『ザ・キング・オブ・ファイターズ』:2010、アメリカ&日本&台湾&ドイツ&カナダ&イギリス

シャワーを浴びてバスルームを出た不知火舞は、洗面所でイヤホンを装着した。冷凍倉庫に出現した彼女は、今回の対戦相手であるサムと顔を合わせる。舞は激しい戦いを繰り広げ、サムを圧倒して勝利を収めた。戦いを終えた舞が部屋を出ると、恋人の八神庵が待っていた。庵に「呼び出しか?」と問われた舞は、「次のラウンドに進めた」と告げる。庵は「凄いじゃないか」と褒め、彼女にキスをした。
舞は庵に連れられ、私的なイベントを開催中のボストン文化博物館へ出掛けた。庵はイベント主催者である神楽ちづるを見つけて声を掛け、舞を紹介した。舞が「ようやくお会いできて光栄です」と挨拶すると、ちづるは「まずはおめでとうと言わなきゃね。この1年、良く頑張ったわ。こんなに闘志を持ったファイターは久しぶりよ」と述べた。ちづるは三種の神器をケース無しで展示していることを明かし、それが大会の財務管理者を務めるイワタの意向であることを話した。
写真をねだられる庵を見て、舞は「まるで貴方がキング・オブ・ファイターズね」と言う。庵は笑いながら、「俺はとっくに引退した。ただ八神の末裔だから招待されただけだ」と告げた。イベントの招待客が別の部屋に移動すると、壇上には三種の神器が飾られている。庵は舞に、「あれが無ければ大会は出来ない。八尺瓊勾玉は俺の祖先が作った。あの首飾りは、扉を開く力を宿している鍵だ。八咫の鏡は扉。八咫一族が作った。その最後の子孫が、ちづるだ」と話す。
鏡に首飾りの力を向けると異次元への扉が開くことは、舞も知っている。しかし、その理屈は良く分かっていない。「私たちはイヤホンを使ってる。どういう原理なの?」と彼女が訊くと、庵は「ちづるの父親は天才だった。2つの宝から放出されるエネルギー波を合わせて、現在のイヤホンに凝縮させた。だからイヤホンのボタンを押せば別次元へ行ける」と説明する。3つ目の宝である草薙の剣について、庵は「あの剣だけがオロチを倒せる。1800年前に別次元へ封じられた悪霊がオロチだ。解き放った者は無限の力を得ると言われている。そのためには3つの宝が必要だ」と語った。
博物館にルガール・バーンシュタインが乗り込み、ちづるに深手を負わせた。外にいたCIA捜査官のテリー・ボガードたちが飛び込むと、いきなりルガールは発砲した。舞はルガールに飛び掛かり、彼を投げ飛ばして失神させた。だが、舞がちづるに駆け寄っている間にルガールは復活し、三種の神器を奪って逃亡した。庵が後を追うと、ルガールは「一緒に行こう。強大な力が待っているぞ」と誘う。庵断ると、ルガールは彼を軽く叩きのめした。
銃を構えたテリーたちが迫ったので、ルガールは庵に止めを刺さずに走り去った。ある部屋に入ったルガールは、草薙の剣で掌を傷付けた。血をすすった彼は、八尺瓊勾玉を掛けた八咫の鏡を掲げる。部屋に飛び込んだテリーと庵は、ルガールは鏡もろとも別次元へ消えるのを目撃した。部屋に剣だけが残されたことに、庵は疑問を抱く。ちづるは担架で運ばれながら、舞に「剣は偽物ね。ルガールはまた来る。本物を見つけなければ死人が出る」と言う。
舞が「たかが試合よ」と言うと、ちづるは「オロチが解き放たれたら、デスマッチになる。草薙柴舟を捜して。貴方が本物を見つけ出して。本物が無ければルガールはオロチを解き放てない」と告げた。庵に相談しようと考える舞に、彼女は「危険すぎる。彼には黙ってて。一人で行くのよ。貴方が何者か知ってる。庵を巻き込まないで」と述べた。舞は病院へ行き、精神科の隔離病棟に収容されている柴舟と面会する。しかし話し掛けても、柴舟は遠くを見つめるだけで何も反応しなかった。
舞が困り果てていると、柴舟の息子である京が現れた。ちづるの代理で来たことや宝を盗まれたことを舞が話すと、「ちづるって誰?何の話か分からない」と彼は言う。翌朝になってから、舞は再び病院を訪れる。すると彼女を心配した庵が姿を現した。舞は彼に病院へ来た目的を説明し、京のことを教えた。庵が病室へ行くと、柴舟が狂乱して「殺してやる」と掴み掛かった。慌てて京が止めに入ると、柴舟は意識を失った。
ちづるは病室で、助手のスコットに指示を出していた。スコットは大会を中止したが、ルガールが別次元から対戦表を操作して勝手に続行していた。ちづるはファイターたちに、許可無く大会に出場しないよう警告した。しかしレズビアンのカップルであるマチュアとバイスは2人同時に誘いを受け、迷わずに参加した。待ち受けていたルガールは2人を圧倒し、マチュアを人質に取った。脅されたバイスは仲間に連絡を取り、試合に参加してもらう。まんまと誘い出されたファイターたちを、ルガールは次々に始末した。
テリーはちづるの病室に乗り込み、スコットが持っていたパソコンを奪い取る。ちづるはテリーが自分を監視していたことを知っていた。ルガールの居場所を教えるよう要求するテリーに、ちづるは大会が別次元で開催されていること、オロチに取り憑かれたルガールが選手を全滅させてキング・オブ・ファイターズになろうと目論んでいることを語る。だが、テリーは全く信じようとしない。すると、ちづるは「だったら舞から聞いて。貴方たちが1年前に送り込んだスパイでしょ」と告げた。
舞は庵に、オロチは何なのか教えるよう頼む。庵は「オロチは人に抗えない破壊的な力を与える。そして最後には、そいつを乗っ取る。「だから引退したの?」と舞が尋ねると、庵は言葉に詰まった。京は庵の前に現れ、「父さんに何をしたんだ?」と詰め寄った。「家同士の因縁さ。草薙と八神は敵となる定めだ」と庵が言うと、京は立ち去った。舞は庵の制止を聞かず、京に付いて行くことにした。
京は舞に、封印されていたオロチを解き放とうとしたのが八神家の先祖であり、その男がキング・オブ・ファイターズを望んでいたことを話す。だが、彼はオロチに取り憑かれ、支配されてしまった。そこで草薙は八神と手を組んで彼を殺し、オロチを再び封印したのだという。舞がルガールの名を口にすると、京の表情が険しくなった。柴舟の心を破壊したのはルガールであり、京は復讐心を抱いていた。彼は父の仇討ちに燃え、舞と手を組むことにした。
舞は京を連れて庵の元へ行き、手を貸してほしいと訴える。しかし庵と京は互いに相手への敵対心を示し、全く交わろうとしない。そこにテリーが現れ、多くのファイターがルガールに殺されている事実を3人に教えた。テリーが「奴を止める。協力してくれ」と言うと、舞は「私の知る限り、止めるには剣を使うしかない」と告げる。しかし京とテリーは剣の力を信じようとせず、庵と京は言い争いになる。
舞が「本当に別次元へ行った」と言うと、テリーは呆れて「この任務から外れろ」と告げる。庵は舞がスパイだったと知り、ショックを受けた。彼は舞のイヤホンを奪い取リ、別次元へ消えた。待ち受けていたルガールは、洗脳したマチュアとバイスを差し向けた。庵は全く歯が立たず、窮地に追い込まれる。しかし庵が吠えると、マチュアとバイスは激しく吹き飛ばされた。オロチに憑依された庵がマチュアとバイスを叩きのめす様子を見ながら、ルガールは「あの力を思い出せ。あの喜びを」と告げた。
現実世界に戻った庵は、以前の彼とは別人になっていた。翌朝、彼は京の家を訪れ、「お前には草薙の自覚が無い。草薙の血が流れている以上、オロチに立ち向かうのは宿命だ」と話す。庵の挑発を受けた京はイヤホンを耳に当て、別次元に移動した。ルガールに襲われた彼は、一方的に攻撃を浴びた。ルガールは「命は助けてやる。仲間に言え。殺しはやめてやるから、こっちで楽しもうとな」と告げ、京を始末せずに解放してやった。
京は墓地を訪れ、父に話し掛ける。そこへ舞が現れ、「答えを探しに来たんでしょ?」と問い掛けた。京が「なぜ君は戦う?」と訊くと、舞は「たぶん、自分になれるから」と答えた。最後の草薙として力を貸してほしいと求める舞に、京は反発する。しかし帰宅した彼は、箱に保管されていた草薙の剣を取り出した。テリーはちづるのリストを使い、選手からイヤホンを押収していた。舞が非難すると、テリーは「別次元があったとしても、イヤホンが無ければ何も出来ない」と告げた。だが、ちづるが現れ、「それは違う。ルガールは2つの次元を繋げるつもりよ」と言う。その直後、ルガールが舞の前に現れ、イヤホンを使わずに別次元へ召喚した…。

監督はゴードン・チャン、原案はリタ・オーガスティン&クリス・チョウ、脚本はリタ・オーガスティン&マシュー・ライアン・フィッシャー、製作はアンドリュー・マン&ティロ・サイファート&ボビー・シェン&ジョセフ・チョウ&ティム・クオック、製作総指揮は木下泰彦&三宅澄二&イェン・イー&ジェフ・アバーリー&ジュリア・ブラックマン&ジム・セイベル&ビル・ジョンソン&マーカス・ショーフェル&クリスチャン・アーノルド=ボイテル、共同製作はジェフ・コナー&塩原史子、製作協力はスティーヴ・ウー、撮影はアーサー・ウォン、編集はキー・ホップ・チャン、美術はジル・スコット、衣装はシーラ・ホワイト、VFXスーパーバイザーはロン・シモンソン、音楽は高橋哲也、音楽監修はリズ・ギャラチャー。
出演はマギー・Q、ショーン・ファリス、ウィル・ユン・リー、レイ・パーク、デヴィッド・リーチ、フランソワーズ・イップ、ヒロ・カナガワ、バーニス・リウ、モニーク・ガンダートン、ダグ・エイブラハムズ、キャンダス・チャーチル、ロビン・ニールセン、スコット・パティー、トシ・ハラグチ、サミュエル・ハーグレイヴ、キアヌ・ラム、マイク・ドゥパド他。


SNKプレイモアが発売している対戦型格闘ゲーム『ザ・キング・オブ・ファイターズ』(KOF)シリーズをモチーフにした作品。
監督は『デッドヒート』『メダリオン』のゴードン・チャン。
舞をマギー・Q、京をショーン・ファリス、庵をウィル・ユン・リー、ルガールをレイ・パーク、テリーをデヴィッド・リーチ、ちづるをフランソワーズ・イップ、柴舟をヒロ・カナガワ、バイスをバーニス・リウ、マチュアをモニーク・ガンダートンが演じている。

これまでに多くのアーケード・ゲームやTVゲームが映画化されて来たが、その大半は失敗作や駄作であり、『バイオハザード』シリーズのような一部の例外を除けば興行的にも失敗の連続だ。
特に格闘ゲームに関しては、「全てポンコツ」と断言してもいいんじゃないか。
『ストリートファイター』『モータル・コンバット』『DOA/デッド・オア・アライブ』『ストリートファイター ザ・レジェンド・オブ・チュンリー』『TEKKEN -鉄拳-』といった映画が作られてきたが、どれもポンコツな仕上がりだった。

格闘ゲームはキャラクターが個性的であり、ケレン味に溢れた派手なアクション演出があるので、「アクション映画の題材に向いている」と映画界の人間は思うのかもしれない。
また、世界中に数多くのファンがいるので、観客動員にも繋がると思うのだろう。
しかし、たぶんゲームのファンを満足させる映画を作り上げることは、ほぼ不可能に近い。
それに、そもそも格闘ゲームというのは、実はゲームの中でも特に映画化には不向きだと言ってもいいジャンルなのだ。

どうして格闘ゲームが映画化に向いていないのかというと、とても非現実なキャラクターが、奇抜だったり浮世離れしていたりする衣装を着用し、驚異的な技を使って戦うというのが大抵のパターンだからだ。
そんなキャラクターをそのまま映画の世界に持ち込んだら、かなりバカバカしいことになる可能性が高い。
そのキャラクター設定やコスチュームに説得力や整合性を持たせようとすると、かなり強引な設定や不自然なストーリーを用意しなければいけなくなる。
そうなれば、別の部分でバカバカしさが生じてしまう。

しかし、そのままだと陳腐になるからと言って、キャラクター設定を変更すれば、「ゲームと全く違う」ということでゲームのファンからそっぽを向かれることは確実だ。
それに、「ゲームと大きく異なる設定に作り変えるぐらいなら、映画化する意味が無い」ということになってしまう。
「ゲームの設定を活かしつつ、映画用に適度な変更を加えて脚色する」ということが出来ればベストなのだが、それは困難な作業だ。
っていうか、ほぼ不可能じゃないか。

また、対戦格闘ゲームの場合、「ある大会に世界中の格闘家が集結し、他の参加者と戦って勝ち抜いていく」というのがフォーマットになっている。映画化する際にも、そこを外すのは難しい。
そうなると、どうしても物語の幅や脚色の自由度が狭くなってしまう。
ある大会に大勢の格闘家が集結するというのは必須条件で、そこに原作のキャラクターをなるべく多く登場させる必要もある。その中でキャラの魅力を出して、人間関係を構築して、物語の面白さも出そうとするのは、なかなか厳しいものがあるだろう。
そんなわけで、「格闘ゲームは映画化に向かないし、その映画化作品はポンコツな仕上がりになる」というのが私の持論である。
そして、この映画も、そんな持論を看破することは無く、むしろ「やはり私の考えは正しい」と再確認させてくれる出来栄えである。

まず不知火舞が主人公という時点で、違和感を抱く人もいるだろう。
そこはひとまず置いておくとしても、やはりマギー・Qが演じていることに関して、ゲームのファンからすると「コレジャナイ」感を強く抱くことだろう。
それは「なぜ日本人女優ではないのか」ということではない。
「別に日本人じゃなくてもいいけど、マギー・Qは違うだろ」ってことだ。

不知火舞だけを取ってみても、他にも
「ゲームではパイオツカイデーなのに映画では小さい」とか、
「あの露出度が高すぎるコスチュームを着ていない」とか、
「せめて赤を基調とした服装にすべきだろうに、映画冒頭から青い衣装で戦う」とか、
「攻撃する時に炎じゃなくて雷属性の技を使う」とか、
「恋人がアンディ・ボガードじゃなくて八神庵」とか、
ゲームのファンからすれば色々と納得しかねる箇所が気になるんじゃないだろうか。

ルガール関連だけでも、
「ルガールが登場した途端にサブマシンガンを乱射する」
「ルガールには大物としての風格も脅威も欠けているし、そもそも背が低い」
「マチュア&バイスと戦う時には無意味にホッケーの格好で登場した上、戦いには邪魔なのですぐにマスクや防具を外す」
「ルガールが炎を出してマチュアとバイスを攻撃する」
「ルガールは棒やバット、京は剣を武器に使って対決する」
「ルガールは火の付いたボールをバットで打ち、それを京が剣で斬る」
「ルガールも日本刀に持ち替え、『サムライスピリッツ』状態になる」
など、ゲームのファンが不快感を抱くかもしれない点が幾つもある。

それ以外にも、
「八神庵の髪が赤くないし、ビジュアル系みたいな服を着ていないし、しかもニヤケ顔のヤサ男」とか、
「もはや草薙京に至っては明らかに西洋人」とか、
「テリー・ボガードがスーツ姿でビシッと決めたおり、ホームレスじゃなくてCIA捜査官という設定」とか、
「マチュアとバイスがレズビアンになっている」とか、
「ゲームを連想させるような技は、ほとんど出て来ない」とか、
マズい点は幾つもある。
京やテリーが別次元へ移動した時にはゲームを意識したコスチュームになっているのだが、「今さらかよ」という印象が強いし、しかも全く似合っていないもんだから下手なコスプレにしか見えない。
そこだけ急にゲームのファンに愛想を振り撒いても、他がドイヒーだから焼け石に水だ。

「ではゲームの再現性を無視して観賞した場合はどうなのか」と問われたら、やっぱりポンコツだ。
まず映画の冒頭、シャワーを浴びてバスルームから出て来た舞が洗面所に置いてあったイヤホンを装着すると、青い服を着た彼女が冷凍倉庫にいる様子にパッと切り替わり、そこに男が現れて戦いが開始される、という描写に困惑する。
戦いが終わると、洗面所でイヤホンを外す舞の姿が写る。
ゲームをやったことがある人でも困惑するような描写から始まるのだが、それは「イヤホンを装着すると異次元への扉が開き、そこで戦いが行われる」ということらしい。

博物館に入ると、その冒頭シーンについて庵の「鏡に首飾りの力を向けると異次元への扉が開く。ちづるの父親が2つの宝から放出されるエネルギー波を合わせて、現在のイヤホンに凝縮させた」という説明がある。
製作サイドとしては、「大会の場所を固定すると絵変わりが無いので、異次元で戦う設定にしてしまえ」と思ったのかもしれない。
だが、そのことが、ただでさえ陳腐な映画を余計に陳腐な内容にする要因となっている。

それと、そこでイヤホンの設定は説明してくれるけど、肝心の「なぜ舞は1年間も戦っているのか」「キング・オブ・ファイターズとは何なのか」「大会に優勝すると何のメリットがあるのか」ということは全く教えてくれない。
そこをさっさと説明すべきだろうに。
大会中止が宣告され、ファイターは警告されるが、それでもルガールの続行する勝手な大会に参加する理由は何なのかも全く分からん。
そこまでして大会に参加し、王者になったとして、何の意味があるというのか。主催者が禁止しているんだから、もはや大会に出場して優勝しても、本来は得られるはずだった優勝の報酬は貰えないんだし。

ルガールが博物館へ来るが、彼がどういう人物なのかは教えてくれない。
オロチを解き放とうとしているらしいが、解き放って何をしようと目論んでいるのかは教えてくれない。
ちづるの「オロチが解き放たれたら、デスマッチになる」という論理も良く分からない。オロチを解き放った者は無限の力を得るらしいけど、もはや試合とかいうレベルの話じゃなくなる気がするし。
オロチの力を手に入れたら、そんな試合にこだわらずに、その力を使えばいいはずなんだから。

舞はちづるから草薙柴舟を捜して本物の剣を見つけ出すよう依頼された時、「庵には黙ってて。危険すぎる。一人で行くのよ」と言われている。
危険すぎると思うのなら、舞だけに任せずに庵と2人で行動した方がいいんじゃないかとも思うのだが、ともかく頼まれた舞は承諾したはず。
ところが、病院に庵が来ると、舞はあっさりと「宝が盗まれたから草薙柴舟を捜すよう、ちづるに頼まれた」と明かしている。
ホントにヒロインなのかと思ってしまうような裏切り行為である。

父の墓参に来た京がバイクで去ろうとすると、舞が追い掛けて「私も乗せて」と言う。
京は1人で来たはずなのに2人分のヘルメットを持っていたので、片方を彼女に渡す。
京の家を訪れた舞は、「アンタもファイターか?質問に答えろ」と詰め寄られると、いきなり彼を捻じ伏せて肩を脱臼させる。我に返った舞が謝罪すると、京は腹を立てることも無く「大丈夫」と痛がりながら言う。
舞が脱臼を治すと、その勢いで転がって舞の上に乗る形となる。
それがきっかけなのか、京は舞に惚れる。
メチャクチャである。

その後もナンダカンダとあって、まあ大まかに言えば「悪が退治されて終わる」という、誰もが予想できる展開になる。
そこはベタで一向に構わないんだけど、それをデタラメに飾り付けて雑に演出しちゃってるもんだから、まあ緊張感も高揚感も全く無い。
肝心のアクションシーンにしても、そんなにダメなわけじゃないけど、特に素晴らしいわけでもない。
あと、どう考えたって「舞がルガールを倒す」というところに着地すべきだろうに、なぜか京がルガールを退治してしまう。
そこだけ急に、ゲームを意識して京を主役扱いしてんのかよ。そんな中途半端な媚びを売っても、何の意味も無いぞ。

(観賞日:2014年5月6日)

 

*ポンコツ映画愛護協会