『砂の惑星』:1984、アメリカ
10.191年、皇帝シャダム4世が宇宙を支配していた。その当時、最も貴重な物質はメランジという香料だった。それは長寿の秘薬であり、意識を拡大させる効果を持っており、宇宙の旅には欠かせなかった。ミュータント化したギルドの航海士たちは、オレンジ・スパイス・ガスを用いた。宇宙空間を折り畳み、どこへでも動かずに旅が出来るのだ。メランジが採取できるのは宇宙で1ヶ所だけ。荒れ果てた砂漠の惑星である。その岩場にはフレーメンという民が隠れ住み、やがて救世主が来るという予言を信じていた。惑星の名はアラキス、またはデューンと呼ばれた。
ギルドの航海士は、コンピュータから「生産地であるアラキス、アトレイデス家の惑星カラダン、ハルコネン家の惑星ギエディ・プライム、シャダム4世の住む惑星カイテインという4つの惑星を巡る陰謀によって、香料の生産を損なう危険がある。カイテインに使者を送り、皇帝に説明を求めよ。香料を切らすな」と指令を受けた。シャダム4世はベネ・ゲセリットの教母であるガイウス・ヘレン・モヒアムに、「航海士の宇宙船が来る。会見の間、テレパシーで探ってくれ」と指示した。
カイテインに到着したギルドの航海士は、「イックス星に行って来た。新開発の機械が多くあった。策略が透けて見える。アトレイデス公爵とハルコネン男爵の不和は貴方が黒幕だ。説明したまえ」と述べた。シャダム4世は「アトレイデスは密かに軍備を整えている。音を使う新兵器だ。公爵の人気は、やがて私を脅かす。そこで彼にアラキスの占領を命じた。ハルコネンと交代させる。香料の採掘権があるから、公爵も断れない。すぐにハルコネンが舞い戻り、逆襲に出る。それを我が帝国軍が支援することになってる」と説明した。
ギルドの航海士は、「ハルコネンにアトレイデスを討たせると?一つ問題がある。我々もアトレイデス家に危惧を抱いている。レト・アトレイデス公爵ではなく、息子のポールだ。彼を殺してくれ」と述べた。なぜ息子の方を殺すのか理解できないシャダム4世だが、その依頼を承諾した。テレパシーで会話を聞いていたモヒアムは、ポールに会ってみることにした。ポールは、レト・アトレイデスと愛人のジェシカの間に生まれた息子だった。
惑星カラダンは、人間コンピュータ(メンタート)の訓練星であるトライラックスから19光年の位置にある。ポールはコンピュータを使い、アラキスの情報を調べる。「アラキスでウォーム(虫)に襲われた場合は、空中輸送船で避難する。虫は振動する物を襲う。アラキスに雨は一滴も降らず、ハルコネン男爵という敵がいる。ハルコネン男爵はアトレイデスを滅ぼし、印章を奪うと誓った」といった情報を、コンピュータが説明した。
ポールの元へ、メンタートのスフィル・ハワトと副官のガーニー・ハレック、医師のユエがやって来た。ユエはポールからアラキスのウォームの情報を訊かれ、「首都から離れた場所では450メートルのウォームが目撃されています。砂漠地帯と南極は立ち入り禁止です」と語った。フレメンについてポールが質問すると、ユエは「砂漠の奥地にいます。青い目をした種族です」と述べた。ポールは「血液が香料で満ちているからだ」と口にした。
「他の作用は?」とポールが興味津々で尋ねると、ハワトが「あの星は危険に満ちている。ハルコネンも簡単には採掘権を諦めまい」と言う。ポールが「奴らは宿敵だが、背後には皇帝がいる」と口にすると、ハワトは「罠を避けるための第一歩は、罠だと知ることです」と告げる。「罠と分かっていて、なぜ行くのだ?」とポールが質問すると、ハワトは「新兵器があるからです」と答えた。副官のダンカン・アイダホは親友のポールと会い、「先発隊だ。お別れを言いに来た。しばらく会えない」と告げた。「なぜ先に行く?」とポールが訊くと、彼は「お父上の用事だ」と答えた。
モヒアムはカラダンに到着し、不安を募らせるジェシカと会った。「娘を産めと言ったはずです」とモヒアムが非難すると、ジェシカは「公爵が息子を望んだので」と釈明した。モヒアムは「公爵の望みなど理由にならぬ。娘ならハルコネンに嫁がせて和睦できたものを」と声を荒らげた。「両家の滅亡を願うのですか」という問い掛けに、ジェシカは「悔いはありません。責任は取ります」と述べた。モヒアムは「息子も一緒ですよ」と冷たい口調で告げた。
悪夢にうなされているポールの寝室に入ったモヒアムは、ジェシカに「努力はします。しかし父親は助けません」と述べた。「そんな」とジェシカが驚くと、モヒアムは「思い上がりも甚だしい。クイザッツ・ハデラッハを産もうなんて。私の最も優秀な生徒である貴方が。残念です」と言う。ポールが目を覚ましていることに気付いたモヒアムは、「支度をなさい。お母様の部屋で15分後に」と告げた。
モヒアムはポールと2人になり、苦痛を与える箱に右手を入れさせた。そして意識で本能を制御するよう促し、「もし手を出せば貴方は死にます」と警告した。恐怖に打ち勝ったポールにモヒアムは感心し、超人かもしれないと考える。彼女は「生命の水を知っていますか。アラキスの虫の胆汁です。大変な劇薬で、道女が心を読む時に使う道具です。しかし女には到達できない境地があるのです。クイザッツ・ハデラッハなら、そこへ行けるという言い伝えがあります。大勢が挑み、失敗して死にました」と語った。
モヒアムはジェシカを呼び、「彼を訓練しましたね。身を守るために“ヴォイス”を覚えさせなさい」と指示した。ポールは「僕はいい。それより父上が死ぬような素振りだった」と口にする。モヒアムは淡々とした口調で、「手は尽くしました」と述べた。一方、男爵家のメンタートであるパイター・ド・ブリースはギエディ・プライムに戻り、ハルコネンに公爵の返事を伝える。和睦を申し出たのに公爵が決闘するつもりだと聞き、ハルコネンは激昂した。
ハルコネンは甥のラバンとフェイド・ラウサを呼び寄せ、パイターは2人に「他の大公家に皇帝の支援を悟られてはならん」と注意を促した。ハルコネンは「レト公爵の側近に我々の間諜がいる。その裏切り者は、皇帝の支援よりも価値がある」と不敵な笑みを浮かべた。アトレイデス家の3人はアラキスに到着し、レト公爵はダンカンにフレーメンの情報を尋ねる。「彼らは誇り高い種族で、帝国でさえ、その総数を知りません。しかし、本当は大勢いて、その星の支配者は彼らではないのかと思います」とダンカンは告げた。
レトはポールは、香料採掘の視察へ赴くことにした。ガーニーと帝国から派遣されているカインズ博士が、2人に同行した。ポールは、カインズがフレーメンであり、自分たちを探っているのだと察知した。砂漠の上空を飛行中、レトはサンドウォームの存在に気付いた。サンドウォームが採掘用施設に接近していたため、レトは作業員たちを救出する。ポールたちを乗せた飛行艇が離陸した直後、施設はサンドウォームに破壊された。部下を思いやるレトの姿を見て、カインズは彼を気に入った。
ジェシカの元には、土地の使用人たちが面会に訪れていた。ハルコネンのスパイであるユエは、「ハルコネンが薬物で操っているかも」と彼女に言い、使用人たちを調べるフリをする。面会人の中には、危険を知らせようとするフレーメン、シャダウト・メイプスの姿もあった。自室に戻ったポールは、暗殺道具のハンター・シーカーが侵入して来たのに気付いた。彼は動きを止めて対処し、ドアを開けて入って来たシャダウトを狙うハンター・シーカーを捕まえた。シャダウトはポールに「お身内に裏切り者がいます。誰かは分かりませんが確かです」と教え、その場を立ち去った。
ハンター・シーカーを放ったハルコネンの刺客は、死体で見つかった。ハワトは各地区からの報告を受け、レトに「宮殿は安全です。首都に戒厳令を敷き、地下6階から10階に軍隊を配備しました。空港にも軍隊を配備し、首都圏全域に防護シールドを張りました」と告げた。しかしユエが防護シールドを解除し、1人になったレトに攻撃を加えて負傷させた。新装備のモジュールも破壊した彼は、「公爵家は終わりだ」とレトに言い放った。
ユエは「縛られていても奴を攻撃することは出来る。歯に仕込んだ毒ガスをハルコネン男爵に浴びせろ」と要求し、レトが拒否すると「ポールとジェシカを殺すぞ」と脅した。ハルコネンの率いる軍隊が、宮殿を襲撃した。ハルコネンはジェシカの口を封じ、パイターに始末を命じた。妻を人質に取られていたユエは、パイターに殺された。ポールとジェシカは砂漠へ連行されるが、“ヴォイス”の能力を使ってハルコネンの手下を操って始末し、飛行艇を奪った。
レトは朦朧とした意識の中、詰問するハルコネンを殺そうとするが、顔を近付けたのはパイターだった。ポールとジェシカは、レトの絶命を悟った。飛行艇の高度が落ちたため、ポールは砂漠にある岩場の近くに着陸させた。ポールはユエが残した印章を握り締め、ハルコネンへの復讐を誓った。サンドウォームに襲われたポールとジェシカは、急いで逃げ出した。追い詰められた2人だが、誰かが仕掛けてあった振動器が作動し、サンドウォームは退散した。
ポールとジェシカの前に、フレーメンの集団が現れた。リーダーのスティルガーがポールを連行するよう仲間たちに命じると、ジェシカは彼を取り押さえた。スティルガーは攻撃態勢を取る仲間たちを制し、「この女は出来る」と言う。彼はジェシカに、「技を教えてくれたら、安全は保障する」と持ち掛けた。ジェシカがベネ・ゲセリットの道女だと知り、フレーメンたちは驚いた。一方、ポールはカインズの娘であるチャニと出会った。チャニはポールが夢の中で見たことのある女性だった…。監督はデヴィッド・リンチ、原作はフランク・ハーバート、脚本はデヴィッド・リンチ、製作はラファエラ・デ・ラウレンティス、製作協力はホセ・ロペス・ロデロ、撮影はフレディー・フランシス、編集はアントニー・ギブス、美術はアンソニー・マスターズ、衣装はボブ・リングウッド、クリーチャー効果はカルロ・ランバルディー、特殊撮影効果はバリー・ノーラン、追加特殊撮影効果はアルバート・J・ホイットロック、テーマ曲はブライアン・イーノ、音楽はTOTO。
カイル・マクラクラン、ユルゲン・プロホノフ、フランチェスカ・アニス、マックス・フォン・シドー、ショーン・ヤング、エヴェレット・マッギル、フレディー・ジョーンズ、リチャード・ジョーダン、パトリック・スチュワート、ディーン・ストックウェル、リンダ・ハント、ケネス・マクミラン、スティング、ポール・L・スミス、ブラッド・ドゥーリフ、ジャック・ナンス、ホセ・ファーラー、ヴァージニア・マドセン、シアン・フィリップス、シルヴァーナ・マンガーノ他。
フランク・ハーバートのSF小説『デューン』シリーズの第1作『砂の惑星』を基にした作品。
『デューン/砂の惑星』という別タイトルもある。
ポールをカイル・マクラクラン、レト公爵をユルゲン・プロホノフ、ジェシカをフランチェスカ・アニス、カインズをマックス・フォン・シドー、チャニをショーン・ヤング、スティルガーをエヴェレット・マッギル、ハワトをフレディー・ジョーンズ、ダンカンをリチャード・ジョーダン、ガーニーをパトリック・スチュワート、ユエをディーン・ストックウェル、シャダウトをリンダ・ハント、ハルコネンをケネス・マクミラン、フェイドをスティング、ラバンをポール・L・スミスが演じている。『エル・トポ』のアレハンドロ・ホドロフスキー監督を始めとする多くの面々が映像化を目指したものの、実現できずに終わっていた。
そんな中で映画化権を取得したディノ・デ・ラウレンティスが監督に据えたのは、まだ当時は『イレイザーヘッド』『エレファント・マン』という2本のフリークス映画を撮っただけのデヴィッド・リンチ。
破格の製作費を投入した超大作SF映画に、クセの強い若手監督を起用する辺りの山師的な感覚は、さすがはディノ・デ・ラウレンティスといったところだろうか。
ただ、そのギャンブルは失敗に終わった。デヴィッド・リンチは「自分に最終的な決定権が無かったせいで酷い映画になった」と失敗の責任が全てディノ・デ・ラウレンティスにあるようなことを言っているが、そうではない。
デヴィッド・リンチが完成させた作品は編集によって短くされているので、「最初に作った長さなら面白くなったはず」と思っているのかもしれないが、長くてもダメなモンはダメだと思うよ。どうせ台詞による説明が増えるだけでしょ、たぶん。
この映画が興行的に惨敗した一番の要因は、やはり脚本と監督を担当し、好きなように撮ったデヴィッド・リンチにあると思う。
もちろん、そんな彼を監督に据えたラウレンティスにも責任はあるけど。私は未読だが、原作は壮大で特殊な世界観、複雑に絡み合う人間関係、そういった要素が盛り込まれた大長編らしい。
それを1本の映画で描写しようという作業は、そもそも無理があったという部分は否めないんじゃないだろうか。
その上、デヴィッド・リンチは「なるべく分かりやすいように噛み砕いて説明しよう」とか、「原作の重要なエッセンスだけを抽出して再構成し、要らない箇所は削ぎ落としてスッキリさせよう」とか、そういうことに精力を注ぐタイプの人ではないのだ。デヴィッド・リンチは職人監督ではなく、「やりたいことだけをやる」という人だ。
ものすごくエゴイスティックな、良く言えば確固たる信念を持つ映像作家だ。
「超有名なSF小説の映画化作品」「メジャー会社が製作する超大作映画」ということであろうが、「絶対に失敗は出来ないから安全策で行こう」とか、「破綻しちゃいけないからオーソドックスに演出しよう」とか、そんな考えは全く無い。
彼は決して自分のやり方を変えず、シュールな映像美術を描き出す。そんな「我が道を行く」デヴィッド・リンチ監督は、「ナレーションと台詞で大半のことを説明してしまう」という手口を用意した。
その方法を選択した理由は、「仕方が無いから、苦渋の選択として」ということでもなく、「それがベストの方法だと思ったから」ということでもない。ただ単に、どうでも良かったからだ。
彼にとって、壮大な世界観とか、複雑な人間関係とか、そういうことは、何の関心も沸かない要素だ。
面倒で煩わしいから、ナレーションや台詞で適当に済ませているのだ。冒頭、画面にイルーランが登場し、カメラに向かって「物語の始まりは不安定なもの」と話し始める。彼女が話す内容は、物語の初期設定の説明だ。
粗筋の冒頭に記した「10.191年、皇帝シャダム4世が宇宙を支配していた」から「惑星の名はアラキス、またはデューンと呼ばれた」までの部分は、そこで彼女が話した内容である。
ナレーションによる説明が多い作品にロクなモンは無いってのが、私の持論である。
しかも、それは「説明」のはずなのに、何を言っているのかイマイチ良く分からないという困った有り様だ。その後、「アトレイデス公爵とハルコネン男爵は不和であり、その黒幕はシャダム4世」という情報をギルドの航海士が説明し、それを受けてシャダム4世が「アトレイデスは密かに軍備を整えており、レト公爵はシャダム4世を脅かす存在になりそうなので、アラキスの占領を命じてハルコネンに討伐させ、それを皇帝軍が支援することでレトを始末しようと目論んでいる」という状況を説明する。
既にアラキスがアトレイデス家に譲渡されている状況であり、それをセリフだけで処理しちゃうのだ。
しかも、この時点で、まだ惑星アラキスの様子は一度も写し出されていないし、レト公爵もハルコネン男爵も登場していないのだ。冒頭のナレーションに留まらず、その後も台詞によって膨大な情報が説明されるのだが、それでも「何が何やら良く分からん」という状況が続く。
ただ、それでも説明があるだけマシかもしれない。
「ベネ・ゲセリット」「メンタート」といった言葉については何の説明も無いから、原作を読んでいなければ、それぞれが「超能力を持つ女性種族の宗教結社」「帝国市民の階級で、最高の計算が出来るように訓練されている」ってことは、サッパリ分からない。「何とか物語を理解しよう、頭の中で整理しようと努める」という作業に神経を持って行かれるせいで、まるで映画に乗って行けない。
途中で頭を休憩させるための息抜きになるようなポイントも用意されておらず、重厚なムードの中で小難しい話をコネコネしまくったまま、どんどんストーリーが先に進んでいく。
決して展開が慌ただしいわけではないのだが、それでも付いて行くのは大変だ。
おまけに魅力的なキャラクター、感情移入できるキャラクターも登場しないので、付いて行きたい気持ちも沸かない。説明不足も多い一方、余計な説明もある。それは登場人物たちの過剰なモノローグだ。
例えば、採掘現場の視察へ向かう直前のシーン。
カインズが「帝国からこの地に派遣されて長いので」と言うと、ポールの「皇帝のスパイか」という心の呟きが入る。
それって、いちいち言葉で説明しなきゃいけないようなことなのか。
ポールが初めて使うスティルスーツを何の問題も無く着用しているのをカインズが知ると、「その人は生まれながらに道を知る」という心の呟きが入る。
それって、いちいち言わなきゃいけないようなことなのか。例えば、サンドウォームの襲来から作業員たちを救出するシーン。
作業員とぶつかったポールが両手の匂いを嗅ぐと、「精製前の香料の匂いだ」という心の呟きが入る。
それ、何の意味があるのか。そんなの要らないでしょ。
レトが作業員に「この仇は取ってやる」と言うと、それを聞いていたカインズの「部下を思いやる男だ。困ったことに、私は公爵が気に入ったぞ」という心の呟きが入る。
いやいや、それは表情や芝居で感じさせろよ。なんでモノローグで明確に説明しちゃうんだよ。
そんな風に、様々な箇所で多くのモノローグが入るが、その大半は、余計な説明か、「ドラマの中で描写しろよ」と言いたくなるような内容だ。全体の構成を考えて時間配分をしなかったのか、終盤に入ると、慌ただしくてバタバタとした展開になる。
だから色んな事の処理は淡白で、ポールはチャニと出会ってすぐ恋仲になり、フレーメンたちはリーダーとして振る舞うポールを最初から受け入れる。
いつの間にやら2年の歳月が経過し、いつの間にやら香料の生産が中止に追い込まれているが、それはナレーションでサラッと処理されるだけだ。クライマックスには最終決戦が用意されているのだが、たぶん、「展開上、それを入れないと仕方が無いから撮影しました」というだけである。
デヴィッド・リンチは、派手なアクションなんかに全く興味は無いんだろう。だから最終決戦を盛り上げよう、そこでテンションを一気に上げようという意欲は感じられない。
そんなことよりも、彼にとっては皮膚病のハルコネンが顔の手入れを受けている様子とか、彼が空中を浮遊する様子とか、そういったことの方が大事なのだ。
『イレイザーヘッド』『エレファント・マン』と同様に、やはり当時のリンチはフリークスやグロテスクな物に対する興味が強かったのだろう。(観賞日:2013年9月28日)
第7回スティンカーズ最悪映画賞(1984年)
受賞:作品賞