『第5惑星』:1985、アメリカ

21世紀の終わり頃、地球人は共同で宇宙開発に取り組み、惑星の植民地化に着手していた。しかし、同じ目的を持つドラック星人が銀河系の主な惑星を占領し、所有権を主張していた。地球人とドラック星人との激しい戦いが始まった。
宇宙ステーションを出発した地球人ウィリス・ダヴィッジは、仲間と共にドラック星人の戦闘機を攻撃。しかし、深追いしすぎたために第5惑星の引力に引き寄せられ、そのまま惑星に不時着。ダヴィッジは助かるが、相棒のジョーイは息を引き取った。
ジョーイを埋葬したダヴィッジは、ドラック星人の戦闘機が不時着しているのを発見。ダヴィッジは近くにいたドラック星人を殺そうとするが逆襲に遭い、捕らえられてしまう。無数の隕石が惑星に降り注いできたため、2人は洞穴に移動する。
ドラック星人が眠り込んでいる間に縛られていたロープを解いたダヴィッジは、ドラック星人に隕石の危険性を訴え、場所を移動して隕石を避けるためのシェルターを作ることを提案。もちろん言葉は通じないのだが、身振り手振りでなんとかドラック星人に意思を伝える。
ダヴィッジとドラック星人は場所を移動した。ドラック星人は名前をジェリバと言うらしい。しばらく一緒に過ごす間に、ジェリバは人間の言葉を理解するようになった。時にささいなことで言い争いを始めたりもするが、次第に2人の心は近付いていく。
ある日、ジェリバが体の異変を訴える。なんと彼は妊娠していたのだ。雌雄同体であるドラック星人は、時が来れば自然に妊娠するのだ。やがて彼は子供を産み落とすが、亡くなってしまう。残されたダヴィッジは、ジェリバの息子ザーミスを育て始めた…。

監督はウォルフガング・ペーターゼン、原作はバリー・ロングイヤー、脚本はエドワード・カーマラ、製作はスティーヴン・フリードマン、製作総指揮はスタンリー・オトゥール、撮影はトニー・アイミ、編集はハンネス・ナイケル、美術はロルフ・ゼヘットバウアー、衣装はモニカ・バウアート、エイリアンデザイン製作はクリス・ウェイラス、視覚効果監修はドン・ドウ、特殊効果監修はボブ・マクドナルドJr.、音楽はモーリス・ジャール。
出演はデニス・クエイド、ルイス・ゴセットJr.、ブライオン・ジェームズ、リチャード・マーカス、キャロリン・マコーミック、バンパー・ロビンソン、ジム・マップ、ランス・カーウィン、スコット・クラフト、ルー・マイケルズ、アンディ・ギア、ヘンリー・ストロウ、ハーブ・アンドレス、ダンマー、マンディ・ハウゼンバーガー、エミリー・ウッズ、バリー・ストークス、コリン・ギルダー、ウルリッヒ・ガンザー、フランク・ヘンソン他。


ウォルフガング・ペーターゼンが2年の歳月を掛けて作り上げた、アメリカ進出第1作目となる作品。リー・マーヴィンと三船敏郎の出演した1968年の作品『太平洋の地獄』のSF版と言われることもあるようだ。あまり派手さの無いSF大作である。

ジェリバを演じるのはルイス・ゴセットJr.。
だが、全身着ぐるみなので顔は全く見えない。
この映画の2年前の1983年作品『愛と青春の旅立ち』でアカデミー助演男優賞を受賞しているから、決して無名時代に演じたというわけではない。
こんな役のオファーを、よく受けたものだ。

ダヴィッジとジェリバが親しくなるのが早すぎる。
もう少し2人が戦っている時間が長くてもいいし、一緒に行動し始めた後でも、もう少し長く対立関係を引っ張った方がいい。
ジェリバが人間の言葉を喋り始めるのも早すぎ。
もう少しコミュニケーションを取るのに苦労する場面が多い方がいい。

映画の大半はダヴィッジとジェリバの2人しか登場しないわけだから、この2人の会話や行動は、非常に重要なファクターとなるはずだ。
それを考えると、隕石から逃げる、怪物に襲われるというエピソード以外に、もう少し危機・発見・捜索などの行動が見られても良かったと思う。

会話に関しては、あまり面白味のある内容ではない。
2人は全く違う人種なのだから、もっとお互いの生活習慣などについてのギャップを示すような場面があって然るべきだと思う。
肉体的な違いは見られるが、文化的な違いが見られないのだ。

途中でジェリバが死んでしまい、ダヴィッジがジェリバの子供ザーミスを育て始める。
だが、それ以降のエピソードは、続編でも作って描いた方が良かったのでは。
もしもダヴィッジの子育てを描くなら、それをメインのストーリーに持ってきて、そこまでの展開は前半で済ませた方が良かったと思う。

終盤には一度ダヴィッジが惑星を離れ、宇宙ステーションから再び惑星に戻るという展開があるが、宇宙ステーションの機械的な装飾が出てくると、どうも違和感が生じる。
もしも惑星を離れるのなら、それはエンディングのみにして欲しかった。

 

*ポンコツ映画愛護協会