『ザ・ボディガード』:2017、アメリカ&ドイツ&スペイン

ニューヨークのスカースデールにあるハットー家の邸宅。家政婦のローサが犬を庭に連れ出すと、殺し屋のメッツガーが射殺した。彼は邸内に乗り込み、主人のマーティンと妻のパメラを始末した。彼は室内に灯油を撒き、火を放って立ち去った。ハットー家の娘であるエラは、スイスのモントルーにある高校に通っていた。彼女は教師に隠れて煙草を吸いながら、友人たちと会話を交わす。恋人のセルジオからダンスに誘うメールが携帯に届いたので、彼女は笑顔になった。
その夜、エラが学生寮を抜け出してセルジオの元へ向かうと、張り込んでいたルーカスが車で尾行した。エラがセルジオと合流してクラブに入ると、ルーカスが後を追った。エラはルーカスに気付くと、「パパの部下だ。監視役よ」とため息をついた。彼女が店を出ようとすると、2人の殺し屋が現れた。ルーカスは1人を射殺し、エラの腕を取って店から連れ出した。ルーカスは追って来た殺し屋に発砲しながら逃走し、エラを車に乗せた。そこへセルジオが現れたので、ルーカスは彼も乗せて車を発進させた。
殺し屋が車で追って来たため、ルーカスは山道でカーチェイスを繰り広げる。敵を横転に追い込んだルーカスは、車を降りて確かめに行く。セルジオはエラに「逃げよう」と告げ、車から逃げ出した。ルーカスは動かなくなった殺し屋に銃弾を撃ち込んだ後、エラとセルジオの前に立ちはだかって携帯を捨てさせた。車が走って来ると、彼は「伏せろ」と指示してエラに「君の命が狙われてる」と告げた。「パパに関係あること?」とエラに訊かれたルーカスは何も答えず、「もう充分だ」と呟いて自分の車へ歩き出した。
セルジオはエラに「早く逃げよう」と促し、2人は車と反対方向へ走り出した。ルーカスの携帯には「やらなければ2人を殺ぞ」というメッセージが入っており、妻のテレサと娘のジリアンの写真が添えられていた。彼は車でエラの元へ行き、「乗れ」と告げる。セルジオは「事件に巻き込まれる」と反対するが、エラは車に乗り込んだ。彼女が「警察に連絡したい」と言うと、ルーカスは「警察にも君の敵が大勢いる」と告げる。エラが「何が起きてるの?貴方は誰?」と訊くと、彼は「俺はルーカス」とだけ答えた。
バーゼルに到着したルーカスは、防犯カメラに写らないようエラを隠れさせて車を地下駐車場に入れる。彼は別の車を盗み、トランクに入るようエラに指示した。エラは「閉所恐怖症なの」と嫌がるが、ルーカスは「国境を越えるために身を隠さないと殺されるぞ」と告げる。エラは話し掛けるよう頼み、渋々ながら承諾してトランクに入った。ルーカスは運転席に座ると、麻薬を注射する。エラが不安を吐露すると、彼は父親について話すよう促した。エラが「パパのせいでこんな目に遭った。パパなんて大嫌い。ママが死んでクソ女と再婚した。あの女も大嫌い。2人で私を家から追い出した」と話すと、ルーカスは「父親も過ちを犯す」と口にした。
ルーカスが車を発進させると、すぐにエラは怖くなって「早く出して」と訴える。「自分で試してみれば?」と彼女が言うと、ルーカスは「ファルージャで経験がある。塹壕に潜んでいたら野良犬が来たので、隊長が殺すよう命じた。俺は犬の喉を切り裂いて殺し、3日間も血まみれで塹壕に隠れていた。だが見張っていたのは、ただの民間人の家だったそれに比べれば車のトランクなんてマシだろ」と語った。ルーカスは警察の検問に遭遇するが、何の問題も無く通過した。
イングランドのハロゲイト。ジーナ・バンクスはリチャード・アディソンの豪邸へ行き、「かなり面倒なことになってきた」と報告する。「メッツガーの力が必要だった。もうアメリカから戻っている。君は小娘を見つけろ。ルーカスもだ」とアディソンが言うと、バンクスは「娘の他にも問題が。父親は当局への密告を企み、2500万ドルの資金を盗んでいた」と告げる。アディソンは「取り戻せ。メッツガーから君への贈り物だ」と述べ、マーティンの携帯を渡す。彼はバンクスを威圧して、「俺を舐めるなよ。小娘とルーカスを見つけ出し、俺の金を取り戻せ」と命じた。
アディソンの手下たちは身寄りのない男を見つけ、地下室へ連行していた。彼らは男に防具を装着させ、ドーベルマンと同じケージに入るよう指示した。それはアディソンがドーベルマンの能力を見るためのテストで、男は喉に噛み付かれて死亡した。ルーカスはフランスのショーモンに入り、コテージに侵入してアディソンに連絡を入れた。「なぜ家族の居所を?」と彼が訊くと、アディソンは「部下のことは何でもお見通しだ。お前はエラに娘を重ねてる」と告げる。「なぜエラを狙う?」という質問に、彼は「父親が裏切ったからだ。俺の金を盗んだ。お前がエラを殺さないから、メッツガーをハットーの家に送った」と述べた。
ルーカスが「死人を制裁する意味があるのか?」と責めるように言うと、アディソンは「これは部下全員に対する見せしめだ」と述べる。彼は「俺がいなきゃ良質の麻薬は手に入らないぞ」と告げ、エラの始末を命じて電話を切った。エラはルーカスに促されてコテージに入り、トイレで携帯を見つけた。彼女はマーティンに電話を掛けるが、出たのはバンクスだった。バンクスはFBI捜査官であることを明かし、「ルーカスはプロの殺し屋よ。貴方の命を狙ってる。この番号を追跡して助けに行く」と告げた。
トイレから出たエラは、ルーカスに「私を殺す気なの?」と問い掛けた。ルーカスが「そうだ」と答えて拳銃を構えると、エラは怯えて「見逃して」と泣き出した。ルーカスは全く動けなくなり、その間にエラはコテージから飛び出した。エラは公衆電話を見つけて使おうとするが、そこへ車でルーカスが追って来た。ルーカスは拳銃を捨て、「殺す気は無い。殺すために雇われたが、俺には出来ない」と言う。「パパに電話しなきゃ」とエラが口にすると、彼は「お父さんは死んだ。警告として先に君を殺すはずだった。だが俺が殺せなかったから、奴らは両親を殺した。今や俺の命も狙われている」と述べた。
エラはルーカスに、「パパが嫌いと言ったけど、本心じゃないわ」と告げる。ルーカスが「分かってる」と言った直後、2人の殺し屋が襲撃してきた。ルーカスは彼らを始末し、エラを車に乗せて逃走した。ルーカスは途中でエラに運転を交代してもらい、後部座席へ移って麻薬を注射する。エラが脇見運転で車をぶつけて壊してしまい、ルーカスは脚に怪我を負った。ルーカスは列車の駅に行き、女医で友人のダニに連絡して協力を要請した。彼はジリアンに電話を掛けるが、何も言わずに切った。ルーカスはエラに、電車でダニと合流して治療してもらうことを説明した。
男女の弁護士は顧客になってもらうため、アディソンの邸宅を訪れた。アディソンが「前の弁護士のマーティンには、デリケートな問題を解決してもらっていた。しかし死ぬ直前、アメリカの内国歳入庁と問題を抱えていた。彼には失望した」と語ると、弁護士たちは「貴方は麻薬で大儲けしていますが、資金洗浄を任せてもらえませんか。絶対に裏切りません」と売り込んだ。その会話を、アディソンの幼い息子であるリチャードが密かに聞いていた。彼は自室へ行ってパソコンを開き、遠くに住む母親と話す。アディソンが来たので、彼は慌ててパソコンを閉じた。「母親は忘れろ」と命じられたリチャードは、「母親はクソだ」と心にもない言葉を口にした。
ルーカスはエラを連れて電車に乗り、ダニの治療を受けた。ダニはエラと2人になると、「彼は貴方のことなんか気に掛けちゃいない。彼はジャンキーで、麻薬が欲しいだけよ。彼に頼らないで」と告げた。彼女は金を渡し、次の駅で降りて逃げるよう促した。ダニはルーカスの元へ戻り、注射器を渡して「今までにない上物よ」と言う。ルーカスはダニに注射器を突き付けて脅し、アディソンが自分に懸賞金を掛けたこと、メッツガーも動いていることを白状させた。
ルーカスは列車を降り、メッツガーがエラに話し掛けているのを見つけて発砲する。彼はエラを連れて駅から逃亡し、タンカーに乗せてもらってイギリス海峡を渡ることにした。彼は船内でエラに拳銃を渡し、使い方を教えた。ルーカスはリーズにある自宅アパートへ行き、エラは壁に飾られているジリアンの写真を見た。誰なのか尋ねる彼女に、ルーカスは「娘のジリアンだ」と答えた。「ここにいるの?」と問われた彼は、「会ったことが無い。母親は妊娠中に出て行った」と告げた。
ルーカスが麻薬を注射しようとすると、エラは「逃げる準備?」と質問する。ルーカスが「そうだ」と言うと、エラは「信じてたのに。誤解だったわ」と責めるように告げる。ルーカスは注射器を投げ捨てて叫び、禁断症状に苦悶する。エラはパソコンを開いてアディソンについてネット検索し、オフィスの場所を知る。彼はルーカスに、「依頼料は父の遺産が入るから払える。アディソンを殺して」と頼んだ。しかしルーカスが「人を殺せば自分の魂も死ぬぞ」と断ると、エラは拳銃を握って自ら復讐に赴いた…。

監督はジョナサン・モストウ、原作はケヴィン・ウィグノール、脚本はジョン・ブランカトー&マイケル・フェリス、製作はナヴィド・マッキルハージー&アンソニー・ルーレン&クリストファー・ミルバーン&サム・ワーシントン&ジョン・シュワルツ&マイケル・シュワルツ&トーヴ・クリステンセン&マイケル・ウェクスラー&フアン・A・ガルシア・ペレド&ジミー・コスタス&ポール・ロック&ポール・ライデン、製作総指揮はギャヴィン・プールマン&ダンカン・リード&ヒューゴ・ヘッペル&ジョナサン・モストウ&ジョージ・カストローニス&ジャック・マーリー&イルディコ・ケメニー&デヴィッド・ミンコフスキー&ノーマン・メリー&シャロン・ハンソン&デヴィン・アンドレ、撮影はホセ・ダヴィ・モンテーロ、美術はトーマス・ヴォス、編集はケン・ブラックウェル、衣装はライザ・ブレイシー、音楽はフェデリコ・フシド、音楽監修はクリス・ピカーロ。
出演はサム・ワーシントン、オデイア・ラッシュ、ヴェロニカ・エチェーギ、アレン・リーチ、エイミー・ランデッカー、マーティン・コムストン、エドゥアルド・フォント、ディラン・マイルス=デイヴィス、シェイン・ドラモンド、ガブリエル・モストウ、スチュワート・アレクサンダー、レイチェル・カフレイ、イーベン・ヤング、ステファニー・ドゥーリー、アン・ハーンビー、ティナ・マスケル、アンドリュー・ブルック、ケイト・ドブソン、ルーシー・ジャクソン、クラウディア・トルヒーリョ他。


ケヴィン・ウィグノールの小説を基にした作品。
監督は『ターミネーター3』『サロゲート』のジョナサン・モストウ。
脚本も同じく『ターミネーター3』『サロゲート』のジョン・ブランカトー&マイケル・フェリス。
ルーカスをサム・ワーシントン、エラをオデイア・ラッシュ、ダニをヴェロニカ・エチェーギ、アディソンをアレン・リーチ、バンクスをエイミー・ランデッカー、メッツガーをマーティン・コムストンが演じている。

ルーカスはプロの殺し屋なのに、クラブで張り込んでいることをエラに易々と気付かれてしまう。
そりゃあ気付かれたとしても始末できれば殺し屋としては優秀なのかもしれないが、この場合は殺す気も最初から無いわけだから、気付かれている時点でボンクラに見えてしまう。
そんなルーカスは殺し屋と撃ち合いながらエラを連れて車まで逃げて来たのに、彼らが店を出る時点では中に残っていたセルジオが簡単に追い付いている。
セルジオは車の場所を知らないから、先回りすることは不可能だ。ってことは、セルジオは殺し屋に撃たれることも無く、ルーカスたちと同じルートを辿って追い付いたってことになる。
なんちゅう都合の良すぎる展開だよ。

アディソンが身寄りの無い男を使ってドーベルマンのテストを行うシーンがあるが、何のために用意されているのかサッパリ分からない。
そこでアディソンの残忍さでもアピールしておきたかったのか。
だけど「防具を装着させた男とドーベルマンを同じケージに入れる」という時点で、その作為が陳腐に思えるぞ。
初期007シリーズの悪役みたいな誇張なら歓迎できるけど、この映画のシリアスなテイストからすると、そこに荒唐無稽が見えるのはマイナスでしかないはず。

しばらく話が進むと、冒頭の事件が発生するより前からアディソンがルーカスにエラの殺害を命じていたことが明らかにされる。
で、その仕事をルーカスが遂行しなかったからメッツガーをハットーの家へ送ったとアディソンは説明するのだが、まるで筋が通っていないでしょ。
エラを殺すのは、マーティンに警告して脅しを掛けるための仕事でしょ。それなのに、その本人を殺しちゃったら何の意味も無いでしょ。
それよりも、ルーカスが仕事を遂行しないのなら、メッツガーにエラの抹殺を命じた方がいいんじゃないかと。

あと、もうマーティンを殺したら警告する対象が消えるんだから、エラの始末に固執する理由は無いでしょ。
なぜ「やらないと妻子を殺害する」と脅してまで、ルーカスにエラの始末を要求するのか意味不明だ。そんなのは無駄にリスクを負う行為でしかない。
アディソンは「俺には大勢の部下がいる。盗みを見逃したら、そいつらはどう思う?これは部下全員に対する見せしめだ」と言うけど、何の答えにもなっちゃいないぞ。盗みを働いたのはマーティンであって、エラじゃないんだから。
エラを殺さなくても、盗みを見逃したことにはならんでしょうに。

あとさ、ルーカスが「なぜエラの命を狙うのか」と質問した時、アディソンは「父親が裏切って金を盗んだから」と答えているけど、それは違和感が強いぞ。
彼はバンクスが「娘の他にも問題が。マーティンは当局への密告を企み、2500万ドルを盗んだ」と報告するまで、資金を盗まれていたことは知らなかったはずでしょ。
つまりエラの命を狙うのは、それが理由じゃなかったはずで。そこは整合性が全く取れていないでしょ。

ルーカスはエラにコテージで「私を殺す気なの?」と訊かれると、「そうだ」と答えて拳銃を構える。エラは助命を嘆願し、ルーカスが動かなくなっている隙に外へ逃げ出す。ルーカスはエラを追い掛けて拳銃を捨て、殺す気が無いことを説明する。
このシーン、時間と手間の無駄でしかないぞ。
幾ら妻子のことで脅されていようと、ルーカスがエラを殺さないのは分かり切っているわけで。だからコテージで「殺す気なのか」と問われた時点で、「出来ない」と言って事情を明かせばいい。
あと、「今や俺の命も狙われてる」ってのは、余計な台詞でしかない。そんなことを言われても、エラからすりゃ「知らんがな」って話でしょ。
それは変に同情を誘おうとするカッコ悪い台詞でしかないぞ。

ルーカスがエラを殺さない理由については、「娘を重ねているから」という設定が用意されている。
一応の理屈は通っているが、説得力は弱い。
ルーカスと妻子の関係性、ルーカスのジリアンに対する深い愛情などが全くといっていいぐらい描写されていないため、表面的な設定に留まっている。
そりゃあ会ったことも無いから、回想シーンでルーカスとジリアンの触れ合いを描くことも出来ないという事情はある。ただ、そういう設定にしたのは製作サイドなんだから、それでもルーカスの娘に対する愛を表現しなきゃダメでしょ。

ルーカスには「ファルージャで過酷な体験をしている」「麻薬中毒」という設定があり、人物に奥行きを与える狙いがあるのかもしれない。
だが、物語には何の貢献もしておらず、邪魔なだけの要素と化している。
前者に関しては、エラに「こんな体験をした」と話すシーン以外、まるで使われていない。その経験がきっかけでヤク中になったのかもしれないが、その辺りも良く分からないし、まるで機能していない。
ヤク中の設定にしても、「それが無くても全く支障が無いよね」としか思えない。

終盤、エラは麻薬を注射しようとするルーカスに「逃げる準備」と尋ねて「そうだ」という答えが返って来ると、「信じてたのに。誤解だったわ」と非難する。
だけど、ルーカスが麻薬を打つ様子は車で逃げる途中でも見ていたよね。だから、それを責めるとしたら、今さらってことになる。
「逃げる準備」に対する非難だと解釈しても、やはり筋が通らない。
これまでルーカスは、ずっと逃げていたわけで。だから、エラが何を信じていて、何を誤解と言っているのか、サッパリ分からないのだ。

ルーカスはエラからアディソンの始末を依頼されると、「人を殺せば自分の魂も死ぬぞ」と諭している。
しかし、どの口が言うのかと。
アンタは殺し屋として、今までに多くの人間を殺してきたんだろうに。エラが自ら「殺したい」と言っているならともかく、「父親の復讐をしてくれ」と頼んでいるんだし、今さら殺しを嫌がる理由は何なのかと。
そもそもエラが口にしているように、「命を狙われているのに、拒否する理由は無いでしょ」という状況じゃないのかと。
だから報酬なんて無くても、「殺される前にアディソンを殺そう」と決意する方がスムーズなぐらいで。それを拒むのは、エラの「彼が怖い?」という指摘が正解にしか思えんぞ。

エラが拳銃を握って部屋から出て行った時点で、ルーカスは「彼女が自ら父親の仇討ちに向かった」と確信できるはずだよね。
それなのに、彼は自分が逃げることしか考えていない。
アディソンからの電話で「エラを捕まえた」と知らされ、ようやくエラの救出に向かうけど、行動を起こすタイミングが遅すぎるわ。
何なら、「エラがオフィスでアディソン殺そうとするが発砲できず、逃げようとして警官隊に包囲される」というトコで、助けに駆け付けてもいいぐらいなのに。

「アディソンがエラを捕まえて地下室に監禁した後、盛大なパーティーを開いているトコヘルーカスが乗り込む」という展開を描きたくて、そういう流れにしたんだろうってのは分かる。
ただ、そんなシナリオじゃなくても別にいいでしょ。「エラの依頼は断るが、自ら復讐しようとした彼女が窮地に陥った現場へ助けに駆け付ける。そしてエラの依頼ではなく、自らの意志という形でアディソンを片付ける」とか、そういう形でもいいでしょ。
ただ、ルーカスがエラのために行動する展開になると、「ルーカスがテレサとジリアンを人質に取られている」という設定が完全に無意味と化してしまうんだよね。
人質のせいでルーカスの行動がヌルくるようなことも無いし、アデイソンが彼の動きを制するために妻と娘を傷付けたり殺したりしようと目論むことも無いし。
前述したように「ルーカスがエラとジリアンを重ねている」という要素も半ば死んでいるし、思い切って完全に外しちゃうってのも1つの手だったんじゃないかと。

終盤、メッツガーがルーカスと戦って優勢に立っていると、アディソンが背後から発砲して始末する。ルーカスを狙って誤射したわけではなく、完全にメッツガーを狙って発砲している。
まるで意味不明な行動だ。
その直後、ルーカスはアディソンに狙われると、エラに「狙いを定めて撃て」と指示し、エラがアディソンを射殺する。
だけどルーカスは、「人を殺せば自分の魂も死ぬぞ」と言っていたよね。なのに、エラに自ら復讐させちゃうのかよ。
そこは彼女の手を汚さないように、始末を付けるべきじゃないのか。

(観賞日:2019年2月1日)

 

*ポンコツ映画愛護協会