『出逢い』:1979、アメリカ

サニー・スチールは、かつては5度も王者になったことのあるロデオのスーパースター。サニーはアムコ産業が発売するコーンフレークスのイメージタレントとして起用された。宣伝活動のために各地を回り、派手な服で馬に乗る生活。サニーは次第に酒に溺れるようになっていった。
アムコ産業はシアーズ会長の陣頭指揮の下で、事業拡張の大デモンストレーションを行うことになった。会場となるラスベガスのシーザーズ・パレスでは、企業シンボルとして1200万ドルで購入したサラブレッドの名馬ライジング・スターにサニーが乗ることになっていた。
だが、サニーはライジング・スターがペニシリンやステロイドを注射されて薬漬けにされていることを知る。馬を愛する彼は、ライジング・スターに乗ったまま会場から逃走。薬物注射が明るみに出れば企業イメージが悪くなるとあって、シアーズ会長は必死で彼の行方を探させる。
会場に取材で来ていた女性テレビキャスターのハリー・マーティンは、ビッグな特ダネをつかむためにサニーの行方を追う。ハリーはサニーの仲間から情報を収集し、彼の居場所を突き止める。同じ頃、警察やFBIはサニーとライジング・スターの行方を捜していた。
サニーはハリーのTVインタヴューを受け、ライジング・スターを野生馬の棲息地に放して自由に生きさせると話す。ハリーはサニーの優しい心に触れ、次第に彼に惹かれるようになっていく。そして2人の間には恋が芽生えるのだが…。

監督はシドニー・ポラック、原案はポール・ガイア&ロバート・ガーランド、脚本はロバート・ガーランド、製作はレイ・スターク、撮影はオーウェン・ロイズマン、編集はシェルドン・カーン、美術はスティーヴン・グライムス、衣装はバーニー・ポラック、音楽はデイヴ・グルーシン、主題歌はウィリー・ネルソン。
主演はロバート・レッドフォード&ジェーン・フォンダ、共演はヴァレリー・ペリン、ジョン・サクソン、ウィリー・ネルソン、ニコラス・コスター、アラン・アーバス、ウィルフォード・ブリムリー、ウィル・ヘアー、ベイジル・ホフマン、ティモシー・スコット、ジェームス・B・シッキング、ジェームズ・クライン、フランク・スピーザー、クイン・K・リデカー、ロイス・ハミルトン他。


レッドフォードとフォンダは1966年の『逃亡地帯』、1967年の『裸足で散歩』に続く3度目の顔合わせ。ポラックとレッドフォードは1973年の『追憶』など、ポラックとフォンダは1969年の『ひとりぼっちの青春』などでコンビを組んでいる。

“出逢い”という邦題は、前半を見た限りはピント外れに感じた。
が、後半に入ると、納得できた。
西部魂を思い出した男が主役の、現代文明批評を込めた映画なのかと思ったら、途中から見事に腰砕けとなり、緩いラブロマンスに変わっていくのだ。

馬が薬漬けになっているという実状がサニーの言葉だけなので、それによって彼がロデオライダーの誇りを思い出すという流れが弱い。サニーの怒りを表現するために、もっと馬が酷い扱いを受けている場面を描くべきだった。

妻シャーロッタとの離婚にサニーが同意するエピソードも、あっさり同意して1分程度で終わり。必要があったとは思えないエピソードだ。
で、困ったらウィリー・ネルソンの歌が流れてくる。
彼のカントリー・ミュージックを、大々的にフィーチャーしている。

サニーの行動はデタラメ。
馬が酷い扱いを受けているのを怒っているのに、自分は馬に乗ってパトカーと危険なカーチェイスをしたりする。それも酷い扱いだろうに。
そもそも、本当に馬のことを思っているのなら、薬漬けの事実を最初からマスコミに公表した方が利口だったんじゃないのかなあ。

警察やFBIに一度は居場所を突き止められ、追っ手からの行き詰まる逃亡劇が始まるのかと思ったら、後半になると警察やFBIは完全に姿を消してしまう。
結局、単なる馬を連れた男女の珍道中だ。
カントリー・ミュージックが牧歌的な雰囲気を醸し出す。

というわけで、実は西部男の魂なんぞ、これっぽっちも無いのでありました。
単純な、ゆる〜いラブロマンス映画だったのでありました。
ロバート・レッドフォードとジェーン・フォンダの無類のファンなら見るべし。
そうでなければ見る必要無し。

 

*ポンコツ映画愛護協会