『サラフィナ!』:1992、イギリス&アメリカ&フランス&南アフリカ

黒人差別の続く南アフリカ。ソウェトに住む高校生サラフィナはネルソン・マンデラを崇拝し、スターになることを夢見ている。学校には白人警官がやって来て「黒人差別を否定するような考えを持つな」と言うのだが、勇気あるマソムブカ先生は本当のことを教えてくれる。
もうすぐ学園祭。サラフィナ達はマンデラ解放をテーマにした音楽劇をやろうと考える。しかし白人による締め付けはますます厳しくなり、サラフィナの仲間も拷問を受ける。マソムブカ先生は危険思想の持ち主だとして逮捕されてしまった。
ついに高校生達は反乱を起こす。白人警官や軍との対決の中で、多くの者達が殺されていく。サラフィナの親友も次々と殺される。サラフィナ自身も逮捕され、酷い拷問を受ける。サラフィナ達に明るい未来はやって来るのだろうか…。

監督はダレル・ジェームズ・ルート、脚本はウィリアム・ニコルソン&ムボンゲニ・ンゲマ、製作はアナント・シン、製作総指揮はカーク・ダミコ&サダー・プラジー&ヘレナ・スプリング&サンジーブ・シン、撮影はマーク・ヴィセンテ、編集はピーター・ハリウッド&サラ・トーマス&デヴィッド・ヘイトナー、振り付けはマイケル・ピータース、音楽はムボンゲニ・ンゲマ&スタンリー・マイヤーズ&ヒュー・マセケラ。
主演はレレティ・クマロ、共演はウーピー・ゴールドバーグ、ミリアム・マケバ、ジョン・カニ、ムボンゲニ・ンゲマ他。


1976年にアフリカで起こった高校生達によるアパルトヘイトへの抵抗運動は13年間続き、750名が殺害され、1万人が投獄された。
そんな高校生達の姿を描いた大ヒットミュージカルを映画化。映画の中でも登場人物達は歌い踊る。
これはミュージカル映画である。

舞台という閉鎖された空間では面白かったのだろう。
しかし、アフリカの大地は本来の舞台劇が持っていたはずのパワーを奪い取ってしまった。激しく歌い踊る学生の姿を見ても、心に伝わってくるものが無い。
セットの中でのダンスシーンが中心だったら、もう少し印象は変わっていたのかも。

主人公はもちろんサラフィナなのだが、黒人差別の実態を描くことに捕らわれすぎたためか、彼女の存在が薄く思える。“戦いを通して成長していく女性”としてのサラフィナの姿を、もっと深く描き出した方が良かったのではないだろうか。

 

*ポンコツ映画愛護協会