『スリープレス・ナイト』:2017、アメリカ

ヴィンセントとショーンはホッケーマスクで顔を隠し、ギャングの車を追跡した。2人は車をクラッシュさせ、ライフルで脅してトランクを開けさせた。彼らがバッグの中身を確認しようとしていると、ギャングの仲間たちが駆け付けた。ヴィンセントはギャングの抵抗に遭い、マスクを剥がされた。ヴィンセントとショーンが激しい銃撃戦を展開して2人を射殺していると、バトカーのサイレンが聞こえてきた。生き残った連中ギャングたちは、その場から逃亡した。ヴィンセントとショーンもバッグを奪い、車で逃走した。
ヴィンセントとショーンはバッグを開き、大量のコカインが入っているのを見た。帰宅したヴィンセントは、元妻であるディナの「今日は忙しいから息子のトーマスを試合に連れて行って。もうすっぽかさないで」という留守電メッセージを聞く。彼の部屋の壁にはショーンやルビーノ、ノヴァクといった面々の写真が貼ってあった。内務調査課のブライアント刑事が出勤すると、同僚たちは困惑の表情を浮かべた。ブライアントは麻薬取引に汚職警官が関わっていると睨み、捜査を行っていた。カウンセラーから「私の許可無しに復帰は出来ない」と言われた彼女は生意気な態度を取り、相棒のデニソンから電話を受けて現場へ向かった。
ヴィンセントとショーンが職場であるラスベガス警察署殺人課に行くと、課長は部下を集めてギャングが襲われた事件について説明していた。ヴィンセントは自分たちが担当すると志願し、ショーンに「事件の担当になれば証拠をどうにでも出来る」と告げた。現場に着いたヴィンセントが落ちている薬莢を調べていると、ブライアントが声を掛けた。彼女はヴィンセントとショーンに不審を抱き、デニソンと共に調べることにした。
ヴィンセントはディナが看護師として勤務する病院へ行き、遅刻の言い訳をする。彼はディナが恋人のデイヴと婚約したと知り、「あんな奴と残りの人生を過ごすのか」と反対した。ディナは「もう試合が始まる」と言い、トーマスを連れて行くようヴィンセントに頼んだ。トーマスはヴィンセントに反抗的な態度を取り、「ママもお前も愛してるが、説明できない事情があるんだ」と言われても納得しなかった。トーマスが車に入れてある拳銃を見つけると、ヴィンセントは「誰かを狙う時は殺すつもりで狙え」と告げた。そこへ覆面姿の3人組が襲い掛かり、ヴィンセントの腹を刺してトーマスを拉致した。
カジノを経営するルビーノからの電話で盗んだコカインを返すよう要求されたヴィンセントは、「あれは手違いだ。すぐに返す」と告げた。ルビーノは「3時間後にノヴァクがコカインを取りに来る」と言い、それまでにコカインを渡さないとトーマスを始末すると通告した。ヴィンセントはトイレに入って傷を応急手当し、ショーンが来ると「お前はヘマをした。俺たちが盗んだのはルビーノじゃなくてノヴァクのコカインだ」と怒鳴る。彼が「トーマスが殺されるかもしれない」と言うと、ショーンは「バッグを取って来る」と告げた。
ノヴァクは深夜の野球場で、麻薬取締局に逮捕されて情報を流した手下を側近に暴行させた。彼は「お前のせいで俺のヤクが押収され、ルビーノに25キロも都合してもらう羽目になった」と怒りを示し、側近に男の舌を切り落とすよう命じた。ヴィンセントはディナからの電話で「トーマスが試合に来なかったって連絡があった」と責められ、「喧嘩になって出て行った。すぐ連れ戻す」と嘘をついた。カジノへ向かうヴィンセントは、ブライアントに尾行されていた。
ヴィンセントは店に入り、トイレの天井裏にコカインの大部分を隠した。彼が手下に案内されてルビーノの元へ向かった後、ブライアントはトイレを調べてコカインを発見した。ヴィンセントは支配人室へ行き、ルビーノにバッグを差し出して「残りのコカインは息子と交換で引き渡す」と告げた。コカインが本物であることをルビーノが確認すると、ヴィンセントは「残りを取って来る」と告げた。ブライアントはコカインを持ち出してカジノのエントランスへ向かい、デニソンに電話して事情を説明した。
ルビーノはノヴァクが店に来たのを見て、ヴィンセントに「今すぐ持って来い」と命じた。トイレに戻ったヴィンセントは、ブライアントがコカインの袋を持ち去ったことを知って通気口から逃亡した。ノヴァクはルビーノに早くコカインを持って来るよう要求し、時間稼ぎをする彼を脅した。ブライアントはスパへ行き、ロッカーにコカインの袋を隠した。彼女はデニソンと合流し、ヴィンセントが間違いなく犯人だと告げる。コカインはスパのロッカーに隠したと言い、捜査令状を取るべきだと考えるデニソンを「そんな手続きをしていたら取り逃がす」と説き伏せた。
ヴィンセントはディナから電話を受け、トーマスのことを問われる。彼は「彼女と会うらしい」と言うが、すぐに嘘がバレたので「今は話してる暇が無い」と電話を切った。すぐにブライアントから電話が入り、ヴィンセントは「袋を返せ」と声を荒らげる。ブライアントが「会って話さない?」と持ち掛けると、彼は「ふざけるな」と怒って切った。ブライアントは砂糖を見つけて袋に小分けし、鞄に入れた。彼はカウンターへ行き、バーテンダーに「ルビーノのオフィスへシャンパンを持って行け」と指示した。
ヴィンセントはルビーノのオフィスへ出向き、「下に警察が大勢いる。早く逃げろ。麻薬局の奴らも来るぞ」とノヴァクに告げる。「なぜ分かる?」と訊かれたヴィンセントは「刑事だからだ」と答え、警察バッジを見せた。ノヴァクに凄まれたルビーノは、「この件は何も知らなかった」と釈明した。バーテンダーがドアをノックすると、ヴィンセントは「警察だ。ここを出ろ」と告げた。ルビーノはノヴァクを駐車場に通じる裏口から逃がし、手下のマクファーリンに電話を掛けてトーマスの解放を命じた。
ノヴァクは鞄の中身が砂糖だと知り、すぐにカジノへ戻った。ヴィンセントはトーマスと合流し、カジノを出て行こうとする。ノヴァクはルビーノを見つけ、「あれは砂糖だ」と詰め寄った。慌てたルビーノは「あいつの息子を捕まえてある。すぐに何とかする」と約束し、マクファーリンに電話してトーマスを連れ戻すよう指示した。ヴィンセントは非常階段から脱出を図るが、出血した腹の痛みに苦悶する。「麻薬を盗んだの?警察の仕事をしてると思ったら、麻薬の売人かよ」と息子に非難された彼は、「潜入捜査だ。2年前から続けていた。家にいなかったのは、それが理由だ」と打ち明けた。
マクファーリンに見つかったヴィンセントは、厨房に飛び込んで格闘する。彼は何とかマクファーリンを投げ飛ばし、トーマスを連れて逃げ出した。ノヴァクは組織のボスである父からの電話で「4時間でコカインを取り戻せなければ戻る」と通告され、手下に「買収した全ての警官に伝えろ。ヴィンセントを俺の前に引きずり出した奴に報酬を払うと」と告げた。パーティー会場に逃げ込んだヴィンセントは、人混みの中でトーマスとはぐれてしまった。
トーマスはマクファーリンに拉致され、ルビーノはノヴァクに「ガキを捕まえた。もうすぐ解決できる」と報告した。ノヴァクはルビーノに切断した従弟の舌を見せ、「俺の家族には大勢の友人がいる。お前かどこにいても見つけ出せる。あと1時間だけくれてやる」と告げた。ショーンから電話を受けたヴィンセントは、トーマスを奪還できていないこと、コカインも取られたことを話し、すぐに店まで来るよう頼んだ。ブライアントがヴィンセントの逮捕に固執すると、心配したデニソンが「今夜は帰れ」と促した。
ブライアントは清掃員に変装したヴィンセントを発見し、追い掛けて捕まえようとする。「俺は息子を救いたいだけだ」とヴィンセントは主張するが、ブライアントは全く耳を貸さない。仕方なくヴィンセントは彼女と格闘し、取り押さえて自分が潜入捜査中だと明かす。彼は事情を詳しく説明するが、ブライアントが信じないので手錠で拘束した。ヴィンセントは彼女を脅し、コカインの隠し場所を聞き出した。トーマスは再び監禁され、ルビーノの暴行を受けた。ルビーノが扉を開けたまま去ったので、トーマスは部屋から逃げ出した。
ブライアントは固定電話に手を伸ばし、ヴィンセントがスパのロッカーに向かったことを知らせた。ヴィンセントはロッカーを開けるが、コカインは入っていなかった。待ち受けていたデニソンが拳銃を向けるが、ヴィンセントは殴り倒して立ち去った。トーマスは部屋の外に置いてあった携帯電話でヴィンセントに連絡し、クラブにいることを伝えた。それはルビーノの策略通りで、彼はヴィンセントがクラブへ来るのを待った。
ヴィンセントはショーンと連絡を取り、駐車場で合流した。ショーンはヴィンセントが内務調査官でないかと疑い、拳銃を向けた。そこへアンダーソンが現れ、ショーンと相撃ちになった。アンダーソンは死亡し、ショーンも倒れた。ブライアントはデニソンに手錠を外してもらい、「あいつは私が担当した事件を詳しく知ってた。無視は出来ない」と告げる。ディナは制服に着替えたヴィンセントに電話して、「トーマスに何度も電話したけど出ない。何があったのか説明して」と要求した。ヴィンセントはショーンの携帯に着信が入ったので、「後で掛け直す」と電話を切った。
ショーンの携帯の画面を見たヴィンセントは、掛けて来たのがデニソンだと知った。ディナは病院の仕事を抜け出し、カジノへ向かった。ヴィンセントは留守電を確認し、デニソンの「ブツを持って行くから駐車場で待ってろ。ヴィンセントは内務調査官だ。始末しろ」というメッセージを聞いた。駐車場へ赴いたブライアントとデニソンは、ショーンとアンダーソンを発見した。ブライアントがアンダーソンの死体を調べている間に、デニソンはショーンに歩み寄った。瀕死だったショーンが目を開けると、デニソンは彼を始末した。ブライアントが警察署に応援を要請すると、デニソンは「俺が迎えに行く」と駐車場を去った。エレベーターでノヴァクと遭遇したデニソンは、「俺を破滅させる気か」と凄まれる。デニソンが「そうなったら俺も終わりなんだぞ」と反論すると、ノヴァクは「その時は10日以内に死ぬ」と脅す。デニソンが「秘密のファイルを作った。アンタとの関係と内通者が載ってる。俺が死ねば表沙汰になるぞ」と話す…。

監督はバラン・ボー・オダー、オリジナル版脚本はフレデリック・ジャルダン&ニコラ・サーダ&オリヴィエ・ドゥイエール、脚本はアンドレア・バーロフ、製作はロイ・リー&アダム・ストーン、製作総指揮はトム・オーテンバーグ&ピーター・ローソン&マルコ・チェルキ&ローランヌ・ブーラショ&ディーパック・ナヤール&ニック・バウアー&アレックス・フォスター&ジョン・パワーズ・ミドルトン&ジャド・ペイン&ジェレマイア・サミュエルズ、撮影はミハイ・マライメアJr.美術はティム・グライムズ、編集はロバート・ジェサチュ、衣装はキャサリン・ジョージ、音楽はミヒャエル・カム。
出演はジェイミー・フォックス、ミシェル・モナハン、スクート・マクネイリー、ガブリエル・ユニオン、ダーモット・マローニー、デヴィッド・ハーバー、ティップ・“T.I.”・ハリス、オクタヴィアス・J・ジョンソン、ティム・コノリー、ドリュー・シーア、サラ・ベイカー、ティム・リグビー、イライジャ・エヴァレット、テス・マリス・キンケイド、スティーヴ・クールター、マット・マーキュリオ、チャン・タ・リヴァース、ブルック・ボックスバーガー、チェルシー・ヘイズ、ホリー・モリス、レナード・サンタイティー、スティーヴン・シェルトン他。


2011年の同名フランス映画をハリウッドでリメイクした作品。
監督は『23年の沈黙』『ピエロがお前を嘲笑う』のバラン・ボー・オダー。
脚本は『ストレイト・アウタ・コンプトン』『ブラッド・ファーザー』のアンドレア・バーロフ。
ヴィンセントをジェイミー・フォックス、ブライアントをミシェル・モナハン、ノヴァクをスクート・マクネイリー、ディナをガブリエル・ユニオン、ルビーノをダーモット・マローニー、デニソンをデヴィッド・ハーバー、ショーンをティップ・“T.I.”・ハリス、トーマスをオクタヴィアス・J・ジョンソンが演じている。

導入部の段階で、見せ方が下手だなと感じる。
まず、ヴィンセントとショーンがギャングを襲撃してコカインを奪う段階では、彼らの職業は明かされていない。なので「実は刑事だった」ってのは、最初の軽いサプライズとして使える要素のはず。
だが、2人が警察署に現れるシーンは淡々と処理されており、まるで効果は無い。
例えば、コカインを奪った直後に連絡を受けて刑事として動く手順でも繋げていれば、それなりに効果はあったんじゃないか。

ヴィンセントの職業を明かす前に、彼がショーンを調べていることが分かってしまうのも見せ方として上手くない。
彼が帰宅した時点で壁にショーンやルビーノたちの写真が貼っており、何かを調べている捜査官であることが何となく分かる。それを見せた後で彼が刑事として行動する様子を見せるのだが、ここも手順を間違えているとしか思えない。
この順番だと、「ヴィンセントが汚職刑事」と疑いを持たせる時間がゼロになっちゃうでしょ。そこのミスリードを放棄するのは、どういう狙いなのかサッパリだ。
そこを完全に放棄するぐらいなら、いっそのこと最初から「ヴィンセントが潜入捜査官としてショーンを調べている」と明かしちゃった方がマシだわ。

仮にヴィンセントが汚職警官だというミスリードを使っていれば、最初の内は「犯行の証拠を消すために動いており、ブライアントに汚職がバレるとマズいので焦っている」ということになる。
しかし前述したように、最初から「彼がショーンを調べる潜入捜査官」ってことが実質的にバレている。
なので、そこは「潜入捜査中であることがバレないように焦っている」ということになる。
こう書くだけで明らかだろうが、まるで受け取り方が異なって来る。

前者としてミスリードしていた場合、途中で真相が明かされることになるので、「犯行がバレることを避けて動いているように見えていたが、実は」という仕掛けが発動することになる。
だけど実質的には最初からバレバレだから、その仕掛けは不発に終わる。
それが何の得策にもならないことは、言うまでもないだろう。
「どうせオリジナル版を見た人は知っているから、バレバレでもいいだろ」と、割り切ったわけでもないでしょ。オリジナル版のフランス映画を見ているアメリカの観客なんて、決して多くなかったはずだし。

っていうか、途中でヴィンセントは息子から「麻薬の売人かよ」と責められ、あっさりと潜入捜査官であることを告白するんだよね。
まず「とっくに分かってたけどね」ってのがあるから、その告白に何の効果も無いという問題がある。
さらに「そこで簡単に告白するのかよ」とも言いたくなる。例え相手が家族であっても、余程のことが無い限りは内緒にするのがプロじゃないのか。
息子から責められることは、素性や目的を明かしても許される「余程のこと」とは言えないんじゃないか。それが息子を助けることに繋がるなら別にいいけど、そうじゃないんだから。

根本的な問題として、「ヴィンセントがバッグを強奪した理由は何だったのか」ということがある。
それを奪うことで、彼は潜入捜査官として何を得ようとしていたのか。ショーンたちを検挙するための行動として、どんな意味があったのか。
ヴィンセントはコカインについて「あれは手違いだ」と言うが、ルビーノのコカインだったら大丈夫ってことでもないだろ。それでもルビーノは奪還のために動くだろ。
なぜルビーノのコカインならOKでノヴィクのコカインはヤバいってことになるのか、それがサッパリ分からない。

あと、大量のコカインを見た時点で彼は手違いだと分かっていたはずなんだから、なぜ早急に対処しようとしなかったのか。
手違いだと分かっているなら、一味が奪還のために動くことも簡単に予想できたはず。そして顔を見られているんだから、自分が危険な立場にあることも分かっているはず。
それにしては、あまりにも無防備にトーマスと車で移動している。
それは潜入捜査官として、不用意にも程があるんじゃないのかと。

ヴィンセントの素性がバレバレになっていることは、もう1つの問題を生んでいる。それは、彼を疑っているブライアントが、余計な行動ばかり取る厄介な奴に見えてしまうってことだ。
彼女はヴィンセントが隠したコカインを持ち去るのだが、この時点で「ウザいわあ」と感じてしまうのだ。
もちろん彼女はヴィンセントの正体を知らないし、職務を忠実に遂行しているだけだ。
それは分かるんだけど、こっちはヴィンセントの素性を知っているだけに、「邪魔すんなよ」と言いたくなってしまうのだ。

ヴィンセントは犯罪組織からも警察からも狙われて四面楚歌に陥る中、息子を助けるために孤独な戦いを強いられる。そういうサスペンスとして構築されていることは確かだ。
ただ、「全てはブライアントが余計な行動を取ったせい」という問題が、大きな雑音になってしまう。
ホントなら、ここは「内務調査課だから、汚職刑事の可能性が濃厚なヴィンセントを捕まえようとするのは当然」と受け取れなくちゃダメなはずなのよ。ブライアントが悪徳刑事ならともかく、そうじゃないんだし。
そこのポジションに不快感を覚えるのは、話の見せ方に難があると言わざるを得ない。

ブライアントは周囲から精神的にヤバい女だと煙たがられており、そんな中で「自分は絶対に間違っていない」と頑固な態度を崩さない。周囲に対してトゲトゲしい言動を取り、ヴィンセントへの固執をデニソンから咎められる。
デニソンが以前の失敗について「間違った時間に間違った場所へ行って危険な目に遭った」と指摘すると、「今回は正しい時間に正しい場所よ。汚職警官が公衆の面前で堂々とルビーノやノヴィクと会ってる。逮捕を恐れていない。つまり誰かに守られてる」と断言する。
でも、ヴィンセントは汚職警官じゃないので、今回も完全に間違っているのだ。
なので、「ブライアントがヤバい女という周囲の見方は正しい」ってことになってしまう。

粗筋を読んだだけでは伝わらないと思うのだが、実はアクションシーンの割合が多い作品である。
アクション映画が好きな人にしてみれば、「意外な喜び」として好意的に受け取ることが出来るかもしれない。でも、明らかにサスペンスよりアクションの比重が高くなっていて、それは違うんじゃないかと思うんだよね。
犯罪サスペンスとして充分なボリュームがあって、その上で「アクションとしても楽しめる」ってことなら満足度は高いだろう。
だけど、なんか本職より副業がメインになっちゃってるみたいな感じなのよね。

映画の終盤、ヴィンセントがピンチに陥ると、トーマスやディナが助ける。
トーマスは一緒に行動していたから、まだ分からんでもない。でもディナに関しては、「そこで急に絡んで来るのかよ」と言いたくなる。
そりゃあ、病院を抜け出して車を走らせる様子が描かれていたから、終盤の展開に絡んで来るんだろうとは思っていたよ。だけど、駆け付けた途端にピンチのヴィンセントを助けて敵を射殺するって、どんな使い方だよ。
デウス・エクス・マキナとまでは言わないけど、かなり唐突な感じは受けるぞ。

映画のラストでは、悪党が殺されたり逮捕されたりして事件が解決したかと思いきや、再び駐車場が写る。そしてDEAのアンダーソンがノヴァクの携帯電話を回収し、彼の父親に連絡するシーンが描かれる。
つまり、「まだ全てが終わったわけじゃなくて、ノヴァクの親父と結託している捜査機関の人間がいる」ってことを示しているわけだ。
でも、社会派映画ならともかく、そういうのを最後に描く意味が全く分からない。
まさか、続編を作ろうとでも思っていたのかねえ。

(観賞日:2022年1月3日)

 

*ポンコツ映画愛護協会