『007/ムーンレイカー』:1979、イギリス

アメリカからイギリスへと空輸中だったスペースシャトル“ムーンレイカー”が何者かによって奪われた。ボンドはカリフォルニアに行き、製造元の社長ドラックスに会う。NASAから派遣されていたホリー・グッドヘッド博士の案内で彼の工場を見回った後、秘密書類を盗み見ることに成功。
ボンドはガラス工場を調査するためベニスへ渡る。工場の奥にドラックスの研究所があり、人間だけを死滅させる神経ガスが製造されていた。用心棒チャンを撃退し、逃げ出すボンド。ベニスにはグッドヘッドも来ていたが、ボンドは彼女がCIAのスパイだと見抜く。
工場の貨物の送り先であるリオ・デ・ジャネイロへ渡ったボンド。グッドヘッドと再会するが、ドラックスの新しい用心棒ジョーズに襲われる。彼を撃退したものの、油断して捕まり、ボンドだけが逃亡に成功。この時、ジョーズは眼鏡の少女と出会い、恋人になる。
ボンドは神経ガスの原料となる蘭を探してアマゾンのタパラピ川へ向かう。そこにはドラックスの秘密基地があった。ムーンレイカー5号で宇宙へ飛び立ったドラックスを追い、ボンドは捕まっていたグッドヘッドと共に6号で宇宙に出る。
着いた先は宇宙ステーション。そこにはジョーズと恋人を含め、何組かの男女がいた。ドラックスは選ばれた人間だけを残し、人類を死滅させようとしていた。地球に向けてガス球が発射された。ボンドは恋人殺害を命令するドラックスに反発したジョーズを味方にして、計画を阻止しようとする…。

監督はルイス・ギルバート、原作はイアン・フレミング、脚本はクリストファー・ウッド、製作はアルバート・R・ブロッコリ、製作協力はウィリアム・P・カートリッジ、製作総指揮はマイケル・G・ウィルソン、撮影はジャン・トゥルニエ、編集はジョン・グレン、美術はケン・アダム、衣装はジャック・フォントレイ、音楽はジョン・バリー、主題歌はシャーリー・バッシー。
主演はロジャー・ムーア、共演はロイス・チャイルズ、ミシェル・ロンズデール、リチャード・キール、コリンヌ・クレリー、バーナード・リー、ジェフリー・キーン、デズモンド・リュウェリン、ロイス・マクスウェル、トシロー・スガ、エミリー・ボルトン、ブランシュ・ラバレック、イルカ・ボチェンコ、マイケル・マーシャル、レイラ・シェンナ、アン・ロンバーグ、ジャン・ピエール・カスタルディー他。


007シリーズ第11作。
3代目ジェームズ・ボンド、ロジャー・ムーアとしては4作目。
ボンド・ガールは、グッドヘッド博士役のロイス・チャイルズ。
他にもドラックス社でボンドに協力するコリンヌ・クレリーを始め、多くの美女が登場。
ちなみにMを演じていたバーナード・リーは、この作品限りで降板。

行きつくところまで行ってしまい、今回はとうとう宇宙まで行ったジェームズ・ボンド。
もはやスパイ映画というより、SF映画である。
宇宙服を着て、宇宙ブースターを付けて、宇宙銃で撃ち合ったりしてるしね。
当時は確か、SFブームだったんだよなあ。
同じ年に『エイリアン』とか作られてるしなあ。

宇宙というスケールに負けることなく、バカ度数も高めになっている。
行動がデタラメなボンド、スケールの大きいバカ計画を立てるドラックス、着流し姿や剣道着で現れる妙な用心棒チャン、秘密基地に秘密研究所。
などなど、007シリーズの基本(?)は守っている。

この作品の隠れた主役は、鋼鉄の歯を持つ巨人ジョーズ。
前作に続いての登場となったわけだが、前作以上にコミカルな役回り。
なんと恋人まで出来てしまう。
しかも今回は、途中でボンドの味方になる。
そして、ボンドも顔負けのインパクトを残してくれる。
というか、これってボンドじゃなくて、ジョーズの映画じゃないのかね。

ちなみにボンドくん、破壊されていく宇宙ステーションにジョーズと恋人を置き去りにしてグッドヘッドと共に脱出し、「無敵のジョーズだから何とかなるだろう」だってさ。
凄い理屈だ。
ボンドが言う通り、仮にジョーズが無敵だったとしても、普通の人間であるジョーズの恋人はどうなるのさ。酷いぞ、ボンド。

 

*ポンコツ映画愛護協会