『13日の金曜日PART6 ジェイソンは生きていた!』:1986、アメリカ

かつて殺人鬼ジェイソンが大勢の人々を殺害したクリスタル・レイクは、今はフォレスト・グリーンと名前を変えている。大人は ジェイソンの事件が事実だと知っているが、若者は実際にあった事件だとは知らず、伝説として大人から話を聞いている。トミー・ ジャーヴィスは、少年時代にジェイソンを殺害した。青年となった彼は、今もジェイソンの悪夢に悩まされていた。トミーは悪夢から 逃れるため、埋葬されたジェイソンの遺体を確認し、火葬してしまおうと考えた。
トミーは友人を連れて、フォレスト・グリーンの墓地へと向かった。トミーは墓を掘り起こし、ジェイソンの遺体を串刺しにした。だが、 突然の雷に打たれ、ジェイソンは復活してしまう。起き上がったジェイソンは、トミーの友人を殺害した。逃げ出したトミーは保安官 事務所に飛び込んで警告するが、ギャリス保安官は彼の話を信用せず、牢に入れてしまう。森に入ったジェイソンは、車に乗ったキャンプ 監視員ダレンとリズベスと遭遇し、脅かそうとした彼らを殺害した。
仲間のダレンとリズベスが戻らないことから、キャンプ監視員のメーガン、ポーラ、シシー、コートが保安官事務所にやって来た。トミー は、彼女たちにもジェイソンが復活したことを語り、警告した。ギャリスの娘メーガンは、トミーに興味を抱いた。メーガンたちは キャンプ場に入り、泊まりに来る子供たちを出迎えた。一方、ジェイソンはコンバット・ゲームをしていた面々と遭遇し、彼らを殺害した 。
ギャリスは保安官補のリックと共にトミーを町の外れまで連れて行き、フォレスト・グリーンから出て行くよう告げた。ジェイソンは墓地 の管理人マーティン、スティーヴンとアネットのカップルを次々に殺害した。キャンピングカーに乗っていたコートとニッキーも、犠牲と なった。メーガンと連絡を取って町に戻ったトミーだが、ギャリスに捕まって再び牢に入れられてしまう。その頃、キャンプ場では、 シシーとポーラがジェイソンによって次々に殺害されていた…。

監督&脚本はトム・マクローリン、製作はドン・バーンズ、撮影はジョン・クランハウス、編集はブルース・グリーン、美術はジョセフ・ T・ギャリティー、特殊効果はマーティン・ベッカー、音楽はハリー・マンフレディーニ。
出演はトム・マシューズ、ジェニファー・クック、デヴィッド・ケイガン、レニー・ジョーンズ、ケリー・ヌーナン、ダーシー・デモス、 トム・フライドレー、アラン・ブルーメンフェルド、マシュー・フェイゾン、アン・ライアーソン、トニー・ゴールドウィン、ナンシー・ マクローリン、ロン・パリロ、C・J・グレアム、ヴィンセント・ガスタフェロ、マイケル・スワン他。


ホッケーマスクの殺人鬼ジェイソンが大活躍(?)するシリーズ第6作。
『13日の金曜日 完結編』、『新・13日の金曜日』と、トミーを軸にした話が続いていたが、その流れが今回で終了する。
『完結編』ではコリー・フェルドマン、『新』ではジョン・シェパードが演じたトミーを、今回は『バタリアン』のトム・マシューズが 演じている。

前作『新・13日の金曜日』で、「ジェイソンだと思っていたら別人でした」というトホホな話をやってしまったシリーズだが、今回は再び ジェイソンが復活する。
そりゃそうだ、1作目はともかく、ジェイソンが登場しない『13日の金曜日』なんて、有り得ない。
さすがに前作に関しては製作サイドもトホホな作品だと認識しているのか、まるで無かったことのようになっている(トミーが精神病院に入って いたことには触れられているが)。
『新』の続きではなく、ほとんど『完結編』の続編として作られているような感じだ。

サブタイトルに「ジェイソンは生きていた!」とあるが、実際は死んでいたのを目覚めさせてしまっただけのこと。
それも、トミーが遺体を掘り起こしてしまうという形。
こいつが余計なことをやらなきゃ、ジェイソンは復活しなかったのにね。
テメエのワガママが原因で大勢の人々を犠牲にするんだから、「トミーに共感できない度数」は非常に高い。
正直、ジェイソンに殺されても構わないと思っちゃう。
まあね、このシリーズって基本的に、犠牲者に共感したり、哀れだと思う気持ちは全く沸かないけど。

ジェイソンが、少なくとも最後までは死なないことは分かっているので、それまでに脇役の連中がどんなに抵抗しても、何の役にも 立たないことは明らかだ。
だから、脇役が銃で撃とうが何をしようが、安心してジェイソンの殺人ショーを楽しんでいられる。
オープニングタイトルでは、円の中に横から歩いてきたジェイソンが正面を向き、ナタを振り下ろす。
ちょっと007シリーズっぽいぞ。なんか、バカバカしいけど、何となくジェイソンがカッコ良く見える。
ジェイソン、ほとんど殺人鬼ヒーローと化しているかも。

コンバット・ゲームをやってる連中は、みんなイヤなヤローにして欲しかったなあ。
そんで、そいつらは全て殺されるけど、愛すべきマヌケのロイだけは助かるという形でさ。
その代わりと言ってはなんだが、前述したようなバカ男トミーに、遊び気分でトミーに協力し、結果的に父親を死に追いやるメーガンと、 こいつらは殺してくれよ。
あと、ロイだけじゃなくて、おとなしくしていたポーラも助けてやってほしいな。幼い子供たちは殺していないわけだから、その辺りの 節度はあるみたいだし。
ウザい奴らだけを殺した方が、殺人鬼ヒーローとしてのジェイソンの株も上がるというものだ。

もっと殺し方、登場や殺人シーンに工夫を凝らしてほしかった。
様々なシチュエーション、色んなやり方を考えてほしかった。
残酷描写もおとなしいなあ。
何の捻りも無く、ただジェイソンが人を殺していくだけだから、殺人シーンに工夫を施さないと、どうしようもないのよね。
登場も殺し方もなんか地味だし、殺害もあっさりしている。
見せ方も普通だし。どうせ怖さなんて消え失せてるんだし、恐怖演出とは別の部分で、思い切って遊んでもいいんじゃないかな。
もっと登場を派手にするとか。意外な場所から、意外な形で登場するとか。

(観賞日:2003年10月11日)

 

*ポンコツ映画愛護協会