『ジョーズ2』:1978、アメリカ
島都市アミティでは大きな事件も全く起きず、警察のマーティン・ブロディ署長の仕事といえば、ゴミ問題で揉めている住民を仲裁することぐらい。アミティ市は観光産業が大きな財源となっており、美しい海をアピールして観光客を集めようとしている。
そんなある日、海で撮影をしていたカメラマンがボートとカメラを置いて行方不明になる事件が起きた。さらに数日後、今度は水上スキーを楽しんでいた女性2人のボートが爆発する事件が発生。不審な事件が続く中、海岸にクジラの死体が打ち上げられる。
現場に駆け付けたブロディは、その体に付いた大きな噛み跡を見て、クジラを殺したのが人食い鮫だと確信する。ブロディは3年前にオルカ号に乗って人食い鮫と戦ったことがあり、その恐ろしさは身をもって経験しているのだ。
人食い鮫が島の近くにいることを市長に警告するブロディだが、全く相手にしてもらえない。市長と役所の人間達は、ブロディが人食い鮫のことで騒ぎ立て、観光産業が大きなダメージを受けることを恐れた。そこで彼らは評議会を開き、ブロディをクビにしてしまう。だが、人食い鮫は確かにアミティ海岸に現れていたのだ…。監督はヤノット・シュワルツ、原作はピーター・ベンチリー、脚本はカール・ゴットリーブ&ハワード・サックラー、製作はリチャード・D・ザナック&デヴィッド・ブラウン、製作協力&美術はジョー・アルヴェス、撮影はマイケル・バトラー、編集はニール・トラヴィス、特殊機械(メカニカル)効果はロバート・A・マッテイ&ロイ・アルボガスト、セット装飾はフィリップ・アブラムソン、衣装はビル・ジョーブ、音楽はジョン・ウィリアムズ。
主演はロイ・シャイダー、共演はロレイン・ゲイリー、マーレイ・ハミルトン、ジョゼフ・マスコロ、ジェフリー・クラマー、コリン・ウィルコックス、アン・ダズンベリー、マーク・グルナー、バリー・コー、スーザン・フレンチ、ゲイリー・スプリンガー、ドナ・ウィルクス、ゲイリー・ドゥービン、ジョン・デュカキス、G・トーマス・ダンロップ、デヴィッド・エリオット、マーク・ギルピン他。
大ヒットした『ジョーズ』の続編。
前作で人食い鮫と戦って生き残ったブロディ署長が主役。前回は3人で鮫に立ち向かったが、今回はブロディ独りだけで戦いに挑む。
ブロディ署長を演じるのは、前作に引き続いてロイ・シャイダー。妻エレンをロレイン・ゲイリー、市長をマーレイ・ハミルトンが演じている。前作で、既にジョーズの姿を見せてしまっている。そのため、「見えざる殺人者」という恐怖を与えることは、かなり難しいと言わざるを得ないだろう。
それが分かっているから開き直ったのか、いきなり冒頭から姿を現すジョーズくん。
小さくて真ん丸の目が、なかなか可愛い。ジョーズに殺されたクジラが海岸に打ち上げられる場面があるが、打ち上げられた場所が、あまりに海岸沿いから離れすぎている。
いくら満ち潮でも、あそこまで波は来ないはずだと思うぞ。
ひょっとして、クジラが自分で這って来たのかなあ。全体的に、ノンビリした時間帯が非常に長い。
ジョーズが姿を現してから次に現れるまで、その間を埋めるだけのジリジリした緊迫感は全く無い。人が食われる場面での残酷な描写は全く無いし、ジョーズに対する恐怖をあまり感じない。終盤は緊張の連続で畳み掛けていくべきだと思うのだが、なぜか一旦落ち着く。
で、クライマックスでは遊んでいたガキ達がジョーズに襲われ、それをブロディが助けに行くのだが、ガキは1人も死なずに助かってしまう。
残酷なことを言うようだけどさ、やっぱり何人かは食われるべきでしょ、流れとしては。それぐらいしないと、そこまでの緊張感と迫力の弱さは取り戻せないよ。いや、そんなシーンを作ったとしても、フォローになるかと問われると、困るんだけどさ。ブロディが鮫と戦うのは、わずか数分だけ。
しかも、あっさりやっつけてしまう。
殺したはずの鮫が再び襲ってくる展開かと思ったら、そのままエンドロールへ突入。
ジョーズよ、なんか前作よりも弱くなってるんじゃないのか。
しっかりせんかい。
1978年スティンカーズ最悪映画賞<エクスパンション・プロジェクト後>
ノミネート:【最悪の続編】部門
ノミネート:【最も苛立たしい非人間キャラクター】部門[機械仕掛けの鮫のブルース]