『ストーリービル 秘められた街』:1992、アメリカ
カリフォルニアの弁護士クレイ・ファウラーは民主党から下院議員選に出馬した。選挙参謀は伯父のクリフだ。ファウラーの一族は祖父の代に財を築き上げた名門だが、クレイは対立候補のアヴナー・ホリスターに有利に選挙戦を進められていた。
クレイの父親はセントオールバンズの土地を巡って3年前に連邦政府から訴訟を起こされたが、証言当日に自殺していた。クレイは父親の関わった裁判について調べようとする。しかし、なぜか採掘権の記録が消えていた。
クレイは選挙パーティーで知り合ったベトナム人女性リーに誘われ、彼女の家で肌を重ね合う。後日、彼女が体中に傷を負ってクレイを訪ねて来た。何者かに雇われたリーの父ザングが、2人の性交をビデオに録画したという。リーと共にアパートを訪れたクレイは、ザングに襲われて気絶する。
正気を取り戻したクレイは、ザングが銃殺されているのを発見し、慌てて現場から逃げ去った。翌日、クレイは新聞でリーが父親殺害犯として逮捕されたことを死る。リーに面会したクレイは、彼女から父親を殺していないと聞かされる。クレイは彼女の弁護を担当することにしたのだが…。監督はマーク・フロスト、原作はフランク・ギャルベリー&ロバート・マックリン、脚本はマーク・フロスト&リー・レイノルズ、製作はデヴィッド・ロー&エドワード・R・プレスマン、製作総指揮はジョン・デイヴィス&ジョン・フロック、撮影はロン・ガルシア、編集はB・J・シアーズ、美術はリチャード・フーバー、衣装はルイーズ・フロッグリー、音楽はカーター・バーウェル。
主演はジェームズ・スペイダー、共演はジョアン・ウォーリー=キルマー、ジェイソン・ロバーツ、パイパー・ローリー、シャーロット・ルイス、マイケル・ウォーレン、マイケル・パークス、チャック・マッキャンMcCANN、チャーリー・ハイド、チノ・ファッツ・ウィリアムス、ウッディ・ストロード、ジェフ・ペリー、カリン・ゴーグ、ジャスティン・アーリン、ジョージ・キー・チェン他。
デヴィッド・リンチと共に『ツイン・ピークス』を仕掛けたマーク・フロストの初監督映画。
複雑に入り組んだストーリーを分かり易くまとめている手腕は、評価すべきなのかもしれない。だが、ひたすらダラダラと進行し、一向に盛り上がらないのは厳しい。クレイを誘ったリーのアパートに入ると、畳の部屋に金の仏像が飾ってある。
奥には大きな風呂があり、天井から大きな球形の照明が吊り下がっている。
そして、なぜか空手着(?)を来て登場したリーが現れ、クレイを投げ飛ばす。
この場面、特に意味は無い。
ただ変な場面を作りたかっただけだろう。そうとしか思えない。3年前の父親の裁判を、特にきっかけも無いのに急に調べ始めるクレイ。
だが、そんなのは余裕で許容範囲と思えるぐらい、無理がありすぎる展開の連発。
強引なドラマの流れを隠すだけの、圧倒的な雰囲気があるわけでもない。サスペンスのはずなのだが、全くハラハラすることがない。
リズムが単調で、だんだん退屈になってくる。
物語を引っ張るようなキャラクターもいない。
多くの伏線を張り巡らせながら、それをほとんど使わずに唐突な展開で謎を解く。
テープを録画させた犯人の動機も、理解不能。
もしかすると『ツイン・ピークス』っぽいノリを意識したのかもしれんが、マーク・フロストさん、あなたはデヴィッド・リンチじゃないんだから。