『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』:2017、アメリカ

惑星ディカーの秘密基地では、レジスタンスが輸送船ラダスへの脱出を急いでいた。しかしファースト・オーダーのハックス将軍がスター・デストロイヤーの大艦隊を率いて現れ、敵の殲滅を命じた。するとポー・ダメロンとBB-8がXウイングに搭乗し、敵艦のドレッドノートへ攻撃を仕掛けた。ドレッドノートのモーデン・キャナディー艦長はディカーを砲撃するが、最後の避難船が脱出した。レジスタンスを率いるレイア・オーガナ将軍は、時間を稼いだポーにラダスへの帰還を指示した。しかしポーは彼女の命令に従わず、ドレッドノートを仕留めようと攻撃を続けた。
レイアは爆撃機のスターフォートレス部隊を差し向けるが、TIEファイター部隊との戦闘で次々に撃墜される。最後の1機に搭乗していたペイジ・ティコが爆弾を投下し、ドレッドノートを撃沈した。しかし爆発に巻き込まれ、ペイジは命を落とした。ハックスは最高指導者のスノークに叱責され、レジスタンスを補足していると告げた。ラダスへ戻ったポーは、昏睡状態から目覚めたフィンの姿を見て驚いた。ポーに声を掛けられたフィンは、レイの居場所を尋ねた。
レイは惑星オクトー隠遁生活を送るルーク・スカイウォーカーを発見し、彼のライトセーバーを差し出した。しかしルークは無言のまま、ライトセーバーを投げ捨てた。ルークは家に入ってしまい、レイが助けを求めても無視した。するとチューバッカが扉を壊して家に乗り込み、レイはルークに「一緒に帰ろうって。話はファルコン号の中で」と通訳した。ハックスがレジスタンスに追跡装置を付けていたことをスノークに報告して去ると、入れ違いでカイロ・レンがやって来た。スノークはレンがハン・ソロを殺したせいで心に迷いが生じたと指摘し、レイに敗れたことを叱責した。「ジェダイ・オーダーの種を消し去るまで、お前は仮面を付けて遊ぶ子供に過ぎない」と言われたレンは激しい怒りを示し、ヘルメットを叩き壊した。
レイはルークに、ファースト・オーダーの支配を止めるための協力を要請した。しかしルークは拒否し、立ち去るよう要求した。レイは島に留まり、ルークに付きまとった。木の洞窟に興味を抱いたレイが中に入ると、ジェダイの経典が置いてあった。彼女が経典に触れようとすると、ルークが現れて「君は何者なんだ?」と問い掛けた。レイが「この島を夢で見ました」と言うと、ルークは「君は特別なのか?なぜ島に来た?」と問い掛けた。
レイが自分の中で目覚めた何かに不安を抱いていることを語ると、ルークは「君には師匠が必要だな。私じゃないが」と口にした。彼は「もうジェダイの弟子は取らない。この島で死ぬ。それでジェダイの歴史も終わる」と告げ、レイが「レイアは希望を託して私を送った。せめて理由ぐらい教えてください」と頼んでも答えようとしなかった。レイアは命令を無視したポーを糾弾し、作戦に参加したリーダーが全滅したことを語る。ラダスがファースト・オーダーの艦隊に追い付かれると、レイアはXウイングでの出撃を許可した。
レンはTIEファイター部隊を率いて出撃し、ポーたちがTIEファイター部隊に乗り込む前に格納庫を破壊した。レンは艦橋に照準を合わせるが、レイアの存在を感じて攻撃することをためらう。しかし別のTIEファイターがラダスに攻撃を仕掛け、レイアは爆風によって宇宙空間に投げ出された。レイアはフォースの力を使ってラダスに戻るが、意識不明の重体に陥った。レイアがビーコンを落とすと、フィンが発見して拾い上げた。
ルークはミレニアム・ファルコンに入り、R2-D2と再会した。ルークが「何があろうと戻る気は無い」と言うと、R2-D2は若きレイアがオビ=ワン・ケノービに助けを求めた時のホログラム映像を見せた。ルークはレイの元へ行き、翌朝からジェダイの指導を開始することを通告した。レジスタンスのラーマ・デイシー中佐は、艦橋の生存者がレイアだけであること、ホルド中将が新たな指揮官に任命されたことを搭乗員に説明した。ポーはホルドに懐疑的な考えを抱き、自身の意見を主張する。ホルドはポーに、レイアが降格させていたことを語った。彼女はポーの衝動的な性格を指摘し、持ち場に戻るよう命じた。
フィンは脱出ポッドを盗み出そうとするが、泣いていた整備士のローズに見つかってしまう。ローズはペイジの妹で、フィンと会えたことへの感激を示した。しかしフィンが逃走を図っていると察した彼女は、スタンガンを押し当てる。敵はビーコンで光速移動を追跡しているとフィンが必死で説明すると、ローズはアクティヴ・トラッキングを使っていることを指摘した。敵の母艦に潜入して追跡装置を遮断する計画をフィンが提案すると、ローズは納得した。
2人はポーの元へ行って計画を明かし、協力を求めた。ポーは認証コードを盗むため、マズ・カナタに通信して手を貸してもらおうとする。すると戦闘の真っ最中だったマズは、コードブレイカーという男がカント・バイトのカジノにいるので訪ねるよう助言した。レイは遠く離れた場所にいるレンの気配を察知し、銃を手にして発砲した。レンもレイの気配を感じ取り、近くにルークがいることを知った。ルークはレイからジェダイの必要性を訴えられると、「フォースは力ではない」と彼女の考え方が間違っていることを指摘した。
ルークはレイに目を閉じて呼吸するよう指示し、フォースはジェダイだけの物ではないと教える。レイが真っ直ぐに闇へと向かったため、ルークは慌てて呼び掛けた。我に返ったレイに、ルークは「闇は望む物を見せようとする。お前は拒もうとしなかった」と言う。レイが「貴方は心を閉ざし、彼がフォースに触れるのを阻んだのね」と言うと、ルークは「ここまで純粋なフォースを見たのはベン・ソロ以来だ。その時も恐怖を感じたが、それ以上だ」と述べた。
ポーはホルドに内緒で、フィンとローズの小型艇を発進させた。小型艇は惑星カントニカに到着し、フィンとローズはカント・バイトへ赴いた。同行したBB-8がコードブレイカーを発見するが、フィンたちは警備員に見つかってしまった。ルークはレイに、「ジェダイの伝説は失敗の歴史だ。ジェダイ・マスターがダース・ベイダーを生み出した張本人だ」と言う。ルークはベンを後継者に育てようとしたこと、しかし暗黒面に落ちた彼が数名の弟子を連れて去ったことを語った。
ホックスのスター・デストロイヤーはレジスタンス艦隊を攻撃し、燃料切れとなった医療艇が沈んだ。フィンとローズは留置場に収監され、DJという男と出会う。DJは2人の話を聞き、コードを解読できると告げる。彼は簡単に留置場から脱出し、フィンとローズも逃亡した。2人はレース用家畜のファジアーが飼われている厩舎に入り込み、飼育係の子供たちに気付かれた。しかし子供たちはフィンたちがレジスタンスだと知り、ファジアーを貸す。フィンとローズはファジアーに乗って海岸へ向かうが、小型艇は破壊されてしまった。しかしDJとBB-8が別の小型艇で駆け付け、2人を乗せた。
レイはレンとテレパシーで交信し、常に親の影を追い求めていると指摘される。レンは自分の力を恐れたルークに殺されそうになったと話し、「真の自分になるためには、過去を断ち切るしかない」と述べた。気になっていた穴から洞窟に落下したレイは、鏡の壁面に両親を見せてほしいと懇願する。しかし写し出されたのは自分の姿で、レイは失望感に見舞われた。レイはレンに引き返すよう呼びかけ、手を伸ばす。レンも手を伸ばすが、そこへルークが現れて「そこまでだ」と叫ぶ。レイは「今すぐ島を出て行け」とルークに怒鳴られ、「貴方がカイロ・レンを生んだの?」と襲い掛かった。
真実を話すよう要求されたルークは、スノークに心を掴まれたベンを止めようとしたこと、迷いが心をよぎって殺せなかったことを話す。レイは「レンを闇から呼び戻すしか勝つ方法はありません。彼は最後の希望です」と言い、島を後にした。ルークの前にはヨーダが出現し、ジェダイの経典がある洞窟を焼き払った。ヨーダはルークに、「お前はカイロ・レンを失った。レイまで失うな。自分が学んだ通りに、弱さや失敗も教えるのだ」と説いた。
DJはコードを解読する仕事の前金として、ローズが大切にしている姉とお揃いのネックレスを要求した。ローズは悩むが、ネックレスを差し出した。レジスタンス艦隊はラダスだけになり、ポーはホルドに作戦の説明を迫った。輸送船に全ての燃料を補給して旗艦を捨てる気だと知ったポーは、「ここを出たら、すぐに全滅だぞ」とホルドを激しく非難して艦橋から追い出された。レイはミレニアム・ファルコンをチューバッカに任せ、小型ポッドでスター・デストロイヤーへ向かう。するとレンが待ち受けており、レイに手錠を掛けた。
フィンたちは敵に気付かれず、スター・デストロイヤーに潜入した。ポーはフィンとローズに時間を与えるようホルドに頼むが、冷たく拒否された。すると彼は賛同した仲間たちと共に銃を構え、ホルドに「指揮権は引き継ぐ」と通告して艦橋へ向かった。レイはレンの説得を試みるが拒絶され、「いずれお前は、こちら側に来て俺の近くにいる」と告げられる。レンは「お前の両親を見たぞ」と言い、レイをスノークの元へ連行した。
DJはネックレスの素材を利用して艦内のコードを解除すると、ローズに返却した。ポーはフィンと通信し、光速移動の準備に取り掛かる。ホルドたちが反撃を開始したため、ポーは急いで艦橋の扉を封鎖する。フィンたちは追跡システムのある場所に辿り着くが、キャプテン・ファズマとストーム・トルーパーの部隊が待ち受けていた。艦橋の扉は破られるが、入って来たのは意識を取り戻したレイアだった。ポーが驚いていると、レイアはブラスターを発砲して気絶させた。ポーたちを輸送船に乗せると、ホルドはラダスに残って操縦する役目を引き受けた。レイアは彼女に別れを告げ、輸送船に乗り込んだ。
スノークはレイからライトセーバーを奪い取り、強気な態度を取る彼女に「我が弟子の弱点を見たのか。愚かな娘だ。お主らを繋げたのは、このワシだ。レンの迷いを増幅させてやった。まんまと餌に飛び付きおって」と言い放った。意識を取り戻したポーは、レイアから惑星クレイトが近付いていることを教えられる。そこは反乱が始まった当初から決まっていた秘密の避難場所であり、ホルドは小型の輸送船なら敵に探知されないと分かっていたのだ。フィンとローズはハックスの元へ連行され、DJは報酬を受け取った。彼はフィンたちに、「捕まったから取引した」と悪びれずに言う。
DJの話した情報でレジスタンスの動きを知ったハックスは、輸送船への攻撃を開始した。スノークはレイを余裕で操ってルークの居場所や考えを読み取り、「反乱の制圧が終われば、島ごと消し去ってやる」と言う。レイはライトセーバーを取り戻してスノークに襲い掛かるが、激しく弾き飛ばされた。スノークはレンに、迷いを断ち切ってレイを始末するよう命じた。するとレンはスノークを殺害し、レンと手を組んで親衛隊を全滅させた。しかし彼は過去を全て排除する考えを抱いており、レジスタンスに協力する気など無かった…。

脚本&監督はライアン・ジョンソン、キャラクター創作はジョージ・ルーカス、製作はキャスリーン・ケネディー&ラム・バーグマン、製作総指揮はJ・J・エイブラムス&トム・カーノウスキー&ジェイソン・マクガトリン、共同製作はキャンディス・カンポス&ピッパ・アンダーソン、製作協力はジェイミー・クリストファー&ヌール・ダルダリ&レオポルド・ヒューズ&ニコス・カラミギオス、撮影はスティーヴ・イェドリン、美術はリック・ハインリクス、編集はボブ・ダクセイ、衣装はマイケル・カプラン、視覚効果監修はベン・モリス、特殊クリーチャー効果はニール・スキャンラン、視覚効果製作はジャネット・レウィン&ティム・キーン、特殊効果はクリス・コーボールド、音楽はジョン・ウィリアムズ。
出演はマーク・ハミル、キャリー・フィッシャー、アダム・ドライヴァー、デイジー・リドリー、ジョン・ボイエガ、オスカー・アイザック、ベニチオ・デル・トロ、アンディー・サーキス、ルピタ・ニョンゴ、ドーナル・グリーソン、アンソニー・ダニエルズ、グウェンドリン・クリスティー、ケリー・マリー・トラン、ローラ・ダーン、ビリー・ロード、ヨーナス・スオタモ、アマンダ・ローレンス、ジミー・ヴィー、ブライアン・ヘニング、デイヴ・チャップマン、ジャスティン・セロー、ティム・ローズ、エイドリアン・エドモンドソン、マーク・ルイス・ジョーンズ、ハーマイオニー・コーフィールド、ヴェロニカ・ンゴー他。
声の出演はフランク・オズ、トム・ケイン、ジョセフ・ゴードン=レヴィット。


「スター・ウォーズ」シリーズのエピソード8となる作品で、3部作の2作目。
脚本&監督は『ブラザーズ・ブルーム』『LOOPER/ルーパー』のライアン・ジョンソン。
ルーク役のマーク・ハミル、レイア役のキャリー・フィッシャー、カイロ役のアダム・ドライヴァー、レイ役のデイジー・リドリー、フィン役のジョン・ボイエガ、ポー役のオスカー・アイザック、スノーク役のアンディー・サーキス、カナタ役のルピタ・ニョンゴ、ハックス役のドーナル・グリーソン、C-3PO役のアンソニー・ダニエルズ、ファズマ役のグウェンドリン・クリスティー、チューバッカ役のヨーナス・スオタモ、アクバー役のティム・ローズらは、前作からの続投。
他に、DJをベニチオ・デル・トロ、ローズをケリー・マリー・トラン、アミリンをローラ・ダーンが演じている。

他に、コードブレイカー役でジャスティン・セロー、Aウイングのパイロットのターリー役でハーマイオニー・コーフィールド、ブリッジ士官役で伊川東吾、コードブレイカーと一緒にいるラヴィー役でリリー・コール、カジノの常連客のウォディビン役でワーウィック・デイヴィス、レジスタンスの兵士役でギャレス・エドワーズが出演している。
フィンたちのシャトルについて、カント・バイト警察に報告する企業家のスローウェン・ローの声を担当しているのは、ジョセフ・ゴードン=レヴィット。
アンクレジットだが、エドガー・ライトもレジスタンスの兵士役で出演している。

前作から監督は交代しても、フォースの解釈は相変わらず間違っているとしか思えない。
ルークがレイにフォースとは何か質問し、解釈の間違いを指摘するシーンがあるが、劇中での表現を見ている限りは「レイの解釈が当たっている」としか思えない。
そして相変わらずレイは、ジェダイの戦士としての鍛錬など全く積まずにフォースを使いまくっている。
ルークに弟子入りを志願する展開はあるが、ちょっと話を聞く程度であり、マトモな修業も無ければ師弟関係で結ばれることも無いのである。

さらに今回は、レイアまでもが「フォースの力で宇宙空間から船内へ戻る」という技を披露する。
いつの間にレイアは、フォースを使いこなす訓練を積んだのか。
っていうか、フォースってそんな形で使う物なのかと。
そんな変な形でフォースを使わせなくても、「船は爆破されてレイアは重体に陥ったけど無事だった」というだけでいいでしょうに。
「宇宙空間へ投げ出されて死んだかと思いきや、目を開いてフォースで船に戻る」というシーンは、バカバカしくて苦笑を誘うだけだぞ。

前作の監督であるJ・J・エイブラムスはリブート版『スター・トレック』を撮った時、それが「スター・トレック」であるにも関わらず「俺のスター・ウォーズ」として作っていた。
そして本家のオファーを受けると、もちろん「俺のスター・ウォーズ」を作ろうとした。
ただし、彼は『スター・ウォーズ』の熱烈なファンなので、とりあえずはファン・ムービーのような仕上がりになった。
ハン・ソロを簡単に始末しているという問題はあったが、ジョージ・ルーカスの生み出した旧シリーズの財産が多く持ち込まれていた。
そして、そこだけが作品の魅力と言っても過言では無かった。

ところが今回の監督を引き受けたライアン・ジョンソンは、それでは満足せず、一気に破壊活動を加速させた。
ジョージ・ルーカスが完全にプロジェクトから外れたのをいいことに、完全に自分たちの所有物にしてしまおうという目論みがハッキリと見えてくる。
それが顕著に表れているのが、ルーク・スカイフォーカーというキャラの描き方である。
マーク・ハミルが不満を表明したのも当然で、最初の3部作に登場したルークとは全くの別人に変貌しているのだ。

ルークはレイが強力を要請しても拒否し、弟子入り志願も最初は断っている。すっかり世捨て人のようになってしまい、「レジスタンスがどうなろうとワシは知らんよ」という態度なのだ。
そこを「年を重ね、ベンの一件など様々な経験を経たことで変貌した」ということで、納得させようとしているのかもしれない。だけど、それで済むと思ったら大間違いだぞ。
ルークは「ジェダイの伝説は失敗の歴史だ。ジェダイ・マスターがダース・ベイダーを生み出した張本人だ」と話すけど、そんなのは旧シリーズで分かってることで。
それでもルークは、立ち向かおうとしたんじゃないのかよ。

ルークはベン(カイロ・レン)が闇に落ちるのを見て諦念に落ちたのかもしれないけど、ベイダーの時は救い出したはずでしょ。なぜベンの時は、すっかり投げ出してしまうのかと。なんでルークが年を重ねて退化しちゃってんだよ。
終盤になってから彼はレジスタンスのために行動するけど、リカバリーとしては全く足りないからね。
しかも、レジスタンスを逃がす時間稼ぎのためにレンとサシで勝負するけど、「実体はオクトーに残っていて、それは幻像」ってのが明らかになるのよね。そのくせ、オクトーで力尽きて死ぬんだぜ。
だったら、時間稼ぎが目的であっても、本人が現場へ来て戦った方がいいでしょうに。

何がダメかって、この映画には旧シリーズ(エピソード1からエピソード3はとりあえず除外しても良しとしよう)へのリスペクトが全く感じられないってことだ。
本気で旧シリーズをリスペクトしていたら、どんな理由があろうとも、ルークをこんなキャラに仕立て上げることは絶対に出来ないはずだ。
愛が強すぎて失敗するケースもあるだろうが、愛が全く感じられないよりは遥かにマシだ。
製作サイドは「愛はあるよ」と反論したくなるだろうが、これが愛の形なら、それは愛の解釈を間違えている。

ただしJ・J・エイブラムスにしろ、ライアン・ジョンソンにしろ、全てを自由にコントロールできるわけではない。
製作会社の意向に合わなければ、内容の変更を要求されることになる。
つまり、ここまでの大胆な破壊活動は、スター・ウォーズの権利を取得したウォルト・ディズニー・カンパニーの意向ってことになる。
ようするにウォルト・ディズニー・カンパニーこそが真のファースト・オーダーであり、彼らは「自分たちのサッカー」ならぬ「自分たちのスター・ウォーズ」を作り上げるためにルークを貶めようと企んだのだ。

そもそもキャスティングの部分からして、権利がウォルト・ディズニー・カンパニーに移ったことの影響が色濃く出ている。
主人公を女性にしたのも、その近くに黒人を配置したのも、差別への批判を極端に嫌がるディズニーの意識が強く見える。
そして今回はアジア系の女性であるローズを登場させ、さらなる配慮を示している。
多国籍の役者を起用するのは、決して否定されるようなことではない。ただし、キャラとしてのローズは、完全に邪魔だ。彼女の登場するシーンは、全て無駄で無意味だ。

っていうかローズだけでなく、フィンやポーが関わるシーンも全て無駄だったり無意味だったりするんだよね。
何しろ、こいつらのやっていることは、レジスタンスにとって何の役にも立っていないか、あるいは極端に効率が悪いか、どっちかなのよ。
それは冒頭シーンから露呈しており、レイアの指示を無視したポーの攻撃はボンクラにしか見えない。
彼はドレッドノートの砲台を必死になって攻撃するのだが、そこへ爆撃機部隊が来てもTIEファイター部隊との戦闘で次々に撃墜されるのよね。
そうなると、ポーの行動って何だったのかと。それは何の役にも立ってないようにしか思えない。

フィンとローズは敵の母艦に潜入して追跡装置を遮断する計画を考え、ポーは認証コードを盗むためマズに協力を求める。戦闘中のマズはコードブレイカーと会うようと言い、襟にプラムの花が目印だと教える。
そこでフィンたちは惑星カントニカへ行き、カント・バイトのカジノに入る。そこにはコードブレイカーがいるのだが、フィンたちは牢に入れられる。
ここでDJという男に会い、彼がコードを解除できると言うので手を貸してもらうことにする。
その手順が描かれる中で、コードブレイカーの存在は完全に忘れ去られる。そいつと会うためにカジノまで赴いたのに、「DJがいるから別にいっか」ってことになってしまう。
この時点で、かなりのボンクラだ。

しかも、フィンたちは敵に捕まり、DJは裏切って情報を流す。
ローズのネックレスを報酬として要求しておきながら、コード解除に使用したら返却するという優しさも見せていたので「裏切ると見せ掛けて実は」みたいな展開でもあるのかと思ったが、報酬を受け取って姿を消してしまう。
そしてレジスタンスの輸送船は攻撃を受け、フィンたちは無力さを露呈するだけだ。
だから彼らは、「ただ無意味な行動を延々と続けていた底無しのボンクラども」ってことになってしまうのだ。

ただし、ポーのホルドに対する反乱については、理解できる部分もある。
ポーが「このまま逃げ続けても燃料切れになるだけだ」という主張は、決して間違ったことを言っているとは思わない。後になってレイアが「実はホルドがこんな計画を考えていた」と明かすことで、「ホルドの作戦は大正解だった」ってことになるし、ホルドには「自己犠牲を払って仲間を救う」という見せ場も用意されている。
ここで一気にホルドの名誉は挽回されるのだが、「最初からポーに事情を説明しておきゃ済んだでしょ」と思っちゃうのよね。
変に隠すから疑念を抱かれ、反乱を起こされるわけで。そのせいで、余計な手間が掛かってるじゃねえか。

しかも、輸送船は武器が無いので、そこを攻撃されて大ピンチに陥ってしまうのよね。
つまり、最終的には「ホルドの計画もダメでした」ってことになるわけで。もちろん情報が漏れなきゃ大丈夫だったわけで、そこで迷惑を掛けているのはフィンたちなんだけどね。
ただし、敵に気付かれる可能性もゼロではないわけで、その時の対策も一応は用意しておくべきじゃないのかと。
実はフィンやポーたちだけじゃなくレジスタンス自体が、杜撰で適当な計画しか思い付かない行き当たりばったりの集団になっちゃってるんだよね。

レイは何の成長もしていないし、フィンやポーは無駄な行動ばかり取るボンクラども。レイアはバカバカしいフォースの使い方をする奴になっちゃってるし、ローズは邪魔な奴になっている。
そんな風にレジスタンス側の連中が何の魅力も発揮していない中、じゃあファースト・オーダー側はどうなのかというと、こちらも負けず劣らずだ。
レンは「人間味を出そう」という狙いがあるのかもしれないが、やたらと迷いまくるのが小物っぽさに直結している。急に反乱を起こすのも、ただガキがキレただけにしか見えない。
こんな奴がトップになって、ファースト・オーダーは大丈夫なのかと思っちゃうぞ。

そんなレイに殺されるスノークは、「結局のところ、こいつは何だったのか」と言いたくなる。
前作ではその巨大さが世界観を崩壊させているように感じたスノークだが、今回はそこまで気にならないものの、その一方で、「こいつの価値が良く分からないままでレンに始末される」という問題が起きている。
しかも、レイに対して圧倒的な力の差を見せ付けていたはずなのに、レンには簡単に始末されちゃうし。
すんげえ強い奴じゃないのかよ。レンも雑魚臭があるので、それに殺されるスノークはさらに雑魚臭が強いぞ。

(観賞日:2019年6月14日)

 

*ポンコツ映画愛護協会