『スペース・トラッカー』:1996、アメリカ

ジョン・キャニオンは年代物の大型宇宙トラック“パッキーダムKF946”に乗る、一匹狼のスペース・トラッカー。火星産の四角豚を運んでインター・ポーク社に届ける仕事を引き受けた。ところが到着が2日遅れたことで社長のケラーが金を払わず、勝手に豚を持っていこうとする。
恋するウェイトレスのシンディが働くレストランで、ジョンは新米トラッカーのマイク・ブッチと会った。彼もシンディに惚れているようだ。しかもジョンの四角豚をタイタンまで運ぶ仕事を引き受けたと聞き、不機嫌になるジョン。
そこへケラーがやって来て、部下にジョンを押さえ付けさせて殴りかかる。横暴な態度に憤りを感じたマイクがジョンに加勢。乱闘の中でレストランに穴が開いてしまい、ケラーが宇宙に吸い込まれていってしまう。慌てて現場から逃走するジョン、マイク、そしてシンディ。
闇の大物ミスター・ゼスティに面会したジョン達は、今回の事件を不問にする代わりに地球への荷物運搬を依頼される。中身はポリマー形成のセックス代用品だと説明されるが、コンテナには絶対に触るなと忠告される。
途中、流れてきた石に当たってトラックの冷却システムやエンジンが故障してしまう。そこへマカヌード船長の指揮する海賊船がやって来てトラックを飲み込んでしまう。マカヌードがコンテナを開けると、そこには何体もの人間型ロボットが積まれていた。
それはリサーチ社のE・J・サグス社長が地球征服のために作り出した、バイオ戦士ロボットだった。ロボットを発明したのはマカヌードだったが、彼はサグスの裏切りに遭って左半身を失い、今は海賊となっていたのだ。
覚醒したバイオ戦士ロボットは、海賊を襲い始める。海賊とバイオ戦士ロボットが激しい戦闘を続ける中、ジョン達は隙を見て海賊船から逃亡する。しかし、ジョン達の宇宙トラックにもバイオ戦士ロボットが潜んでいたのだ…。

監督はスチュアート・ゴードン、原案はスチュアート・ゴードン&テッド・マン、脚本はテッド・マン、製作はピーター・ニューマン&グレッグ・ジョンソン&テッド・マン&スチュアート・ゴードン&メアリー・ブリーン=ファレリー、共同製作はモーガン・オサリヴァン、製作総指揮はガイ・コリンズ&スティーヴン・カイ、撮影はマック・アールバーグ、編集はジョン・ヴィクター=スミス、美術はサイモン・マートン、衣装はジョン・ブルームフィールド&アン・ブルームフィールド、特殊視覚効果監修はブライアン・ジョンソン&ポール・ジェントリー、音楽はコリン・タウンズ、音楽監督はJ・スティーヴン・ソールズ。
主演はデニス・ホッパー、共演はスティーヴン・ドーフ、デビ・メイザー、ジョージ・ウェント、ヴァーノン・ウェルズ、バーバラ・クランプトン、チャールズ・ダンス、シェイン・ライマー、ティム・ローン、イアン・ビーティー、オルウェン・フォーレ、ロジャー・グレッグ、デニス・アキヤマ、シーマス・フラヴィン、ジェイソン・オマラ、サンドラ・ディッキンソン、グレーム・ウィルキンソン他。


デビュー作『死霊のしたたり』で注目されたものの、それ以降は今一つパッとしないスチュアート・ゴードン先生がメガホンを執った宇宙映画。
バイオ戦士ロボットのデザインはハジメ・ソラヤマ(空山基)、製作はスクリーミング・マッド・ジョージと、どちらも日本人が担当している。中に人間が入っている着ぐるみを使って、パンチやキックを使った格闘アクションを見せてくれる。

これはおそらく、意図して作られたバカSFだと思われる。
四角い豚、電子レンジで温めるチューブ式の卵入りカプチーノ、分かりやすくドクロのマークが描かれている海賊船、カラフルで珍妙な未来ファッションなどなど、いかにもバカバカしいモノのオンパレードだ。宇宙トラックや様々な機械は、いかにも「作り物です」といったオモチャ的な造型になっている。

タイトルバックに流れるのは、牧歌的なカントリー・ミュージック。
CGでホットドッグのマスタードを描くという、あまりに無駄で無意味な特殊効果。
宇宙が黒いので、黒い隕石が見えなくて衝突するという、バカな展開も待っている。

途中、冷却システムが壊れてトラックの温度が上昇したために、シンディは服を脱いで下着姿になる。いわゆる、お色気のサービスカットですな。
で、そのまま終盤までシンディは下着姿のまま。
演じるデビ・メイザー、いかにもズベ公みたいな感じがグッド。

マカヌードのキャラは、なかなかイカしている。「海賊の船長は、身体に障害をもっている」という王道パターンをキッチリと踏襲している。
左半身が機械になっており、しかもオモチャっぽい機械。
頭からは、機械の脳が剥き出しになっている。
最後には腰でブッちぎれて上半身だけになってしまうという、素敵なグロテスク趣味。

で、最もバカっぽい身体の特徴はペニス。
ここも機械で出来ているのだが、電磁パルスを通して振動させるという仕掛けが付いている。それでシンディを犯そうとするのだが、しばらく使っていなかったのでサビついて動かないという、かなりマヌケな展開がある。

トイレで用を足している婆さんの口をこじ開けると、隠しエレベーターのスイッチがある。他にもロボットが何本もの触手を伸ばす場面など、グロテスクなシーンが幾つかある。
しかし、どうもグロテスク描写が中途半端なんだよなあ。もっと徹底して、ゲロゲロでグチョグチョなグロテスク満載の映画にした方が面白かったと思うがなあ。

そうそう、ハッキリ言って、話は面白くないよ。マッタリして緊張感が無いし、緩急の付け方も下手だし、盛り上げ方の工夫も全く見られない。
純粋に面白いSF映画を見たいと思うのなら、この作品は外した方が正解だろう。
デニス・ホッパー主演のSF映画なんだから、バカ映画だということは納得する。ただし、バカ映画としての出来映えが、シオシオのパーなのよねえ。

 

*ポンコツ映画愛護協会