『セルフレス/覚醒した記憶』:2015、アメリカ

大手建築会社の経営者である68歳のダミアンは、友人で会社幹部のマーティンを伴って若手建築家のカールと会った。ダミアンに憧れて建築家になったことを語るカールに、ダミアンは彼が2億ドルのプロジェクトで契約を勝ち取ったことを指摘する。まだ公表されていない情報だが、ダミアンは詳細を知っていた。カールが売り込んだ議員は、かつてダミアンが資金援助した人物だった。ダミアンはカールが自分を「先の長くない老人」と言っていたことも知っており、取締役会に裏から手を回していた。「皮肉なものだな、私に憧れて同じ道に入った者が、私によって去るとは」とダミアンが言うと、カールは「余命一年のくせに」と罵って立ち去った。
ダミアンはマーティンに「彼は間違っている。半年も持たない」と告げ、末期癌が肝臓と肺にも転移していることを明かした。黙り込むマーティンに、彼は「いいんだ。君たち夫婦が息子を亡くした悲劇に比べれば」と話す。「クレアには話したのか」と問われたダミアンは、「まだだ。折り返しの電話が来ない。私を嫌って当然だ」と答えた。帰りの車内で、ダミアンはフェニックス社の名刺を確認した。彼が仮設のラボを訪ねた時、社長のオルブライトは秘密裏に行っている事業を説明した。フェニックス社は遺伝子操作した新しい体を用意し、才能のある人物に意識の移植手術を提案していた。2億5千万ドルを必要とする手術だが、既に数十名が受けていた。
ダミアンは娘のクレアと会うため、彼女が仲間たちと始めたNPOのオフィスを訪れた。露骨に不快感を示すクレアに、ダミアンは「好きだったパフェを食べに行こう」と告げる。何年も会っていなかったクレアが「今は都合が悪い。仕事してるの」と断ると、「こんなのは仕事じゃない、子供のワガママだ」と彼は口にする。クレアの表情を見たダミアンは、「怒らせに来たんじゃない。溝を埋めに来た」と口にした。彼は「資金不足だろ」と告げ、小切手を差し出した。しかしクレアに「人を操ろうとする最低な人。昔から何事も小切手で解決したいだけ」と責められ、ダミアンは無言で立ち去った。
会社に戻ったダミアンは、脱皮神経学を提唱したジェンセン博士の講演をネット動画で見た。その直後に彼は吐血して倒れ、病院へ搬送された。ダミアンはオルブライトに電話を掛け、手術を受けると告げた。オルブライトは身辺整理してニューオーリンズへ来るよう指示し、「貴方の死を公にする。コマンダーズでランチを。チコリ・コーヒーを注文してください」と告げた。ニューオーリンズへ飛んだ彼は、マーティンをランチに誘い出した。
ダミアンはコマンダーズでマーティンと会い、自分が死んだ後のことを尋ねる。マーティンは自分も仕事を辞め、妻のジュディーと農場で静かに暮らす考えを語る。コーヒーを飲んだダミアンは倒れ込み、救急車に乗せられた。それはフェニックス社が手配した救急車であり、ダミアンは仮設ラボへ運び込まれた。彼は手術を受け、中年男性の肉体に意識を移す。オルブライトはダミアンに、本人の死亡記事が出たことを教える。彼は「新しい神経構造に順応するため、不調を感じることがある。最初の1年は軽い幻覚を見ることもある」と説明し、拒絶反応抑制剤を1日1錠のペースで服用するよう指示した。
ダミアンは新しいからだに慣れるためのトレーニングを積み、「エドワード・キドナー。1980年、アリゾナ州フェニックス生まれ。両親と姉は10歳の時に交通事故で死亡。未婚で子供はいない」といった新しい肉体のプロフィールを覚え込んだ。ダミアンが退院の日を迎えると、オルブライトは「家と車と銀行口座は用意しました。最初は、この街で生活してください。2ヶ月経てば好きな場所に引っ越せます」と説明した。彼は連絡は自分からに限定されること、1週間ごとに薬を渡すことを語り、ダミアンを新居へ案内した。
ダミアンはストリートバスケに参加し、アントンという男と知り合った。アントンは離婚していること、2人に子供に会うのは1ヶ月に1度だけであることを話す。ダミアンは彼から飲みに誘われ、夜のクラブへ出掛けた。するとアントンはマロリーという女性を連れて来ており、ダミアンは彼女を家に呼んでセックスに及んだ。ダミアンはオルブライトに会って1週間分の薬を貰いながら、自由気ままな日々を過ごす。彼はピーナッツパターを好きなだけ買い込み、様々な遊びに興じた。
ある時、薬の服用を忘れたダミアンは、見知らぬ母親と幼い娘が現れる幻覚を見た。カボチャの絵がある給水塔や、戦闘の風景も出て来た。娘は「パパ」と呼び掛け、ダミアンは発砲を受けた。彼はオルブライトに会って相談し、「その子は病気だ。僕に助けを求めてる」と告げる。彼が薬を飲み忘れたと聞いて、オルブライトは「幻覚を見たのでしょう」と冷静に述べた。ダミアンが「幻覚じゃない、知ってる子だ」と言うと、彼は「ご自身の娘に対する未練も影響している」と指摘した。
オルブライトは気分転換でハワイへ行くよう勧め、薬の量は倍にすると告げた。ダミアンが幻覚に出て来た給水塔をネットで検索すると、全く同じ物がセントルイスのブライトンで見つかった。オルブライトの部下は車を用意し、ダミアンを空港まで送った。ダミアンはハワイへ行かず、セントルイス行きの飛行機に乗り込んだ。彼は給水塔を確認し、近くの家を訪れた。ノックしても応答は無かったが、ドアが開いていたのでダミアンは勝手に中へ入った。
ダミアンは屋内を調べ、新しい肉体が幻覚に出て来た妻子と並んでいる写真を発見した。そこへ住人のマデリンが戻るが、ダミアンの顔を見ると「マーク、貴方なのね」と漏らして泣き出した。そこへアントンがオルブライトの部下たちを引き連れて現れ、ダミアンを制圧してマデリンを薬で眠らせた。アントンはダミアンに「オルブライトの部下か?」と問われ、「君の友達だ。君ためにやってる。彼女の夫は娘の命を救うため、自らの意志で肉体を提供した。病気の治療費が保険金では足りず、我々が手を貸した。娘が再び歩けるように」と語った。「君のおかげで娘のアナは生きてる」と彼が言うと、ダミアンは「小切手を渡す方法もあった」と反発する。しかし「そうしたか?」と問われると、彼は黙り込んだ。
アントンが「もはや君は我々がいないと存在できない。外の車に乗りたまえ」と話すと、ダミアンは「彼女は?」と訊く。「心配するな。事故に見せ掛ける」という言葉を聞いたダミアンは、薬を飲みたいと告げて洗面所へ向かう。彼は隙を見て見張り役のゲイリーを蹴散らし、拳銃を奪った。ダミアンは発砲し、欺いて取り押さえようとしたアントンを攻撃した。アントンは外に出ると、部下に火炎放射器で家を燃やしてダミアンを始末するよう命じた。
ダミアンはマデリンを起こし、外に向けて発砲する。一味を倒した彼は、マデリンを連れて外へ出た。マデリンが「貴方は溺死したと。何があったの?」と尋ねると、ダミアンは「アナのため、ある契約を交わして姿を消した。君を苦しませたくなかった」と弁明した。「アナが学校にいる。迎えに行かないと」とマデリンが言うので、ダミアンは車で向かう。マデリンがアナを迎えに行っている間に、ダミアンはマークのスマホを確認した。スマホの中には、マークがアナの6歳の誕生日を祝う動画があった。
アナはダミアンを見ると大喜びし、「パパ、大好きよ」と抱き付いた。ダミアンは2人を連れてモーテルへ行き、マデリンに「明日の朝、君とアナを友達の家かどこかへ」と言う。ノートパソコンでジェンセンの講演動画を確認したダミアンは、彼がオルブライトの体に意識を移植したと見抜いた。講演の動画を改めて見ると、ジェンセンの教え子であるオルブライトが同席していた。幻覚に見舞われたダミアンは薬を手に入れる必要性を感じ、ジェンセンの妻であるフェリスの住所を調べた。
ダミアンは異変を感じたマデリンから説明を求められ、「何でもない。今は僕を信じてほしい」と告げる。翌日、彼はマデリンとアナを車に乗せてニューオーリンズへ行き、フェリスの家を訪ねた。彼は2人を車で待機させ、ジェンセンの教え子だと偽ってフェリスと会った。ダミアンが「先生の研究を引き継ぎたい」と言うと、フェリスは喜んで「大学は彼の存在を無視し、研究成果は封印された」と語る。今はどこにあるのかダミアンは訊くが、アルツハイマーを患っているフェリスは容量を得なかった。
ダミアンはフェリスがオルブライトの電話番号を知っていると聞き、連絡を取って呼び出してもらった。彼はフェリスをベッドで眠らせ、オルブライトを待ちうけた。オルブライトが「私は望む物を与えた」と言うと、ダミアンは「他人が苦しむのは望んでない」と憤慨した。「私は苦痛を和らげようとしている。肉体が死にゆくことで多くの知性が失われた」とオルブライトは語り、「妻は素晴らしい女性だが、アルツハイマーで、私には救うべき知力が無い」と述べた。
ダミアンが「殺人を正当化する馬鹿げた論理だ」と言うと、彼は「貴方が薬を飲むことは?服用を止めると、貴方の心は忘却の彼方へ。マデリンは夫を取り戻せる。だが飲み続ければ、1錠ごとにマークの痕跡は消えていく。2ヶ月も経てば、完全に無くなる」と説明した。「答えを知った今、どうしたい?」と問われたダミアンは、「ラボへ」と告げた。オルブライトは部下たちに、ダミアンをラボへ連行するよう命じた。
ダミアンが部下たちに襲い掛かると、その1人は別の体に移ったアントンだった。ダミアンは厳格に見舞われ、アントン2から薬を奪って飲む。アントン2は「いつ彼女に話す?」と言い、マデリンに向かって「娘の誕生日や結婚記念日を訊いてみろ」と告げる。ダミアンが殴り付けると、アントン2は逃亡した。ダミアンは車で屋敷から去った後、マデリンに問い詰められて真実を告白した。彼が謝罪して「力になりたい」と言うと、マデリンは「だったら夫を返して。アナはまだ6歳よ」と声を荒らげた。
ダミアンは「僕と一緒にいないと、君たちは殺される。彼らは組織を守るためなら、誰でも始末する。安全な場所へ連れて行くから、そこでやり直せ。友人の飛行機で国外へ脱出させる。ジュネーブの秘密口座に充分な資金がある。全て終われば僕は消える」と語り、マデリンとアナをマーティンの農場へ連れて行く。彼はマーティンとジュディーに事情を説明するが、全く信じてもらえない。しかし彼は本人しか知らない情報を語り、ビルの権利証書を見せて信じてもらう。マーティンは飛行機を手配したこと、少し時間が掛かることをダミアンに説明した。アナは屋敷の奥へ行き、2年前に死んだマーティンの息子と遭遇する。マーティンは息子を救ってもらうためフェニックス社と契約しており、ダミアンのこともオルブライトに密告していた…。

監督はターセム・シン、脚本はアレックス・パストール&ダビ・パストール、製作はラム・バーグマン&ジェームズ・D・スターン&ピーター・シュレッセル、製作総指揮はジュリー・ゴールドスタイン&デイヴ・ポーミア&リア・ブーマン、共同製作はキャメロン・ジュエル&ニコス・カラミギオス&ニコ・ソウルタナキス、撮影はブレンダン・ガルヴィン、美術はトム・フォーデン、編集はロバート・ダフィー、衣装はシェイ・カンリフ、音楽はアントニオ・ピント。
主演はライアン・レイノルズ、ベン・キングズレー、ナタリー・マルティネス、マシュー・グード、ヴィクター・ガーバー、デレク・ルーク、ミシェル・ドッカリー、メローラ・ハーディン、ブレンダン・マッカーシー、サム・ペイジ、ジェイニー=リン・キンチェン、トーマス・フランシス・マーフィー、サンドラ・エリス・ラファーティー、エミリー・トレメイン、グリフ・ファースト、セドリック・パルミサーノ、トム・ウェイト、ダグラス・M・グリフィン、マーカス・ライル・ブラウン、テリー・ワイブル、マリアナ・パオラ・ヴィセンテ他。


『インモータルズ -神々の戦い-』『白雪姫と鏡の女王』のターセム・シンが監督を務めた作品。
『フェーズ6』『ラスト・デイズ』のアレックス・パストール&ダビ・パストールが脚本を担当している。
フォーブスが発表した「2015年に最も稼げなかった映画ベストテン」の第6位に入った。
若きダミアンをライアン・レイノルズ、老齢のダミアンをベン・キングズレー、マデリンをナタリー・マルティネス、オルブライトをマシュー・グード、マーティンをヴィクター・ガーバー、アントンをデレク・ルーク、クレアをミシェル・ドッカリー、ジュディーをメローラ・ハーディン、アントン2をブレンダン・マッカーシー、カールをサム・ペイジが演じている。

ダミアンは余命わずかになっても、若い建築家を卑劣な方法で業界から抹殺しようとするような男だ。まだ経営者としての野心、建築家としての意欲が全く衰えていないように感じられる。
なので、新しい体を手に入れた彼がストリートバスケに何度も参加したり、女との情事にふけったり、マリンスポーツに興じたり、ピーナッツバターを好きなだけ食べまくったりという自堕落な生活を送るようになるのは理解に苦しむ。
アンタが新しい体を手に入れて実現したかったのは、そういう暮らしなのか。
冒頭シーンの描写からすると、ダミアンは会社経営や建築から引退する意識なんてゼロで、それを続行したいように思えるのよね。なので、新しい体を手に入れても、そういう方向で行動したいと思わないのは解せない。
っていうか「ダミアンが死んだ」って形にすると自分が築き上げた会社も手放すことになるわけで、それで平気なのか。もう建築にも会社にも全く興味が無いように遊び呆けるのは、どういうつもりなのか。

ダミアンの意識を移植する体は、36歳という年齢の男だ。
それって微妙な年齢じゃないか。
何か目的があって、それに36歳がピッタリということなら別にいいのよ。だけどダミアンは前述したように、ただ自堕落に遊び呆けるだけであって。
だったら、もっと若い男にした方がいいんじゃないのか。遺伝子操作で新しい体を用意できるのなら、年齢は自由自在のはずなんだからさ。
もちろん「実際は遺伝子操作じゃない」という裏事情があるけど、それをダミアンは知らないんだし、なぜ何の注文も付けずに承諾しちゃうのか。

っていうかさ、「遺伝子操作で新しい体を用意した」という説明で、なぜダミアンが何の疑問も抱かず納得しちゃってるのか。
「ゼロから肉体を生み出した」と説明されても、「いや違うでしょ。誰かの肉体でしょ」と考える方が自然じゃないか。
せめて少しぐらい疑いを示すべきじゃないかと。そんなのは幻覚を見る前から、何となく感じるモノじゃないかと。そして幻覚で母娘を見たら、「その家の旦那の肉体を使った」と確信するぐらいの感覚が普通じゃないかと。
あと、マークに妻子がいるってのは、どうなのよ。リスクを考えると、出来るだけ身内が少ない人間を選んだ方がいいはずで。

フェニックス社はダミアンが最初の顧客じゃなくて、今までに何度も同じ手術をやっているはずだよね。
オルブライト本人も手術を受けて、どういう経過になるのかを研究しているはずだよね。
それにしては、たった1度だけ薬の服用を忘れたら元の人間の記憶が蘇るってのは、欠陥が残りすぎだろ。
これまで幾つもの手術でデータが蓄積されているはずなんだから、そんなのは改善できないのか。薬の分量を調整するとか、何か手を打てなかったのか。

オルブライトは「肉体の老化によって知性が失われるのは残念」ってことでプロジェクトを進めているんだけど、それなら最初は彼の理念に共鳴してくれる人間だけに顧客を限定すればいいんじゃないのか。
とりあえずは、「他人の肉体を使う違法行為」ってのを知った上で、それでもOKしてくれる人間に限定しておけばいいんじゃないのか。
すぐにバレるリスクの高い嘘をついてまで顧客を増やそうとするのは、どういう感覚なのか。
それで記憶が戻ったらヤバイから関係者の抹殺を目論むって、アホ丸出しだろ。それによって知性のある人物を消すことにも繋がるわけで、本末転倒じゃねえか。

「薬を飲み忘れて元の人間の記憶が戻る」ってのは、ダミアンが初めてのケースじゃないはずだ。そして記憶が戻ったら、それを調べようとする人間もいるだろう。
そういう事態が起きる度に、オルブライトは手下を差し向け、関係者を事故に見せ掛けて始末していたのか。
プロジェクトの内容や規模に対して、無駄な手間が掛かり過ぎだろ。そしてリスクが高すぎるだろ。
最初から違法行為という事実を知った上で受諾できる人に限定しておいた方が、絶対に得策だろ。

発案者であるオルブライト(ジェンセン)がプロジェクトに入れ込み、「そのためなら何でもする」という意識になっているのは分かる。
だが、その部下たちは、どういうモチベーションで仕事をしているのか。
全員がジェンセンの教え子で、彼の提唱した脱皮神経学に心酔しているってわけでもないでしょ。
あと、政府や大企業が裏で糸を引いているならともかく、大学から無視された科学者が、ああいう類の秘密組織を作れているのは、ちょっと違和感があるなあ。

オルブライトはダミアンに、「肉体が死にゆくことで多くの知性が失われた。エジソン、アインシュタイン、スティーヴ・ジョブズ。あと50年の命があれば、さらに大きな成果を残せた」と語る。
その並びでジョブズが入るのは違和感があるが、そこは置いておくとしよう。ともかくオルブライトは、「知性ある人物に成果を残してもらいたい」という意識でプロジェクトを始めている。
だったら、手術を受けたダミアンが遊び呆けているのは彼にとって望ましい事態じゃないはずで。
っていうか手術を持ち掛ける時点で、「別の体を手に入れたら知性を活用して新たな成果を上げたい」と思っているかどうか確認すべきじゃないのか。

ダミアンがマークの肉体に移った後の言動は、同一人物とは到底思えない。
ダミアンは娘との溝を埋めたがっていたので、「クレアとアナを重ね合わせた」と解釈させたいんだろうとは思う。ただ、それがあっても、カールを業界から抹殺する冷徹さからすると、マークに移植されてからのダミアンはヒューマニズムが過ぎるんじゃないかと。
そういう展開を用意したいのなら、最初からダミアンの冷徹さを半端に見せるシーンなんて持ち込まなきゃいいのよ。どうせカールは、二度と登場しないんだし。
クレアのオフィスを訪ねるシーンにしても、酷い言葉を吐かせなきゃいい。それが無くても、「ずっと仕事第一で家庭を疎かにしていた」という事情さえあれば、「クレアがダミアンを拒絶する」ってのは成立するんだし。

手術を受けたダミアンが、見事な動きでオルブライトの部下たちを蹴散らすことも、「同一人物とは思えない」という印象になる一因だ。
優れた戦闘能力を彼が発揮できるのは、「マークが軍事訓練を受けた人間だから」という理由だ。つまり、そこだけはマークの能力を使うことが出来るわけだ。
なんて都合がいいんだよ。意識はダミアンの状態なのに、格闘に関してはマークの感覚で動けるのかよ。
っていうか、もはや『ボーンなんたら』みたいなノリになってんじゃねえか。

(観賞日:2018年7月3日)

 

*ポンコツ映画愛護協会