『スピーシーズ2』:1998、アメリカ

宇宙船の乗組員パトリック・ロスは、火星探査中に異星生物に取り憑かれた。地球へ帰還した後、パトリックは増殖のために次々と女性を襲い始める。彼の血液の異変に気付いた科学者も、異星生物によって殺害された。
国防省のバージェス大佐は、かつて異星生物シルを巡る事件に関わった元政府の殺し屋プレスを呼び寄せた。2人は分子生物学者ローラの研究所を訪れる。ローラはシルに人間の遺伝子を植え付けたクローン生物イヴを作り出し、研究を続けていた。
プレスは異星生物に取り憑かれなかった乗組員ギャンブルと共に、パトリックの行方を追い始める。イヴのテレパシーを利用することで、2人はパトリックを発見した。しかし、イヴがパトリックと感応し、研究所を脱走してしまった…。

監督はピーター・メダック、キャラクター創作&クリーチャー創作はデニス・フェルドマン、脚本はクリス・ブランカート、製作はフランク・マンキューソJr.、製作総指揮はデニス・フェルドマン、撮影はマシュー・F・レオネッティ、編集はリチャード・ノード、美術はミシェン・クレカ・クルヤコヴィッチ、衣装はリチャード・ブルーノ、オリジナル・“スピーシーズ”・デザインはH・R・ギーガー、視覚効果監修はジョセフ・グロスバーグ&ラルフ・マイアース、クリーチャー効果製作&特殊メイクアップ効果製作はスティーヴ・ジョンソン、音楽はエドワード・シェアマー。
出演はマイケル・マドセン、ナターシャ・ヘンストリッジ、マーグ・ヘルゲンバーガー、ミケルティ・ウィリアムソン、ジョージ・ズンザ、ジェームズ・クロムウェル、ジャスティン・ラザード、ミリアム・シアー、サラ・ウィンター、バクスター・ハリス、リチャード・ベルザー、スコット・ウェズリー・モーガン、ピーター・ボイル他。


『スピーシーズ 種の起源』の続編。前作では異星生物シルを演じたナターシャ・ヘンストリッジが、今回はイヴを演じている。他にマイケル・マドセンとマーグ・ヘルゲンバーガー、前作と同じプレスとローラ役で出演している。

前作は、H・R・ギーガーのデザインしたスピーシーズを中心とした特殊効果と、ナターシャ・ヘンストリッジのヌードを中心としたエロティシズムで引っ張る作品だった。
この続編も、SFXとSEXを見せる映画だということは変わらない。
それなら単なる二番煎じじゃないかと思われるかもしれない。
しかし、単なる二番煎じならば、まだ救いはあったのかもしれない。
この作品は、それよりもヒドイことになっているのである。
状況は確実に悪化しているのである。

ドラマとしては、別に触れるべき点は見当たらない。
パトリックが女を妊娠させて次々にガキを作るというのはなかなかバカっぽくて、ガキが行儀良く整列しているシーンなどは一歩間違えれば(間違えなくても)コメディーのノリである。

ローラは最初は「イヴを刺激しないようにラボには男性を入れない」とか強く言ってたのに、後半に入ると簡単に何人もの男をラボに入れる。「イヴに逃げられないよう」なシステムのはずが、あっさりと逃げられてしまう。
ラボの外には一歩も出たことが無いはずのイヴだが、なぜか運転の技術はマスターしているらしく、車を走らせて逃亡する。

このようにシナリオはデタラメであるが、ストーリーなんてどうだっていい作品だから、別に気にしなくていい。
簡単に言えばSFポルノなので、大事なのは特撮とエロだ。

まずは特撮の部分だが、ギーガーやスティーブ・ジョンソンは堅実に仕事をこなしているし、SFチックな装置や映像効果は、B級映画としては頑張っている方だろう。
問題は、エロである。

前作は女性のシルが繁殖のために多くの男性と性交渉を持つという形だった。
今回は異星生物に取り憑かれたのが男性ということで、多くの女性と性交渉を持つという、前作とは完全に逆の形になっている。
セックスシーンで登場する女が1人から大勢になったのだから、前作より得じゃないかと思うかもしれない。
しかし、それは大きな間違いだ。
この作品にとって大切なのは、ナターシャ・ヘンストリッジの提供するエロなのだ。

前作ではナターシャ・ヘンストリッジがお色気を存分に発揮していた。
しかし、今回は終盤になるまでラボを出ないので、彼女のお色気シーンはほとんど無い。
ナターシャ・ヘンストリッジあってのエロなのに、そこを忘れては意味が無い。


第21回スティンカーズ最悪映画賞

ノミネート:【最悪の続編】部門

 

*ポンコツ映画愛護協会