『THE BATMAN−ザ・バットマン−』:2022、アメリカ
ゴッサム・シティーの市長選では、現職のドン・ミッチェルと28歳で新人のベラ・リアルが激しく争っていた。討論会ではミッチェルが「彼女ではウェイン氏の再開発計画を推進できない」と主張し、ベラが「計画は破綻している。20年も掛けて犯罪率は高くなる一方」と反論した。ミッチェルが「私の指示でゴッサム市警はマフィアのボスであるマローニを逮捕した」と実績を誇ると、彼女は「今も街は麻薬だらけ」と指摘した。自宅でテレビのニュースを見ていたミッチェルは、覆面姿の人物に背後から襲われて死亡した。
10月31日、ハロウィンの夜。仮装した連中が地下鉄のホームで1人の男を包囲し、殺害しようとする。そこへバットマンが現れて、一味を叩きのめして退散させた。バットシグナルを見たバットマンは、ミッチェル邸へ赴いた。マルティネス巡査が「警察だけだ」と制止すると、ジェームズ・ゴードン警部補が「私が呼んだ」と告げる。マルティネスはバットマンへの不快感を露骨に示すが、仕方なく中に通した。ゴードンはバットマンに、ミッチェルが親指を切られていることを教えた。
現場にはバットマン宛ての「死んだ嘘つきがつくのは?」と書かれたメッセージカードが残されており、暗号表が添えてあった。本部長のピート・サヴェージが現場に現れ、バットマンを見ると「容疑者かもしれんぞ」と追い出すようゴードンに命じた。メッセージの答えについて、バットマンは「動かぬ嘘」と断言した。バットマンは帰宅し、ブルース・ウェインの姿に戻った。テレビのニュースでは、20年前の同じ週に起きたトーマス・ウェイン殺害事件と今回の事件の類似性について報じていた。市長候補だったトーマスと妻のマーサは市長選の最中に殺害され、今も事件は未解決のままだ。
ブルースは執事のアルフレッド・ペニーワースから「ウェイン産業の会計士が来ます。このままでは全てを失う」と言われ、「どうでもいい。この街を変えること以外、俺には意味が無い」と口にした。彼はアルフレッドと共に暗号を解読し、「ドライブ」という答えを導き出した。ブルースはゴードンに連絡してミッチェルの車を調べ、USBメモリを発見した。USBメモリの中身を確認すると、ミッチェルの浮気写真が入っていた。ミッチェルの近くには、ファルコーネの側近であるペンギンが映っていた。
バットマンはファルコーネのアジトであるアイスバーグ・ラウンジへ乗り込み、用心棒たちを蹴散らしてペンギンの元へ辿り着いた。彼の詰問を受けたペンギンは、「俺は店のオーナーに過ぎない。客が何をしようと、知ったことじゃない」と告げた。バットマンは店で働くセリーナ・カイルに不審を抱き、外へ出て行く彼女を尾行した。セリーナは自宅に戻り、同棲相手のアニカと話した。彼女はミッチェル家に忍び込んで金庫を開けるが、バットマンが現れて制圧した。
バットマンはセリーナが金庫から盗んだのがアニカのパスポートだと知り、「お前が市長を殺したのか」と尋問する。セリーナは「殺してない。アニカのパスポートを市長が奪った」と主張し、バットマンの「なぜ?」という質問に「彼女は怯えて話してくれない」と答えた。セリーナがバットマンと自宅へ戻ると、室内が荒らされてアニカが消えていた。テレビのニュースでは、サヴェージの殺害が報じられた。犯人は警察のジムでサヴェージを殺す直前の動画を、SNSに投稿していた。犯人はリドラーと名乗り、「審判の日まで、もっと人を殺す。その時、この街の真実が暴かれる」と語った。
セリーナはバットマンに、ラウンジの中にある秘密クラブの「マイナス44」でサヴェージを目撃したと話す。バットマンは彼女に、「君の友人を助け出そう」と告げた。彼はゴードンと会い、サヴェージが殺鼠剤を注射されていたことを聞く。リドラーはサヴェージがドロップを取引する動画をSNSに投稿し、現場にはバットマン宛てのメッセージカードを残していた。今回のカードには、「迷路を辿り、ネズミを探せ。光に晒せば私に辿り着く」と記されていた。
バットマンはセリーナに指示し、マイナス44へ潜入させた。店の用心棒は非番の警官であるウィリアム・ケンジーで、客として地方検事のギル・コルソンたちが来ていた。セリーナはバットマンの指示でコルソンに話し掛け、一緒に飲もうと誘われた。コルソンは検事仲間のカーラたちと店に来ており、「リドラーの狙いは街の大物。内幕を知ってる」と語る。セリーナがバットマンの指示でネズミについて訊くと、コルソンは「我々が飼っていたスパイさ。その情報でマローニを潰せた」と述べた。
カーラが「いい加減にして。ロシア女が消えたとか」と疎ましそうに言い、セリーナはアニカのことを知っていると考える。バットマンはコルソンとの会話を続けるよう命じるが、セリーナはお代わりを取りに行ったカーラを追う。彼女が「アニカは無事なの?誰の仕業?」と詰問すると、カーラは「騒がないで。死にたいの」と怒鳴った。騒ぎに気付いたカーマイン・ファルコーネが歩み寄り、セリーナを見ると「ここで会うのは久しぶりだな。たまには会いに来い」と声を掛けた。
セリーナはバットマンから「知り合いか?なぜ隠してた?」と問われ、「何の関係も無い」と返した。彼女は「もう無理」と協力の続行を拒否し、店を去った。車に戻ったコルソンは、隠れていたリドラーに襲われた。バットマンはゴードンと会い、リドラーはネズミの正体を知っていると報告した。ブルースはリドラーがミッチェルの追悼式に現れると睨み、出席することにした。アルフレッドはネズミの迷路の暗号を解き、「翼のあるネズミ」「密告者」という意味のエル・ラタ・アラーダという言葉が出たことをブルースに知らせた。
追悼式の会場へ赴いたブルースは、写真に映っていた女性がファルコーネと一緒にいるのを目撃した。近付こうとした彼をボディーガードが制止すると、ファルコーネが「失礼だぞ。この街のプリンスだ」と注意した。彼は「父親は命の恩人だ」と言い、かつて胸を撃たれた自分が病院に行けず、医師だったトーマスの家で手術を受けたことをボディーガードに語った。式典の会場では、ゴッサム再開発基金への寄付を呼び掛けるアナウンスが流れていた。「市民を守るセーフティーネットです」という文言に対し、ブルースの隣にいた男は「何がネットだ。穴だらけだ。娘も救えなかった。誰も救えない」と吐き捨てた。
ブルースはベラから、当選したら協力してほしいと頼まれた。会場に車が突っ込み、ダイヤル式の首輪爆弾を付けられたコルソンが降りて来た。彼はスマホを持たされ、胸にはバットマン宛てのメッセージが貼り付けられていた。警察は全員を避難させ、バットマンが会場に現れた。彼が指示に従って電話に出ると、画面にリドラーが現れた。彼は「真実を暴く。2人でやろう。お前を待ってた。計画の一部だ」と嬉しそうに語り、「俺の役割は?」とバットマンが訊くと「これから分かる」と答えた。
リドラーは動画を生配信しており、コルソンに「チャンスをやろう。3問を2分で正解できたら、鍵の番号を教える」と持ち掛けた。彼が最初の問題を出すと、バットマンは「正義」と答えをコルソンに教えた。次の問題でバットマンは「賄賂」と正解を教え、金額を言うようコルソンに迫った。コルソンは年に1万ドルの賄賂を受け取り、事件を不起訴にしていたことを告白した。最後の問題をリドラーが出すとバットマンは「ネズミだ」と言い、マローニ事件のスパイが誰なのか明かすようコルソンに要求した。しかしコルソンは「名前を言えば家族まで殺される」と拒み、爆弾が起動して絶命した。
爆風で吹き飛ばされたバットマンは気絶し、警察署へ運び込まれた。警官たちが覆面を外して素顔を見ようとすると、バットマンが意識を取り戻して暴れた。ゴードンが慌てて制止すると、マッケンジー・ボック署長は「庇うのか。こいつのせいで人質が死んだ」と口にする。バットマンは「検事は自白よりも死を選んだ。何かを恐れて」と反論し、ボックへに疑念を向けた背後から警官が覆面を剥がそうとすると、察知したバットマンが突き飛ばした。
バットマンが警官たちと戦う姿勢を取ると、ボックは「警官暴行で逮捕する」と通告する。バットマンが殴り掛かろうとすると、ゴードンがなだめた。ゴードンはボックに「彼を説得する」と申し入れ、バットマンと2人にしてもらう。彼が「私を殴って逃げろ」と促すと、バットマンはケンジーがラウンジの用心棒をしていたことを教えた。彼は警察署の屋上から逃走し、ゴードンと密会して指名手配されたことを知らされた。
ゴードンはバットマンに、「ペンギンはマローニの弱みを握り、コルソンに売って保身を図った」と話す。バットマンは迷路の暗号を教え、ゴードンと共にペンギンを尾行した。ペンギンは手下を連れてリサイクル工場に入り、バットマンはドロップの製造工場だと知った。セリーナはケンジーの車から大金の入った鞄を盗み出そうとするが、気付いたバットマンが「危険な連中の金だ」と警告する。セリーナが構わずに別の鞄を開けると、アニカの遺体が入っていた。
工場から出て来たペンギンと一味は、バットマンとセリーナに気付いて発砲する。バットマンがバットモービルに乗ると、ペンギンは車を走らせて逃亡する。セリーナは残されたケンジーから金の入った鞄を奪い、バイクで逃走した。バットマンはペンギンを追跡して横転に追い込み、ゴードンと共に詰問した。ペンギンは「俺はネズミじゃない」と否定し、暗号について問われると馬鹿にして「正確にはラ・ラタだ。エルとラの違いも分からないのか」と告げた。
バットマンは暗号の意味がURLだと推理し、ラタ・アラーダ・ドットコムにアクセスした。するとチャット画面になり、リドラーの言葉が表示された。画面には「全体像を見ろ。次の犠牲者はパズルの大事なピースだ」という文章が表示され、「私はスラム街で育った。出自は不明。私は何?」とクイズが出た。バットマンが「孤児」と正解を撃ち込むと、リドラーとのチャットは終了した。バットマンはリドラーがスラムの古い孤児院で育ったと確信した。そこはトーマス・ウェインがタワー建設後に寄贈した場所で、火事で焼けていた。
バットマンがゴードンと共に孤児院へ行くと、玄関に「ようこそ」の落書きがあった。中に入ると、ドロップ中毒の連中が集まっていた。奥のドアには「全てはここから始まった」と殴り書きがあり、大広間には映写機が置いてあった。その映写機からはトーマスが出馬表明し、ゴッサム再開発基金の創設を宣言した時の映像が投射されていた。次の狙いが自分だと悟ったバットマンは、急いで自宅に電話を掛けた。するとアルフレッドがバットマン宛ての手紙爆弾で重傷を負い、病院に搬送されていた。
ブルースは孤児院の壁にあった「再開発は嘘?」という落書きが気になり、再開発基金の資料を集めた。セリーナはバットマンの呼び出しを受けると、「アニカが殺された。ケンジーに代償を払わせる。手伝って」と持ち掛けた。バットマンが「選択には結果が伴う」とアニカの自己責任を指摘すると、彼女は「金持ちの台詞ね」と嫌味っぽく告げる。彼女は「ファルコーニは私に借りがある」と言い、何の借りかと問われると「あいつは私の父親よ」と答える。セリーナは怒りを込めて、「母はアニカと同じように、あの店で働いてた。7歳の時、母がイカれた男に殺された。福祉局に保護された私を、あいつは見もしなかった。借りは返してもらう」と語る…。監督はマット・リーヴス、脚本はマット・リーヴス&ピーター・クレイグ、製作はディラン・クラーク&マット・リーヴス、製作総指揮はマイケル・E・ウスラン&ウォルター・ハマダ&シャンタル・ノン・ヴォ&サイモン・エマニュエル、製作協力はアダム・ソリン、撮影はグリーグ・フレイザー、美術はジェームズ・チンランド、編集はウィリアム・ホイ&タイラー・ネルソン、衣装はジャクリーン・デュラン、視覚効果監修はダン・レモン、音楽はマイケル・ジアッチーノ、音楽監修はジョージ・ドレイコリアス。
出演はロバート・パティンソン、ゾーイ・クラヴィッツ、ポール・ダノ、コリン・ファレル、アンディー・サーキス、ジェフリー・ライト、ジョン・タトゥーロ、ピーター・サースガード、バリー・コーガン、ジェイミー・ローソン、ギル・ペリッツ=アブラハム、ピーター・マクドナルド、コン・オニール、アレックス・ファーンズ、ルパート・ペンリー=ジョーンズ、チャーリー・カーヴァー、マックス・カーヴァー、コーシャ・エングラー、アーチー・バーンズ、ジャニーン・ハルーニ、ハナ・フルジク、ジョセフ・ウォーカー、ルーク・ロバーツ、オスカー・ノヴァク、ステラ・ストッカー、サンドラ・ディッカーソン、ジャック・ベネット、アンドレ・ナイチンゲール、リチャード・ジェームズ=ニール、ロレイン・タイ他。
DCコミックスの『バットマン』を基にした作品。
監督は『クローバーフィールド/HAKAISHA』『猿の惑星:新世紀』のマット・リーヴス。
脚本はマット・リーヴスと『ブラッド・ファーザー』『ホース・ソルジャー』のピーター・クレイグによる共同。
ブルースをロバート・パティンソン、セリーナをゾーイ・クラヴィッツ、リドラーをポール・ダノ、ペンギンをコリン・ファレル、アルフレッドをアンディー・サーキス、ゴードンをジェフリー・ライト、ファルコーネをジョン・タトゥーロ、コルソンをピーター・、ベラをジェイミー・ローソン、マルティネスをギル・ペリッツ=アブラハムが演じている。たぶん多くの人が感じることだろうが、序盤から作品の雰囲気がクリストファー・ノーラン監督の『バットマン』3部作に似ている。当然っちゃあ当然だが、それが序盤だけで済むわけもなく、全体を通してクリストファー・ノーランからの影響を強く感じさせる仕上がりになっている。
残念で悲しいことだが、また新たに「クリストファー・ノーラン病」を患ったスーパーヒーロー映画の監督が誕生したわけだ。
また、ハロウィンのシーンは、明らかに『ジョーカー』の雰囲気が濃い。あと、最初にブルースが登場した時、『クロウ/飛翔伝説』のバッタモンかと思った。
そしてマット・リーヴス監督は、そういった過去作からの強い影響を隠そうともしていない。とにかく暗くて重くて陰鬱で、アクションシーンが訪れても爽快感やカタルシスは皆無。
そもそもバットマンという作品自体が「陽」ではなく「陰」ではあるのだが、「それにしても、ここまで重くするかね」と。
映画は冒頭からハードボイルドから重厚なナレーションで進行され、かなりフィルム・ノワールの色が濃くなっている。
そして、主人公がバットマンである必要性が薄い。
普通の私立探偵が、普通のサイコ・キラーと対峙する話だとしても、ほぼ問題なく成立してしまう。今回のメインとなるスーパーヴィランはリドラーだが、その他にもキャットウーマンとペンギンが登場する。
キャットウーマンは最後まで「キャットウーマン」と呼ばれずヴィランとして行動すること無いが、きっと多くの人が「セリーナがキャットウーマン」ってことは理解できるだろう。
そんなセリーナは「バットマンが惚れる泥棒」に過ぎないし、ペンギンは「ファルコーニの手下」に過ぎない。それ以上でも、それ以下でもない。
いずれのキャラも、キャットウーマンやペンギンじゃなくても全く支障はない。
むしろ、有名なキャラを出しておいて、その程度の扱いなのかと言いたくなる。しかも、まだ足りないと思ったのか、実はバリー・コーガンが演じるジョーカーもラストで登場する。「アーカムにいる囚人」という役で、リドラーと会話を交わしている。劇中で「ジョーカー」と呼ばれることは無いが、こいつがジョーカーなのだ。
最後の最後でチラッと登場させるぐらいだから、間違いなく続編に向けての布石だろう。
ただ、そこで期待感を煽られるのかというと、それは微妙なんだよなあ。
このままマット・リーヴスが続投することになっているので、これは厳しそうだなあと感じるのよね。粗筋を読めば分かると思うが、リドラーがコルソンに問題を出した時、バットマンは「正義」「賄賂」と正解を出すだけでなく、隠していた情報を明かすよう要求する。賄賂の金額を教えるよう迫り、スパイの名前を明かすよう要求している。
それはリドラーの要求を受けての行動じゃなくて、完全にバットマンの独断だ。
そのため、リドラーが言っていた通り、彼は「計画の一部」としての役目を果たしている。
そこに「コルソンを助けよう」という意識は皆無で、情報を聞き出すことしか頭に無い。彼はヴィランであるリドラーの協力者に過ぎず、ちっともスーパーヒーローとしての仕事を果たしていない。これまた粗筋を読めば一目瞭然だが、冒頭でリドラーが事件を起こしてメッセージを残しているので、「バットマンがリドラーの正体を突き止めて退治する」という筋道は明確に浮かび上がる。
ところが、それとは関係の無い目的で行動するセリーナが登場して、物語の軸がボヤけ始める。
さらに、「トーマスがマーサの過去を暴こうとする記者の買収に失敗し、相談を受けたファルコーネが記者を殺害した」という事実が明らかになり、ブルースがアルフレッドから「トーマスが殺害を知って自首しようとしたら何者かに殺された」と知らされる。
これにより、「ブルースが両親を殺した犯人はファルコーネだろうと知る」という展開になる。
この辺りの展開は、「リドラーの正体を突き止めて云々」という話から完全に外れている。さらに、セリーナがケンジーを捕まえ、ファルコーネがアニカを殺した証拠を掴んで復讐心を燃やす展開になる。
バットマンが止めようとするのだが、ますます「リドラーの正体を云々」という筋道から外れている。
あとさ、セリーナがアニカと付き合っている設定ってのは、明らかに最近のジェンダー問題を意識した設定だよね。それにしては、そこの扱いが弱すぎないか。
ぶっちゃけ、セリーナがレズビアンじゃなかったとしても、交際相手が男だったとしても、何も変わらないよね。アクションシーンが無駄に長いと感じてしまう。
スーパーヒーロー映画だから、アクションシーンの割合が多くても別に悪いことではない。ただ、あまり興奮できる内容に仕上がっていないんだよね。バットマンとペンギンのカーチェイスも、そんなに長く引っ張らなくても良くないか。
クライマックスの戦いも、リドラー不在の場所で起きているという時点でマイナス。
しかも、バットマンは絶体絶命のピンチをセリーナに助けてもらうし、最後に残った敵を激怒してボコ殴りにしちゃってゴードンに制止されるし、何のカタルシスも高揚感も無い。
アクションシーンなのに、ちっともアガらないんだよね。バットマンは「俺が復讐だ」と言っているのだが、セリーナがファルコーネに復讐しようとすると、それを止める。
それは「彼女の手を血で汚したくない」ってことで、その代わりに自分が復讐を果たすのかというと、そうじゃなくてファルコーネを法の裁きに任せようとする。
この展開、バカバカしさしか感じないし、興醒めしちゃうわ。
ヒーロー的には間違っちゃいないのかもしれないけど、ヌルくて甘いとしか思えないわ。
どうせスーパーヒーロー映画としては全く機能していないのに、そんなトコだけ正義の味方としての矜持を見せられても、「うるせえ偽善者だな」と言いたくなるだけだよ。終盤のネタバレになるが、バットマンはセリーナの復讐を止めて、ファルコーネを警察署に連行しようとする。しかしファルコーネが射殺され、リドラーは余裕の笑みを浮かべて捕まる。
ここまでの展開って、「バットマンはリドラーの掌の上で転がされていた」ってことになるんだよね。
なんちゅうスーパーヒーロー映画だよ。
最後の戦いでも、「リドラーに勝った」という印象は皆無だし。
「バットマンの気付き」を描くための物語になっているけど、その代償としてダウナーすぎるってのはキツいぜ。この映画、当初は「DCエクステンディッド・ユニバース」の『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』と『スーサイド・スクワッド』でバットマン役を務めたベン・アフレックが主演する予定だった。
しかしDCエクステンディッド・ユニバースが解消されてベン・アフレックの起用は無くなり、この映画は「DCエルスワールズ」の枠内で3部作として製作されることになった。
序盤の失敗が続いたから仕方が無いんだけど、DCエクステンディッド・ユニバースを解消してマルチバース化に移行したのは痛手だよなあ。
今後は作品によって、異なる演者のバットマンやジョーカーが登場することになるんでしょ。そういうの、あんまり気持ち良くないんだよね。
そもそも、ベン・アフレックじゃないバットマンが登場している時点で、大いに引っ掛かるし。(観賞日:2024年4月30日)