『ダイ・ハード2』:1990、アメリカ

ジョン・マクレーン刑事がナカトミビルを占拠したテロリストと戦ってから、1年の月日が経った。ニューヨーク市警からロス市警に移ったマクレーンはクリスマス休暇を取った妻ホリーを迎えるため、猛吹雪のワシントンのダレス空港に到着した。
同じ日、ダレス空港では、中南米の麻薬王ラモン・エスペランザ将軍が護送され、アメリカの警察に身柄を引き渡されることになっていた。だが、スチュアート大佐の率いるテロリスト集団が、エスペランザを奪還するために動き始めていた。
怪しげな2人組が空港にいることに気付いたマクレーンだが、空港警察のカーマイン・ロレンゾは彼らが手荷物泥棒だと決め付ける。だが、マクレーンは1年前の事件で知り合ったロス警察のパウエル巡査部長の協力で、彼らがプロの傭兵だと気付く。
テロリスト集団は空港の近くにある古い教会に本拠地を構え、管制塔の能力を奪う。そしてスチュアートは、エスペランザが到着するまでに逃亡用の飛行機を用意するよう要求する。彼らが空港システムを制圧したため、ホリーの乗った飛行機は着陸できなくなってしまう。1年前のように、またもマクレーンはテロリスト集団に立ち向かう…。

監督はレニー・ハーリン、原作はウォルター・ウェイジャー、脚本はスティーヴン・E・デ・スーザ&ダグ・リチャードソン、製作はローレンス・ゴードン&ジョエル・シルヴァー&チャールズ・ゴードン、共同製作はスティーヴ・ペリー、製作協力はスザンヌ・トッド、製作総指揮はロイド・レヴィン&マイケル・レヴィ、撮影はオリヴァー・ウッド、編集はロバート・A・フェレッティ、美術はジョン・ヴァローン、衣装はマリリン・ヴァンス=ストレイカー、音楽はマイケル・ケイメン。
主演はブルース・ウィリス、共演はボニー・ベデリア、ウィリアム・アザートン、レジナルド・ヴェルジョンソン、フランコ・ネロ、ウィリアム・サドラー、ジョン・エイモス、デニス・フランツ、アート・エヴァンス、フレッド・ダルトン・トンプソン、トム・ボウアー、シーラ・マッカーシー、ドン・ハーヴェイ、トニー・ガニオス、ピーター・ネルソン、ロバート・パトリック、マイケル・カニンガム、ジョン・レグイザモ他。


アクション映画の1つのパターンを作り上げるほどの大ヒットした作品の続編。
監督がジョン・マクティアナンからレニー・ハーリンにバトンタッチしている。
前作と同じく、もちろんマクレーン役はブルース・ウィリス。
ホリー役のボニー・ベデリアも引き続いて出演しており、他にエスペランザ役でフランコ・ネロ、スチュアート役でウィリアム・サドラーが出演している。

監督がレニー・ハーリン、脚本にスティーヴン・E・デ・スーザという2人の組み合わせの時点で、何やら危ない匂いが漂ってくる(まあ、前作でもスティーヴン・E・デ・スーザは脚本に携わっていたのだが)。
おそらく、続編の法則をしっかり守ってくれているんだろうなあ、と予想する。
そして、その期待(?)を裏切らなかった作品である。

前作では、ビルの中での縦移動だった。
今回は空港を舞台にして、マクレーンを横移動させている。
前作と同じく、一応は限定空間でのアクションなのだが、何しろ思いっきり外に開かれている場所なので、前作のビルにあったような閉塞感は無い。

前作ではビルの中でテロリスト集団に立ち向かえる人間はマクレーンしかおらず、まさに「事件に巻き込まれる運の悪い男」であった。
しかし、今回は他に事件解決に当たるべき人間が大勢いる。
マクレーンは完全に部外者である。
そこの問題点を、「空港警察がバカだから代わりに誰かがやらねば」という理由付けによって乗り越え、マクレーンに行動させている。
しかし無理に首を突っ込み、勝手な行動を取っているという形に変わりは無い。
さらに、空港警察のバカさ加減をたっぷりと描いたことにより、そのバカさ加減が映画の質にも波及するという悪い効果を招いている。

ノンストップで最後まで走り抜けるジェットコースター・ムーヴィー、と言っていいタイプの作品なのだろうが、主人公マクレーンの行動が狂ったジェットコースターである。
前作で危機的状況を体験したことで、どうやら完全に頭がイカれたようだ。

自分の目の前で飛行機が墜落して大勢の人が死んでショックを受けたはずのマクレーンは、そんな悲しみなど瞬時にして忘れ去ってしまったのか、ヘラヘラと半笑いで敵を退治する(墜落を見たショックで頭がイカれたのかもしれんが)。
「アンタの頭がダイ・ハードだろ」と、意味不明なツッコミを激しく入れたくなる。

爆発する飛行機からマクレーンが空中に飛び出して脱出するという合成バレバレのシーンは、ほとんどコメディーのようにも見えるが、もちろんコメディーではない。
が、1つ間違えばコメディーになるようなハチャメチャっぷりであることは確かだ。

で、最終的には飛行機爆破で一気に敵を退治したマクレーンがホリーを迎え、「良かったね、ハッピーエンドだね」ということになっている。
だが、前述のように大勢の人が犠牲となっているので、どう考えても「みんな笑顔でハッピーエンド」など成立しないはずだ。
まさか「ホリーさえ助かりゃ、いくら他の奴らが死んでもOK」ってことなのか。

 

*ポンコツ映画愛護協会