『サイレンサー』：2005、アメリカ
妻から「どこにいたの？彼女は誰？」と問われた黒人男は、いきなり暴力を振るった。母の声を耳にした幼い息子は、父の部屋にあった拳銃を手に取って構えた。鏡に向かって発砲したところへ、父がやって来た。息子は「ごめんなさい」と謝る。父親はガキに歩み寄り、「小さな殺し屋か」と笑った。ベテランの女殺し屋であるローズは癌で体調が優れず、薬の効果も芳しくないため、酒で痛みを紛らす日々を送っている。相棒を務める若い黒人男のマイキーに、彼女は「神について考えるの」と話す。「死期が近いからだ」と言われた彼女は、「罰されてる気分」と告げる。「癌なんだ、ローズ。罰は無関係だ」と述べたマイキーが入浴すると、ローズは彼の体を洗った。
犯罪組織のボスであるクレイトンは、子分の一人を拘束して暴行した。酒場で「クレイトンはインポだ」と言ったことについて、男は「ただのジョークだ」と釈明する。クレイトンは妻であるヴィッキーとの関係について追及し、「調べは付いている」と述べた。彼は男を殺害し、他の手下たちに「お前らは忠実だ」と告げた。手下たちが去った後、クレイトンは腹心のエディーに「無駄口を叩く前に奴らを始末しろ。あの女も葬り去れ」と命じた。「もしも間違いだったら？」と問われ、彼は「知るか」と冷たく告げた。
マイキーとローズは仲介人のアンドリューから連絡を受けて出向き、ヴィッキーと手下たちの資料を受け取った。クレイトンは妊娠中のヴィッキーを残し、理由を付けて出掛ける。ローズは食事の買い物に出ていた手下を射殺し、車を奪った。深夜、ローズはマイキーは屋敷に忍び込み、手下４人を始末した。ローズはヴィッキーの寝室へ行くが、妊娠中だと知って動揺する。ヴィッキーは「やめて」と叫んだ直後、破水してしまった。
マイキーがマイキーが寝室へ行くと、ローズは「キッチンに行って水と氷を用意して」と指示する。彼女はヴィッキーを介抱し、出産を手伝う。無事に男児が誕生すると、ローズはヴィッキーに抱かせた。ローズは車で母子を屋敷から連れ出し、モーテルへ移動した。彼女はヴィッキーに、「半年前の私なら殺していたわ」と話す。マイキーは医者のドンに電話を掛け、モーテルに来るよう頼んだ。マイキーから「正気に戻れ。任務を遂行させてくれ」と言われたローズは平手打ちを浴びせ、「神の御意志なのよ」と告げた。
ドンが恋人である看護婦のプレシャスを連れて、モーテルに到着した。ローズはプレシャスを待機させ、ドンだけを部屋に連れて行った。ヴィッキーの女の素性を知っているのでドンは驚くが、赤ん坊を診察する。ドンが去った後、ローズはマイキーに「２人を傍に置くわ」と言う。「草花じゃないんだぞ」とマイキーは反対するが、ローズは耳を貸さなかった。彼女は都会にアパートを借り、母子のために部屋を用意した。ローズはヴィッキーに、「過去とは縁を切るのよ。当分は息子の命を守ることだけ考えて」と説いた。
ヴィッキーはローズに、「16歳の時、親友のニーシャと酒場で飲んでいたら父が来て、私を罵って殴り始めた。そこへクレイトンが来て父を銃で殴り倒し、私に謝罪させた。彼を愛してた。それなのに私の命を」と語る。「女か信じられる男は自分の息子だけよ」とローズが口にすると、ヴィッキーは「それじゃあ、マイキーは貴方の息子？」と問い掛ける。ローズは軽く笑って、「彼の父親が相棒だった。父親の死後、一緒に仕事をすることに」と述べた。
ニーシャはクレイトンの屋敷に押し掛け、しつこくインターホンを鳴らして「出て来る勇気も無いの？」と罵った。クレイトンが出て来て、「俺は君が嫌いだが、妻の親友だ。妻が子供と消えた。俺は悪い夫だった。彼女が恋しくて仕方が無い」と泣きそうな表情で告げた。ドンはヴィッキーの息子であるアンソニーを診察し、「１ヶ月後に予防注射を。その時に出生証明書も出そう」と告げた。アンドリューと会ったマイキーは「依頼人が心配してる」と言われ、「依頼は遂行した」と告げる。彼はニーシャの写真と報酬を受け取った。マイキーはバーで飲んでいるニーシャに声を掛け、セックスに誘われる。ホテルの部屋に入ったマイキーは、酒に混入した薬でニーシャを始末した。
マイキーやローズたちは、郊外の一軒家に引っ越した。季節が過ぎて冬が訪れ、アンソニーが初めて立ったのでローズとヴィッキーは喜ぶ。ローズに呼ばれたマイキーは無表情のままで、関心が無さそうな様子だった。しかし指示されてアンソニーを抱くと、自然に頬が緩んだ。マイキーはアンドリューと会って資料を受け取り、サウナで３人の男を殺害した。ローズはヴィッキーから殺し屋稼業を始めた理由を問われ、「貧しい人々のための医者を目指していた。大義のために殺しを請け負う組織があった。ある時、急進的な同志が自爆して私だけが生き残った。マイキー親子に出会って、殺す理由を見つけた。お金よ」と語った。
マイキーは帰宅すると、「やあ、アンソニー」と言ってアンソニーを抱き上げる。彼が２階の寝室へ行くと、弱々しい表情のローズがいた。マイキーは服を脱ぎ、ローズとセックスした。クレイトンがクラブで女とセックスしていると、不動産業者の女が金の支払いを要求して乗り込んできた。エディーが応対するが、女は感情的になって譲らない。クレイトンは部屋のドアを開けて女と部下を射殺し、「ファックの最中だぞ」とディーの左足も撃った。
ドンがプレシャスとの情事を終えてベッドで寝ていると、クレイトンから「すぐに来てくれ。クラブにいる。銃が暴発した」という電話が入った。プレシャスが「まさか、バレたの」と不安げな表情を浮かべると、ドンは「分からん。１時間で戻らなかったら逃げろ」と指示した。彼が店へ行くと、クレイトンは「エディーが足を撃たれた」と説明した。ドンは胸を撫で下ろし、エディーの足を治療した。
アンソニーが１歳の誕生日を迎え、マイキーたちはケーキを用意して祝福した。集合写真を撮影した後でローズは泣き出し、マイキーに「最高の思い出ね。幸せよ」と言う。２人で森に行くと、ローズは「彼女の言葉に従える？」と問い掛ける。マイキーが「俺は君に従う」と答えると、ローズは「約束なんて、ただの形よ」と告げる。ローズがキスをするとマイキーは、彼女を抱き締めた。ローズはマイキーの服を脱がせ、セックスを求めた。
マイキーの激しいピストン運動に、ローズは恍惚の評定で喘ぎ声を発する。マイキーはセックスをしながら、ローズと会った頃のことを回想した。最初に会ったのは、母の葬儀だった。葬儀の後、自宅で泣いていたマイキーは、父親から激しい暴力を受けた。そこへローズが現れて父親を銃殺すると、マイキーは「パパがママを殺した」と告白した。そんなことを思い出したマイキーは、エクスタシーを感じているローズの脳天を撃ち抜いて殺害した…。監督はリー・ダニエルズ、脚本はウィリアム・リップズ、製作はリー・ダニエルズ＆ブルック・レンフェスト＆リサ・コルテス＆デイヴ・ロビンソン＆デイモン・ダッシュ、共同製作はヴァレリー・ホフマン＆シモーヌ・シェフィールド、製作協力はチェイス・レンフェスト＆ドリーン・Ｓ・オリヴァー＝アキノエ＆トーマス・ファトーン、製作総指揮はドーン・レンフェスト＆タッカー・トゥーリー、共同製作総指揮はシャロン・ピンケンソン＆マーヴェット・ブリトー＆カリーム・“ビッグス”・バーク、撮影はＭ・デヴィッド・ミューレン、編集はウィリアム・チャン＆ブライアン・Ａ・ケイツ、美術はスティーヴ・サクラド、音楽はマリオ・グリゴロフ、音楽監修はＡ・Ｊ・アザルト。
出演はキューバ・グッディングＪｒ．、ヘレン・ミレン、スティーヴン・ドーフ、モニーク、ヴァネッサ・フェルリト、メイシー・グレイ、ジョセフ・ゴードン＝レヴィット、マット・ヒギンズ、トム・パッシュ、ライアン・エリック・スペイス、カレン・クランシー、マリリン・ヨブリック、ダーネル・ウィリアムズ、マーヴィナ・ヴィンケ、ジョニー・パンザレラ、ショーン・ブレウィントン、ジャック・クリズマニッチ、ノエル・ムラーノ、トミー・ダンスター、エンジェル・オケンド他。
2001年の映画『チョコレート』を製作した会社の創設者であるリー・ダニエルズが、初めて監督を務めた作品。
脚本のウィリアム・リップズは他に担当作品が無く、調べても何のデータも無いので、どういう人物なのかは不明。
マイキーをキューバ・グッディングＪｒ．、ローズをヘレン・ミレン、クレイトンをスティーヴン・ドーフ、プレシャスをモニーク、ヴィッキーをヴァネッサ・フェルリト、ニーシャをメイシー・グレイ、ドンをジョセフ・ゴードン＝レヴィットが演じている。監督と脚本家は、ひょっとすると「奇抜なキャラクターを登場させてて風変わりな行動を取らせ、ひねくれた内容に仕上げれば、斬新でスタイリッシュな映画に仕上がって観客に受ける」とでも勘違いしたのではないか。
そんな風に邪推したくなる映画である。
しかし実際は、そういうことを何の計算もせずテキトーにやっても、ただデタラメなだけの駄作にしか仕上がらない。
この作品は、無駄に盛り込み過ぎだし、無意味に捻り過ぎなのである。クレイトンは「残忍で冷酷でイカれた男」というキャラ設定で、妻との関係について認めようとしない男にビリヤードの球をくわえさせ、ズボンを脱がせて尻を露出させ、キューを折ってから、それをアナルに突っ込む。
そういうのをシリアスな雰囲気の中で描いているけど、すんげえ滑稽にしか見えないのでアンバランスだ。
その後、クレイトンはエディーに「手下と妻を始末しろ」と命じるが、なぜ妻だけでなく手下たちまで始末するのかサッパリ分からない。
そもそも「浮気が間違いだったら？」という問い掛けに対する「知るか」という答えの時点で、ちょっと変だし。
いや、そりゃあ「イカれた奴」という設定ではあるんだろうけど、それにしても腑に落ちない。「痕跡を残さず妻を始末しろ」と言っている割に、クレイトンは自宅を襲撃させている。しかもマイキー＆ローズが発砲しまくっているから、痕跡は残るだろ。わざわざヴィッキーが自宅にいる時を狙って、手下たちも含めて始末させるのは何なのかと。
むしろ子分がいない時のほうが楽だろうに。
あと、なぜ妻の始末を殺し屋に依頼するのかと。まずは手下たちに妻を始末させて、その後で手下たちを殺害すりゃいいんじゃないかと。
「なぜ手下を始末する必要があるのか」ってのは分からないけどさ。アンドリューは車椅子に乗っているが、特に意味は無い。
そもそも、そこに仲介人のポジションを置いている意味さえ無い。エディーがマイキーに連絡を取る形でも構わないし、いっそ連絡を取るために会うシーンを排除して、手紙なりファックスなりが送られてくるような形でもいい。
クレイトンの屋敷の庭にはシマウマがいるけど、それも特に意味は無い。
「ちょっと凝った設定にしてみよう」ということで、そういう描写を入れているだけだろう。ヴィッキーはクレイトンを「アンタは異常よ」と罵るが、「俺の息子が欲しいのか」でセックスに持ち込まれると「愛してるわ」と悶えて喜ぶバカ女だ。
後でローズに「16歳の時、親友のニーシャと酒場で飲んでいたら父が来て、私を罵って殴り始めた。そこへクレイトンが来て父を銃で殴り倒し、私に謝罪させた。彼を愛してた」と語るシーンもある。
でも、「だから何なのか」という感じで、「イカれた奴だけどクレイトンを愛してた」という設定なんぞ、屁の突っ張りにもなっていない。ローズがヴィッキーに出産させて連れ出す展開は、仕掛けとしてはベタベタだ。
ヴィッキーと赤ん坊を助けるのは「死期が近いので、生命に対して敏感になった」という理由が用意されているし、不自然さは無い。ただし、それがドラマとして上手く機能しているかというと、イエスとは言い難い。
で、それはともかく、「ローズがヴィッキーと赤ん坊を連れ出す」という形を取るなら、「クレイトン一味が始末しようと追って来る」という展開にするのが王道だが、無駄に捻っているので、その展開に入るまでに相当の時間が掛かる。
そもそも、クレイトンが本気でヴィッキーと赤ん坊を捜索しようと思っているのかどうかさえ、良く分からない。本気で妻と子どもが気になるのであれば、アンドリューの筋から当たれば、すぐにマイキーたちの居場所に辿り着くだろう。アンドリューにマイキーを呼び出させて、待ち伏せればいいだけだし。マイキーとローズの関係は最初の内、疑似親子のように描かれている。
ローズがマイキーの体を洗ってやるシーンがあるので「溺愛が過ぎる」という印象ではあるが、まあ年齢差を考えても疑似親子っぽい。冒頭シーンの描写があるので、拳銃を誤射したガキが成長してマイキーになったんだろうってことも何となく分かる。
で、ともかくローズとは疑似親子っぽいんだけど、途中で性的関係があることが判明する。
この２人の性的関係だけでも「疑似的近親相姦」「黒人と白人」「かなり年の離れた男女」という要素があるわけで、明らかにネタの渋滞を引き起こしている。この２人の最初の濡れ場は、まずマイキーが寝室で曲を掛けてストリップを始めるトコから始まる。
ローズは立ち上がってポールダンスを始め、そしてセックスに誘う。２つ目は安楽死のシーンで、ローズがマイキーの服を脱がせて青姦を始める。
そこを美しいシーンとして描いてるのだが、ちっとも美しくない。
この映画、他の男女関係としては白人のドン＆デブの黒人であるプレシャスという恋人関係もあり、その辺りも「無駄に捻っているけど魅力的じゃない」という結果になっている。ローズがヴィッキーに訊かれて語っていた「マイキーの父親が昔の相棒で云々」とか、死後に云々」という説明は全て嘘なんだけど、そこで嘘を言っていることの効果は全く無い。
っていうか、そもそもローズが安楽死させられるシーンまで、マイキーとの出会いや関係性を隠している意味も全く無いのだ。
早い段階で明かされたとしても、何も印象は変わらない。
その関係については「実は過去にこんなことがありまして」ってな具合に、なんか妙に勿体ぶって明かしているんだけけど、それが分かったところで「だから何なのか」という冷めた気持ちしか沸かないぞ。マイキーはニーシャを始末するが、それはクレイトンの依頼ってことだろう。
しかし、なぜニーシャを始末する必要があるのかは良く分からない。
そもそも、邪魔だと思ったにしても、そこも殺し屋を使う必要があるのかと思ってしまう。浮気疑惑の手下や不動産業者の女はクレイトンが自ら始末しているのに、なんでニーシャは自分で殺さないのかと。
で、そこは殺害を依頼するくせに、失踪したヴィッキーについては放置したままなのね。クレイトンが不動産業者と部下を銃殺し、エディーの足を撃つシーンは、まるで意味が無い。
足を撃たれてもエディーの忠誠心は不変だし、不動産業者たちを殺害したことでクレイトンの状況に変化が起きるわけでもない。
いかにクレイトンがイカれた奴ってことをアピールしたいだけなのかもしれないけど、完全に空回りしている。
そこからクレイトンに呼び出されたドンが「バレたかも」と不安に思う展開に繋げているけど、それも大して意味は無いし。映画開始から約１時間後、ローズは安楽死するのだが、そこで彼女を退場させるのは愚かでしかない。最後まで、マイキーとローズとの関係を重視すべきでしょうに。
マイキーがヴィッキーに対して「君に従う。俺の務めだ」と言っているのはローズの死後も指示を守っているということであり、ローズが死んだ後も２人の関係性を使っていないわけではないけど、基本的には別の話になっちゃうし。
残り30分を切ってから、引っ越して時が過ぎ、アンソニーが３歳に成長して３人家族で暮らしている様子が写る。マイキーはすっかり父親っぽくなっているけど、まるで別の話みたいになっちゃうのよ。そういう変化を持たせるなら、前半の内にそこへ入るべきだ。
ただし前半の内に、そういう展開に入ろうとするとローズが邪魔になる。最初からローズを排除し、マイキー＆ヴィッキー＆アンソニーの関係だけで話を作るべきだ。
一方でローズを登場させるのであれば、残り30分に入ってからの展開は欲張り過ぎだ。ローズの死をラストに配置するか、もしくはラスト直前のシーンにして、残りはクライマックスやエピローグだけにすべきだろう。残り30分を切ってアンソニーが３歳になってからの様子に移るのだが、どんなエピソードを描くのかと思ったら、ほぼ何も無い。
あえて言うなら、「ヴィッキがシャワーのマイキーを見て欲情する」という程度だ。しかも、それが後の展開に繋がっているわけでもない。
おまけに、その後にカットが切り替わると、今度はアンソニーが７歳になってるいんだぜ。
なんだよ、その「ほぼ何も無いままアンソニー３歳のシーンが終わる」という構成は。終盤には、マイキーが女装でホテルへ行き、そこにいた男を銃殺するシーンがある。
それは「男が女装した黒人のオカマを風俗店で指名した」ってことなんだけど、そんな変な殺しのシーンを演出する必要性がどこにあるのかと。
しかも、最初はマイキーの後ろ姿しか写さず、男を始末した後で初めてマイキーの女装であることを明かすんだけど、それも意味が無いし。
そこは「男が６歳の誕生日を迎えた息子に誕生日カードを用意してるのを知り、マイキーがショックを受ける」ということを描きたいシーンのはずなのに、何を描こうしているのかってことがブレちゃうでしょうに。忘れてしまった本編の残り15分ぐらいになって、アンドリューがマイキーに「ローズは？」と訊くが、死んだ後も殺しの仲介をしていたはずだよね。
なんで今さら、ローズのことを尋ねるのか。
そんで、渡された資料にヴイッキーの写真があって、マイキーはクレイトンに突き止められたことを知る。
だけど、そもそもクレイトンがヴィッキーを捜索させている気配が皆無なので「マイキーたちは追われる身」という印象が無くなっていたし、それどころかクレイトンの存在まで忘れていたよ。なんでクレイトンがヴィッキーの居場所を突き止めたかっていうと、ドンに浮気されたプレシャスが「後悔させてやるわ」と激怒して、クレイトンに「ヴィッキーの居場所を知ってるわ」と密告したからだ。
だけど、それじゃあドンに対する報復にならんでしょ。
あと、残り10分ぐらいになってから急に「マイキーたちがクレイトンに狙われる」という展開に持ち込まれても、もう遅すぎるわ。
「今さらコースに復帰しても、とっくに失格になってますけど」と言いたくなるぞ。原題は「Shadowboxer」で、オープニング・クレジットからマイキーがシャドーボクシングをしている様子が描かれている。その後も彼がシャドーボクシングをする様子が何度も挿入されるが、ストーリー展開には全く影響を与えない要素として完全に浮いている。
で、残り数分というところで、ようやくマイキーがパンチでクレイトン一味をノックアウトする様子が描かれる。
あれだけ何度も挿入し、タイトルにまで付けているのに、シャドーボクシングを意味のある要素として活用するのは、そこだけしか無い。
ひょっとして「Shadowboxer」というタイトルには別の意味も込めているのかもしれないけど、何も伝わらないので無意味だ。（観賞日：2015年3月9日）
第29回スティンカーズ最悪映画賞（2006年）
ノミネート：【最悪のカップル】部門［キューバ・グッディングＪｒ．＆ヘレン・ミレン］