『スポーン』:1997、アメリカ

アル・シモンズは連邦政府情報局A−6の工作員だったが、辞職することを決めた。最後の任務として北朝鮮の細菌プラントへ向かったアルだったが、そこには情報局長官ジェイソン・ウィンと部下のジェシカ・プリーストが待っていた。これは彼らの仕掛けた罠だったのだ。
ウィンは世界を支配する野望を達成するため、魔界と契約を結んでいた。そして魔界のマレボルギアは天界を攻撃する戦士軍団の指揮官として、アルを魔界に送るようウィンに命令していたのだ。ウィンは自分の欲望のため、アルを魔界に送ろうとしていたのだ。
ウィンによって焼き殺されてしまうアル。魔界に落ちたアルは魔界の支配者マレボルギアと出会う。ワンダのために人間界に戻りたいアルは、魔界の戦士軍団の指揮官になる契約を交わし、生き返った。しかし彼は全身に大火傷を負っており、見るも無残な体になっていた。
人間界では既にアルが死んでから5年の月日が流れていた。その間にワンダはアルの同僚だったテリーと結婚し、2人の間には子供までいる。ショックを受けるアル。怒りに震えるその体を、悪魔の鎧が包み込む。彼は魔界の戦士スポーンへと変身したのだ。
魔界からの使者クラウンの言葉に乗せられるように、ウィンへの復讐を誓うアル。そのウィンは細菌兵器ヒート16を完成させ、それを利用して世界征服を企んでいた。そんなウィンにクラウンが近付き、ヒート16の起爆装置を心臓に埋め込むことを指示する。
怒りを燃やし、ウィンの命を狙うアル。マレボルギアはアルにウィンを殺させ、それによって細菌を世界中に散布して人類を滅亡させようと考えていた。そして次に、アルを指揮官とする魔界の戦士達に天界を攻撃させようという計画だ。
復讐心を燃え上がらせるアルに謎の男カリオストロが近付く。カリオストロは魔界に利用されるなとアルを諭す。そしてアルに精神集中によるスポーンの武器使用方法を指南する。彼に促され、アルはマレボルギアに戦いを挑むことを決意するのだった…。

監督はマーク・A・Z・ディッペ、原作はトッド・マクファーレン、脚本はアラン・マッケルロイ、製作はクリント・ゴールドマン、製作総指揮はトッド・マクファーレン&アラン・C・ブロムクイスト、撮影はギレルモ・ナヴァロ、編集はマイケル・N・クーン、美術はフィリップ・ハンソン、特殊視覚効果はILM、音楽はグレーム・レベル。
主演はマイケル・J・ホワイト、共演はジョン・レグイザモ、マーティン・シーン、テレサ・ランドル、D・B・スウィーニー、メリンダ・クラーク、マイコ・ヒューズ、シドニー・ボードイン、ニコル・ウィリアムソン他。


CG技術によって作られたスポーンのマントが凄い。アルの怒りを表現するように、炎の如くはためくのだ。文句無しにカッコイイ。マントは一見の価値がある。
というか、マント以外は冴えないんだよなあ、この映画。

スポーンは造形はイイんだけれど、動きがドタドタしているので全くカッコ良さが無い。生身で勝負するアクションヒーローの方が、何倍も魅力ある動きをするぞ。
身軽に動くか、逆に重厚感を持たせるか、どちらかにして欲しかった。

しかも、スポーンは後半になって精神集中による特殊な武器の使い方を覚えるまで、銃を持って戦うんだよね。
それじゃあ普通のガンアクション映画じゃねーか。CG技術を存分に使った映画なんだから、前半から特殊な武器を使わせましょうや。

大火傷を負ったアルが路地裏を徘徊する場面は『ダークマン』を思い出させる。スポーンがビルの壁を這う場面は『スパイダーマン』を思い出させる。
なんかどこかで見たようなシーンが多いんだよなあ。やっぱりマント以外は強く惹き付けられる要素が見当たらない。

話も変だよなあ。
“細菌兵器をウィンの体に埋め込ませてアルに殺させて”なんて面倒なことをする必要があるのか?普通に細菌兵器を散布させれば人類は滅亡するんだから、それでいいんじゃないのかな。
マレボルギアが何をやりたかったのか、さっぱり分からない。

 

*ポンコツ映画愛護協会