『SPACE JAM』:1996、アメリカ

史上最高のバスケットボール選手と言われていたマイケル・ジョーダンが、NBAからの引退を発表した。彼はプロ野球選手へ転向するが、さっぱり成績が上がらないにも関わらず、人気だけは異常に高いという状態が続く。
同じ頃、宇宙の彼方にあるアミューズメント・パーク“モロウ・マウンテン”では、重役のスワックハマーが経営不振に頭を悩ませていた。そこで彼は地球で大人気の“ルーニー・テューンズ”を誘拐し、客を集めようと考える。
スワックハマーの部下ナードラック5人衆は地球に乗り込み、ルーニー・テューンズを捕まえる。強力な武器を持った彼らに抵抗しても無駄だと悟ったバッグス・バニー達は、バスケットボールの試合で勝負をしようと彼らに持ち掛ける。
バッグス・バニー達はナードラックスが小さかったことから、バスケットの試合なら勝てるだろうと考えたのだ。ところが、ナードラックスはチャールズ・バークレーを始めとするNBAの選手達の才能を吸い取り、巨大化してしまった。
このままでは、ルーニー・テューンズは勝負に負けてしまう。そこで彼らは助っ人としてマイケル・ジョーダンに声を掛ける。最初は断ったジョーダンだが、ナードラックスの挑発を受けて、ルーニー・テューンズに協力して試合に参加することにした…。

監督はジョー・ピトカ、脚本はレオ・ベンヴェヌーティ&スティーヴ・ラドニック&ティモシー・ハリス&ハーシェル・ワイングロッド、製作はアイヴァン・ライトマン&ジョー・メジャック&ダニエル・ゴールドバーグ、共同製作はゴードン・ウェブ&シェルドン・カーン&カーティス・ポーク、アニメーション製作はロン・ティッペ&ジェリー・リース&スティーヴン・ポール・レイヴァ、製作総指揮はデヴィッド・フォーク&ケン・ロス、撮影はマイケル・チャップマン、編集はシェルドン・カーン、美術はジェフリー・カークランド、衣装はマーリン・スチュワート、アニメーション視覚効果はエド・ジョーンズ、音楽はジェームズ・ニュートン・ハワード。
主演はマイケル・ジョーダン&バッグス・バニー、ウェイン・ナイト、 テレサ・ランドル、チャールズ・バークレー、マグジー・ボーグス、ショーン・ブラッドリー、パトリック・ユーイング、ラリー・ジョンソン、マナー・“ムーキー”・ワシントン、エリック・ゴードン、ペニー・ベイ・ブリッジス、ブランドン・ハモンド、ラリー・バード、ビル・マーレイ、トム・バリー、アーメッド・ラシッド、デル・ハリス、ヴラデ・ディバッツ他。


スーパースターのマイケル・ジョーダンと、人気のアニメキャラクターであるルーニー・テューンズが共演した実写とアニメの合成作品。
『SPACE JAM/スペース・ジャム』と表記される場合もある。
マイケル・ジョーダンが「バッグス・バニーと共演してみたい」と口にしたことから始まった企画らしい。完全にオコチャマ向けの映画である。

NBAの選手が多く登場する。
ナードラックスに才能を吸い取られる選手として、チャールズ・バークレー、マグジー・ボーグス、ショーン・ブラッドリー、パトリック・ユーイング、ラリー・ジョンソンが出演。他にもヴラデ・ディバッツ、セドリック セバロス、アロンゾ・モーニングなどが顔を見せる。
さらに元セルティックスの名選手ラリー・バードを始めとして、監督やコーチなどNBAの関係者、さらに本物のスポーツキャスターやスポーツ専門ラジオ局のDJなどが出演している。そして、ビル・マーレイも登場する。

ルーニー・テューンズの面々も、もちろん登場する。
試合の先発メンバーとしては、バッグス・バニー、タズマニアン・デビル、ダフィー・ダック、そして映画だけのオリジナル・キャラクターである、ローラ・バニー(この映画以降、何かのメディアに登場しているのだろうか)。
他にもマーヴィン・ザ・マーティン、シルヴェスター、トゥイーティー、ヨセミテ・サム、エルマー・ファッド、ポーキー・ピッグ、フォグホーン・レッグホーン、グラニーといったキャラクターが登場する。ちなみにスワックハマーの声は、ダニー・デヴィートだ。

オープニング、まずマイケル・ジョーダンの幼い頃の様子が映し出され、続いてタイトルロールではNBA選手になったジョーダンのプレーを見せる。
この作り方だと、最初に「ジョーダンの主演する実写映画」という意識が働いてしまう。
この作品は、「まずアニメ部分を描いておいて、アニメのキャラクターを実写の世界に送り込む。そこでジョーダンを登場させる」という手順を踏むべきだったと思う。
そちらの方が、違和感が少なくて済んだだろう。

こういう作品は、ノリの良さやテンポの軽妙さで引っ張って行くべきだろう。
しかし、その辺りが上手くない。
バッグス・バニー達がバスケ勝負をしようと言い出す流れも、助っ人にジョーダンを呼ぼうとする流れも、どうにもギクシャクしている。

バスケの試合のシーンが、最も重要なはずだ。
だが、ゴチャゴチャしていて面白味は薄い。
もっと引きのショットを使えば良かったのに。
試合の中でのドラマ作りもヘタ。
各キャラクターの個性も、全くと言っていいほど表現できていない。

最後に訪れる「メンバーが1人足りなくなった」というピンチに、登場するのがビル・マーレイというのは悲しい。いや、ビル・マーレイは嫌いじゃないが、そこは違うなあ。
しかも、ビル・マーレイは単なる数合わせで、場違いなギャグを言うだけの役割だ。
実際の人物を使うなら、ラリー・バード辺りを出せなかったものか。

いや、それよりも、ルーニー・テューンズのキャラを登場させた方が良かった。
ここは例えば、その前のシーンでバッグス・バニーが負傷させられて退場していたとか、主要キャラで1人だけが何らかの理由で試合に遅れていたとか、そういう設定を作っておけば良かったのだ。
そうしておいて、メンバーが足りなくなったところで、そのキャラクターを登場させる。
最後はそのキャラのサポートでジョーダンがスーパーダンクを決め、勝利する。
こういう筋書きにすれば、もっと盛り上がったはずだ。

クライマックスでは、ジョーダンのスーパーダンクを見せる。
だが、ここで最低の演出がなされている。
なんと、CGでジョーダンの腕を伸ばしてしまうのだ。
そんなギミックを使ったら、ジョーダンを起用した意味が全く無くなってしまう。
なんてこったい。

 

*ポンコツ映画愛護協会