『ストーリー・オブ・ラブ』:1999、アメリカ
作家ベンとクロスワード・パズル作家ケイティーのジョーダン夫妻は、結婚生活15年目を迎えた。ジョシュとエリンという2人の子供の前では夫婦円満を装っていたが、2人きりになると冷め切った関係を露にした。子供達に仲の良さを示すため、結婚記念日には夫婦だけで外食に出掛けた。しかし食事の間、会話は全く無かった。
2人が出会ったのは、まだケイティーがベンの原稿のタイプ打ちをしていた頃だった。ケイティーはクロスワード・パズルの作者になる夢をベンに熱く語り、2人は惹かれ合うようになった。やがて2人は結婚し、子供に恵まれた。しかし、たまの口ゲンカが、いつの間にか日常茶飯事になった。夫婦の関係は、既に崩壊していると言っても過言ではなかった。
ベンは同性の友人スタンとマーティーに会い、夫婦関係や恋愛について語り合う。一方、ケイティーも同性の友人レイチェルとライザに会い、会話を交わした。ベンはジョシュとエリンをサマーキャンプに送り届けた後、家を出てホテルに移ることにした。しかしベンもケイティーも、用も無いのに互いに何度も電話を掛け、言葉を交わした。
ベンとケイティーは、自宅で夕食を一緒に取る約束をした。食事の後、いい雰囲気になった2人は寝室へ向かった。ベンとケイティーは、ベッドに横たわり、かつてセックスレスに悩んで複数のカウンセラーに診てもらったことを語り合った。しかし、そこから言い争いが始まってしまい、ベンはホテルへ帰って行った。
ベンとケイティーはサマーキャンプの参観日に出向き、子供達の前で仲の良い芝居をした。ベンとケイティーは、去年の夏には関係修復のためヴェニスへ旅行に出掛けたこともあった。そこで出会ったジョーニーとアンディという疎ましい夫婦が刺激剤となり、2人は熱い関係を取り戻した。しかし旅行から戻ると、すぐにケンカになってしまった。参観日を終えたベンとケイティーは、離婚手続きを進めることにした。そして2人は、子供達に事実を話そうと決める…。監督はロブ・ライナー、脚本はアラン・ズウェイベル&ジェシー・ネルソン、製作はロブ・ライナー&ジェシー・ネルソン&アラン・ズウェイベル、製作協力はタミー・グローヴァー、製作総指揮はジェフリー・ストット&フランク・キャプラ三世、撮影はマイケル・チャップマン、編集はロバート・レイトン&アラン・エドワード・ベル、美術はリリー・キルバート、衣装はシェイ・カンリフ、音楽はエリック・クラプトン&マーク・シェイマン。
出演はブルース・ウィリス、ミシェル・ファイファー、リタ・ウィルソン、ロブ・ライナー、ジュリー・ハガーティー、ティム・マシスン、ルーシー・ウェブ、ビル・カーチェンバウアー、レッド・バトンズ、ジェイン・メドウズ、トム・ポストン、ベティー・ホワイト、コリーン・レニソン、ジェイク・サンドヴィグ、ケン・ラーナー、ヴィクター・ライダー=ウェクスラー、アルバート・ヘイグ、ダニエル・ヘンソン、タラ・ブランチャード、アート・エヴァンス、アラン・ズウェイベル、アダム・ズウェイベル、レニー・リッジリー、マーシー・ローゼンバーグ、ジョーダン・ランド他。
1989年のヒット作『恋人たちの予感』の続編的な映画。
監督は『恋人たちの予感』と同じロブ・ライナー。
ベンをブルース・ウィリス、ケイティーをミシェル・ファイファー、レイチェルをリタ・ウィルソン、スタンをロブ・ライナー監督、ライザをジュリー・ハガーティー、マーティーをティム・マシスンが演じている。
他に、ジョーニーをルーシー・ウェブ、アンディをビル・カーチェンバウアー、ベッドの会話シーンで登場するベンの両親をレッド・バトンズとジェイン・メドウズ、同じシーンのケイティーの両親をトム・ポストンとベティ・ホワイトが演じている。またアンクレジットだが、ベンのエージェントのデイヴ役でポール・ライザーが出演している。最初に『恋人たちの予感』の続編的な映画だと聞いた時には、日本の配給会社が勝手に作った売り文句だろうと思っていた。
ところが実際に映画を見てみると、ホントにロブ・ライナー監督が続編として作っていることが分かって驚いた。登場人物のインタヴュー風景を何度か挿入する手法などは、完全に『恋人たちの予感』を意識したものだ。しかし、ロブ・ライナー監督が本気で『恋人たちの予感』の続編を作ろうと考えていたのなら、ビリー・クリスタルとメグ・ライアンをキャスティングしないとダメだろう。それがダメだとしても、ブルース・ウィリスとミシェル・ファイファーってのは無いだろう。
特にミシェル・ファイファーは、「サリー・オルブライトが結婚してヒステリックな傾向の強い女になるだろうか」と言うことを考えると、そのキャスティングは「範疇に無い」ものだと思うんだが。ただし、ビリー・クリスタルとメグ・ライアンの代わりを務められそうな役者って、思い当たらないんだけどね。ああ、でも男の方は、主役としては弱いけどピーター・マクニコルかな。それか、チェヴィー・チェイスとか。
女の方は難しいけど、アンディー・マクダウェルか、ナンシー・トラヴィスか、リサ・クードローか、まあ、その辺りで何とか。
それと脚本がノーラ・エフロンじゃないってのも、大きなマイナスだよなあ。まあしかし、内容を考えれば、『恋人たちの予感』と比較して苦しいのは当然だろう。
『恋人〜』は2人が友達から恋人になる経緯を描くので、会話シーンは優しさや思いやりに包まれていたり、ポジティヴだったりした。
しかし、こっちはどうしてもケンケンして相手を攻撃するものや、ネガティヴなものになったりしてしまう。それをユーモアに包んで何とかしようという腹はあるんだろうが、まあ上手くは行ってないね。大まかな流れとしては、「ベンとケイティーが互いに言葉を交わしたり、それぞれの仲間と関わり合ったり、幾つかの出来事を経たりする中で夫婦関係の在り方や相手に対する愛情を見つめ直す」ということになると思うんだが、印象としては「ずっと何の好転も無く、最後になって急にヨリを戻した」という感じなのだ。根本的な部分では何も解消されておらず、ムリヤリにまとめたという感じなのだ。
だから、「こいつら、また近い内に言い争いになるだろうなあ」と思ってしまう。あと、最後のまとめ方からすると、どうも「ケイティーが考えを改めて関係修復を求めた」という形に見える。
意図的だったにせよ、意図していなかった印象を与えたにせよ、それだと「夫婦関係が悪化したのは、ケイティーだけが悪かったのだ」ということにならないか。
ヨリを戻すのであれば、ベンとケイティーが共に歩み寄る形にしないとダメだろう。
第22回スティンカーズ最悪映画賞
ノミネート:【最悪のカップル】部門[ブルース・ウィリス&ミシェル・ファイファー]