『ターミネーター4』:2009、アメリカ&ドイツ&イギリス&イタリア

2003年、死刑を間近に控えた囚人マーカス・ライトの元に、セレナ・コーガン医師がやって来た。「同意書にサインしてくれれば、貴方は 実験に献体することになる。それが貴方の2度目のチャンス。私たちの研究を通し、貴方は再び生きる」と説得するセレナに、マーカスは 「俺の罪を知ってるか。俺のせいで兄と警官2人が死んだ。2度目のチャンスは要らない。俺以外にも死刑囚はいるんだろ。俺がアンタの 癌を治せるっていうのか」と拒絶姿勢を示した。「自分のことなんかどうでもいい。私が心配しているのは未来の人類のことよ」とセレナ が言うと、マーカスは「ならキスと交換だ」で強引にキスし、サイバーダイン社の同意書にサインした。
21世紀初頭、自我に目覚めた軍事プログラムのスカイネットは人類を脅威だと判断し、核攻撃を仕掛けた。生き残った人類はその日を 「審判の日」と呼び、人類にとって新たな悪夢、マシーンとの戦争が始まった。スカイネットは人間を抹殺するため、ターミネーターを 作り出す。戦いが激化し、抵抗軍が絶望感を募らせる中で、一人の救世主が現れた。その男こそ、ジョン・コナーである。
2018年。抵抗軍のジョン・コナーはコンピュータのデータを奪うため、仲間たちと共にスカイネットへ侵入した。なぜか警備のマシーンが 見当たらない中、部隊は警戒しながら通路を進む。するとコンピュータ室では数名の人間が檻に閉じ込められていた。サンフランシスコへ 連行され、新しいターミネーターの実験にされるのだ。コンピュータのデータを司令部へ送ろうとする際、コナーは新しいターミネーター であるT-800のデータを見つけた。
コナーは部隊の指揮官から、地上で待機しているユニットへの連絡を命じられる。コナーが地上に戻ると、待機していたユニットは全滅 していた。人間の骨が乗ったヘリが飛び去ったため、コナーはヘリで追跡しようとするが、攻撃を受けて墜落した。T-600に襲われた彼は 必死に反撃し、何とか倒した。地下の面々も殺され、生き残ったのはコナーだけだった。コナーが回収に来たヘリで飛び去った直後、大雨 の中にマーカスが現れた。
コナーは基地に戻らず司令部へ行こうとするが、機密事項だとして位置を教えてもらえない。コナーは司令部が海の中だと察知し、「俺を 回収しろと伝えろ」と操縦士に告げてヘリから降下した。抵抗軍の司令部である潜水艦が、彼を回収した。アッシュダウン将軍は「人類を 救うと予言された男か。勝手な行動をすると大勢の命が危険にさらされることになるんだぞ。ハッキリ言っておくが、私は予言を信じない 。未来は一瞬にして変えられる」と吐き捨て、「ここに何をしに来た?」と問い掛けた。
コナーが「俺たちは何を見つけたんだ」と訊くと、ロゼンコ将軍が「この戦争を終わらせるための答えだ。マシーンは短波通信機によって 通信している。地下で見つけたデータから、通信用のシグナルを特定できた。そのシグナルを使えばマシーンをコントロールできる」と 説明した。スカイネットのスイッチをオフにすることも出来るという。コナーが「俺に貸せ。俺がテストする」と言うと、アッシュダウン は「これが上手く行けば4日後に総攻撃だ」と告げ、シグナルのコードを渡した。
コナーの「なぜ4日なんだ?」という質問に、ロゼンコは「入手したスカイネットのキルリストによれば、ここにいる全員が週末までに 殺される。お前はリストの二番目だ」と答えた。コナーが「一番目は誰だ」と尋ねると、「民間人だ。名前はカイル・リース」という言葉 が返って来た。コナーは自分の父親となるカイルが狙われていると知り、驚愕する。自分のユニットが待つ基地に戻ったジョンは、仲間の バーンズに彼の兄が死んだことを知らせた。
ジョンは自室でテープレコーダーを取り出し、母親であるサラの残したメッセージを再生する。サラは「お前が見つける父親のカイルは、 お前より若い10代でしょう。彼を見つけて過去へ送らなければお前は産まれないし、スカイネットは戦争に勝つ」と告げていた。コナーの 妻ケイトはシグナルテストに関して、「まずは小さくて慣れた相手、ハイドロボットを見つけて試してみて」と促した。
崩壊した町を歩いていたマーカスは、いきなりT-600の攻撃を受ける。そこへカイルが現れ、彼を突き飛ばして銃撃から救った。カイルは T-600をクレーンで宙吊りにすると、「生きたければ一緒に来い」とマーカスに告げた。2人は一緒に逃走し、カイルが面倒を見ている 少女スターが建物の屋上から車を落下させてT-600を退治した。マーカスは「あれは何だ?」と怒鳴る。彼は今日が何年の何日なのか、何 があったのか、まるで分かっていなかった。
マーカスが「この町を出ないと」と口にすると、カイルは「徒歩じゃ無理だ。T-600に追い付かれる」と言う。「車が必要だ」とマーカス が告げると、カイルは「グリフィス天文台に何台かあるが、壊れていて動かない」と述べた。航空機型ターミネーターのハンターキラーが 飛来し、建物の横を通過していった。一方、コナーたちはハイドロボットを捕まえ、シグナルを発信し続ければ効果があることを確認した 。コナー小型の短波発信機を作ってもらい、外でテストすることにした。
カイルはマーカスを隠れ家へ案内した。マーカスが「他の人間は?」と訊くと、彼は「町を出た」と言う。「なんで残ってる?」という 質問には、「抵抗軍だからさ。LA支部だ」と答える。しかしカイルは正式な抵抗軍のメンバーではなく、そう自称しているだけだった。 コナーはラジオを通じ、「我々は戦いで愛する者たちを失ったが、まだ仲間は大勢いる。世界中に抵抗軍がいる。生死を決する時だ」と 世界に訴える。マーカスはラジオを修理し、その放送をカイルたちも聴く。コナーは「奴らは人間を殺すため、新しいターミネーターを 作り出している。スカイネットは大規模な作戦を立てている。しかし抵抗軍はもっと大きな作戦を用意している。私はジョン・コナー。 これを聴いている君は、抵抗軍の一員だ」と語る。カイルは感銘を受け、コナーを見つけたいと考えた。
翌朝、マーカスが車を修理していると、カイルは「東へ行くべきだと思うんだ。砂漠を越えれば、きっと抵抗軍に合流できる」と言う。 しかしマーカスは「北に向かう。人を捜している」と異なる考えを口にした。「北部はマシーンが支配している。近付いたら危険だ」と カイルが言うと、マーカスは一人で北へ向かおうとする。カイルは腹を立て、「人間とマシーンの違いを教えてやる。人間は死者を葬る。 アンタは埋葬してもらえないぞ」と告げた。
そこへ偵察用ターミネーターのエアロスタットが来たため、マーカス、カイル、スターは慌てて車に乗り込んだ。ロサンゼルスで敵の動き が活発になっていると知らせを受けたコナーは、「誰かが襲われている。救助に向かわせろ」と指示し、ブレアたちが戦闘機で出撃した。 マーカスたちが壊れたコンビニに立ち寄ると、そこを根城にする一団が現れて銃を向ける。だが、リーダーである老婆のヴァージニアが 来て、銃を下ろすよう指示した。
カイルが「抵抗軍を捜しに来ただけだよ」と言うと、レンという男が「マシーンと戦うなんて無理だ。おとなしくしてりゃ見つからない」 と鼻で笑う。しかしヴァージニアはカイルたちに食べ物を分け与えた。そこへ人類捕獲型ターミネーターのハーヴェスターが現れ、そこに いた人々を捕まえて輸送用ターミネーターのトランスポートに収容していく。コナーとカイルはガソリンを爆発させて退治しようとするが 、ハーヴェスターにダメージを与えることは出来なかった。
ハーヴェスターはバイク型ターミネーターのモトターミネーターを差し向け、マーカスたちの乗る車を攻撃する。さらにハンターキラーも 現れ、カイルとスターはトランスポートに捕獲される。マーカスが助けに行くが、ハーヴェスターに襲われた。そこへブレアの戦闘機が 到着するが、新たなハンターキラーが来て襲われたので脱出した。マーカスは川に落下し、トランスポートは北西へ飛び去った。
パラシュートで脱出したブレアは、マーカスと遭遇した。トランスポートの後を追うと言うマーカスに、ブレアは「友達が捕まっている なら、死んだも同然よ。追い掛けたらアンタも死ぬ」と忠告する。マーカスが「それは慣れてるし、しばらく死んでた」と口にすると、 彼女は「一緒に基地へ来ない?マシーンと戦うなら、コナーと話すべきよ」と持ち掛けた。基地へ向かう途中で休息していると、武装集団 が現れてブレアを手籠めにしようとする。そこへマーカスが駆け付け、全員を叩きのめした。
ブレアは火を起こした後、「ちょっと寒い」とマーカスに体を寄せ、「心配しないで、温めてもらうだけよ」と言う。ブレアが「助けて くれてありがとう。いい人って最近は滅多にいない」と言うと、マーカスは静かに「俺も違う」と否定する。「いい人よ。まだ知らない だけ」とブレアが言うと、「二度目のチャンスってあると思うか」とマーカスは訊く。ブレアは「あるわ、きっと」と答えた。
コナーはバーンズと共に、スカイネットの死の谷へ赴いた。シグナルが大きなマシーンに対しても効くか確かめるためだ。遠くにある車を 爆破して敵を待っていると、ハンターキラーが飛来した。シグナルのレベルを上げると、ハンターキラーは機能停止して墜落した。コナー がアッシュダウンにテストの成功を報告すると、明日の総攻撃を告げられる。「お前のユニットはスカイネット・セントラルの爆撃を援護 しろ」という命令に、コナーは「捕まった人々の救出はどうする」と尋ねる。「そんなことは考えていない。爆撃あるのみだ」という言葉 に「スカイネット・セントラルに捕まった人が大勢いる」とコナーは反発するが、アッシュダウンは「勝利とは犠牲を伴うものだ」と冷徹 に告げて通信を切った。
翌朝、ブレアはマーカスを連れて、基地へ向かう地雷原を進む。しかしマーカスは誤って地雷を踏んでしまい、爆発が起きた。基地に運び 込まれたマーカスを治療しようとしたケイトは、彼の胸を開いて驚愕する。ケイトはバーンズにマーカスを殴らせ、気絶させて拘束した。 マーカスはターミネーターだったのだ。だが、彼は自分が人間だと思い込んでいた。意識を取り戻したマーカスは、開かれた胸部の機械を 目にして激しく動揺した。
コナーが「俺を殺しに来たんだな」と凄むと、マーカスは「アンタなんかどうでもいい」と否定した。しかしコナーは「嘘だ。俺たちは 互いが生まれる前から戦ってきた。お前は俺の母サラ・コナーの命を狙い、父カイル・リースを殺した。だが俺は殺されないぞ」と彼を 睨む。カイルの名前を聞いたマーカスは、「カイルはマシーンに捕まり、スカイネットに連行された。もし俺が殺す気なら、ロサンゼルス で殺してる」と睨み返した。
ブレアは「彼は敵じゃない」と訴えるが、コナーやケイトたちはマーカスを解体することに決めた。ブレアは仲間の目を盗み、マーカスを 逃がそうとする。それに気付いた抵抗軍は、ブレアがいるのも構わず発砲した。マーカスはブレアを守り、基地から脱出する。抵抗軍が 激しい攻撃を仕掛けて来ると、ブレアは自分が囮になってマーカスを逃がした。ジョンは執拗にマーカスを追い掛け、銃を向ける。そこで マーカスは、「カイル・リースはスカイネットにいる。助けたいなら、中に入れてやる。俺が唯一の望みだぞ」と持ち掛ける。コナーは マーカスに怒りと疑念を抱きながらも、その取引を承諾した…。

監督はマックG、脚本はジョン・ブランカトー&マイケル・フェリス、製作はモリッツ・ボーマン&ジェフリー・シルヴァー &ヴィクター・クビチェク&デレク・アンダーソン、共同製作はシャンタル・フェグハリ、製作協力はジェームズ・ミドルトン& ランドルフ・M・ポール、製作協力はブルース・フランクリン&スティーヴ&ゴーブ&エイプリル・ジャノウ&アンジャリカ・マチュール ・ニガム&ドン・ゼフェル、製作総指揮はピーター・D・グレイヴス&ダン・リン&ジャンヌ・オールグッド&ジョエル・B・マイケルズ &マリオ・F・カサール&アンドリュー・G・ヴァイナ、撮影はシェーン・ハールバット、編集はコンラッド・バフ、美術はマーティン・ ラング、衣装はマイケル・ウィルキンソン、ターミネーター・メイクアップ&アニマトロニック効果はジョン・ローゼングラント、 視覚効果監修はチャールズ・ギブソン、音楽はダニー・エルフマン。
出演はクリスチャン・ベイル、サム・ワーシントン、アントン・イェルチン、ヘレナ・ボナム=カーター、ムーン・ブラッドグッド、 ブライス・ダラス・ハワード、コモン、ジェーン・アレクサンダー、マイケル・アイアンサイド、ジェイダグレイス、ブライアン・ スティール、 イヴァン・グヴェラ、クリス・ブラウニング、ドリアン・ヌコノ、ベス・ベイリー、ヴィクター・ホー、バスター・リーヴス、ケヴィン・ ウィギンズ、グレッグ・セラーノ、ポー・チャン、ババク・タフティ、ブルース・マッキントッシュ、トレヴァ・エチエンヌ、ディラン・ ケニン、マイケル・パパジョン、クリス・アシュワース他。


シリーズ第4作。ただし前作から引き続いて登場する俳優は一人もいない。
1作目と2作目でサラ・コナーを演じたリンダ・ハミルトンが、声だけの出演をしている。
T-800は登場するが、演じているのはアーノルド・シュワルツェネッガーではなくローランド・キッキンガー。顔だけがデジタル合成で若い 頃のシュワルツェネッガーに差し替えられている。
監督は『チャーリーズ・エンジェル』『チャーリーズ・エンジェル/フルスロットル』のマックG。

前作でコナーを演じたのはニック・スタールだったが、今回はクリスチャン・ベイル。
ケイト役も、前作のクレア・デーンズからブライス・ダラス・ハワードへと交代。
マーカスをサム・ワーシントン、カイルをアントン・イェルチン、セレナをヘレナ・ボナム=カーター、ブレアをムーン・ブラッドグッド 、バーンズをコモン、ヴァージニアをジェーン・アレクサンダー、アッシュダウンをマイケル・アイアンサイド、スターを ジェイダグレイス(ジェイダグレイス・ベリー)が演じている。
ちなみにケイトって妊娠しているんだけど、それについて劇中で全く触れていないし、コナーの言動に全く影響を与えないので、そこには 何の意味も無い。

原題は『Terminator Salvation』だが、この映画は何も無い場所でサルヴェージの作業をやっている。
『ポセイドン・アドベンチャー』の後に作られた『ポセイドン・アドベンチャー2』みたいなモンだ。
そもそも『ターミネーター』シリーズは2作目で終わっていたのに、大ヒットしたもんだから、映画製作者たちは「まだ充分に稼げる」と 考えて3作目を作り、やっぱりダメな内容に仕上がった。
アメリカ国内の興行はコケたが、世界市場では黒字になったので、「まだ行けるだろ」と製作陣は思ってしまったようだ。

商売人としては、「稼げるんだったらシリーズを続けよう」という考え方が、全面的に間違っているとは言わない。
ただし残念ながら、中身を面白いモノに仕上げようとするなら、もうターミネーターを利用した金儲けはストップした方がいいんじゃ ないか。
もしも続けたいのなら、完全にリセットして、最初から新しくやり直すべきだ。
つまり、シリーズ4作目ではなく、新たなターミネーターのシリーズを始めるという考え方なら、まだ何とかなる可能性はあったかも しれない。

まずアーノルド・シュワルツェネッガーが出演しない時点で、それでもシリーズ4作目を作るってのは厳しい。
このシリーズって、やはりシュワルツェネッガーが扮するT-800あってのモノだと思うのよ。
そのキャラを欠いた状態で話を作るってのは、大きなマイナスだ。
一応、終盤にT-800は登場しているけど、前述のようにシュワルツェネッガーの顔はデジタル合成だし、メインのキャラじゃないし。

T-800が登場しないのなら、やはり主役はジョン・コナーにすべきだろう。
で、前作でコナーを演じたニック・スタールが冴えない感じだったから、そこに新しい俳優を起用するのは分かる。
ただし、他の作品については置いておくとして、少なくとも本作品のクリスチャン・ベイルには、全く華が感じられない。
あと、クリスチャン・ベイルとサム・ワーシントンの顔や髪型が、ちょっと似ているんだよな。
そこは、もっと差別化を図った方が良かったんじゃないの。

コナーを主役にするのかと思いきや、なぜかマーカスという新キャラを登場させ、ダブル主役の扱いにしている。
いや、むしろコナーよりマーカスが主役のようになっている。
マーカスという新キャラをメインにして物語を構築するぐらいなら、いっそのこと、コナーが登場しない、あるいは小さな役でチラッと しか出て来ないような物語にしちゃったら良かったんじゃないの。
ようするにアナザー・ストーリーとか、外伝とか、そんな感じでさ。

マーカスを登場させるにしても、コナーやカイルとの関係において彼を描いていけばいいものを、なぜか途中でブレアという女と一緒に 行動する時間帯を用意し、ロマンスめいたモノまで持ち込んでいる。
そうなると、ますますコナーよりマーカスの方が主役っぽくなってしまう。
ならず者たちとマーカスの戦いとか、ターミネーターが全く関わらないアクションを描いてどうすんのかと。
マーカスだってターミネーターではあるんだけど、その時点ではターミネーターだと分かっていないしね。

マーカスが抵抗軍の攻撃を浴びる中で脱出するアクションとか、いやいや、そんなことより、スカイネットとの戦いを描こうよ。
そりゃあ、マーカスが抵抗軍に発砲されるのって、確かに「ターミネーターと人間との戦い」ではあるけど、そういうことじゃ ないでしょ。
あと、中盤でマーカスがターミネーターだと分かるけど、それで評価がグッと上がるようなことはない。
あまりにも精神が人間に近すぎるのも、マイナスになっている。
「人間型ロボットが意志を持ち、自分が何者なのか悩む」というのも、もう使い古されたネタだしなあ。

監督はマックGなので、話は浅いのは当然っちゃあ当然だ。
で、物語の充実度よりも、彼は物量作戦に出て来た。
ターミネーターの種類と数をたくさん登場させることで、派手に飾り付けようという作戦だ。
『トランスフォーマー』のマイケル・ベイ監督と、考え方が一緒なんだね。
でも、『ターミネーター』シリーズに観客が期待しているのって、そういうことじゃないと思うのよ。

そりゃあT2でT-1000が新しいターミネーターとして投入されたことは、正解だったと思うよ。
ただし、やはり人間らしく見えるってのは大きかったんじゃないかな。
この映画に登場するターミネーターって、マーカスとT-800以外は露骨に「マシーン」なんだよね。
巨大な飛行機やらバイクやらを登場させて、マーカスやカイルたちが追われるアクションシーンを描いても、あまり興奮しないんだよね。
そういうのって、こっちが求めているモノじゃないのよね。やっぱり、そこは人間型のロボットじゃないとさ。
人間型ロボットとしてのターミネーターであれば、ぶっちゃけ、敵が1体であっても、少なくとも本作品よりはテンションが上がったん じゃないかな。

飛行機やバイクだけじゃ飽き足りず、しまいには巨大ロボット(ハーヴェスター)まで登場して、まさに『トランスフォーマー』の世界に なっている。
だけど、こっちは人間サイズの戦いが見たいわけで、巨大な敵との戦いってのは、『ターミネーター』シリーズから外れちゃ いませんかと。
それは『仮面ライダー』シリーズに巨大怪獣を登場させるようなものじゃないですかと。
そうそう、映像がゴチャついていて、何がどう動いているのか分かりにくいところまで『トランスフォーマー』のアクションシーンと似て いるのね。

これまでのターミネーターって、「倒したと思ったのに死んでおらず、しぶとく何度も襲い掛かってくる」というキャラだったけど、今回 はタフネスなところがあまり見られない。
そういうゾンビ的な強さ、怖さも、ターミネーターにとって重要な要素だと思うんだけどね。
っていうか、そもそも敵側にT-1000やT-Xのようなキャラが存在しないしね。
あと、今回は崩壊した後の世界なので、これまでの「我々が住んでいる日常社会が突如として非日常空間に変貌」という構造になって いない。これも大きなマイナスポイントになっている。

マックGは今までの作品に敬意を払い、ちゃんと辻褄の合う作品を作ろうという意識で作ったのかもしれないけど、そもそも前作が辻褄 合わせを放棄して作られているので、もはや取り返しが付かないと思うんだよな。
本作品にしても、スカイネットがカイルを殺そうとしている時点で、もう辻褄が合ってないしね。まだスカイネットはカイルが成長して ジョンの父親になることを知らないはずなんだから。
その辺りはタイム・パラドックスの問題があるから、どう頑張っても整合性を取るのは無理だと思うけどさ。
そういうことを考えても、やはりリブートした方が良かったのでは。

終盤になって、シグナルがスカイネットの仕掛けた罠であり、マーカスが人間に紛れ込んでコナーを誘い込むためにプログラミングされた 侵入型プロトタイプのターミネーターだったことが明らかになるが、特に驚きは無い。こっちの感情はフラットなままだ。
そもそも、その作戦には大きな欠陥があって、マーカスがコナーと出会えるとは限らないし、コナーがマーカスを信用するとも限らない。
ようするに、ものすごくキャンブル性の高い計画なのよね。
で、そんな博打みたいな計画なのに、なぜか人間に接近してターゲットを連れて来る侵入型プロトタイプは彼しか作られていないのね。

それとさ、マーカスがT-600と違って人間に似せて作られているのは、人間に近付いてターゲットを連れて来るためという設定にしている のよね。
そうなると、じゃあT-800が人間に似せている理由は何なのかと。
こいつは人間に近付いて信用させようともしておらず、最初から人間を攻撃している。
そうであるならば、こいつが人間に似せて作られている意味は全く無いってことになるでしょうに。

(観賞日:2012年8月10日)

 

*ポンコツ映画愛護協会