『続・荒野の七人』:1966、アメリカ&スペイン

かつてカルヴェラ率いる山賊に何度も襲われていたメキシコの村イストラカンは、クリスやヴィンを始めとする7人のガンマンの協力で、平和な暮らしを取り戻した。ガンマンの1人チコは村の女ペトラと恋に落ち、そのままイストラカンに留まった。
そんなイストラカンの村が、今度はロルーカが率いる山賊一味に襲撃された。農夫として働いていたチコは、再び銃を握って戦おうとする。だが、チコ1人では全く歯が立たない。ロルーカはチコを含む村の男達を、全て連れ去ってしまった。
メキシコに来ていたクリスは、久しぶりに再会したヴィンから、自分の首に賞金が賭けられていることを聞かされる。その夜、クリスとヴィンはペトラの訪問を受けた。彼女から話を聞いたクリスは、チコ達を奪還するために仲間を集めることにした。
牢獄に出向いたクリスは、旧友フランクを連れ出した。明日には銃殺刑となる殺し屋ルイスも、仲間に加えることにした。さらに女好きの旧友コルビー、戦鶏場で助けてやった青年マヌエルも加わり、クリスとヴィンを含む6人はイストラカンへ向かった。
ペトラを村に送り届けた後、クリス達は周辺の捜索を開始した。ロルーカは幾つかの村から大勢の男達を集めて、自分の村を作らせていた。クリスは、かつてロルーカの息子に依頼され、ロルーカの命を狙ったことがあった。ロルーカの村を見つけたクリスは、彼を脅して退散させる。クリス達は、仕返しに燃えるロルーカ一味と戦うことになる…。

監督はバート・ケネディー、脚本はラリー・コーエン、製作はテッド・リッチモンド、製作協力はロバート・グッドスタイン、撮影はポール・C・ヴォーゲル、編集はバート・ベイツ、美術はホセ・アルグエロ、ワードローブはエリック・シーリグ、音楽はエルマー・バーンスタイン。
主演はユル・ブリンナー、共演はロバート・フラー、ジュリアン・マテオス、ジョーダン・クリストファー、ウォーレン・オーツ、クロード・エイキンス、エリザ・モンテス、エミリオ・フェルナンデス、フェルナンド・レイ、ヴィルジリオ・テクセイラ、ロドルフォ・アコスタ、グラチータ・サクロモンテ、カルロス・カサラヴィラ、リカルド・パラシオス、フェリッサ・ヒメネス、ペドロ・ベルムーデス他。


黒澤明監督の『七人の侍』の翻訳権をユル・ブリンナーが買い取り、西部劇としてリメイクした『荒野の七人』の続編。
キャストはユル・ブリンナー以外が総入れ替えとなっており、スタッフも音楽のエルマー・バーンスタイン以外はゴッソリと入れ替わっている。
クリスをユル・ブリンナー、ヴィンをロバート・フラー、チコをジュリアン・マテオス、マヌエルをジョーダン・クリストファー、コルビーをウォーレン・オーツ、フランクをクロード・エイキンス、ペトラをエリザ・モンテス、ロルーカをエミリオ・フェルナンデス、神父をフェルナンド・レイ、ルイスをヴィルジリオ・テクセイラが演じている。

原題には「リターン」という文字があるが、ユル・ブリンナー以外は戻って来ていない。
役柄としてはヴィンとチコも再登場しているが、それぞれ演じる俳優がスティーヴ・マックイーンとホルスト・ブッフホルツからチェンジしている。
ほとんど詐欺のような作品だ。
ちなみに、集まった6人にチコを合わせて7人という勘定になっている。

若き日のラリー・コーエンが脚本を書いているのだが、もはや前作の出演者がユル・ブリンナーしか残っていない時点で、かなり苦しい。
せめてホルスト・ブッフホルツだけでも残留してほしかったかな。
最初にチコが登場しても、それが前作でペトラと恋に落ちて村に留まった男だと気付かないよ。ペトラ役の女優も前作から代わっているし。

ユル・ブリンナー以外に前作と同じキャストを集められなかったのなら、無理にヴィンやチコといったキャラクターを別人に演じさせ、再登場させる必要は無かったのでは。それよりも、クリス以外は一新したメンバーが集まる話にした方が良かったと思う。

仲間を集める流れには、不満が残る。
まず、牢獄でフランク&ルイスを仲間にするというのは、どうなんだろうか。
同じ場所で複数の仲間を見つけるというのは、手抜きに思えなくも無い。
出来ることなら、1人ずつ別の場所で見つけてほしかった。
また、自分から志願したマヌエルを、クリスがあっさりと仲間に加えるのが引っ掛かる。
前作では、役に立ちそうに無いチコを最初は追い返したようなクリスが、一方的に男に殴られていたようなマヌエルを即座に仲間にするのは、ちょっと違うと思ってしまう。
「腕は仕込む」とかクリスは言ってるが、そんな時間の余裕は無いはずだし。

7人のキャラクターの描き分けは、前作に比べると著しく落ちている。
クリスだけが目立っており、他の6人の色付けは乏しい。
個性を発揮するようなエピソードも皆無に等しい。
ほとんど数合わせのためだけに7人を集めてしまったような感じだ。

終盤の戦いで、クリス達が何の工夫も無しに正面から突っ込み、敵の加勢を見つけて逃げ帰るってのはショボイなあ。
もっと作戦を練って利口に戦ってほしかったよ。
あと、ダイナマイトがあるのなら、もっと早く使った方が良かったんじゃないのかい。

 

*ポンコツ映画愛護協会