『追跡者』:1970、アメリカ

ジェレド・マドックスは、冷徹な保安官。ある時、彼の町で老人が殺された。マドックスは犯人のチョクトーと彼の仲間が住む町へ向かい、犯人一味を連行しようとする。チョクトー達は、町で絶大な権力を持つブロンソンの元で働いていた。
ブロンソンはコットン・ライアン保安官を通じ、金を渡して穏便に事態を解決しようとするが、マドックスは拒否した。マドックスに、昔の恋人ローラが会いに来る。夫バーンも、犯人の一味なのだ。夫を許してほしいと言うローラだが、マドックスは冷たく断る。
犯人グループの1人ステンバウはマドックスを殺そうとするが、逆に返り討ちに遭う。マドックスは逃げようとする者を追い掛けて捕まえ、立ち向かってくる者は容赦無く殺す。町の者達は団結して、マドックスを追い出そうとするのだが…。

監督&製作はマイケル・ウィナー、脚本はジェラルド・ウィルソン、撮影はボブ・ペインター、編集はフレディ・ウィルソン、美術はスタン・ジョリー、衣装はロン・ベック、音楽はジェリー・フィールディング。
主演はバート・ランカスター、共演はロバート・ライアン、リー・J・コッブ、ロバート・デュヴァル、シェリー・ノース、J・D・キャノン、ジョゼフ・ワイズマン、アルバート・サルミ、リチャード・ジョーダン、ジョン・マクギヴァー、ラルフ・ワイト、ジョン・ベック、ウィリアム・C・ワトソン、ウォルター・ブルック、ロバート・エンハート、チャールズ・タイナー、ルー・フリッツェル他。


主人公がクールな男ならともかく、頑固で冷血で人間味の無い男。
血も涙も無い男で、何の面白味も無い男。
だから、感情移入するのは、たぶん無理だろう。
中盤以降に人間味を感じさせる場面はあるが、取って付けた感じが否めない。

取って付けた感じといえば、ストーリー全体がそんな感じなのね。
パズルのピースが合ってない感じというか。
なんか落ち着きもまとまりも無くて、モッチャリしたストーリー。
キャラクター設定も心情描写もストーリー展開も、全てが薄っぺらい印象。

マドックスよりも、他の人間の方が遥かに魅力的のよね。
雇用人であるチョクトー達の心配をしながらも、殺された老人に対する謝罪の念も忘れないブロンソン。昔は凄腕だったという設定のライアンは、マドックスに理解を示しながらも、何とか平和的に解決しようと奔走する。
この2人のキャラクターの方が、主役に向いているようにさえ思えてしまう。

「私は法の執行人だ。いわば人殺しだ」と断言するマドックス。
う〜む、なんか違う気が。
そんで、“法の執行人”と言ってるくせに、勝手に馬を盗んだりする。
武器も持たずに逃げようとする男を、背中から撃ち殺すし。
なんちゅう卑怯な男なんだ。

最後の決闘シーンは見せ場になるはずだが、そこまでの展開がギクシャクしてるから、一向に盛り上がらない。
映画は重くてジメジメしたエンディングを迎え、見なければ良かったと思わせる。
西部劇なのに、全然スカッとしないんでやんの。
いや悲劇性を狙ったんだとは思うけどさ、前述したように、何しろ主人公がねえ。

 

*ポンコツ映画愛護協会