『スクリーム3』:2000、アメリカ

コットン・ウェアリーは、かつてシドニー・プレスコットの母モーリーンの殺害容疑で逮捕されたが、ゲイル・ウェザーズがウッズボローの連続殺人事件をまとめた本がきっかけで釈放された。その本を映画化した作品『スタブ』の試写会場から始まった連続殺人事件では、シドニーの命を助けてヒーローとなった。
テレビでトークショーの司会をするほどの人気者になったコットンは、ローマン・ブリッジャー監督、ジョン・ミルトン製作による“スタブ”シリーズの3作目にカメオ出演した。そんなある日、コットンは恋人クリスティーンと共に、ハロウィンのマスクを被った人物に殺される。そして殺害現場には、モーリーンの写真が残された。
事件に興味を抱いたゲイルは、『スタブ3』の撮影現場に向かった。そこで彼女は、元保安官補で映画のテクニカル・アドバイザーをしているデューイ・ライリーと再会する。やがて現場では女優サラが殺害され、またもモーリーンの写真が残される。
シドニーは人里はなれた山奥に移り住み、電話カウンセラーをしながら静かに暮らしていた。そんなある日、彼女に死んだはずの母モーリーンから電話が掛かってくる。やがて彼女は山を降り、連続殺人事件の捜査に協力することにした…。

監督はウェス・クレイヴン、脚本はアーレン・クルーガー、製作はキャシー・コンラッド&ケヴィン・ウィリアムスン&マリアンヌ・マッダレーナ、製作総指揮はボブ・ワインスタイン&ハーヴェイ・ワインスタイン&ケアリー・グラナット&アンドリュー・ローナ、撮影はピーター・デミング、編集はパトリック・ルシエ、美術はブルース・アラン・ミラー、衣装はアビゲイル・マーレイ、音楽はマルコ・ベルトラミ。
出演はネーヴ・キャンベル、デヴィッド・アークェット、コートニー・コックス・アークェット、パーカー・ポージー、パトリック・デンプシー、ランス・ヘンリクセン、スコット・フォーリー、エミリー・モータイマー、デオン・リッチモンド、ジェニー・マッカーシー、パトリック・ウォーバートン、マット・キースラー、リーヴ・シュライバー、ケリー・ラザフォード、ジェイミー・ケネディー他。


脚本がケヴン・ウィリアムソンからアーレン・クルーガーに交替したシリーズ3作目。
前作からの生き残り組に加えて、女優ジェニファー役のパーカー・ポージー、キンケイド刑事役のパトリック・デンプシー、製作者ジョン・ミルトン役のランス・ヘンリクセン、監督のローマン役のスコット・フォーリーといった面々が出演している。

このシリーズにはカメオ出演の楽しみがあるが、今回は資料室にいる“キャリー・フィッシャーに似ている人”としてキャリー・フィッシャーが、スタジオ経営者としてロジャー・コーマンが、そしてサイレント・ボブとしてケヴィン・スミスが顔を見せている。

1作目と2作目はシドニーが完全に主役だったが、今回はデューイとゲイルのカップル(デヴィッド・アークエットとコートニー・コックスは今作品の前に結婚した)が中心。
しかし、今回はモーリーンの存在が事件に大きく関わっているのだから、やはり娘であるシドニーにヒロインとしての存在感をもっと持たせるべきだったと思う。

犯人の動機は1作目と2作目に比べるとマトモ(?)だ。
しかし、やはり殺す必要の無い人間を殺している。
犯人の正体だが、たぶんトリロジー(3部作)ということで、旧スターウォーズ3部作のパロディーという形になっているのだろうと思われる。

「ホラー映画が女性のシャワーシーンから始まるのはありきたりで、『めまい』などでやっている」といったセリフがあるなど、一応は映画に絡めたセリフも存在する。
ただし、その量は1作目から比べると極端に少なくなっている。

今回は、「映画オタクのランディが、何かにつけて映画のパターンにツッコミを入れる」という作業が行われないため、集団の中から女が1人だけ別方向に逃げてしまうとか、現場から一度は逃げたのに戻ってしまうとか、そういう場面がギャグにならない。

パロディー精神がほとんど無くなった上、犯行内容の無茶もエスカレート。
前作に引き続いて殺人鬼が瞬時に別の場所に移動するという不自然さには目をつぶるとしても、犯行の重要なポイントとして、「自由に誰の声にでも変声可能」というジェームズ・ボンドの秘密道具のようなシロモノを出すのは、完全に反則でしょ。

 

*ポンコツ映画愛護協会