『ジュニア』:1994、アメリカ

アレックス・ヘス博士とラリー・アーボガスト博士は、画期的な新薬の研究開発に取り組んでいた。それは女性の子宮の中に遺伝子を移すことによって流産を克服するという、エクスペクティンという新薬の開発である。
だが完成が間近に迫ったという頃になって、会社の委員会から人体実験を反対されたため、プロジェクトは中止されてしまう。ショックを受けたアレックスに、ラリーは新薬の人体実験の被験者になるように説得する。
被験者になることを承諾したアレックスは、男でありながら見事に妊娠した。母性に目覚めた彼は、子供を産む決意を固める。しかし実験に使われた卵子が、実はアレックスが心惹かれているダイアナ・レディン博士のものであると分かる…。

監督&製作はアイヴァン・ライトマン、脚本はケヴィン・ウェイド&クリス・コンラッド、製作総指揮はジョー・メジャック&ダニエル・ゴールドバーグ&ビヴァリー・キャメー、撮影はアダム・グリーンバーグ、編集はウェンディ・グリーン・ブリックモント、美術はスティーヴン・J・ラインウィーヴァー、衣装はアルバート・ウォルスキー、音楽はジェームズ・ニュートン・ハワード。
主演はアーノルド・シュワルツェネッガー、共演はダニー・デヴィート、エマ・トンプソン、パメラ・リード、フランク・ランジェラ、パメラ・リード、アイダ・タートゥーロ、ジェームズ・エックハウス、ミーガン・カヴァナー、ウェルカー・ホワイト、キャスリーン・チャルファント、マール・ケネディ、ジュディ・コリンズ、ミンディ・シーガー他。


アイヴァン・ライトマン監督とアーノルド・シュワルツェネッガーとダニー・デヴィートという、『ツインズ』のトリオが再び手を組んだコメディ。シュワちゃんがアレックス、ダニー・デヴィートがラリー、エマ・トンプソンがダイアナを演じている。

男が妊娠するというアイデアを出発点にして、てんやわんやの大騒ぎを描くドタバタ・コメディ、のはずである。しかし、てんやわんやは低調で、大騒ぎは単調で、ドタバタはC調のノリを生み出さず、健全であることだけが目立つという困った状態に。

たぶん、これは観客を大笑いさせようとしているコメディである。しかし、「ここは大笑いする場面ですよ」というシーンで大笑いできない。あまりに狙いすぎている上に笑いの中身が伴なわないので、あざとい提示に対して気持ちが引いてしまうのだ。

この映画を鑑賞後、「まあライトマン&シュワちゃんのタッグにデヴィートも付いてるし、この程度でしょうな」と、妙に納得してしまう自分がいた。
テレビ放送があって、暇があって、他に見たい番組が無くて、他にやりたいことも無いという状況であれば、鑑賞に値する作品かもしれない。ビデオを借りるほど、積極的に見たくなる映画でないことは確かだ。

 

*ポンコツ映画愛護協会