『ジェム&ホログラムス』:2015、アメリカ
1ヶ月前、夏が始まった頃には、まだジェリカは騒ぎと無縁の生活を送っていた。10年前、ジェリカは8歳の時に、妹のキンバーとロスからカリフォルニアのパインビューへ引っ越してきた。姉妹は叔母のベイリーの家で、里子のアジャ&シェイナと一緒に暮らしている。父のエメットは、ジェリカのことを自分の宝石という意味で「ジェム」と呼んでいた。発明家のエメットはシナジーと名付けたロボットを作っていたが、完成させる前に亡くなった。ジェリカは芋のシナジーを部屋に飾り、父を身近に感じている。
キンバーはインターネットに夢中で、自分の生活を全て公開している。それだけでなく、ジェリカたちの行動も勝手にビデオカメラで撮影する。ジェリカたちが喧嘩になると、いつもベイリーは合唱させて仲直りさせる。キンバーはジェリカたちに、ミュージック・ビデオを撮影しようと提案する。ガレージにはベイリーが古い服を保管してあり、それで変装すれば正体を隠せると彼女は言う。ジェリカは消極的な態度を示すが、アジャとシェイナはキンバーのアイデアに乗った。
キンバーたちは服を着てメイクを整え、ジェリカも半ば強引に巻き込んだ。好きな曲を歌うよう促されたジェリカは困惑し、「後で歌う」と告げる。そこへ郵便物が届き、受け取ったジェリカはベイリーが30日後の立ち退きを迫られていると知る。心配するジェリカに、「不服の申し立てが通れば、立ち退かなくて済むから」とベイリーは告げた。部屋に戻ったジェリカはメイクを整えてビデオを回し、ジェムという別名義でフォークギターを抱えて自作の歌を歌った。
ビデオカメラをキンバーに返す時、ジェリカは「3人だけで撮って」と告げる。しかし映像を消さなかったため、キンバーは勝手にネットへ上げた。すると閲覧数はあっという間に上昇し、あちこちへ拡散された。翌朝、キンバーは再生回数が異常なほど伸びていることを知り、アジャとシェイナに教える。複数のテレビ番組でもジェムは取り上げられ、ジェリカは驚いた。「スターライト・エンタープライズ」というレコード会社の社長を務めるエリカ・レイモンドは、ジェムにロスでのライブを持ち掛けた。
腹を立てるジェリカに、キンバーは「本名はバレてない。ネットで有名人になるなんて、凄いことよ」と悪びれずに告げた。ベイリーはジェリカに、「このチャンスを掴まないと後悔する」と告げた。ジェリカはエリカと連絡を取り、妹たちのバンドと一緒に契約してほしいと持ち掛けた。翌日、エリカは部下のジッパーと共に、ジェリカの家へやって来た。エリカは「これから、どういうスターになりたいのか決めて。手を貸すわ」と言い、ジェリカたちを車に乗せてロスのオフィスビルへ向かった。
エリカは大学生インターンのリオをジェリカたちに紹介し、世話係だと説明した。エリカは助手のエステバンと共に、4人のファッションをチェックする。彼女は既にジェムのデビューに向けたイメージポスターを製作しており、「最初のライブまでには、そうなってもらう」と告げた。エリカは新しいイメージに合わせてジェリカたちに服を購入し、ヘアやメイクを変えた。リハーサルが終わると、リオが車でジェリカたちを滞在するホテルへ案内した。
その夜、ジェリカたちは持参したシナジーが動き出すのを目撃した。シナジーはオペレーティング・システムを作動させ、サンタモニカ桟橋の地図を天井に写した。そこはジェリカが幼い頃、父と良く出掛けた場所だった。決められた門限は過ぎていたが、父のメッセージだと感じたジェリカはキンバーたちと共にホテルを抜け出した。桟橋に到着したジェリカたちがシナジーを動かすと、パイプが並んでいる場所に導かれた。シナジーが一枚の板を外すと、「運命を切り開け」というメモを添えた部品が入っていた。
ジェリカが部品をシナジーに差し込むと、次の部品のありかを示す座標が表示された。それは伝説のライブハウスと呼ばれる「オープン・エア・クラブ」だったが、無断外出を知ったリオが追い掛けて来た。私有地なので警官がやって来ると、リオは桟橋から飛び込んで逃げろと指示した。リオはジェリカたちから話を聞き、「余程のコネが無いと、あのライブハウスでは歌えない」と言う。「ちょっとぐらいボスの前向きな部分を見習えば?」とジェリカが呆れると、リオは「エリカはボスじゃなくて母親だ。君らの世話係を命じたのは、家業を学ばせるためだ」と語る。
「仕事が嫌なら、なぜ辞めないの?」とジェリカが尋ねると、リオは「情熱のある本物のアーティストをサポートする会社に戻したい。今の母さんみたいに、何の才能も無い薄っぺらいアイドルにうつつを抜かすんじゃなくて。あいつらは音程を調整しないと聞けたもんじゃない」と語った。ジェリカたちが歌い始めると、リオも加わった。次の日、エリカは会見を開き、ジェムと契約したことを発表した。さらに彼女は、ロスでデビュー記念イベントとして3回のライブを開くと語った。
リオが動いてオープン・エア・クラブでのライブも決定し、ジェリカたちはリハーサルに熱を入れた。初めてのライブの日、オープン・エア・ハウスには大勢のファンとマスコミが押し寄せた。ステージに登場したジェムはキンバーたちの演奏に合わせて歌を披露し、観客は大いに盛り上がった。しかし途中で停電になり、会場は騒然となる。ジェリカは観客に携帯電話でステージを照らしてもらい、手拍子を求めた。その音に合わせてジェリカは歌を続け、店内に飾られていたギターを弾いた。
観客が合いの手を入れ、ライブは大成功に終わった。手にしたギターが父の物だと気付いたジェリカは、中に入っていた部品を発見する。その部品をシナジーに差し込めば完成だとジェリカは思っていたが、何も起きなかった。しかし新たな地図は表示されず、ジェリカは困惑の表情を浮かべた。ジェムの人気はさらに高まり、メイクを真似する若い女子たちが急増する。急激な変化に戸惑ったジェリカは、リオに「自分の分身だけが世間から求められてる」と相談する。リオは「みんながジェムに夢中になるのも当然だ。でも君はジェムじゃない。自分を卑下するなよ」と言い、ジェリカを励ました。2人の関係が深まることを懸念したエリカは、リオを説教して「自分を見失わないで。もうジェムには近付かないで」と告げた。
ジェリカはベイリーと連絡を取り、申し立てが却下されて今週中に借金を支払わないと立ち退くことになると知った。彼女はエリカの元へ行き、ギャラの前借りを要請した。エリカは快諾するが、ソロデビューの契約を条件として提示する。ジェリカは難色を示すが、エリカは「貴方を時代のアイコンにしたい。それで家族を一生養える」と説得する。ジェリカは取り引きをを承諾し、キンバーたちは幻滅して彼女の元を去った。しかし傷心のジェリカの元へキンバーたちが戻り、後悔を口にする彼女と仲直りした…。監督はジョン・M・チュウ、原案はハズブロ、脚本はライアン・ランデルス、製作はジェイソン・ブラム&ジョン・M・チュウ&スクーター・ブラウン&ブライアン・ゴールドナー&スティーヴン・デイヴィス&ベネット・シュナイアー、製作総指揮はジャネット・ヴォルトゥルノ=ブリル&クーパー・サミュエルソン、共同製作はマルサ・A・ブラウン&フィリップ・ドウ、製作協力はアシュリー・ハンセン&ヘザー・マッケイ&オリヴィア・ザロ、撮影はアリス・ブルックス、美術はケヴィン・バード、編集はジュリアン・トゥイガー・モウル&マイケル・トレント、衣装はソヨン・アン、振付はクリストファー・スコット、音楽はネイサン・ラニアー。
出演はオーブリー・ピープルズ、ステファニー・スコット、ヘイリー・キヨコ、オーロラ・ペリノー、ジュリエット・ルイス、ライアン・グスマン、モリー・リングウォルド、イザベラ・ライス、バーナビー・カーペンター、ジェイソン・ケネディー、ネイサン・ムーア、ジャスティン・アラステア、ミシュク・バトラー、サマンサ・ニューアーク、クリストファー・スコット、マルサ・アン・ブルベイカー、ジャッキー・トーン、ケン・ベイカー、ブリッタ・フィリップス、フィリップ・“パックマン”・チビーブ、ニコラス・“スリック”・スチュワート、ケルシー・ランダース、ジェシカ・ケラー他。
1985年から1988年までアメリカで放送されていたTVアニメーション『Jem』を基にした実写映画。
監督は『ジャスティン・ビーバー ネヴァー・セイ・ネヴァー』『G.I.ジョー バック2リベンジ』のジョン・M・チュウ。脚本はTVドラマ『The LXD: The Legion of Extraordinary Dancers』シリーズのライアン・ランデルス。
ジェリカをオーブリー・ピープルズ、キンバーをステファニー・スコット、アジャをヘイリー・キヨコ、シェイナをオーロラ・ペリノー、エリカをジュリエット・ルイス、リオをライアン・グスマン、ベイリーをモリー・リングウォルドが演じている。
アニメ版でジェムの声優だったサマンサ・ニューアークがヘアスタイリスト役で、ジェムの歌唱パート担当だったブリッタ・フィリップスがステージ・マネージャー役で、アニメ版クリエーターのクリスティー・マークスがリンジー役で出演している。
アリシア・キーズ、クリス・プラット、ドウェイン・ジョンソン、ジミー・ファロンが本人役で、アンクレジットだがアリアナ・グランデも本人役で出演している。エンドロールの途中でジェムたちのライバルグループが登場するのだが、そのヴォーカルを演じているのはケシャだ。TVシリーズを製作していたハズブロが、『トランスフォーマー』や『G.I.ジョー』のヒットを受けて「だったら、これも行けんじゃねえか?」ってことで実写映画化を企画した。
全米2413スクリーンという公開規模からすると、配給したユニバーサル・ピクチャーズとしてもヒットを見込んでいたのだろう。
しかしアニメ版からの改変がファンだった世代の女性たちから大不評で、週末興収は130万ドルに留まり、わずか2週間で打ち切りとなった。
ある程度の改変は必要だろうが、これがディズニー・チャンネルの子供向けテレビ番組として製作されていたとしたら、ひょっとすると人気になったんじゃないかという気もする。そういう匂いが漂って来るような内容だからだ。30分連続ドラマだったら、ドタバタ系の軽い喜劇をやって、1話ごとに1曲ずつ演奏シーンを用意する構成にすれば、スターや歌手に憧れるローティーンの少女たちが見てくれるんじゃないかと感じる。
ただ、映画としては相当に厳しい。ベイリーが喧嘩を止める方法として合唱させるシーンで、「子供たちはみんな歌える」ってことを示している。
ただ、「なぜ合唱?」という部分は、かなり違和感が強い。
どうせジェリカのナレーションで進行しているんだから、そこは例えば「ベイリーは昔から、何かあると必ず歌わせていて、みんな歌が好きになって」みたいなことを言わせて説明しておけばいい。
キンバーが提案するミュージック・ビデオの撮影にしても唐突さが否めないが、ここもナレーションで説明してしまえばいい。決して恰好がいいとは言えない処理方法だけど、「歌はともかく、いつの間に誰が音源を作ったのか」という疑問をスルーしておくよりは遥かにマシだろう。「インターネットにアップした動画がきっかけで人気者になる」という現象は実際に起きているし、それがミュージシャンというケースもある。
ただ、この映画で描かれている現象に関しては、「いや無理があるだろ」と言いたくなる。
匿名アカウントで上げた動画が、すぐに何度も再生され、あっという間に拡散され、翌朝にはテレビ番組で取り上げられるようになるってのは、さすがにメチャクチャだ。「超が付くほどの人気者が見つけて紹介する」というきっかけがあったとしても、1日では有り得ない。
そしてジェムの場合、世界的なスターが見つけてフェイスブックやインスタグラムで紹介したわけでもないのだ。「ネットに上げた動画がきっかけで、あっという間に人気スターの仲間入り」ってのは、かなり荒唐無稽な話と言っていいだろう。そんな話を進める上、ジェリカのキャラ描写は大きな障害になっている。
バカバカしい話なんだから、弾けたコメディーとして作った方がいいと思うのだ。
ところが、なぜか本作品は、しんみりとした雰囲気で話を始めている。ジェリカが歌う時も亡き父を思っているし、かなりマジなトーンが強い。
それは荒唐無稽な話に観客を引き込む上で、大きなマイナスだと感じるのだ。
パワーや勢いで、半ば強引に巻き込んでいかないとキツい話なのに。ジェリカはギターを演奏するし、自作の歌もあるんだから、きっと以前から歌が好きだったのだろう。だから本来なら、「ずっと歌は好きだったし、歌手への憧れは抱いていた。だけど臆病な性格で、人前で披露することには腰が引けていた。でもベイリーに背中を押されて、チャンスに乗ってみることにした」という流れになるべきなのだ。
だが、ネットで話題になる前のジェリカの状態に関する説明が圧倒的に不足しているため、そういうドラマが成立しない。
ジェリカだけでなく、キンバー&アジャ&シェイナのキャラ紹介や生活環境などの説明も足りないことだらけだが、特にジェリカの初期設定における説明の欠如は、大きな痛手となっている。
ベイリーが「貴方の特別な歌を埋もれさせるのは勿体無い。このチャンスを掴まなきゃ」とジェリカに言っても、その言葉に説得力が無い。序盤における手抜き作業が、それ以降の展開にもずっと負債として付きまとう。ジェムの歌がネットで大きな話題になったのなら、それに誰かが目を付けるってのは理解できる。例えばテレビ番組が目を付けて、出演してもらって同じ歌を披露してもらうってことなら、それは分かる。
だが、レコード会社の社長が、いきなり3回のライブを提案するのは不可解極まりない。
その歌を実際にジェム本人が歌っているという確証は取れていないし、1曲しか持ち歌が無い状態だ。
実際に歌唱力や他の曲もチェックして、それから「これなら大丈夫」ってことで、まずはネットで話題になった歌のお披露目ライブを開くってのが筋じゃないかと。リオはジェリカから「父が残した部品をライブハウスで探したい」と言われると、「余程のコネが無いと、あそこでは歌えない」と言う。
だけどジェリカは歌いたがっているわけじゃなく、そこに入って部品を見つけたいだけだ。
その会話の続きで、リオは「情熱のある本物のアーティストをサポートする会社に戻したい。今の母さんみたいに、何の才能も無い薄っぺらいアイドルにうつつを抜かすんじゃなくて」と語る。
だけど、スターライト・エンタープライズが才能の無いアイドルばかりと契約する薄っぺらい会社だということは、そこまでの描写で全く伝わっていない。キンバーがオファーを聞いて大喜びするような会社なので、リオの台詞が唐突にしか感じない。余程のコネが無いと難しいと言っていたリオだが、簡単にオープン・エア・クラブでのライブを決めてしまう。
そりゃあエリカは音楽界の大物だから、それが「余程のコネ」として機能したのかもしれない。
だけど、そんなに簡単にライブが出来るのなら、「余程のコネが」みたいな前フリって要らなくねえか。単純に、「最初のライブの場所は偶然にもオープン・エア・クラブ」ってことで良くないか。
っていうかさ、それまでにエリカは3回のライブを決めていたんだから、その時点で場所も決まっていたんじゃないのかよ。それが急に、最初のライブがオープン・エア・クラブになるって、どんだけデタラメなんだよ。最初のライブで1発目に披露する歌は、ジェリカがギターを弾きながら1人で撮影した動画の歌でもなければ、キンバーたちが撮影した動画の歌でもない。全く別の新曲だ。
それで観客が熱狂するってのは、無理があるだろ。それまでにジェムの曲をスターライトがネットか何かで発表していたならともかく、そうじゃないんだからさ。
それに、ネットで話題を集めたのはフォークギターで歌ったバラードなのに、打ち込み系の曲で観客が盛り上がるってのも違和感が強いし。
あと、ジェムのお披露目ライブって映画開始から約55分後なんだけど、全体の構成を考えた時、明らかにタイミングが遅すぎるでしょ。ジェリカはキンバーたちのバンドと一緒に最初のライブを開くが、すぐにエリカがソロデビューを持ち掛ける。これを承諾するので、次のライブでジェリカはソロになっている。
バンドのお披露目ライブのタイミングが遅すぎるから、そこで見事なぐらい分かりやすい皺寄せが来ているのよ。
あとさ、ジェリカのソロデビューでキンバーたちは腹を立てるけど、そもそもファンやマスコミが騒いでいるのはジェムだけだったでしょ。その時点で「自分たちは求められていない」と全く感じないのは、無理があるだろ。
そんな風にキンバーたちが感じる手順を経た上で、ジェリカがソロに転向する流れへ移るのなら分かるんだけどさ。アニメ版のヒロインは、父が残した機械でジェムに変身し、仲間とバンドを組んで人気者になるという設定だった。しかしリメイク版では、機械を使わなくてもジェリカがジェムとして人気者になり、キンバーたちとバンドでデビューすることも決まっている。
だから亡き父の機械を絡ませる意味が、まるで無くなっている。
それなのに、シナジーというロボットを登場させて「父が残した部品を集める冒険」という要素を入れている。
ここが「ジェリカたちが人気者としてデビューする」という物語と、全く連動していない。
おまけに、そこだけは中途半端にSF要素が含まれており、リアリティー・ラインまでボンヤリしてしまう。ジェリカのバンドメンバーにベイリーの里子だけじゃなくて妹のキンバーも含まれているってのは、かなり大きな問題に絡んでくる。
まず、「ジェリカとキンバーの姉妹としての関係」は特別に扱わないとダメな要素のはずだが、そこが薄い。ジェリカにとってのキンバーが、アジャ&シェイナと同じ程度になっている。
それでも、まだジェリカからすればアジャ&シェイナは「幼い頃から一緒に育って来た仲間」だから、そこが同じ扱いなのは分からなくも無い。
厄介なのは、エメットと姉妹との関係だ。エメットはジェリカだけを「ジェム」として特別に扱い、シナジーのメッセージも彼女のためだけに残している。ジェリカとキンバーの扱いが、露骨に違うのだ。そんなエメットはシナジーに手掛かりを残し、完成させるための部品を複数の場所に隠している。
最初の部品が桟橋にあるのは「ジェリカが幼い頃に良く行った場所」だから、一応の筋は通っている。
しかし2つ目のライブハウスは「ジェリカが成長したら連れて行きたかった場所」なので、ジェリカにしてみりゃ全く知らない場所だ。しかも、どうやって店に飾られているギターに隠せたのかも不明。
3つ目の部品はジェリカのイヤリングだが、ここは「エリカがファッションチェックで取り上げているので、警備が厳重なスターライトのビルにある」という設定にして、かなり強引に「目的の物を手に入れるためのミッション」という展開を用意している。エメットがシナジーの部品を複数の場所に隠した理由について、「そんなことをする必要性は?」と疑問に思うかもしれないが、その答えは何も用意されていない。つまり答えは、「そんな必要性は何も無い」ってことになる。
そして無意味な行動をさせられたジェリカが最後の部品を差し込むと、死期を悟った頃のエメットが残したビデオメッセージが出現する。それは「お前の人生はこれからだ。進むべき道は自分で決めないと。自分が最も輝ける道を選びなさい」みたいなことを言うだけの、ごく普通のメッセージだ。
そんなモン、普通に残せばいいだろうに。
わざわざシナジーの部品をあちこちに隠して、捜索させる意味がどこにあるのかと。しかも、なぜ今頃になって動くようにセッティングしたのかと。(観賞日:2018年12月11日)