『ダンテズ・ピーク』:1997、アメリカ

かつて火山の噴火で恋人を失ったUSGS(全米地質学調査団)の火山地質学者ハリー・ドルトンは、上司のポール・ドレイファス博士から呼び出しを受けた。休火山“ダンテズ・ピーク”で振動が観測されたため、調査に向かって欲しいというのだ。
ハリーはダンテズ・ピークのある町を訪れ、調査を開始した。やがて彼は、火山の噴火が近いことを確信する。だが、町の人々は、避難対策に消極的だ。現地入りしたドレイファス博士も、発表は差し控えて火山の調査を続行するという意見だった。
だが、ハリーが噴火直前の兆候を発見し、ドレイファス博士も避難命令を出すことに同意した。レイチェル・ワンド町長を始め、町の人々が避難説明会のために集まった。だが、会合の最中に噴火が起こってしまう。ハリーはレイチェルの義母のルース、子供のローレンとグラハムを避難させるため、彼女と共に山の中腹へ向かった…。

監督はロジャー・ドナルドソン、脚本はレスリー・ボーエム、製作はゲイル・アン・ハード&ジョセフ・M・シンガー、共同製作はマーリーズ・シュナイダー、製作協力はジョフ・マーフィー、製作総指揮はイローナ・ハーツバーグ、撮影はアンジェイ・バートコウィアク、編集はコンラッド・バフ&ティナ・ハーシュ&ハワード・スミス、美術はデニス・ワシントン、衣装はイシス・マッセンデン、音楽はジョン・フリーゼル、テーマ曲はジェームズ・ニュートン・ハワード。
出演はピアース・ブロスナン、リンダ・ハミルトン、ジェイミー・レニー・スミス、ジェレミー・フォーリー、エリザベス・ホフマン、チャールズ・ハラハン、グラント・ヘスロフ、カーク・トラットナー、アラベラ・フィールド、ツィ・マー、ブライアン・レディー、リー・ガーリントン、ビル・ボレンダー、キャロル・アンドロスキー、ピーター・ジェイソン、ジェフリー・L・ウォード他。


デジタル・ドメイン社が特撮を担当したパニック映画。
ハリーをピアース・ブロスナン、レイチェルをリンダ・ハミルトン、ローレンをジェイミー・レネー・スミス、グラハムをジェレミー・フォーリー、ルースをエリザベス・ホフマン、ドレイファスをチャールズ・ハラハンが演じている。

製作サイドは、これを公開する時、きっと心の中で思っていたに違いない。
「観客の皆さん、お願いですから、ストーリーのことは考えないでください。シナリオなんて、どうだっていいんです。そんなことより、映像だけを見てください」と。
そう願っていたに違いない。

この映画、ストーリーは平平凡凡だ。何の捻りも無く、使い古されたパターンをなぞっているだけに過ぎない。
というか、ストーリーなんて、あって無いようなものだ。シナリオを作らずに撮影に入っても、特に支障が無かったのではないかとさえ思ってしまう。
どうせストーリーなんて要らないようなモノなのだから、余計なことをしなければいいのに、脚本家の存在をアピールしたかったのか、余計なことをやらかす。安易にも、主人公とヒロインの恋愛を入れてしまう。でも、上手く扱い切れずに終わる。
ちなみに脚本のレスリー・ボーエムは、『デイライト』も書いている人。
なるほど、納得だ。

この作品の“肝”は、自然災害をリアルに描くという部分にある。
それ以外の部分は、どうでもいい。
つまり、誰が出演していようが、人物は逃げ惑う役割を与えられた駒に過ぎないので、どうでもいい。実際、ハリーでさえも何の役にも立っておらず、逃げているだけだ。
当然、逃げ惑う様子を延々と描くだけなので、物語もどうでもいい。

さあ、物語なんて無視しよう。「もしも火山が爆発したら」という設定によるシミュレーション映像でも見ているかのような気持ちで、ミニチュア・ワークを主体とした映像表現だけに集中しよう。
極端な話、災害が発生するまでの前半部分は見なくてもいい。

 

*ポンコツ映画愛護協会