『ドクター・ドリトル2』:2001、アメリカ

サンフランシスコの医師ジョン・ドリトルは、動物の言葉を理解する能力を持っている。彼は世界中から引っ張りだこで、多忙な日々を送っている。そんな彼を妻リサと次女マヤは理解してくれているが、長女シャリーズは反発する。ドリトルはシャリーズと恋人エリックの関係など私生活に干渉するが、それがますます彼女の反発を招く。
ドリトルはアライグマとポッサムに頼まれ、キャンベルズ・グローブに出向いてビーバーに面会する。ビーバーはドリトルに、この森が開発業者のポッターによって破壊されていることを訴えた。ドリトルはリサに相談し、絶滅の危機にある動物がいれば、その種を守る法律があることを聞かされる。
ドリトルは動物愛護家ユージーンに会い、森にパシフィック・ウェスタン・ベアという絶滅種のメスがいることを知る。しかしユージーンはポッターの弁護士ライリーから、メス1匹では子孫を残せないから保護の必要が無いと言われたらしい。同じ種類のアーチーというオスがいるので、森に連れて行ってカップルすれば問題は解決だ。しかしアーチーはサーカス育ちで、舞台で曲芸をやっている。ユージーンの説明では、人に育てられたクマを野性に戻すことは難しいのだという。
ドリトルはリサに弁護を頼み、伐採禁止の命令を出してもらうため法廷に訴えた。判事は1ヶ月の伐採中止を設定するが、1度でもクマが街に出れば命令は取り消すと告げる。ドリトルはアーチーに会って事情を話すが、今の生活が好きだと取り合わない。そこでドリトルは森に行って野生に戻れば有名になれると告げて、アーチーを口説き落とした。
ドリトルは家族を連れて、森の小屋に移った。ドリトルは森に住むクマのエヴァにアーチーを引き合わせるが、エヴァは自分を守ってくれるような強い相手でなければ話にならないと言う。ドリトルはアーチーに野生の暮らしを教えるが、彼は順応できない。強いクマにするのは無理だと諦めたドリトルはプレイボーイとして行動させる作戦に切り替えるが、これも上手く行かない。
ドリトルの挑発が功を奏して、アーチーは強く生きることに目覚め始めた。それによって、アーチーとエヴァの仲も進展していく。だが、ポッターとライリーの策略により、アーチーは街で人を襲った罪を着せられて捕まってしまう。ドリトルは法廷でアーチーの無実を晴らそうとするが、証人が動物では勝ち目が無かった…。

監督はスティーヴ・カー、原作はヒュー・ロフティング、脚本はラリー・レヴィン、製作はジョン・デイヴィス、共同製作はミシェル・インペラート・ステイビル&ハイディー・サンテッリ、製作協力はアルドリック・ラオーリ・ポーター、製作総指揮はニール・マクリス&ジョセフ・M・シンガー、撮影はダリン・オカダ、編集はクレイグ・P・ヘリング、美術はウィリアム・サンデル、衣装はルース・カーター、視覚効果監修はダグラス・ハンス・スミス、音楽はデヴィッド・ニューマン、音楽監修はスプリング・アスパーズ。
主演はエディー・マーフィー、共演はクリスティン・ウィルソン、ジェフリー・ジョーンズ、ケヴィン・ポラック、カイラ・プラット、レイヴン=シモーネ、リル・ゼーン、ジェームズ・L・エイヴリー、アンディー・リクター、スティーヴ・アーウィン、ヴィクター・レイダー=ウェクスラー、マーク・グリフィン、ケン・キャンベル、エレイン・J・テイラー、デニース・ドウズ他。


ヒュー・ロフティングの小説から設定を借りた映画『ドクター・ドリトル』の続編。
ドリトル役のエディー・マーフィー、リサ役のクリスティン・ウィルソン、マヤ役のカイラ・プラット、シャリーズ役のレイヴン=シモーネは前作から引き続いての出演。
他に、ポッターをジェフリー・ジョーンズ、ライリーをケヴィン・ポラック、エリックをリル・ゼーンが演じている。また、人気TVドキュメンタリー番組『クロコダイル・ハンター』のスティーヴ・アーウィンが、本人役で出演している。

導入部分を使って、シャリーズがドリトルに反抗的な態度を取る様子が描写される。だから、それが物語の軸になるのかと思ったら、そうでもない。
というか、そもそもシャリーズがドリトルに反発するという設定の土台そのものが怪しくて、旅行に行こうと言われたら簡単に御機嫌になるし、森へは特に反抗もせず同行している。
後半には「実はシャリーズも動物の言葉が理解できるようになった」ということが明らかになるので、たぶん困惑して素直になれないということを表現したかったんだろう。
でも、ただ中途半端な反抗期の描写にしか見えないんだよな。
あと、前作から積極的に動物と仲良くしているのに、全く能力が芽生えないマヤの立場はどうなるんだ。影が薄いよなあ、マヤは。

シャリーズだけじゃなくて、ドリトルと家族との関係描写って、かなり薄いのね。
でも、それなりに家族との触れ合いを見せようという意識はあるようだ。
ただ、ドリトルと動物との物語に、家族が関わるという形になっていない。
そこがバラバラになっている。
それもあってか、「欲張って無理をしたけど、処理能力が足りなくて消化不良」という感じになっている。

ハッキリ言って、この映画って「多くの動物が愛嬌を振り撒く」という部分だけで引っ張っていく作品なのよね。
みっちりとトレーニングを積んだ動物達が芝居をして、CGで口の動きを作って、そこに有名役者が声を加える。そうやって、可愛らしい動物達のパフォーマンスによって観客の御機嫌を伺う。
そういう映画である。
ただし、マトモにキャラ立ちしているのは、ドリトルの飼い犬ラッキーとアーチーぐらいのモノなんだけど。

ビッグ・バジェットだから主演俳優は有名スターにしなきゃ仕方が無いんだろうけど、極端に言えば、ドリトルはジオングの足みたいなモンだ。
どうせエディー・マーフィーは腑抜けて「唄を忘れたカナリヤ」となり、完全に手抜きモードに入っているし。
製作サイドも最初から主演俳優なんてどうでもいいと思っているのか、それともエディー・マーフィーのやる気の無さに危機感を抱いたのか、動物の声優陣が無駄に豪華になっている。

主な声優陣を列挙すると、アーチー役でスティーヴ・ザーン、エヴァ役でリサ・クードロウ、アライグマ役でマイケル・ラパポート、ポッサム役でアイザック・ヘイズ、リス役でジョーイ・ローレン・アダムズ。
さらにハチ役でクライド・クサツ、動物園のクマ役でセドリック・ジ・エンターテイナー、鳥役でマイケル・マッキーン、子グマ役でマンディー・ムーアとフランキー・ムニッツ、ビーバー役でリチャード・C・サラフィアン。
アンクレジットだが、ホワイト・ウルフ役でアーノルド・シュワルツェネッガーと、前作よりも声優のキャスティングに力が入っている。

 

*ポンコツ映画愛護協会