『サバービコン 仮面を被った街』:2017、アメリカ

サバービコンは1947年に、繁栄が約束された町として誕生した。数件の小さな家から始まったが、わずか12年で成長した。活気溢れる町は大都市のように便利だが、騒音や渋滞とは無縁だ。全国各地から集まった6万人近い住民が暮らすサバービコンには、ショッピングモールや設備の整った病院、自慢の聖歌隊などがある。郵便配達人のヘンリーは町を歩き、ペンダルトン夫人を見掛けて挨拶する。新しい隣人に会ったかどうかヘンリーが尋ねると、夫人は「昨夜、引っ越して来たのよ。後でパイを持って行くわ」と告げた。
ヘンリーは笑顔を浮かべ、隣の家へ光熱費の請求書と定期購読の婦人雑誌を届けに行く。黒人女性が玄関にいたので、彼は「マイヤーズ夫人は?」と質問する。「私ですが」という答えにヘンリーは固まってしまい、狼狽して郵便物を渡さずに去ろうとした。彼は平静を装い、郵便物を渡して去った。黒人一家が引っ越して来たことに住民は驚き、ビリングス町長は緊急会合を開いて話し合う。住民から激しい抗議を受けたビリングスは、「マイヤーズ家と隣接する住宅には塀を立て、視界を遮る」と説明する。しかし住民は全く納得せず、代表のジェームズは黒人を拒否する戦いを宣言する陳情書を読み上げ、その場に集まった全員が拍手を送った。
下半身不随で車椅子を使っているローズ・ロッジは、マイヤーズ家の向かいに住んでいた。彼女は双子の妹のマーガレットと一緒に豆を剥きながら、ウォルコットが「黒人が来て資産価値が下がった」と言っていることについて語り合う。マーガレットはローズの息子であるニッキーに、マイヤーズ家の子供であるアンディーを野球に誘うよう勧めた。ニッキーは「野球なんかしたくないのに」と文句を言うが、渋々ながらアンディーを誘って遊びに出掛けた。
その夜遅く、ニッキーが寝室にいると父のガードナーが呼びに来て、「強盗が入った」と告げる。ガードナーの隣には、強盗のルイスがいた。ニッキーが1階のリビングへ行くと、ルイスの相棒のスローンがいた。ガードナーは強盗たちに要求され、酒を出した。ガードナーが「早く済ませてくれ」と言うと、彼らは1人ずつロープで縛り上げてクロロホルムを嗅がせた。目を覚ましたニッキーは、病院のベッドで目を覚ました。ガードナーとマーガレットは、ローズがクロロホルムを過剰に吸い込んで死亡したことを教えた。
ローズの葬儀が執り行われ、兄のミッチはニッキーを元気付けた。ガードナーはニッキーに、しばらくマーガレットが家に来て面倒を見てくれることになったと告げた。母のいない生活を始めたニッキーは、アンディーに声を掛けられた。アンディーは飼っている小さな蛇をニッキーに見せ、「牙は無いから噛まない」と告げてプレゼントした。深夜に目覚めたニッキーが怖がっていると、気付いたガードナーはマーガレットを寝室に向かわせた。マーガレットは信仰について語り、ニッキーは彼女に促されて神に祈った。
マーガレットがニッキーを連れてバスに乗ると、近所の主婦たちが慰めの言葉を口にした。ガードナーが財務部長を務める会社に出勤すると、同僚や秘書が同情の言葉を掛けた。社長のパパスはガードナーを呼び、泣きながら「どんな時でも君の味方だ」と言う。マーガレットはニッキーに学校を休ませ、スーパーのレジ係として働く自分の隣で手伝いをさせた。ガードナーは警官のハイタワーから電話を受け、犯人が捕まったと聞かされる。面通しに協力してほしいと依頼され、彼は警察署へ赴いた。
ハイタワーは事件当夜のロッジ家に現金が無かったことをガードナーに確認し、「捕まった時、2人は多額の現金を持っていました」と話した。ハイタワーはマーガレットも呼んでおり、彼女は同行を希望したニッキーを伴って警察署へ来ていた。ハイタワーはニッキーにも面通しを持ち掛けるが、ガードナーが「そんなの酷でしょう」と反対した。ハイタワーはニッキーに待っているよう指示し、ガードナーとマーガレットを部屋へ案内する。ニッキーは密かに忍び込むが、誰も気付かなかった。ニッキーはスローンとルイスがいるのに気付くが、ガードナーとマーガレットは「犯人はいません」と断言した。
警官が誤って明かりを付けたので、スローンとルイスはニッキーに気付いた。ニッキーは見つかって部屋の外に連れ出され、面通しは終了した。帰りの車中で、ガードナーとマーガレットは何事も無かったかのように会話を交わした。ニッキーは家に戻ってから「なんで犯人がいないって言ったの?」とガードナーに尋ねる。ガードナーは「あの中にはいなかった」と告げ、ニッキーが口を挟もうとすると「思い込みだ」と遮った。さらに彼は「これは家族の問題だ」と言い、ミッチには話さないよう釘を刺した。
マーガレットはローズと同じ色に髪を染め、ガードナーと体を密着させて踊った。マイヤーズ家の前には、抗議する住民が押し寄せていた。ニッキーとアンディーは窓から顔を出し、糸電話を使って話した。野球から帰ったニッキーは「やめて、嫌」というマーガレットの声を聞き、ナイフを手にして警戒しながら様子を見に行く。真っ暗な地下室に入った彼が電気を付けると、ガードナーとマーガレットが性行為の真っ最中だった。
マイヤーズ家の周囲では塀の建設が進み、庭にいたアンディーは母のデイジーから家に入るよう指示された。マーガレットはニッキーの「ここにはいたくない。引っ越したい」という不満を聞くと、「貴方が働くなら何も言わないわ」と脅すような態度を取った。ニッキーはミッチの会社に電話するが、会議中だと言われたので伝言を残した。スローンとルイスはガードナーのオフィスへ乗り込み、彼を殴って「俺たちを警察に売って裏切りやがったな」と怒鳴る。彼らは「ガキを何とかしろ。お前がやらなきゃ俺たちがやる」と言い、必ず報酬は払ってもらうと告げて立ち去った。
塀が完成しても住民は満足せず、マイヤーズ家の周囲で大きな音を鳴らして嫌がらせを繰り返した。アンディーはニッキーに、「あいつがやめても他の奴が太鼓を鳴らす。怖い気持ちを見せたら負けだ」と告げた。ガードナーはミッチから電話を受け、「電話くれたか?妙な伝言があって、ロッジ夫人からだと」と言われる。「お前の家の番号だったから、お前かと思った」という言葉で、彼はニッキーが電話を掛けたと見抜いた。帰宅したガードナーはニッキーを呼び付け、寄宿学校に入れることを伝えた。
デイジーがスーパーへ買い物へ出掛けると、店長は商品に高値を付けて追い払った。マイヤーズ家の周囲には多くの住民が集まり、大声で合唱して嫌がらせをした。マスコミの取材を受けたサバービコンの主婦は、「ニグロが来たせいで環境が悪化した。彼らの目的は白人と結婚して対等になること」と不快感を露骨に示した。ガードナーはマーガレットに、「後は保険金が入れば解決だ」と告げた。彼はアルバというカリブ海の島へ行こうと誘い、マーガレットは喜んだ。
ガードナーが会社にいる時、ハイタワーが訪ねて来た。ガードナーは秘書に留守だと伝えさせて追い払おうとするが、ハイタワーは会話を聞いていた。ハイタワーはガードナーに、「2日前、フランク・リゾーイというマフィアの高利貸しが死にました」と話す。ガードナーが「知らない男です」と言うと、ハイタワーはリゾーイの帳簿を調べて「ガードナー・ロッジでリンゴ7千個が入った荷物を回収予定」というメモを見つけたことを語る。「貴方がマフィアに借金をしていて返済していなかったら、奥さんが死んだ原因になるかもしれない」とハイタワーは話すが、ガードナーは重ねて「リゾーイという男を知らない」と主張した。
マーガレットが家にいると、保険調査員のバド・クーパーが訪ねて来た。クーパーはローズの契約内容について疑問があると告げ、給付額が事件直前になって大幅に上がっていること、給付が2度目であることなどを順番に語った。マーガレットがニッキーが覗いているのに気付き、自室へ戻らせた。マーガレットは平静を装って偽の理由を説明するが、クーパーは彼女がガードナーと男女の関係にあること、ローズを殺したことを指摘した。マーガレットが否定すると、クーパーは保険金が上がったのはカマを掛けるための嘘だと明かした。彼はマーガレットの失言に触れ、また夜に来ると告げて家を去った。
スローンはルイスに、「あの野郎が昨夜、電話を切りやがった」と告げる。彼は怒りの形相で、「ガキと女を始末しろ。そうすれば奴も二度と俺たちのことを無視できない」と告げる。ルイスが「2人も殺せるか」と嫌がると、スローンは「お前が始末できなかったら、責任を取ってもらう」と凄んだ。ガードナーが車で町に戻ると、マイヤーズ家の前で大勢の住民が警官隊の制止を無視して暴れていた。帰宅したガードナーは、マーガレットから事情を聞かされた。
クーパーは再びロッジ家を訪れて「奥さん殺しの保険金詐欺でしょ」と言い、保険金の全額を渡すよう要求した。ガードナーが「貴方を殺すとは思わないんですか」と訊くと、クーパーは笑って「詐欺を疑う調査員が、私だけだと思うんですか。私を殺したら保険会社を敵に回すことになる」と言う。しかしマーガレットがコーヒーに洗剤を混入させていたため、それを飲んだ彼は苦悶する。クーパーが家を飛び出すと、ガードナーは後を追って彼を撲殺した。一方、マイヤーズの前では住民が窓を割り、車に火を放っていた。ニッキーはミッチに電話して「助けて、2人に殺される」と訴えるが、マーガレットは電話線を切断して妨害した…。

監督はジョージ・クルーニー、脚本はジョエル・コーエン&イーサン・コーエン&ジョージ・クルーニー&グラント・ヘスロフ、製作はジョージ・クルーニー&グラント・ヘスロフ&テディー・シュウォーツマン、製作総指揮はジョエル・シルヴァー&ハル・サドフ&イーサン・アーウィン&バーバラ・A・ホール&ダニエル・ステインマン、共同製作はデヴィッド・ウェブ、撮影はロバート・エルスウィット、美術はジェームズ・D・ビッセル、編集はスティーヴン・ミリオン、衣装はジェニー・イーガン、音楽はアレクサンドル・デスプラ。
出演はマット・デイモン、ジュリアン・ムーア、オスカー・アイザック、ノア・ジュープ、グレン・フレシュラー、アレックス・ハッセル、ゲイリー・バサラバ、ジャック・コンレイ、カリマー・ウエストブルック、トニー・エスピノサ、リース・バーク、スティーヴ・モンロー、マーク・レスリー・フォード、ロバート・ピアース、ジェームズ・ハンディー、ジョシュ・メイヤー、アラン・ワッサーマン、フランク・カリファノ、ホープ・バンクス、ヴィンス・セファル、マイケル・D・コーエン、コーリー・アレン・コトラー、マザー・ジッケル、ビフ・イェーガー、エレン・クロフォード、キャシー・ジャンノーネ、メーガン・ファーグソン、ステイーヴン・ショー、ドン・バルダラモス、ローレン・バーンズ、ペギー・マイリー他。


『スーパー・チューズデー 〜正義を売った日〜』『ミケランジェロ・プロジェクト』のジョージ・クルーニーが監督を務めた作品。
脚本は『不屈の男 アンブロークン』『ブリッジ・オブ・スパイ』のジョエル&イーサン・コーエン兄弟と『スーパー・チューズデー 〜正義を売った日〜』『ミケランジェロ・プロジェクト』のジョージ・クルーニー&グラント・ヘスロフ。
ガードナーをマット・デイモン、ローズ&マーガレットをジュリアン・ムーア、クーパーをオスカー・アイザック、ニッキーをノア・ジュープ、アイラをグレン・フレシュラー、ルイスをアレックス・ハッセル、ミッチをゲイリー・バサラバが演じている。

冒頭、サバービコンへの移住を勧誘するコマーシャルが流れ、「いかに住みやすい町か」ってことがアピールされる。多くの施設が充実している一方で騒音や渋滞の問題は無く、「平穏で健全な生活地域」ってことが描かれる。アメリカの中流階級が思い描く夢の暮らしが、そこにある。
そういうことを最初に示しておいて、「それは表面的なモノであり、実際は平和で幸せそうな暮らしの裏で醜く歪んだモノが渦巻いている」ってことが描かれる。
サバービコンのコマーシャルに登場したのは、全員が白人だ。彼らの平穏と幸せは、白人だけのコミュニティーだから成立しているのだ。
だから黒人のマイヤーズ一家が引っ越して来たことは、大きな問題になる。
「そもそも黒人がサバービコンに引っ越そうとするのは変じゃないか」とか、「引っ越しの話があった時、なぜ役所レベルで阻止しなかったのか」とか、そういうことは大いに引っ掛かる。
その辺りは設定に雑なモノを感じるが、そこはひとまず置いておこう。

緊急会合のシーンで、「人種融合に異存は無いが、それが許されるのは、その心がけをニグロが見せた場合のみだ。彼らには向上心が無い。この地域社会に後退は有り得ない。我々は町の住民として住む場所を選び、隣人を選ぶ当然の権利を主張し、断固として戦う」という陳情書が読み上げられる。
サバービコンの住民は「黒人には向上心が無い」と決め付け、「だから我々は一緒に暮らせない」と主張する。
最初に「人種融合に異存は無いが」と前置きしているが、実際には黒人への強い差別意識を持っている。
しかし自分たちは正しいと信じているので、「悪いのは向上心の無い黒人だ」と責任転嫁しているのだ。

ローズとマーガレットの登場シーンで、ウォルコットという男が「黒人のせいで資産価値が下がっている」と話していることに触れている。「資産価値を下げているのはウォルコットの方なのに」という台詞もある。
だが、そのウォルコットが誰なのかはサッパリ分からない。だから、その会話の意味するところもボンヤリしてしまう。
そんな会話の後、マーガレットはニッキーにアンディーを野球に誘うよう促す。でも、それはローズが担当すべき役割じゃないのか。ここで「ローズは黒人への差別意識が無い女性」ってのをアピールしておかないと、それ以降にチャンスは無いんだから。
あと、ここでガードナーが姿を見せず、強盗が来たと言ってニッキーを起こす」というシーンが彼の初登場ってのはキャラの出し方として上手くないぞ。
そりゃあ「昼間だからガードナーは仕事に行っている」ってことかもしれないが、だったら「夕食のシーン」でも用意して、強盗が来る前に彼を先に登場させておくべきだわ。

強盗が登場するエピソードは、無駄に長い。
粗筋ではカットしたが、「早く済ませてくれ」とガードナーが要求した後、スローンがローズに「ポリオか何かか?」と尋ねるシーンがある。「妹は事故に遭ったの」とマーガレットが言い、ローズは「夫が運転してた」と補足し、ガードナーは「死人は出なかった」と告げる。
わざわざ説明するんだから伏線か何かだろうと思ったけど、全く後に繋がらない情報なのよ。だったら、そんなの要らないでしょ。
あと、「順番に縛ってクロロホルムを嗅がせて」ってのも、そんなに丁寧に見せる必要が無いし。
そこでダラダラと時間を使ったところで、緊張感が盛り上がるわけでもないぞ。

ハイタワーは「犯人を捕まえた」とガードナーに連絡する時、「昨夜、貴方から聞いた特徴を基に連行した」と話している。
でも、それは不可解だ。
ガードナーにとって強盗2人組は、手を組んだ仲間なのだ。だから逮捕されては困るのだ。
それなのに、実際の特徴を警察に教えたのか。彼らに捕まってもらいたくないのなら、嘘の特徴を説明すべきだろうに。
もちろん、スローンたちが捕まっても面通しで否定すれば、それで大丈夫かもしれないよ。ただ、そうだとしても不可解さは残るぞ。

ローズが死んだ後、マーガレットが近所の主婦たちから、ガードナーが会社の面々から同情され、慰めの言葉を掛けられるシーンがある。パパスに至っては、ガードナーが淡々としているのに泣きながら「力になる」と熱く語っている。
そこまで行くと、もはやコメディーに近いモノを感じる。
っていうか、これって全体を通して見た時に、ブラック・コメディーの要素を感じる作品なんだよね。明らかに風刺が込められているわけだし。
ところがジョージ・クルーニーは、シリアス一辺倒に演出している。
それって、もしかするとコーエン兄弟が脚本に込めた意図とは食い違っているんじゃないだろうか。

もしかすると、ジョージ・クルーニーとしては「ブラック・コメディーとして演出している」という意識があったのかもしれない。
面通しに赴いたガードナーがハイタワーと信仰する宗教について会話を交わすシーンの噛み合わない感じなんかは、コメディーの匂いが漂っているしね。
ただ、全体を通して見た場合、ブラック・コメディーになっているとは到底言えない。
っていうかコメディーを感じさせるのは、前述したシーンぐらいだし。

ただし、じゃあ演出だけが問題なのかというと、それは違う。脚本の方にも、大いに問題がある。むしろ、そっちの方が問題が大きいと言ってもいいかもしれない。
粗筋でも触れたように、冒頭で「黒人一家の転居に住民が激怒する」という展開がある。しかし、そこで話を進めて行くのかと思いきや、強盗事件が描かれる。
なので、「この2つの要素がどういう形で絡み合うのか」と思って観賞するのは、ごく普通の感覚だろう。
しかし驚くべきことに、最後まで全く絡み合わないのである。

「黒人差別」「殺人事件」という2つの要素だけでなく、この映画には宗教(もちろんキリスト教)や信仰についての描写が多く含まれている。なので、それを3つ目の要素として捉えてもいいだろう。
で、この3つ目の要素も、最初に挙げた2つの要素と上手く絡み合っているとは到底い難い。
マーガレットがニッキーと一緒に神に祈るとか、ミッチが神父に相談するとか、色んなキャラを宗教と関わらせてはいる。
だけど、それが「上手く絡み合っている」「重要な要素として充分に機能している」という形にまでなっているかというと、答えはノーだと断言できる。

終盤、ロッジ家ではガードナーがクーパーを殺し、スローンとルイスがマーガレットを殺す。一方、マイヤーズ家の前では住民が暴れ、車に火を付けたり窓を割ったりしている。
でも、その2つの事件は最後まで全く交差せず、平行線を辿ったままで終わる。
「サバービコンという町は健全で住みやすい場所に見えていたけど、全く別の醜悪な事件が2つ同時に置きていました」というだけになっている。
そんな風に2つの事件を描かれて、そこから何を読み取ればいいのか。
ボンクラな私には、サッパリ分からないのである。

ひょっとすると、「アメリカの抱える欺瞞」とか「WASPに対する強烈な風刺」ってのを描きたかったのかもしれない。
だけど、どうであれ語り口や構成に失敗しているとしか思えない。
どう考えたって、2つの事件を上手く絡ませた方が話としての面白さはグッと増したはずなんだから。
もしも「どこかで絡み合うだろうと思わせておいて、最後まで絡み合わない意外性」という仕掛けを狙っていたとしても、完全に外しているだけだし。

(観賞日:2020年8月9日)

 

*ポンコツ映画愛護協会