『スペース・パイレーツ』:1984、アメリカ

惑星間戦争が長く続いた後、乾き切った銀河系では水が貴重な資源となった。惑星ミスラに住むテンプラー人は、水の権利を一手に掌握していた。そんな中、アイス・パイレーツという海賊一味は、氷にした水を運ぶ貨物船を襲撃し、氷を盗んでいた。
貨物船を襲撃した一味は、カプセルの中で眠るアルゴン星のカリーナ姫を発見する。一味のリーダーであるジェイソンは彼女を連れ出すが、テンプラー人の反撃を受けて捕まってしまう。ジェイソンと仲間のロスコーは、惑星ミスラに連行された。2人はロボトミー手術で改造されそうになるが、カリーナ姫に助けられる。
ジェイソンとロスコーはカリーナ姫に指示され、牢獄で出会ったキルジョイと共にミスラを脱出する。カリーナは彼らに拳銃を突き付け、彼女の父の行方を知るジェイソンの友人ランキーに会わせるよう命令する。カリーナの父は水が豊富にあるという第七世界を探しに出掛けたまま、行方不明となっていた。
タイムワープで年老いてしまったランキーに会ったジェイソン達は、カリーナの父が第七世界を発見していたことを聞かされる。ジェイソン達はランキーが最後にカリーナの父を見たという惑星トライに向かい、統治者ウェンドンに面会する…。

監督はスチュアート・ラフィル、脚本はスチュアート・ラフィル&スタンフォード・シャーマン、製作はジョン・フォアマン、製作協力はデニス・ラスカー、撮影はマシュー・F・レオネッティ、編集はトム・ウォールズ、美術はデヴィッド・M・ヘイバー&ロナルド・ケント・フォアマン、衣装はダニエル・パレデス、特殊視覚効果はマックス・W・アンダーソン、音楽はブルース・ブロートン。
出演はロバート・ユーリック、メアリー・クロスビー、マイケル・D・ロバーツ、アンジェリカ・ヒューストン、ジョン・メイタスザック、ロン・パールマン、ブルース・ヴィランチ、ジョン・キャラダイン、ジェレミー・ウェスト、ナタリー・コア、アラン・カイロウ、マーシア・ルイス、ダリル・ローチ、ロバート・シモンズ、ゲイリー・ブロケット、ロックン・ターキントトン、イアン・エイバークロンビー、ドロレス・アルビン他。


おそらく“スター・ウォーズ”のクラシック3部作のヒットに便乗して作られたであろうと思われるSF映画。ジェイソンをロバート・ユーリック、カリーナをビング・クロスビーの娘メアリー・クロスビー、ロスコーをマイケル・D・ロバーツが演じている。

この作品の致命的な弱点は、中途半端に笑いを入れたことだろう。
コメディーにするなら徹底すべきなのに、ギャグが少ないし弱い。
だから、それなりに金を掛けて作った、締まりが無いだけのSF映画になっている。

キャラクターの個性やストーリーの奇想天外ぶりだけで引っ張れる作品ではない。
もちろん、アクションや特撮映像の素晴らしさで引っ張れる作品でもない。
そんでもって、笑いも薄い。
何をセールスポイントにしているのかサッパリ分からない。

ドアを蹴破ろうとしてドアごと前に倒れ込んだり、敵を騙すのに男が女の声色を使ったり、そんなことで笑えるはずもない。
そりゃ役者のリアクションが上手ければ笑いに繋がることもあるだろうが、そういう部分で笑いを取りに行こうという気配も無い。
幾つも連続するギャグとか、同じパターンを使うギャグとか、そういうモノも無い。

「安く購入したロボットが役立たずだった」という1点だけに絞っても、もっと笑いを広げられるはずだ。それなのに、1つの笑いさえも示せない。
「これからロボットを突き落とすぞ」というバレバレの前振りをした後で、そのロボットを破壊して終わらせてしまう。

『エイリアン』のモンスターもどきみたいな生物を登場させておきながら、次のシーンでは何も無かったように、ストーリーが進行していく。
モンスターに襲われたのに、そこから話が広がらない。
忘れた頃に再びモンスターを登場させるが、やっぱり話を広げない。
そこで笑いを取ることも無い。

時間が経つに連れて、どんどん笑いの色は薄くなっていく。
アクションシーンでは普通にアクションを見せているし、友人が殺されるシーンでは普通に悲劇として見せている。
しかし、友人が死んだ次のシーンでは、もう陽気になっている。
徹底的にマジになるわけではなく、たまに思い出したように笑わせようとするフシが見られるが、しかし見事に笑えない。

そもそも、基本のストーリー構成がヘナチョコ。
これからクライマックスという時に長ったらしいベッドシーンを入れるわ、悪のボスであるテンペラーの司令官はほとんど出てこないわ、カリーナの父親は登場しない内に映画は終わってしまうわと、もうショボショボだ。

 

*ポンコツ映画愛護協会