は別に構わないが、ギクシャクした感じが強いのは頂けない。例えばティン・カップとロミオが仲違いする場面も唐突で無理があるし、他にも「なんで?」と思うシーンが多くある。
不自然な展開を不自然と感じさせてしまうのは、説明が足りないからだろうか。ギクシャク感はキャラクターにもあって、だからティン・カップはドン・キ・ホーテとしての魅力に欠けている。モリーなどは単なるバカ女にしか見えない。ティン・カップに対して「無理しろ」と言った直後に「無理するな」と言ったりする。どっちなのさ。簡単に恋人を乗り変えるし。
全米オープンの最終ホールが見せ場だが、そこにも面白味が無い。ティン・カップが迎えるピンチが自分で招いたものだという展開は違うよなあ。
ラストも単純な「大成功のハッピーエンド」で良かったと思うけどなあ。無理にひねったせいで、妙に間延びしたクライマックスになった気が。