『スペースガーディアン』:2013、アメリカ&カナダ

ゲイリーとスコーチの兄弟は、惑星ナーラックへ赤ちゃんの救出に赴いた。管制官のゲイリーが宇宙船から指示を出すが、スコーチは全く指示に従わない。赤ちゃんたちを見つけたスコーチが能天気に喋るので、コンピュータのジェームズ・ビングは静かにさせた方がいいのではないかとゲイリーに助言する。しかしゲイリーが「住民が目を覚ます」と注意しても、スコーチは全く耳を貸さない。ナーラックの群れに気付かれたスコーチは慌てて逃亡し、ゲイリーの指示で崖を飛び越えた。
母星のバーブに戻ったゲイリーは息子であるキッパを傍らに乗せ、無事に着陸した。すると長官のリナはダーク・プラネットから救助を求める信号が届いたことを知らせ、1時間後にスコーチを派遣するよう指示した。ダーク・プラネットから帰還した者はおらず、ゲイリーは任務に抗議する。しかしスコーチはノリノリで取材を受け、恋人でリポーターのギャビーにダーク・プラネットへ行くことを宣言した。ゲイリーは延期するよう説くが、スコーチは「スポンサーも付いてる」と告げる。
ゲイリーが「今行くなら手を貸せない」と反対すると、スコーチは「言い分は分かる。チーム全員で計画を立てよう」と述べた。ゲイリーはダーク・プラネットのデータをビングに出してもらい、これまで友好的な交流を試みた異星人が全て行方不明になっていることを知った。キッパはスコーチに憧れており、一緒に連れて行ってほしいと頼む。スコーチは軽く笑い、「トラブルになったら助けに来てくれ」と告げた。スコーチがキッパに危険な道具を使わせて宇宙飛行士の練習をさせていると、ゲイリーは駆け付けて注意した。
キッパを管制室へ行かせたゲイリーは、スコーチが自分を騙して宇宙船を発進させようとしていることを知った。スコーチは全く悪びれず、「ただ座ってボタンを押してるだけじゃねえか」とゲイリーを侮辱する。ゲイリーは立腹し、「僕は辞める」と告げて去った。ダーク・プラネットからの生中継で、スコーチは何なのか知らずにコンビニへ近付いた。そこへ防護服を着た集団が現れ、スコーチを包囲する。スコーチは攻撃を仕掛けるが、ひとまず退散しようと考える。ミスを犯したスコーチは、エリア51の責任者であるシャンカーに背後から麻酔弾を撃ち込まれて連行された。
ゲイリーはリナに連絡を入れるが、「口出し無用」と通信を切られた。キッパはスコーチを救うため、窓から家を抜け出す。それを知ったキラはロケットブーツを履いてゲイリーを抱え、急いで発射台へ向かう。キッパは救助ポッドに乗り込むが、ゲイリーが間一髪で打ち上げを中止させた。しかしゲイリーは「弟を助けに行かなければ」と言い、救助ポッドでダーク・プラネットへ向かう。キラはリナの元へ行き、すぐに救助隊を出すよう求める。しかしリナは「貴方は家庭に入りたいと言って辞めたのよ。仕事は私に任せて」と冷徹に告げ、キラの要請を却下した。
ゲイリーはダーク・プラネットに降り立つが、着陸装置が故障してエリア51に不時着した。しかも自爆モードが起動してしまい、ゲイリーは救助ポッドから放り出された。スコーチを拘束したシャンカーは、宇宙服に入っていたブルボニウムを回収する。それは原子力の1万倍もの威力を持つ物質だが、スコーチは宇宙服に入っていることを知らなかった。コンビニ店員のホークとハマーはスコーチの写真を撮影し、ラジオ局に電話を掛けた。DJが「そいつの目的は誘拐だ」と言った直後にゲイリーが店内へ入って来たので、彼らは驚いた。ホークはフローズンを差し出し、仲良くしようと考えた。
そこへエリア51のチームが駆け付け、ホークとハマーに麻酔銃を放ってゲイリーをアイスクリームのトラックに閉じ込めて運ぶ。エリア51はアイスクリーム工場に偽装されており、グレイ型宇宙人たちが働いていた。工場に連行されたゲイリーは、防衛総省が制作した「地球へようこそ」というフィルムを見せられる。科学者たちは巨大な機械でゲイリーの頭脳レベルを解析し、天才だと分かると「シャンカーが喜ぶぞ」と口にした。
シャンカーはゲイリーに首輪を装着し、「進行中のプロジェクトに参加してもらう。良く働けば早く解放される」と告げた。シャンカーは自分に惚れているリナと結託し、宇宙の支配を目論んでいた。ゲイリーは牢に監禁され、宇宙人のサーマン、ドク、イオと出会う。ドクはゲイリーに、「ここを出るにはシャンカーの発明に協力するしかない」と話す。シャンカーは頭脳派の宇宙人を捕まえて監禁し、様々な技術を開発させて大金を稼いでいた。
ランチの時間になって牢が開くと、ゲイリーはスコーチを発見する。しかしスコーチが馬鹿にする態度を取ったため、ゲイリーは立腹した。ゲイリーの居場所を突き止めるためコンピュータを操作したキラは、管制室からしか出せない自爆命令が出ていたことを知って不審を抱く。大量のブルボニウムが運び込まれるの目撃した彼女はリナに気付かれ、キッパを逃がして捕まった。ゲイリーは食堂でもスコーチに侮辱され、腹を立てる。喧嘩を始めた2人はエリア51の職員たちを退治して逃亡しようとするが、シャンカーが首輪を起動させて失神に追い込んだ。シャンカーはドクに、ゲイリーたちをピース砲まで連れて来るよう命じた。
ピース砲は惑星を破壊できる強力な兵器で、10年前から作られており、後は動力源が見つかれば完成だった。キッパは拘束されたキラを助けに行くが、あっさりと取り押さえられた。シャンカーは動力源ブルボニウムをピース砲にセットし、発射テストとしてハレー彗星を破壊した。スコーチはブルボニウムを取り外して叩き壊すが、ゲイリーと共に捕まる。シャンカーはスコーチを冷凍器に閉じ込めて凍らせ、ゲイリーにに「弟を出してほしければピース砲を修理しろ。仲間に漏らしたら全員を凍らせるぞ」と告げた。
ゲイリーはシャンカーの破壊活動を止める方法を考え、作業に取り掛かった。シャンカーはゲイリーから「動力源の修理は終わった」と言われるが、「解放する意味が無い。どうせまた捕まえる」と告げる。「仲良くしたいのに、なぜ捕まえるんだ」とゲイリーが告げると、シャンカーは「嘘をつくな。私は6歳で父をエイリアンに奪われた」と憤慨した。1947年のロズウェルにグレイ型宇宙人の宇宙船が墜落した際、天体観測をしていたシャンカーの父は巻き添えになって命を落としていた。恨みを抱いたシャンカーはピース砲を使い、生命のある星を全て破壊するつもりだった…。

監督はカル・ブランカー、原案はトニー・リーチ&コリー・エドワーズ、脚本はボブ・バーレン&カル・ブランカー、追加脚本はスティーヴン・フライ&ダン・メイザー&デヴィッド・ジェイヴァーボーム、製作はキャサリン・ワインダー&ルーク・キャロル&ブライアン・インナーフェルド、製作総指揮はボブ・ワインスタイン&ハーヴェイ・ワインスタイン&ラデンコ・ミラコヴィッチ&マーヴィン・ピアート&トニー・リーチ、共同製作総指揮はジョージ・ツヴェタンスキー&イヴァン・バジッチ&フィリップ・グラッサー&ジンコ・ゴトー、製作協力はタマラ・バウチャー&ロドニー・シェアリー&スチュアート・ロウダー、撮影はマシュー・A・ウォード、アニメーション監督はアダム・ウッド、プロダクション・デザインはバリー・ジャクソン、アート・ディレクションはマティアス・レヒナー、編集はマシュー・ランドン&スコット・ウィンロウ、音楽はアーロン・ジグマン、音楽監修はデイナ・サノ。
声の出演はロブ・コードリー、ブレンダン・フレイザー、サラ・ジェシカ・パーカー、ウィリアム・シャトナー、ジェシカ・アルバ、リッキー・ジャーヴェイス、ジェーン・リンチ、クレイグ・ロビンソン、ジョージ・ロペス、ソフィア・ベルガラ、スティーヴ・ザーン、クリス・パーネル、ジョナサン・モーガン・ヘイト、ジェイソン・シンプソン、ダラン・ノリス、ショーン・ケニン、マイケル・ドブソン、ジョシュア・ラッシュ、ティム・ダダボー、ジム・ウォード、クーパー・バーンズ、ポール・シーア他。


ワインスタイン・カンパニーが製作した長編アニメーション映画。
『リトル・レッド レシピ泥棒は誰だ!?』のトニー・リーチ&コリー・エドワーズが原案を担当している。
監督のカル・ブランカーは、これが映画デビュー。
ゲイリーの声をロブ・コードリー、スコーチをブレンダン・フレイザー、キラをサラ・ジェシカ・パーカー、シャンカーをウィリアム・シャトナー、リナをジェシカ・アルバ、ビングをリッキー・ジャーヴェイス、イオをジェーン・リンチ、ドクをクレイグ・ロビンソン、サーマンをジョージ・ロペス、ギャビーをソフィア・ベルガラ、ホークをスティーヴ・ザーン、ハマーをクリス・パーネル、キップをジョナサン・モーガン・ヘイトが担当している。

ゲイリーがビングにダーク・プラネットのデータを出してもらうと、それは地球に関する内容になっている。ダーク・プラネットの正体は地球なので、それはもちろん間違っちゃいない。ただし問題なのは、全て実写映像になっていることだ。
わざわざ説明するまでも無く、その後でゲイリーとスコーチは地球へ向かう。そして、そこで描かれる地球は、もちろんアニメーションだ。なので、それを実写で先に描写しておくことは、賢明な判断とは到底言えない。
なぜビングのデータもアニメーションで表現しないのか、理解に苦しむ。「サイモン・コーウェルが好物」というネタをやるためだけに、実写にしてあるようなモンだ。
しかも、わざわざサイモン・コーウェルだけは実際の著名人の名前を出しているのに、彼が後の展開で話に絡んでくることは全く無い。だったら、そのネタも要らんよ。

序盤で感じるのは、「ゲイリーが不憫でしょうがない」ってことだ。
彼はスコーチに適切な指示を出すが、完全に無視される。スコーチが危機に陥った時には適切な指示で助けているが、それを感謝されることも無い。
スコーチは英雄として人々に称賛されるが、ゲイリーは誰にも評価してもらえない。
キッパはスコーチに憧れていて、ゲイリーには反発する。スコーチがダーク・プラネットで拉致されるとキッパは助けに行くべきだと主張し、それを却下すると勝手に家を抜け出す。
身勝手な弟と息子に振り回され、苦労の連続だ。

それで何か問題があるのかというと、大いにあるのだ。
何が問題なのかというと、「ゲイリーに落ち度はほとんど無いのに、こいつにも非があったかのように描かれている」ってことだ。
あえて非を見つけようとするなら、息子の教育に関して自由にさせる部分が少なかったとは言えるかもしれない。
でも、スコーチの勝手にさせていたら危険なことが起きる可能性は高いわけで、それを防ごうとしたらゲイリーのような言動になるのも理解できる。

ストーリーが進む中で、「ゲイリーとスコーチの兄弟が対立していたけど仲直りして」という筋書きを用意したり、「反発していたキッパとゲイリーの親子関係が修復されて」という筋書きを用意したりするのは、ものすごくベタではあるけど、そんなのは一向に構わない。
ただし、そういう筋書きを用意するのなら、「ゲイリーにも正すべき部分は色々とあった」という形にしておくべきだと思うのだ。
実際、ゲイリーはスコーチやキッパに対して罪悪感を抱いたり、反省したりしているわけだから。
でも、そこまで反省するほど、ゲイリーに問題があったようには到底思えないのだ。

ゲイリーはスコーチばかりが英雄扱いされる中で、嫉妬心からネジ曲がった言動を取っていたわけではない。
スコーチが「自分の力だけで手柄を立ててスーパーヒーローになっている」と勘違いしている状態でも、それを受け入れていた。
何度もスコーチが指示を無視しても、投げ出すようなことも無く彼をサポートするために頑張っていた。
ダーク・プラネットの一件では辞めているが、スコーチもクビを通告しているわけだから、その行動でさえ「ゲイリーが一方的に見放した」ということではないのだ。

ゲイリーはキッパの救助ポッド打ち上げを中止した直後、「キッパは正しい。スコーチは弟だ。助けに行かなくちゃ」と言って救助ポッドでダーク・プラネットに向かう。
そりゃあ彼がダーク・プラネットに行くのは当然の流れだけど、そこで「裏方だったゲイリーが勇敢な決断に」という形を取るのは、かなり性急で唐突に感じられる。
「弟を助けたい」という気持ちはあっても、ダーク・プラネットのデータがあるので迷いや不安が強いという段階にした方がいいんじゃないかと。
だから、そこは例えば「打ち上げを中止したはずだけど何かのトラブルやミスでゲイリーを乗せた救助ポッドが発射してしまう」みたいな形でも良かったんじゃないかと。

「ゲイリーは頭脳労働で慎重で臆病、スコーチは肉体労働で大胆で勇敢」という分かりやすい対比で兄弟を造形しているはずなんだから、もっと「ゲイリーは慎重で臆病」という部分は引っ張った方がいいでしょ。
地球に不時着してから怯えた様子は見せているけど、「弟を救うためダーク・プラネットへ行く」と決意した時点で勇敢なトコを見せちゃってるので、キャラがボヤけちゃうんだよね。
彼が勇敢さを発揮するのは、後半に入ってからでも充分だ。そして、そういう構成にしておけば、前述した「ゲイリーにも正すべき点があった」という形も成立させられるわけでね。
まさに一石二鳥でしょ。

スコーチはエリア51でゲイリーと再会した時も、生意気で見下す態度を全く変えていない。ゲイリーが「助けに来た」と言っても、鼻で笑う。「せっかく助けに来てやった兄に対する態度がそれか」とゲイリーが腹を立てると、「元部下だ。クビにしたからな」と言い放つ。
これが「ホントは来てくれたことを喜んでいるけど素直になれない」ってな感じの態度なら、それは分かるのよ。
だけど、こいつはマジで兄を見下して馬鹿にする態度が全く変わっちゃいないのよ。コンビニで捕まる直前、ゲイリーの指示が無いことに焦っていたはずなのに、何も変化していないのよね。
ただのクズじゃねえか。
スコーチってホントなら「お調子者のバカだけど憎めない奴」じゃなきゃいけないはずなのに、ただの不愉快な奴になってんのよね。

ゲイリーがコンビニに入った時、店員のホークとハマーは彼と仲良くしようとする。彼らの他に登場する地球人はシャンカーと手下たちなので、「宇宙人を捕まえて利用し、滅ぼそうとする連中」という括りになっている。
だからホークとハマーは「地球人が全てゲイリーの敵ではない」ってことを示すための、たった2人しかいないキャラクターだ。
それを考えれば、ちゃんと有効活用しなきゃいけない連中のはずなのに、申し訳程度で再登場するだけ。スコーチの隠した宇宙船が見つからず困っている時に「竜巻だ」と叫んでトレーラーハウスの人々が外に飛び出すよう仕向け、それで仕事はオシマイ。
ゲイリーたちとの友好関係というトコまでは至っていない。

ようするに、これって多くの要素を盛り込み過ぎて全く手に負えなくなっているのよね。
まずゲイリーとスコーチの「不和から和解」という兄弟関係がある。
ゲイリーには「反発するキッパとの親子関係」という要素もある。妻との関係もある。地球人との交流という要素もある。エリア51で捕まっている他の宇宙人たちとの関係もある。
もちろん敵との戦いという要素もあるが、そこは他と両立するのが難しくない。
ただし人間関係については、せめて兄弟や親子は、どっちか片方に絞り込んでも良かったんじゃないかと。

後半、シャンカーの父がグレイの宇宙船と激突して死んでいることが明らかになるが、この設定は邪魔なだけだ。
墜落事故に巻き込まれているのでグレイが殺そうとしたわけじゃないけど、だからって逆恨みとかでもないので、シャンカーが純然たる悪党じゃなくなってしまう。
「宇宙人を憎むようになった事情は良く分かる」ってことになる。
だけど、シャンカーが改心するわけでもなく最後まで卑劣な悪人として描かれているんだから、だったら中途半端に同情を誘う要素なんか邪魔なだけでしょ。

(観賞日:2019年1月27日)

 

*ポンコツ映画愛護協会