『10日間で男を上手にフル方法』:2003、アメリカ&ドイツ

ニューヨーク。女性ファッション誌「コンポージャー」の編集者であるアンディー・アンダーソンは、いつもハウツー物の記事ばかりを担当させられることにウンザリしている。本当は政治や環境などの時事問題について書きたいのだ。一方、広告代理店で働くベン・バリーは、同僚のジュディー・スピアーズが「コンポージャー」を持っているのを見て「くだらないファッション誌だ」と馬鹿にする。冷たい視線を向けたスピアーズは、同僚のジュディー・グリーンと共にアポを取っていることを語り、「世界一売れてる女性ファッション誌よ。それにウチのクライアントの広告が山ほど出てる」と述べた。
アンディーは同僚のミシェルが来ていないことに気付き、別の同僚ジーニーが「きっとまた泣いてるのよ」と言うので様子を見に行く。ジェニーの予想通り、失恋したミシェルは自宅で泣いていた。アンディーはミシェルを励まし、ミーティングに間に合うよう着替えさせた。一方、出勤したベンは、同僚のセイヤーから「お前が言った通りだ。デラウワー・ダイヤモンドは代理店を探してる」と聞かされる。喜ぶベンだが、ボスがスピアーズとグリーンを担当に決めたことを知らされた。
ベンはスピアーズとグリーンが「コンポージャー」雑の編集部へ出掛けている間に、ボスのフィリップ・ウォーレンを説得しようと考えた。すると同僚のトニーとセイヤーが、ボスは飛行機でシカゴへ行ったことを教える。それでもベンは全く諦めず、その夜にフィリップがクラブ「マーレン」でスピアーズたちと打ち合わせすることを知って「奪い返せばいい。俺の仕事だ」と前向きな態度を示した。
会社に赴いたミシェルは、恋人のマイクと会って2日目にセックスした時に嬉しくて号泣しながら「愛してる」と言ったことをアンディーとジーニーに話す。だが、それから連絡が取れなくなったという。アンディーが「どんな男でも出会って2日目に愛してるなんて言ったら、相手はビビって逃げ出すわよ」と話すと、ミシェルは「貴方だったら逃げないわ。例え酔っ払ってゲロを吐いてもね」と告げた。
コンポージャーの編集者は編集長であるラナの元に集まり、ミーティングを始める。アンディーは政治問題に関する記事をプレゼンしようとするが、「コンポージャーはそういう雑誌じゃない」と却下される。「ハウツー物のシリーズは始まったばかりでしょ。あれをヒットさせれば貴方の書きたい記事を書かせてあげる」と言われ、アンディーは渋々ながら引き下がった。ミシェルの失恋を知ったラナは、それを記事にすることにした。担当する編集者としてロリが立候補するが、ミシェルが嫌がった。
アンディーは挙手し、ミシェルに「貴方の私生活だけを書くんじゃなく、1つのモチーフとして使いたいの」と口にする。彼女はラナに、「ミシェルは素敵な女性なのに、誰と付き合っても長続きしない。そういう読者って多いんじゃないでしょうか。そこで、私が誰かと付き合い、女性がやりがちなミスをわざとやって振られるんです。そして何日で振られるかを試すんです」と説明した。ラナは興味を示し、「10日間で男に振られる方法」として記事を書くよう命じた。
ミーティングの後、ラナはスピアーズとグリーンに会った。彼女はアンディーやミシェル、ジーニーたちに、秋に向けてタイアップ・キャンペーンを行うことを話す。いつもハウツー記事を楽しみにしているというスピアーズに、ラナは次の企画を教えた。ベンはマーレンへ行き、デラウワー・ダイヤモンドの仕事を自分に任せるようフィリップに申し入れた。「高級品はスピアーズとグリーンの方が向いている」とフィリップは言うが、ベンは自信満々で「この仕事は俺にしか出来ない」と言う。
アンディー、ミシェル、ジーニーの3人は、標的の男を見つけるためにマーレンへやって来た。ベンは「ダイヤを庶民的な存在にしたい」とプレゼンするが、スピアーズは「庶民的にしたら価値が落ちる」と反対する。彼女が「女心が分からないから無理ね」と馬鹿にされたベンは、「俺は女性を愛してるし、女性を尊敬して意見を聞く。女性の気持ちを理解できる」と語る。アンディーに気付いたスピアーズは、ベンに「今度の日曜デラウアーのためのパーティーが開かれる。それまでの10日間でに女性の心をモノに出来る?」と言う。グリーンに「どんな女性でも落とす自信があるんでしょ?」と告げられ、ベンは自信を見せた。
スピアーズは「じゃあ私たちが相手を決めるから、その女性を落として」と言い、アンディーを指名した。ベンは「俺が買ったら、この仕事は貰う」と条件を付け、その賭けに乗った。ベンはスピアーズたちと別れ、すぐにアンディーの元へ行って声を掛けた。アンディーも渡りに船なので、「食事に行こう」という彼の誘いに乗る。外に出たアンディーは、車じゃなくバイクだったので困惑する。ベンは彼女を後ろに乗せ、バイクを発進させた。
ベンはロブスター料理の店へアンディーを連れて行き、食事を取りながら会話を交わす。ベンは彼女を家に招き入れ、ムードを作ろうとする。アンディーはビールを飲み、自分から熱烈なキスをする。ベンは「早すぎるんじゃない?」と言いながらも、今度は自分からキスをする。2人は互いに「やっぱり早すぎる」と口にしつつ、ベッドに倒れ込む。しかしアンディーが「大事にしてもらいたいの。互いに大事にすべきよ」と言うとベンは納得し、ベッドから起き上がった。ベンもアンディーも、目論み通りだと考えていた。
アンディーは、わざとハンドバッグをベンの部屋に置き忘れた。彼はバッグを会社へ持って行き、トニーとセイヤーに経過を報告する。バッグの中身を確かめた彼はNBAファイナルのチケットが2枚入っているのを見つけ、自分と一緒に行きたがっているのだと思い込んだ。ベンはアンディーのオフィスに百本の白いバラを届け、「これの百倍、君は美しい」というメッセージ・カードを添えた。チケットをバッグに入れておいたのは、アンディーがベンを食い付かせるためのエサだった。
ベンとアンディーは一緒にNBAファイナルを観戦する約束を交わし、互いに「勝負は付いた」と確信する。観戦している最中、試合の大事な時間帯を見計らって、アンディーはベンに「喉が渇いた。コーラを買って来て。氷は入れないで」と頼む。ベンは急いでコーラを購入し、席に戻る。するとアンディーは「ダイエットじゃない。ダイエット・コーラを買って来て」と言う。頼みを聞い買いに戻ったベンは、試合を決める終了直前のシュートを生で見ることが出来なかった。
次の日、ベンが企画会議に出席している最中、アンディーから電話が掛かって来る。ベンは「会議中だから後にしよう。掛け直すよ」と告げるが、アンディーは甘えた声で「会いたいの」と言い、映画を見に行く約束を取り付けた。その夜、映画鑑賞の途中でアンディーはベラベラと喋り、腹を立てた後ろの席の男に文句を言う。ベンはロビーへ出て男と話しを付けようとするが、一発で殴り倒された。
翌日、ベンは手作りの料理を振る舞うため、アンディーを自宅に招待した。ベンが調理している間に、アンディーは持ち込んだ小物類を並べて部屋を模様替えした。ベンは料理を皿に置くが、アンディーは泣きながら「お肉がダメなの」と言う。ベジタリアンの店へ出掛けると、今度は客や店員の前で「彼が私のことをデブだって言うから、彼の前じゃ食べられない」と泣く。アンディーがトイレに立った後、ベンは店員や客から白い目で見られた。アンディーはベンを放置し、厨房のテレビでNBAファイナル第2戦を観戦した。
次の日、ベンはオフィスでトニーとセイヤーに、「アンディーと一緒にいると疲れる」と苛立った様子を示す。そこへアンディーが来て、バッグに入れて連れて来た小型犬を紹介する。さらにアンディーはベンにシャツをプレゼントし、その場で着てもらう。犬がしている派手な首輪にベンが気付くと、「ちょっとデコレーションしたの」とアンディーは言う。ベンはフィリップがスピアーズやグリーンと会議をしている部屋へ行き、「自分をデコレーション」というキャッチコピーを提案した。フィリップは、そのアイデアを採用した。
ベンがアンディーの置いていった犬を連れて帰宅すると、彼女がやって来た。アンディーは会社の合成ソフトを使い、2人の子供が誕生した時のアルバムを作ったのだと笑顔で言う。ベンが「子供なんていないし」と困惑していると、アンディーは泣き出した。慌ててベンは「そんなつもりじゃなかったんだ」と釈明し、アルバムを見せてほしいと言う。アンディーは途端に笑顔になり、アルバムを見せた。
ベンはアンディーが自分の母親に勝手に電話を掛けていたと知り、苛立ちを必死に抑えた。洗面所の棚が女性用品で一杯になっているのを見つけたベンは、思わず「勘弁してくれ」と声を発した。その夜のデートを一度は「仕事の予定がある」と断ったベンだが、「チケットがあるんだけど」と言われて「仕事は代わってもらうよ」と告げる。ベンはNBAファイナル第3戦だと思っていたが、アンディーが彼を連れて行ったのはセリーヌ・ディオンのコンサートだった。
翌日、アンディーはミシェルとジーニーに、「しつこくしてるのに、普通の手は通用しない。一緒に考えて」と相談する。その夜は男だけでポーカーをするボーイズ・デイだと聞いたジーニーは、「毎週やってたのは、貴方と出会う前のことでしょ?」と告げる。アンディーはベンが仲間とポーカーを楽しんでいる所へ押し掛け、犬にテーブルの上を歩かせて邪魔をする。さらに不味いサンドウィッチを差し入れし、男たちが吸っている葉巻に対して露骨に煙たそうな様子を示す。
アンディーは仲間たちの前でベンを子供扱いし、観葉植物が枯れているのを見つけると「これは私たちの愛なのよ」とベンを責める。ベンが「君の行動はマトモじゃない」と声を荒らげると、アンディーは「もう終わりね」と告げてエレベーターに乗り込み、ようやく終わったと安堵した。一方、ベンはトニーとセイヤーから「あと4日の辛抱だ。カップル・セラピーに行くんだ」と言われ、すぐにアンディーを追い掛けた。ベンはアンディーの前で跪き、詫びを入れて「もう一度、チャンスをくれないか」と告げた。
カップル・セラピーに行ってほしいと頼まれたアンディーは、自分の紹介するセラピストを使うよう持ち掛けた。次の日、アンディーはベンを連れて、セラピストに化けたミシェルの元を訪れた。ミシェルは診察料として、ベンに300ドルを請求した。性生活について彼女が質問すると、ベンは「まだ彼女とは寝てません」と答える。ベンはミシェルに「男性に惹かれていることに気付いたのは?」と問われ、「僕は女好きなんです」と告げる。アンディーが勝手なことばかり言うので、ベンはイライラして声を荒らげた。そこまではアンディーの思惑通りだったが、話の流れで週末にベンの実家へ行くことになってしまった…。

監督はドナルド・ペトリ、原作はミシェル・アレクサンダー&ジェニー・ロング、脚本はクリステン・バックリー&ブライアン・リーガン&バー・スティアーズ、製作はリンダ・オブスト&ロバート・エヴァンス&クリスティーン・ピータース、製作総指揮はリチャード・ヴェイン、撮影はジョン・ベイリー、編集はデブラ・ニール=フィッシャー、美術はテレーズ・デペレス、衣装はカレン・パッチ、音楽はデヴィッド・ニューマン、音楽監修はダナ・ミルマン=ドゥファイン。
出演はマシュー・マコノヒー、ケイト・ハドソン、アダム・ゴールドバーグ、ビビ・ニューワース、マイケル・ミシェル、シャロム・ハーロウ、ロバート・クライン、キャスリン・ハーン、トーマス・レノン、セリア・ウェストン、アニー・パリッセ、マーヴィン・ハムリッシュ、サマンサ・クァン、ジャスティン・ペロフ、ジェームズ・マータフ、アーチー・マクレガー、ジョン・ディレスタ、スコット・ベネズ、レベッカ・ハリス、リリアン・モンテベッキ、ジェームズ・メインプライズ、ウィリアム・ヒル他。


2人の独身OLが男に嫌われる言動の数々について書いた逆ハウツー本『The Universal Don'ts of Dating』を基にした作品。
監督は『チャンス!』『デンジャラス・ビューティー』のドナルド・ペトリ。
脚本は『102』のクリステン・バックリー&ブライアン・リーガンと、『17歳の処方箋』のバー・スティアーズ。
ベンをマシュー・マコノヒー、アンディーをケイト・ハドソン、トニーをアダム・ゴールドバーグ、ラナをビビ・ニューワース、スピアーズをマイケル・ミシェル、グリーンをシャロム・ハーロウ、フィリップをロバート・クライン、ミシェルをキャスリン・ハーン、セイヤーをトーマス・レノン、ジーニーをアニー・パリッセが演じている。

まず邦題を付けた担当者と、それにOKを出した責任者に対して「ホントに映画を見たのか?」と言いたくなる。
実際に映画を見たのなら、ヒロインが「男を上手にフル」のではなく「振られる」ことを目指して行動しているのは、誰だって分かることだ。それなのに、まるで正反対の意味を持つ邦題を付けてしまうとは、どういうセンスなのか。
振られるよりも振る方が、女性客への訴求力が高いという判断だったのか。
だとしても、内容と真逆のタイトルを付けるのは、ほぼ詐欺みたいなモンだぞ。
映画に登場しないモンスターの名前を勝手にタイトルに付けちゃう東宝東和よりタチが悪いわ。

物語が本格的に転がり始める前の段階で、アンディーに対して何となく拒否反応が出てしまった。
それは、彼女が政治や経済、環境などのお堅い記事を書きたがっており、「いずれ書きたい」ということではなくミーティングでもプレゼンしていることが原因だ。
本人の希望が何であろうと自由だが、彼女が働いているのはオシャレな女性ファッション雑誌の編集部だ。その雑誌で政治や経済の記事を書きたいというのは、明らかに「それは違うだろ」という願望だ。
そういう記事を書きたければ、別の雑誌に移ることを目指すべきでしょ。

原作がストーリー性のある書籍ではないので、ほぼゼロの状態からシナリオを作ることが必要となる。
その段階で、この映画は失敗する筋道を選んでしまった。
一言で言えば、「設定に無理があり過ぎる」ということだ。
男女の恋愛劇にしたいのは分かる。ロマンティック・コメディーにしたいのは分かる。っていうか、そうすべきだ。
そこに「独身OLが男に嫌われる言動を取る」という要素を絡めるのも理解できる。っていうか当然だ。
しかし、そこからが問題だ。

「無意識の内に嫌われる言動を取ってしまう」ということではなく、「目的を達成するために、意図的に嫌われるような言動を取る」という形にしているのだが、それは別に悪くない。
そこに「どっちの方がいい」という選択肢の優劣は無い。どっちにしても、やり方次第だ。
そして、この映画はやり方に失敗した。
「アンディーが意図的に男に嫌われる行動を取って振られ、その体験を記事に書く」という形にしているのだが、そこには大いに無理があるのだ。

まず根本的な問題として、「そんな企画をアンディーが提案すること自体がおかしい」ということがある。
ミシェルの私生活を記事にするようラナから提案された時点で、良くそんなアイデアが思い付いたモンだと思うが、それはともかく、自らが体験しなくても記事は書けるでしょ。まさか、これまでの記事も全て自らが試してきたってのか。
ラナが「10日」という日数を決めているが、ここも無理がある。
男に嫌われる行動を取るってことは、10日どころか初日で振られる可能性だってあるわけだし、そうなった場合、その時点で企画は成立しないでしょ。
「嫌われる行動を取りつつ、10日目までは引っ張る」ということを要求しているとしたら、それも無茶な話だし。

「10日間で男に振られる方法を記事にするため、アンディーが実践する」という部分の難点を全て受け入れるにしても、まだ問題は残っている。
なぜなら、男に嫌われて振られるためには、まず好かれることが必要だからだ。
そもそも「相手に好かれている」という前提条件が無いと「そこから10日間で嫌われる」という計画も成立しないわけで。
だから出会ったばかりの相手に嫌われる行動を取っても、それは初期設定の段階で間違っているのだ。

アンディーがターゲットを見つけ出し、その男を逆ナンしたとしよう。
だが、その段階では、まだ相手はアンディーに対して「何となく良い感じ」程度の感情しか抱いておらず、本気でゾッコン惚れ込んでいるわけではないだろう。もしくは、恋愛感情ではなく性欲しか抱いていないだろう。
ってことは、やはりラナが記事のために「10日間で男に振られるべし」という指令を出したことからして、間違っているのだ。
その辺りが、全て「シナリオとして無理がある」ということになる。

あと、わざわざアンディーが試さなくても、実践している「男に嫌われるための行動」は、全て「そりゃ嫌われるに決まってるだろ」と言いたくなるようなモノばかりだ。
「女は気付いていないけど、実は男が好ましく思っていない」という言動ではない。
試合の途中でコーラを買いに行かせるとか、会議中に電話を掛けて甘えるとか、犬をオフィスへ連れて行って押し付けるとか、そんなのは誰が考えても嫌われる行動だと分かる。
だから、そういう言動をいちいち実践して企画にしているってことは、「その程度のことも、わざわざ試さないと分からないようなボンクラな女性ばかりが読んでいる雑誌なのか」と思ってしまうぞ。

その企画に関しては、他にも問題はある。
それは「何も知らない男を騙して利用する企画である」ということだ。
選んだ相手がチャラい奴だったり、嫌な奴だったりすれば、それは「そんな奴なら騙しても構わないだろう」ってことになるかもしれない。
ただ、もしも相手が真面目な男、誠実な男だった場合に、そんな相手を惚れさせて企画に利用するってのは、雑誌のモラルとしてどうなのかってことになるんじゃないかと。
低俗な三流雑誌ならともかく、世界一売れてるファッション雑誌なんでしょ。

「ヒロインが何らかの理由で、絶対に男から嫌われなくてはいけない状況に追い込まれる」というプロットで物語を構築するのは、原作を活かす上での方向性としては決して間違っていないと思う。
ただし、その「何らかの理由」の部分で無理があるのと、「何の恋愛感情も持っていなかった相手と1から関係を作り上げる中で、嫌われる行動を取る」という内容にしたのも失敗だった。
これが「既に交際している男、もしくは以前からヒロインにベタ惚れで何度もアタックしていた男に嫌われようとする」ということなら、もうちょっとスムーズな話になったんじゃないか。

ベンが一緒にNBAファイナルを観戦する約束を交わした時点で「勝負は付いた」と確信するのは理解できるが、アンディーも「勝負は付いた」と確信するのは、ちょっと意味が分からない。
なぜなら、彼女の目的は10日間で振られることだからだ。
ベンが自分に惚れたと確信したとしても、その時点では勝負なんて全く付いていない。もしも「NBAファイナルという場所なら、男に嫌われる行動を取るのが容易」だと考えて「勝負は付いた」と確信したとしても、それは間違っている。
なぜなら、そこで激しく嫌われて振られてしまったら、「10日間で振られる」という目的は果たせないからだ。

「10日間で男に振られる」という企画に対して、アンディーが罪悪感を全く感じないってのも引っ掛かる。チャラチャラしたプレイボーイを標的に限定しているわけでもないし。
企画の時点では「誠実な男を騙す可能性があるかも」と気付かなくても、ベンと付き合い始めたら、すぐに気付くべきだ。
試合の途中でコーラを買いに行かせ、しかもダイエットじゃないからと二度も買いに行かせたのに、ベンは全く怒らない。
その時点で、もう罪悪感を抱いてもいいぐらいなのに、その後も平気で彼を騙し、困らせて楽しんでいる。

アンディーは自分が失礼な行動を取っても必死に我慢するベンを騙していることに対して何の罪悪感も抱かないどころか、恋愛感情を抱く様子も全く無い。偽のセックス・セラピーを受けるシーンでも、ベンをイライラさせようとしている。
つまり、そこに至っても、まだ彼女は「ベンに嫌われて振られる」ということを全力で目指しているわけだ。
ところが、彼の家族と会って一緒にカード・ゲームをやるシーンでは、なぜか嫌われるような行動を何も見せない。それどころか、彼の家族と楽しく過ごしている。
そこでアンディーの感情が急変したとしか思えないのだが、「じゃあ急変した理由は何か?」と考えると、それはサッパリ分からないのである。

アンディーは「貴方のお母さんに、ゲームに勝ったご褒美で抱き締められた時、すごく嬉しかった」とベンの前で泣き出す。これは芝居ではなく、本当に感動して泣いているのだ。
しかし、「どこに感動するポイントがあったの?」と首をかしげてしまう。
アンディーの家庭に何か問題があったとか、そういう描写があったのなら、まだ理解できたかもしれない。しかし、彼女の家族関係に言及するシーンは、そこまでに一度も無いのだ。
っていうか、「ベンの母親に抱き締められて嬉しくて感動」ということがあったとしても、それは「ベンに本気で惹かれる」というところには繋がらない。家族の温もりや優しさに感動しても、ベンへの恋愛感情は別物だ。
だから、その後で彼女がベンと本気のキスをして、肉体関係まで持っちゃうのは「どういう心境の変化なのか」と思ってしまう。

アンディーがベンに惹かれるきっかけや理由がサッパリ分からないのだから、その恋愛劇に乗って行くことは無理だ。
そもそも「急に変化する」という形にしていること自体に疑問があって、それよりも「最初は騙して利用するつもりだったが、ベンが何をやっても怒らずに許してくれるので罪悪感を抱き、次第に好意を抱くようになっていく」という流れを作った方がいいんじゃないのかと。
一方でベンの方も、やはり「少しずつ惹かれて行く」という流れを作った方がいいんじゃないかと。

ベンの方も、どの辺りでアンディーに本気で惚れたのかサッパり分からん。こっちもアンディーと同様、肉体関係を持つシーンで急に本気になったようにしか見えないのだ。
しかもベンの場合、アンディーがようやく罪悪感を抱いた後も、何の罪悪感も抱かずに賭けを続けているんだよな。
10日間の期限が過ぎた後の試合観戦を約束しているので、たぶんその時点では既に本気で惚れているんだろうとは思うけど、だったら騙していることへの罪悪感を示すべきだよ。
2人とも、一度たりとも「真実を打ち明けよう」というところでの迷いを示さないというのも、キャラの動かし方としていかがなものかと思うし。

(観賞日:2014年8月3日)


第26回スティンカーズ最悪映画賞(2003年)

ノミネート:【最悪の主演女優】部門[ケイト・ハドソン]
<*『あなたにも書ける恋愛小説』『10日間で男を上手にフル方法』の2作でのノミネート>

 

*ポンコツ映画愛護協会