『TIME/タイム』:2011、アメリカ

ウィル・サラスが暮らす世界では遺伝子操作によって25歳で成長が止まり、余命は1年しか無い。長く生きたければ、自力で余命を増やす必要がある。時間は通貨であり、金のように稼いだり支払ったりする。金持ちは永遠に生きることが出来て、庶民は寿命が24時間しかない生活に苦しんでいる。人々の左腕にはデジタル数字が表示され、その「時計」が残り寿命を示す時間になっている。スラムで暮らすウィルは起床して台所へ行き、50歳の誕生日を迎えた母のレイチェルにお祝いのシャンパンをプレゼントする。レイチェルが電気代やローンの支払いで大変だと知り、ウィルはタイムバトルの副業で稼ごうかと口にする。レイチェルは心配そうな表情を浮かべ、「2日続きの仕事が入ったら今夜は泊まり。ローンを返したらギリギリだからバス停まで迎えに来てね」と言う。
家を出たウィルは近所に住む少女のマイアに頼まれ、自分の時間を5分だけ彼女に分け与える。ウィルは勤務する工場に到着し、コーヒーの値段が上がっていることを知る。ウィルが同僚のボレルと話しながら歩いていると、持ち時間が無くなった男の死体が転がっている。工場の仕事を終えたウィルは、ノルマ未達成だと言われて約束より少ない時間しか貰えず腹を立てた。クラブへ赴いた彼は友人から1時間の貸しを回収し、カウンターで飲んでいるボレルに声を掛けて「家まで送る」と告げた。
豊富な時間を所有するヘンリー・ハミルトンが女をはべらせていることに気付いたウィルは、「早く出た方がいいですよ。連中は時間だけじゃなくて命も奪う。生かしておいたら、自分たちも危ないから」と警告する。そこへギャングのフォーティスや手下のコルバーたちが現れるとクラブの客は一斉に避難するが、ヘンリーは留まる。ウィルはボレルから一緒に逃げるよう誘われるが、「馬鹿なことはしない」と告げて物陰からヘンリーの様子を観察する。
フォーティスが勝負を持ち掛けると、ヘンリーは「ちよっと待ってくれ」と告げてトイレの個室に駆け込む。ウィルは見張り役のコルビーを叩きのめし、ヘンリーを裏口から外へ連れ出した。ウィルは追って来るギャングを撒いて、廃屋にヘンリーを隠れさせた。ヘンリーはウィルの実年齢が28歳だと聞き、自分は105歳だと明かした。彼が「肉体は若くても心はすり減る。死ぬのが筋だ。長寿の陰に多くの死がある。誰も死ななかったら、この世はパンクする」と語ると、ウィルは詳しい説明を要求した。ヘンリーは「なぜタイムゾーンがあると思う?なぜスラムでは税金と物の値段が同じ日に上がると思う?生活費が上がり続けてるのは死者を出すためだ。庶民にその日暮らしをさせて、百万年の寿命を得る」と話す。
ウィルは「それだけの時間を俺なら無駄にはしない」と言い、ヘンリーから貰った酒を飲んで朝まで眠り込む。ヘンリーは彼に自分の残り時間の大半である約100年を譲渡し、廃屋を出た。目を覚ましたウィルは、ヘンリーの寿命が尽きて橋から転落する様子を見た。ウィルはボレルの家へ行って事情を説明し、10年をプレゼントする。彼は「これが目立たない場所へ行く」と言い、母親を連れて富裕層が暮らすニューグリニッチへ移り住む考えを口にした。
その夜、レイチェルは2日分のローン返済を済ませてバスに乗り込むが、その日から代金が上がったことを運転手に知らされて動揺する。残り時間が足りないため、彼女はバスを降りて走り出した。バス停で母を待っていたウィルは、バスに乗っていなかったので不安を抱いて捜索に向かう。レイチェルはウィルの元に辿り着くが、そこで余命が尽きて死亡した。次の朝、ヘンリーの死体を発見した時間監視官のレオンと部下のイェーガー&コースは、消えた時間の捜索を開始した。
ウィルはハイヤーを呼んでタイムゾーンの料金所を幾つも通過し、ニューグリニッチに入った。運転手に目的を問われた彼は、「ここの連中の身ぐるみを剥いで、思い知らせてやるんだ」と答えた。高級ホテルに向かったウィルは、リムジンに乗り込もうとするシルヴィア・ワイスという女性と目が合った。スイートルームに宿泊した彼がレストランで食事を取る様子を、シルヴィアは観察する。レオンたちは監視カメラの映像を調べ、ウィルがヘンリーを殺して時間を盗んだと断定した。レオンはウィルの顔写真を見ると、部下たちに「彼の父親を知ってる」と告げた。
ウィルはカジノへ繰り出し、フィリップ・ワイスたちのテーブルでポーカーを始める。フィリップは賭け金として50年を上乗せし、25歳を85年もやっていると話す。ウィルも50年を上乗せしていると、シルヴィアが来て父であるフィリップの隣に座る。フィリップが200年を上乗せすると、ウィルは「僕の手の方が強いんで、殺します」と余命を数十秒だけ残してレイズした。彼は賭けに勝ち、寿命を増やした。フィリップからウィルに紹介されたシルヴィアは、明日の夜に自宅で開かれるパーティーで再戦するよう提案した。
次の日、ウィルは高級車を購入してワイス邸へ出向き、フィリップから妻のミシェルと義母のクララを紹介される。シルヴィアはウィルをダンスに誘い、「たまにスラムの人が羨ましくなる」と漏らす。ウィルが「知らないからさ」と口にすると、彼女は「知ってるわ。今のシステムは害ばかり。庶民は死んで、富豪は生ける屍。馬鹿なことをしなけりゃ永遠に生きられる。冒険も無ければ達成感も無い」と語る。ウィルはシルヴィアを邸宅の裏にある海へ連れ出し、服を脱いで「早くおいでよ」と一緒に泳ぐよう誘う。シルヴィアは戸惑いながらも全裸になり、海に入ってウィルと泳いだ。
ウィルが屋敷に戻ると、レオンたちが現れて奥の部屋に連行した。ウィルはヘンリーが自ら時間を譲って死を選んだと説明するが、レオンは信じなかった。彼は「我々が守るのは正義ではなく時間だ。その時間は君の物ではない」と言い、時間の没収を通告した。手続きのための2時間だけ残して去ろうとするレオンに、「自殺なのに捜査するのか。スラムの大量殺人には目を向けず」とウィルは批判の言葉を投げ掛ける。レオンは冷淡な態度で、「誰かが同じようなことを言っていた。20年以上も前だ。小さすぎて父親を覚えてないか」と口にした。ウィルは隙を見て見張りの連中を倒し、シルヴィアを人質に取って屋敷から脱出した。
ウィルはシルヴィアを車に乗せて逃亡し、レオンの追跡を撒いた。シルヴィアはウィルが時間を分けてほしいと頼んでも拒否し、スラムの住人だと悟って軽蔑の態度を示した。翌朝、ウィルはフォーサイスたちの仕掛けた罠で事故を起こし、シルヴィアと共に意識を失う。一味はシルヴィアの余命の大半を盗み、その場を後にした。意識を取り戻したシルヴィアは、余命が30分だと知って焦った。ウィルは彼女に「分かったか、助け合うのが大事だ」と言い、自分の残り時間を5分だけ与えた。彼は「行動あるのみだ」と告げ、シルヴィアを連れてスラムへと走り出す。
乗り捨てられた車を発見したレオンは、イェーガーとコースに「どうしますか」と問われて「待っていれば向こうから来る」と述べた。ウィルはボレルの家へ行き、時間を分けてもらおうと考える。しかし妻のグレタは、ボレルが貰った10年で飲み過ぎて死んだことを話した。グレタに拒絶されたウィルは、シルヴィアのダイヤモンドを質屋に持ち込む。質屋は「2日だな」と足元を見るが、ウィルたちは応じるしか無かった。
ウィルはフィリップに電話を掛け、そこにレオンがいると見抜いて代わるよう要求する。彼はシルヴィアと引き換えに千年分の時間を要求し、翌朝までに福祉施設へ寄付するよう告げた。「そんなことを言っていると、父親と同じ死に方をするぞ」とレオンが言うと、ウィルは「親父はタイムバトルで死んだ」と告げる。レオンが「いや。時間を奪うだけなら良かったが、もっと危険なことをしていた。同じことを繰り返すな」と語ると、ウィルは電話を切った。
ミシェルは要求に従おうとするが、フィリップは拒否した。ウィルはシルヴィアを自宅へ連れて行き、母の服に着替えさせる。父について問われた彼は、タイムバトルの優秀な戦士だったと語る。ウィルは父が奪った時間をスラムの人々に分け与えていたことを話し、そのせいで殺されたんだろうという推測を口にした。翌朝、福祉施設には何の変化も見られなかったが、フィリップの性格を知っているシルヴィアは彼が要求に従わないことを予測していた。
ウィルはシルヴィアに「君を解放する」と告げて護身用の拳銃を渡し、自宅に電話するよう促した。シルヴィアは彼にキスし、公衆電話へ向かう。彼女がフィリップを批判していると、レオンがウィルを発見して拳銃を構えた。シルヴィアはレオンに気付いて発砲し、ウィルを救う。ウィルは倒れたレオンに「これはプレゼントだ」と時間を与え、車を奪ってシルヴィアと共に逃亡した。ウィルとシルヴィアは通り掛かった高級車の運転手を脅し、後部座席に乗っていた女性の時間を1日だけ残して没収した。
ウィルは高級車を奪い、テレビのニュースで自分が逃亡犯として報じられていることを知る。彼はシルヴィアに、「君が共犯とは報じていない。俺に脅されたことにすれば家に帰れる」と告げる。しかしシルヴィアは「家に戻っても仕方がない」と言い、ウィルと行動を共にすることを選んだ。レオンはフィリップの元へ行き、「お嬢さんは救出を拒んでいる」と告げる。フィリップは「娘は脅されているんだ」と言い、レオンの買収を試みる。しかしレオンは冷徹に拒否し、「娘さんに逮捕状が出ました。手助けすると貴方も逮捕される」と通告した。ウィルとシルヴィアはフィリップの銀行を次々に襲撃し、奪った時間を庶民に分け与える…。

脚本&製作&監督はアンドリュー・ニコル、製作はエリック・ニューマン&マーク・エイブラハム、製作総指揮はアーノン・ミルチャン&ハッチ・パーカー&ボブ・パーカー&アンドリュー・Z・デイヴィス&クリステル・レイブリン&エイミー・イスラエル、共同製作はデブラ・ジェームズ、撮影はロジャー・ディーキンス、美術はアレックス・マクダウェル、編集はザック・ステーンバーグ、衣装はコリーン・アトウッド、音楽はクレイグ・アームストロング。
出演はアマンダ・セイフライド、ジャスティン・ティンバーレイク、キリアン・マーフィー、ヴィンセント・カーシーザー、アレックス・ペティファー、オリヴィア・ワイルド、マット・ボマー、ジョニー・ガレッキ、コリンズ・ペニー、トビー・ヘミングウェイ、ブレンダン・ミラー、ヤヤ・ダコスタ、ベラ・ヒースコート、シャイロー・ウーストウォルド、レイ・サンティアゴ、エマ・フィッツパトリック、レイチェル・ロバーツ、スターリング・スリーマン、アダム・ジャマール・クレイグ、イーサン・ペック、マット・オレアリー、シーマ・ラザー、ニック・ラシャウェイ、トレヴァー・オブライエン、ジェシカ・パーカー・ケネディー、メリッサ・オードウェイ他。


『シモーヌ』『ロード・オブ・ウォー』のアンドリュー・ニコルが脚本&製作&監督を務めた作品。
シルヴィアをアマンダ・セイフライド、ウィルをジャスティン・ティンバーレイク、レイモンドをキリアン・マーフィー、フィリップをヴィンセント・カーシーザー、フォーティスをアレックス・ペティファー、レイチェルをオリヴィア・ワイルド、ヘンリーをマット・ボマー、ボレルをジョニー・ガレッキ、イェーガーをコリンズ・ペニー、コースをトビー・ヘミングウェイ、コルバーをブレンダン・ミラー、グレタをヤヤ・ダコスタが演じている。

たぶん「タイム・イズ・マネーという格言が現実になったら面白いんじゃないか」というトコからの着想なんじゃないかと思うが、それは決して悪くない。
ただ、そのアイデアを発展させる際に、どうしようもないほどの手抜き作業をやらかしたことで、この映画は失敗作に仕上がっている。
とにかくディティールが雑すぎて、着想の面白さを完全に打ち消してしまっている。
冒頭、「俺には時間が無い。世界が何故こうなったかなんて、考えるだけ無駄だ」というウィルのモノローグが入るが、彼が「考えるだけ無駄」と考えていようと、観客が同じスタンスになってくれること期待するのは甘すぎる。

「遺伝子操作によって25歳で成長が止まる」「余命は1年」という設定が冒頭で提示されるが、なぜ遺伝子操作で成長が止まるルールが制定されたのか。なぜ成長が止まる年齢は25歳で、なぜ余命は1年なのか。
スラムの人々は余命を伸ばすために低賃金で必死で働いているが、これも違和感がある。貧しい暮らしを余儀なくされている人々が、余命を少しでも伸ばすために死に物狂いで働こうとするだろうか。
最初は頑張っていても、報われない日々に疲弊し、諦めちゃう方が多いんじゃないかと。どうせ必死に頑張っても、それに見合うだけの物を得られるわけじゃないんだから。
庶民の労働意欲を喚起するための対策が何も用意されておらず、ただ不安を煽るだけで支配しようと目論んでいるんだけど、それじゃ絶対に無理でしょ。

ウィルはヘンリーに気付くと「早く出た方がいいですよ。連中は時間だけじゃなくて命も奪う。生かしておいたら自分たちも危ないから」と警告するが、なぜ生かしておいたら自分たちも危ないのかサッパリ分からない。
そもそも「奴ら」って誰のことなのか。ギャングという解釈が正解なのかどうか、ボンヤリしている。
ウィルがヘンリーを助けるのも理解に苦しむ。そんなことをして何の意味があるのか。そのせいで残り時間を気にしなきゃいけなくなっているし、正義感に溢れた男じゃなくて意味不明な行動を取るボンクラな男にしか見えない。
せめてヘンリーが困っていたり助けを求めていたりすれば、そしてウィルが「迷った末に助けに行く」という手順を踏んでいれば、そこは受け入れられただろう。
でも、ヘンリーがギャングに狙われるのはボレルが言うように自業自得だし、まるで助けを求めるような様子は見せていなかったわけでね。

スラムゾーンに住む連中の余命は24時間なのに、「持ち時間が少ない」という以外は、ごく普通の暮らしをしているようにしか見えない。
普通に工場が運営されており、普通にクラブで遊んでいる。まるで切迫感が見えないし、だからって捨て鉢になった連中ばかりというわけでもない。
「余命が1日しか残されていない」という奇抜な設定があるのに、そのことが庶民の生活風景に与える影響が、あまりにも少なすぎるのだ。
余命が1日分しか残されていないのに、クラブで余裕たっぷりに遊んだりしいる奴らが多いのも違和感。そういう生活に順応して、余裕が芽生えたってことなのか。

レイチェルはバス代が上がったと知らされ、慌てて走り出す。
だけど、それまでもスラムでは急に値段が上昇する現象は何度も起きていたはずで。それなのに少しの余裕も残さずに時間を使い切るから、そんな目に遭っちゃったんでしょ。
そもそも、残り時間ギリギリでバス停までの迎えをウィルに頼んでいるのも、まるで備えが出来ていないと感じるし。
レイチェルがボンクラにしか見えないので、彼女がウィルの眼前で死んでも悲劇性が薄まってしまう。

余命が尽きた人間はその場で死ぬわけだが、そうなった時に死体がどう処理されるのかも全く分からない。
場合によっては車を運転している最中に死んだりすることもあるはずで、そのせいで大事故が勃発したら政府が非難される可能性もあるだろうけど、そういうトコには全く触れていない。
また、この映画では余命が尽きる以外での死に関しても、「基本的には無い物」という扱いになっている。
病気や事故、事件によって寿命を待たずして死ぬ人もいるはずだが、そうなった場合、その人の残り寿命の扱いはどうなっているのか。それも全く分からないぞ。

ヘンリーの説明によると、スラムの庶民が死ぬように仕向けることで、富裕層の寿命を確保しているらしい。
だけど、庶民が早く死ねば富裕層が寿命を得るようになるってのは、どういうシステムなのかサッパリ分からない。
後半には「時間の大量損失は市場を暴落させる」という台詞があるのだが、そこのシステムもサッパリ分からないんだよね。
とにかく、この映画が提示している世界観は疑問点が多すぎ。表面の薄っぺらい部分しか設定を用意せずに話を進めているもんだから、次から次へとアラが出てくる羽目になっている。

ウィルはニューグリニッチへ行く際、運転手に目的を問われて「ここの連中の身ぐるみを剥いで、思い知らせてやるんだ」と話す。
だけどニューグリニッチに到着した彼が何をするかというと、高級ホテルに宿泊してレストランで食事を取り、カジノでデカい勝負に出るという行動。
それの何が「ここの連中の身ぐるみを剥いで思い知らせてやる」ことに繋がるのか、まるで分からない。ただ譲り受けた時間を無駄に浪費しているだけにしか見えない。
そんでレオンに捕まって時間の大半を没収されちゃうし、それでスラムの問題を非難するけど「今さら何言ってんのか」と呆れてしまう。
スラムで問題が起きていても政府が何もしてくれないから、テメエの手で富裕層の連中に天誅を食らわせようとしたんじゃないのかと。

「どうやら現実社会の問題を反映した寓話」という狙いもあるみたいだけど、「だからディティールが雑でも仕方がないよね」なんてことは、これっぽっちも思わないぞ。
どういう狙いがあったとしても、それは何の言い訳にもならない。
そこに重点が置かれていなくても、「時間が通貨として使われている余命1日の世界」という仕掛けを用意した以上、そこに関わる様々な問題や世界観については、綿密にディティールを構築する必要がある。
それは監督としての義務だと言ってもいい。

ここまで世界観のディティールについてばかり書いてきてストーリーの内容に全く触れていないが、ザックリ言うと「凡庸で退屈」ってことになる。
使い古されたようなプロットを、ありふれた形で展開させ、ありきたりの物語として描いている。ドラマは薄くて浅く、男女の恋愛劇としての面白味も乏しい。
ウィルとシルヴィアにはキャラクターとしての魅力が見出せないため、そこで引っ張ることも出来ていない。
ただ、そこに力が無くても、世界観に面白味があれば充分に補ったり誤魔化したりすることは可能だったはずなのだ。
この映画の問題点は、やはり「ディティールの粗さ」という部分に尽きると思うぞ。

終盤、ウィルとシルヴィアはローン会社から時間を奪い、それを庶民にバラ撒く。その行動をレオンは、「分からん奴だ。助けるつもりが仇になる」と指摘するが、その通りなんだよね。
ウィルたちの行動は単なる自己満足に過ぎず、義賊のような立派な連中ではない。実際、彼らのせいで大混乱が起きている。
金利が上がった後、ウィルたちは百万年を奪い取ってシステムを崩壊させるが、これも「スクラップ」しか考えておらず、その後の「ビルド」については完全に無視しているんだよね。奪った百万年は庶民に分け与えられているけど、それを巡って醜い争いが勃発することは確実だし。
結局のところ、「時計によって時間が管理され、それを使えば貸し借りも可能」という根本的なシステムを変えない限り、問題の解決には至らないでしょ。

(観賞日:2019年8月6日)

 

*ポンコツ映画愛護協会