『ソウ4』:2007、アメリカ&カナダ

監察医2名がジョン・クレイマーの死体を解剖すると、胃袋の中からカセットテープが発見された。ジョンは殺されることを想定し、事前にロウで固めたテープを飲み込んでおいたのだ。呼び出しを受けた担当刑事のマーク・ホフマンが遺体安置所へ赴き、テープを再生した。するとテープレコーダーからは、「お前は刑事か。それなら最後に残った人物ということになる。全員が失敗したが、お前は成功するかもしれない。私の死によって全てが終わったわけではない。ゲームは始まったばかりだ」というジョンの声が聞こえてきた。
霊廟で意識を取り戻したトレヴァーは、両目を糸で縫い付けられていた。もう1人のアートは、口を縫い付けられていた。2人は首に鉄輪を装着され、鎖で1つの装置に繋がれていた。互いに鎖を引っ張り合ったことで、装置のスイッチが入った。装置のモーターが回転し、鎖を巻き取って行く。アートとトレヴァーは武器を持って戦うが、視界を確保できているアートの方が有利な状況にあった。彼はトレヴァーを殺害して鍵を手に入れ、首輪を外して装置から脱出した。
ダニエル・リッグの率いるSWATはホフマンの指示を受けながら、地下室へ突入しようとしていた。起爆装置が見つかったため、踏み込む前に中を調べることになった。しかしアリソン・ケリー刑事の死体がカメラに写し出されたため、リッグはホフマンの制止を無視して突入した。無残な死体が吊るされた現場近くの壁には、「人生を慈しめ」という血文字が書かれていた。現場入りしたFBI捜査官のピーター・ストラムとリンジー・ペレーズは、ホフマンにケリーが連絡員だったことを告げる。ケリーからは「扉を開ければ私がいる」という最後のメッセージと共に鍵が届いていたが、ホフマンには全く心当たりが無かった。
ホフマンはケリー殺害をジョンではなく共犯者であるアマンダの仕業だと考えていたが、ストラムは「アマンダの仕業じゃない」と否定する。アマンダではケリーを吊るすことが難しいため、ジョンとアマンダの協力者がいると彼は考えていた。ジョンの別れた妻であるジルの取り調べ映像を見ていたリッグは、ホフマンの説得を受けて帰宅する。だが、関係が悪化している妻のトレイシーは早々に出掛けてしまった。ペレーズは署内の警官に危険が迫っていると考え、ホフマンに伝えるべきだと考える。しかしストラムは「決めるのは私だ」と言い、それを却下した。
リッグは何者かに襲われて昏倒し、浴室で意識を取り戻した。ドアを開けるとビデオテープが再生され、ビリー人形が話し始めた。そして画面が切り替わると、エリック・マシューズとホフマンが捕まっている様子が表示された。マシューズは鎖で吊るされ、足元の氷が少しずつ溶け始めていた。ジョンはエリックが90分後に死亡することを告げ、「2人の仲間の命はお前の執念に左右される。思い詰めるのはやめて、彼らを本当に救えるかどうか決断するのはお前だ」と述べた。
リッグが拳銃を構えながら廊下を進むと、隣の部屋にブレンダという女が拘束されていた。ビリー人形がテレビに写し出され、少女売春の斡旋業者であるブレンダを救う必要など無いことをリッグに告げる。そして「信念に従って救うか、私に従って立ち去るか、決断するのはお前だ」と述べた。装置が作動してブレンダが「何とかして」と喚いた。リッグは彼女を救うが、いきなり包丁で襲撃される。リッグが制止しても耳を貸さなかったため、彼はブレンダを制圧した。一方、フィスク刑事は薬莢の指紋がリッグの物と一致したことを受けて、ペレーズとストラムに報告した。そこへリッグのアパートで銃声がしたという通報が入った。
リッグは「命を救う者、奪う者」というメッセージとアレキサンダー・モーテルの鍵を見つけ、部屋を後にした。リッグのアパートへ突入したSWATは、ブレンダの死体を発見した。現場検証に入ったストラムは、部下からリッグを指名手配することを告げられる。「リッグが共犯だと思わせる罠かも」と言うペレーズに、ストラムは「あるいはリッグのアリバイ工作かも」と告げる。彼は壁に貼られている無数の写真の中にジルの姿を確認し、事情聴取を行うことにした。
エリックとホフマンが拘束されている倉庫に、アートがやって来た。彼は助けを求めるホフマンを無視し、現場にあるコンピュータの前に座った。モーテルに到着したリッグは鍵を使って部屋に入り、ベッドに置いてあったレコーダーを再生する。部屋にはモーテルのオーナーであるアイヴァンの写真が貼ってあり、ジョンの声は「その男は心から救いを求めている。隣の部屋には彼を救済する道具がある。彼の命はお前が握っている。しかし結局、彼の命を救えるのは彼自身だ」と告げた。
婦女暴行犯のアイヴァンを追い詰めたリッグは、拷問部屋のテレビに写るエリックたちの姿を目にした。しかし尋問を受けたアイヴァンは、エリックのことを知らない様子だった。部屋にあったレコーダーをリッグが再生すると、「男の救済を本人に委ねたければ、そうすればいい。このテストで教訓を学べば、エリックを本当に救うことに一歩近付く。悪魔の心と向き合う準備を男にさせろ。そして決断させろ」というジョンの声が聞こえた。リッグはアイヴァンに足枷を装着させ、メモの指示に従って器具を握らせた。ゲームの準備が整うと、彼はジョンがアイヴァンにルールを説明する音声を流して部屋を出た。
アイヴァンの絶叫を耳にした後、リッグは「始まりの場所へ戻れ」というメッセージを見つけた。彼は娘を虐待するレックスという男に激怒し、殴り付けた出来事を回想した。ストラムの取り調べを受けたジルは、麻薬中毒患者であるセシルのせいで流産した時のことを語る。しかしストラムは、「それでジョンが豹変して連続殺人鬼になったなんて、説得力が無い」と呆れた。フィスクの報告を受けた彼とペレーズはモーテルへ行き、アイヴァンの死体を確認した。
SWAT副隊長のラマンナはストラムたちに、死体のある部屋を6日前から借りていたのが弁護士のアートであること、彼が2週間前から失踪していることを告げた。ストラムは「リッグの部屋にあった写真の内の2名が殺され、彼が組んだ仲間も全て死んでいる。これはリッグへのテストだ。目的は仲間の救出じゃない。リッグはスカウトされたんだ」と語った。アートの借りていた地下室へストラムたちが行くと、2つのファイルがあった。監視カメラを発見したストラムは、「我々がジグソウの標的だ」と述べた。
エリックが氷の台から落ちそうになると、慌ててアートが元の場所に戻す。彼はホフマンに拳銃を向け、エリックに「お前が落ちたら奴は感電死する。氷が溶けた場合も丸焦げになる」と忠告した。アートはレックスがリッグに暴行を受けた際、担当弁護士を務めた男だった。しかしホフマンが「先に手を出したのはレックスだ。一部始終を見ていた。もう宣誓供述書にサインして、起訴は見送られた」と告げ、アートは「警察は身内に甘い。いつか必ずツケを払うことになる」と述べていた。
暴行事件を起こした学校へ赴いたリッグは、教室でレックスと妻のモーガンが吊るされているのを目撃する。レックスは死んでいたが、モーガンは傷付きながらも生きていた。彼女はリッグに「やった。勝ったのよ」と言い、ジョンから要求されたゲームに挑んだことを明かした。現場にあったレコーダーをリッグが再生すると、ジョンの声は「私が救うように救うのなら、お前は目の前にいる人物を生徒として見るだろう。生徒は過ちに気付いたか?その女を自由にする鍵は、お前の手の中にある」と語り掛けた…。

監督はダーレン・リン・バウズマン、原案はパトリック・メルトン&マーカス・ダンスタン&トーマス・フェントン、脚本はパトリック・メルトン&マーカス・ダンスタン、製作はグレッグ・ホフマン&オーレン・クールズ&マーク・バーグ、製作総指揮はダニエル・ジェイソン・ヘフナー&ジェームズ・ワン&リー・ワネル&ステイシー・テストロ&ピーター・ブロック&ジェイソン・コンスタンティン、共同製作はグレッグ・コープランド、製作協力はトロイ・ベグナウド、撮影はデヴィッド・A・アームストロング、美術はデヴィッド・ハックル、編集はケヴィン・グルタート&ブレット・サリヴァン、衣装はアレックス・カヴァナー、音楽はチャーリー・クロウサー。
出演はトビン・ベル、コスタス・マンディロア、ドニー・ウォルバーグ、スコット・パターソン、ベッツィー・ラッセル、リリク・ベント、ジャスティン・ルイス、アシーナ・カーカニス、サイモン・レイノルズ、マイク・リアルバ、マーティー・アダムズ、サライン・ボイラン、ビリー・オーティス、ネーヴ・ウィルソン、ジュリアン・リッチングス、アンガス・マクファーデン、ショウニー・スミス、バハー・スーメク、ディナ・メイヤー、ジェームズ・ヴァン・パッテン、デヴィッド・ボイス、ケヴィン・ラシュトン、ケリー・ジョーンズ、イングリッド・ハート、ジャネット・ランド、ロン・レイ他。


シリーズ第4作。監督は3作連続でダーレン・リン・バウズマン。
脚本は『The FEAST/ザ・フィースト』のパトリック・メルトン&マーカス・ダンスタン。
ジョン役のトビン・ベルは1作目からの連続出演。ホフマン役のコスタス・マンディロアとリッグ役のリリク・ベントは3作目から、エリック役のドニー・ウォルバーグは2作目からの続投。
ストラムをスコット・パターソン、ジルをベッツィー・ラッセル、アートをジャスティン・ルイス、ペレーズをアシーナ・カーカニス、ラマンナをサイモン・レイノルズ、フィスクをマイク・リアルバ、アイヴァンをマーティー・アダムズ、ブレンダをサライン・ボイラン、セシルをビリー・オーティスが演じている。

1作目の最後に待ち受けているドンデン返しは、「そりゃ無理がありまくりだろ」とツッコミを入れたくなるモノだった。
だが、それはともかくとして、1作目で終わらせておけば良かったのだ。
しかし低予算で多額の黒字を出す大ヒットになったため、シリーズ化されることになった。そしてシリーズ化されたことによって、一気に作品の質は落ちる結果となった。
2作目以降、このシリーズは脱出ゲームとしての面白さを捨て去り、「残虐な連続殺人ショー」を見せる内容になった。

2作目の時点で、既に初代ジグソウであるジョンのルールは破綻していた。
そして彼をサポートしたアマンダのルールも破綻しており、それは3作目になって悪い方向へと進行した。
ジョンが関与しない今回の作品は、もはや「ルールって何?それって強いの?」ってな具合になっており、遵守しようなんて気は全く無い。
「残虐殺人を見せまショー」という作品の方向性が、ますます明確になっている。

シリーズ第2作で監督がダーレン・リン・バウズマンに交代して以降、「グロテスクな残虐描写で観客を引き付けよう」という意識は回を追うごとに増している印象を受ける。
だけど、そういうのって、あまり高い効果を得られるとは思えないんだよね。
グロ描写に良い意味で衝撃を受けたとしても、たぶん効果があるのって最初の1発目だけなんだよね。2発目以降は、次第に慣れちゃうからね。そして最初に嫌悪感を催した場合、もちろん2発目以降も受け入れてもらえないことは確実だしね。
まあグロ描写に拒否反応を示す人が、この映画を見るとは思えないけどさ。
ともかく、そこだけに頼っていたら、かなり厳しいってことよ。

冒頭、ジョンの頭皮を剥いで頭骸骨を切断する様子が描かれる。頭頂部を外して脳味噌を取り出したり、胸を切開して内臓を取り出したりする様子が描かれる。丁寧に、そして明確に描写される。
しかし、ストーリー展開における必要性は全く無い。「これから解剖が始まる」ってのを描いた後、「取り出した胃袋の中にテープがあった」という部分だけを示せば充分に事足りる。頭皮をベロンと剥いだり頭骸骨を切断してパカッと外して脳味噌を取り出すたりする様子をハッキリと写し出すことで物語に及ぼす影響なんて何も無い。
そこには単に、「のっけからグロテスクな描写で観客を引き付けたい」という意味があるだけだ。
その導入部だけでも、この映画が持っている方向性は顕著に表れていると言っていいだろう。

冒頭のゲームからして、もはやジョンのゲームとは全くの別物だ(まあジョンのゲームも2作目で変化しちゃったけど)。
まずビリー人形によるルール説明が無いし、「何かを犠牲にすれば助かる」ということでもない。助かるための道具を手に入れるまでに、知恵を使う必要も無い。
トレヴァーとアートの置かれている状況は明らかに不公平だし、その後で再びアートがゲームをさせられるのもルール違反だ。
2作目でゲームをクリアしたエリックが再び参加させられているのも同様。

リッグのゲームも、やはりジョンのルールは順守されていない。
ブレンダを救う際、彼は何も犠牲にする必要が無い。ただ装置の仕掛けを外して助けるだけだ。
ブレンダにもゲームが課されているが、これまた「何かを犠牲にすれば助かる」という内容ではない。ただ単に「リッグを殺せば助かる」というモノだ。
それって、もはやゲームでも何でもないし。
あと、リッグがゲームの被験者となる理由がホントに「後継者になれるかどうかのテスト」だったとして、それもルールから外れているし。

既にジョンが死亡しているので、彼が決めたルールなんて守る必要が無いわけだから、整合性は取れている。
後継者のくせに遵守しないってのはホントはダメなんだけど、もうジョンが死んじゃってるから構わないってことだわな。
ただし、そんな整合性は映画の面白さに全く繋がらないわけで。
第3作の批評にも似たようなことを書いたのだが、ようするに「ジョンが死亡して、彼のルールを守らない奴が後継者になる」ということでシリーズを続行させたことが全ての間違いなのだ。

今回のジグソウは、もはや単なる無差別殺人鬼でしかない。何のゲームもさせられないまま犠牲になるケースまであるし。
ゲームのルールがデタラメで「こういう行動を取れば助かる」ということが全く分からないので、そこに緊迫感が生まれない。ハラハラするだけバカバカしいという気持ちになり、コントローラーの無いTVゲームのデモ映像を淡々と観賞するような状態になる。
すんげえ残虐な映像が次々に登場するし、劇中の人物は緊迫感に満ちているのだが、こっちは冷めた気持ちのままで鑑賞を続けることになる。
淡々と観賞するだけのスプラッター映画って、どうしようもないぞ。

この第4作は、あまりにも不親切という意味でもマイナスだ。
たぶん観賞する人の中で一見さんは極めて少ないだろうから、「これまでの筋書き」とか「過去の登場人物紹介」に関する詳しい作業をやれとは言わない。ただし、今までの3作の内容をキッチリと覚えていないと、話の内容を把握するのが難しいってのはダメだわ。
前3作を観賞していても、そんなに詳しく覚えている人は多くないはずで。
「直前に前3作を復習して、それから観賞する」というぐらいのことを必要とされるのよ、この映画。

ちなみにジョンは「周りの人間は次々に死んだが、お前は安泰のまま。だが生き残ったことで、正義という執念に取り憑かれた。そのせい で判断力を失い、全員を救おうとしている。その執念に向き合う機会を与えよう」とリッグに言うが、その理屈はチンプンカンプンだ。
まあ今に始まったことじゃなくて、基本的にジョンの演説って意味不明だけど。
あと、今回はジルが語るジョンの過去が何度か挿入されるけど、物語に厚みや深みを与えるような効果など微塵も無い。むしろ、心底から「どうでもいい」と感じる。
過去作におけるジョンのクソ面白くも無い義太夫もそうだったんだけど、そうやって彼の過去を説明して人物像を明確にしようとすればするほど、「幽霊の正体見たり枯れ尾花」になっちゃうのよ。

この映画には2つのミステリーが含まれている。
1つは「今回のゲームを仕切っている奴は誰か」ってことだ。そして、それに関しては、犯人が明らかになっても全くサプライズが無い。
その理由は簡単で、「誰にでも犯人の可能性が考えられる」という形にしているからだ。
ミステリーの常套手段は「容疑者を用意してミスリードし、そっちに観客の目を引き付けておいて、全く眼中に無かった意外な人物を真犯人として登場させる」というやり方だ。しかし本作品の場合、そもそも「こいつが怪しい」というミスリード要員が存在しないまま話が進んでいく。
だから誰が犯人であろうと、そこに意外性なんて生じないのだ。
完全ネタバレになるが、そもそも伏線なんて何も無かったから、犯人がホフマンだと分かっても全く腑に落ちないし。

もう1つに関しては、そもそも「こういう謎がありまして」という提示が無くて、ラストで答えが明かされた時に「そういう仕掛けが用意されていたのね」と気付く。
こちらも完全ネタバレになるが、それは「今回のリッグに対するゲームと前作のゲームは同時進行している」ってことだ。
でも、これについては、そういう仕掛けが映画のラストに明かされても、「だから何なのか」という言葉しか出て来ない。同時進行されていることで、物語に何の影響があるのか。
リッグやストラムにとっては全く意味の無い仕掛けだし、観客からしても「どうでもいい」と感じる仕掛けでしかない。まさにサプライズのためのサプライズでしかないのだ。

(観賞日:2015年8月13日)

 

*ポンコツ映画愛護協会